六月一日 天氣 晴 寒暖 暖 來信 十合晉次 小澤一雄
六月二日 天氣 晴 寒暖 暖 來信 中澁谷日本基督教會
六月三日 天氣 晴夕立 寒暖 冷
六月四日 天氣 晴曇半す 寒暖 冷
○父が校長會で上京し、午後九時半頃明道館へ寄つた。
○午後一時―五時迄。校長の社會思想研究に対する
訓示と駒場移轉問項報告生徒大會とかあった。
六月五日 天氣晴曇半す 寒暖 暖
○小野方で六七時間も父を待つ。百枝の神軽衰弱、和郎の近
視を聞く。
六月六日 天氣 曇 寒暖 冷
○午後父の所へ行く。姉も来てゐた。父と伊藤三平氏方及秋元方へ行く。
六月七日 天氣 快晴 寒暖 暖
○岩元禎先生のSchefferのHugideo,Juniperusの方が終つた。
六月八日 天氣 快晴 寒暖 暖 來信 姉
○「父歸る。」午後十時。父の使で大塚なる伊藤三平氏方へ行く。
○ベルグソン氏に関する書籍。
譯 ベルグソン創造的進化 早稲田大學出版部
廣瀬哲士譯 笑の哲學 東京堂
北昤吉譯述 新學説大系⑶ベルグソン時間と自由意志 新潮社
六月九日 天氣 晴 寒暖 暑 發信 姉、寶文館、大村書店、イデア書院、太陽堂、東京堂書店
○夕飯後、寺嶋和夫君、北澤正君、佐藤國男君、名取五郎君と五人で
銀ブラ。寺嶋君は東京駅で逃亡したから、四人の分け。銀座で
古山京治郎氏並に太田某氏に逢ふ。
○明日は朝鮮の何とかで三人國葬で学校休。
○晩火事二つあり。「火事は本郷五丁目」「火事は錦町三丁目」
六月十日 天氣 快晴 寒暖 暑
○ヴント氏に関する日本語の書籍。
須藤新吉著 ヴントの心理學 内田老鶴圃発行
速見滉補譯 ヴント氏心理學要領 不老閣発行
桑田芳藏著 ヴントの民族心理學 改造社発行
六月十一日 天氣 曇 寒暖 暖 來信 大村書店、姉
○西田幾多郎氏著作目録
自覺に於ける直観と反省 岩波書店刊行
意識の問題 〃
藝術と道徳 〃
善の研究 〃
思索と體驗 増訂版 〃
理想主義の哲學 弘道館発行
六月十二日 天氣 曇夕立 寒暖 冷 來信 太陽堂
○紀平正美氏著作目録
認識論改訂版 岩波書店刊行
哲學概論 改訂版 〃
行の哲學 〃
無門の關解釋 〃
論理學綱要 弘道館発行
新最 |
自我論 大同館発行
人格の力 〃
訂改 |
六月十三日 天氣 雨 寒暖 冷 來信 東京堂
○此から入梅なのださうだ。久しく雨がなかつた。センチメンタルな話だが
雨が降ると変な気になる。
○近頃の僕は子供の様な心で喜んだり或は悲しんだり出来なくなつた。
むしろ、心から喜べなくなつたと云ふ方が良い。心