○三月一日 (水) 晴 寒
午前、学校。
午後、研究室。芳村、報告に來る。学生大会あり。
久し振りで元町を歩く。
夜、『労仂組合』の原稿を書く。
学長も全くけちな人間である。全体として新経大がスコラ哲学であることがよく分る。
今、僕わ試煉をうけている。しっかりしなければならない。過去わ致し方ない。これからである。
受信 大阪民科.
○三月二日 (木) 晴 暖
午前、学校。
午後、研究室。かえりに自治委員室えよる。明日の打合せ等。
『労仂組合』の原稿発送。
夜、雑誌をよむ。
○三月三日 (金) 晴 暖
午前十時、学校。予科の及落判定会議。全部卒業。
午後、研究室。永井氏來る。芳村來る。学生と学長と交渉中。
発信 大阪民科.
受信 三元社.
○三月四日 (土) 晴 暖
午前、学校。
午後、研究室。武市氏、今井氏來る。これが最後の手であろう。芳村氏來る。
風呂え行く。
夜、庫本氏來る。
斗爭も最後の段階え來た。
急に暖く、春らしくなって來た。
夜、読書。
○三月五日 (日) 晴 暖
午前、雑用。
午後、阪急会館で「霧の波止場」をみる。元町え出て買物をする。家えかえったら醇郎が來ている。
非常に暖く、人出多し。
○三月六日 (月) 晴後雨 暖
午前、学校。
午後、研究室。生徒來る。東京の報告。武市、今井、古林氏來る。
今度わ延世が風邪気味。
受信 新島繁、社会教育連合会.
○三月七日 (火) 雨 暖
昨夜からの豪雨。近くの川があふれそうになる。ひる頃から減水。
午後、ひるね。
五時、六甲の山口氏え。八時半終了。
○三月八日 (水) 晴 冷
午前、学校。
午後、研究室。莵原氏來る。武市、今井氏來る。「質問」えの回答をわたす。
夜、読書。
「理論編集部」から坑議文を送った旨の通知あり。
坂本というのわ全く悪質の人間である。
受信 労仂組合社、理論編集部.
○三月九日 (木) 曇 寒
午前、学校。
午後、研究室。時々学生が報告に來る。今日の評議員会でも未決。議論わ白のみであった由。このまヽ頬被りの作戦と見えたり。
受信 村上達三.
○三月十日 (金) 晴 寒
午前、学校。
午後、研究室。松原等來る。今後の相談。
夜、雑用。読書等。
『哲学と人間』十冊着。
発信 理論編集部、新島繁、雑喉潤、村上達三、赤松啓介.
○三月十一日 (土) 晴 寒
午前、休養。佐藤精也から葉書。六日に大野さんに辭職勧告があった由。
『これからの哲学』十冊着。
午後、大阪え行く。民科えよる。諸事連絡。阪大え行く。伏見さん留守。
夜、秋吉等來る。
咳が出る。
発信 佐藤精也、銀杏書房.
受信 佐藤精也、林和幸、日本評論社、東大学生新聞.
○三月十二日 (日) 晴 寒
おそく起床。陽子、祐二郎をつれて吹田え行く。一時、醇郎の家えつく。後から醇郎かえってくる。夕食後去る。七時半家え着く。
夜、雑用。
寒波襲来。風も寒い。
○三月十三日 (月) 曇後雪 寒
午前、学校。
午後、研究室。雪が降る。來訪者多し。
かえりに古林さんの所えよる。留守。
夜、雑誌などよむ。
学校でわ入学試験。
発信 毎日新聞社.
受信 毎日新聞社.
○三月十四日 (火) 晴 寒
午前、学校。
午後、研究室。武市、今井、古林氏來る。
六時、山口氏え。八時終了。
『国際新聞』の原稿を書く。四枚也。直ちに発送。
夜、雑誌をよむ。
○三月十五日 (水) 晴 寒
午前九時半、山口氏宅え。伏見さん等來ないので学校え行く。十時から今井氏とともに学長に会う。
午後、研究室。安部等來る。
夜、雑誌をよむ。
○三月十六日 (木) 晴 寒
午前、学校。
午後、研究室。九時、生徒來る。十一対九で否定の由。山口氏の所えよる。中々かえらないので去る。
○三月十七日 (金) 晴 暖
朝、学長、今井氏來る。
午後、学校。古林さんに会う。一緒に木村和三郎氏の所え行く。
十時、家えつく。井上氏、阿部氏、学生大勢來ている。阿部氏泊る。
○三月十八日 (土) 雨 寒
午前、雑用。
午後、散髪。入浴。休養。
夜、門石がくる。
朝、神港の記者來る。歪曲した記事が出ている由。
発信 出隆、新島繁、醇郎、理論編集部.
受信 常井直正.
○三月十九日 (日) 曇後晴 暖
午前、雑用。
午後、ひるね。六甲の文砦書房まで行く。
住吉の自治委員來る。
紘一郎、発熱。
夜、雑誌をよむ。
発信 神港新聞社、理論編集部、醇郎、常井直正.
○三月二十日 (月) 曇小雨 寒
午前十時、山口氏え。伏見氏等学校え行く。ここで畫食。
午後、第一銀行まで行く。山口氏宅えかえる。成田氏等から報告をきく。
夜、中西氏等來る。
紘一郎、発熱。医者來る。
○三月二十一日 (火) 晴 寒
午前、雑用。住吉の自治委員來る。
午後三時、山口氏宅え行く。阿部氏來る。伏見、西川、山口氏等学長に面会して歸って來る。中西氏來る。七時解散。
紘一郎、昨日よりよろし。
問題わいよいよ大きくなる。今度わ学長が被告となる。
今日予科卒業式。
夜、雑誌をよむ。
○三月二十二日 (水) 曇 寒
午前、学校。
午後、研究室。颱風一過、六甲台わ静かである。
夜、雑誌をよむ。
発信 新島繁.
受信 新島繁、社会教育連合会.
○三月二十三日 (木) 曇 寒
午前、学校。
午後、研究室。芳村等來る。
五時、石原氏の所え。小瀬木氏等來る。八時終了。
学部卒業式。
○三月二十四日 (金) 快晴 暖
午前、学校。事務局長に会う。辞表を出す。
午後、研究室。松本良彦氏來る。
五時、山口氏え。阿部氏來る。文科教授会の報告をきく。反学長の態度を明確にする。住吉もスト。状勢急激に変る。
受信 安部一成、母.
○三月二十五日 (土) 曇後雨 暖
午前、家にいる。
午後、学校。事務局長に会う。古林さんの自宅え行く。長らく話をする。六甲えかえる。文砦えよる。
夜、雑誌をよむ。
神戸大学の僕に対する態度わ言語道断というより外ない。現在の首脳部の退陣わ近い。
受信 醇郎、三元社.
○三月二十六日 (日) 曇 暖
午前、神港の記者來る。岡田実氏來る。
午後、ひるね。医者來る。風呂え行く。
紘一郎、まだ熱が出る。ヘントウセンの由。
夜、読書。
発信 醇郎、安部一成、三元社.
○三月二十七日 (月) 晴 暖
午前十時、学校。古林氏等と共に事務局長に会う。辞表をかえして貰う。
午後、研究室。四時から予科教授会。結局辞表を出さないことにする。
職員組合から見舞金一万円貰う。
研究室え姫路の生徒來る。
夜、雑誌をよむ。
発信 醇郎、新島繁、阿部肇.
受信 醇郎、新島繁、阿部肇.
○三月二十八日 (火) 曇 暖
朝、古林氏、今井氏、事務局長來る。辞表の件。
十二時、学校。
午後、研究室。小川氏、前田氏來る。
六時、石原氏宅え。阿部、中西等。
夜、読書。
この二、三日で面白いことが起りそうである。
○三月二十九日 (水) 晴 暖
朝、姫路の自治委員來る。
午前、学校。
午後、研究室。古林氏來る。今井氏に会う。辞表わ出さないことにする。『思想』を住吉から取りにくる。創刊号から二六七号(終戦前)まで。
辞表を出さないことにして、これで一応一段落。さっぱりした気分になる。この問題についてわ、最後にわ勝つという自信を持っている。
夜、読書。
○三月三十日 (木) 暴風雨 冷
午前、学校。
午後、研究室。五時、評議員会終了。文科の申入れわ次に持越し。研究室で横川等と相談。
夜、読書。
発信 新島繁.
受信 林省吾.
○三月三十一日 (金) 曇後雨 暖
午前、雑用。
午後、大阪え行く。阪急で買物。山内に会う。民科えよる。阪大え行く。醇郎不在。伏見さんに会う。
夕食後井上さんの所え行く。家えかえった所え住吉の生徒二人來る。
今日で予科教授わ終り。
紘一郎、今度わ左の首がはれる。発熱九度。
留守中に庶務課長來る。
柳の芽が出て美しい。
たしかに相当疲れている。
発信 醇郎.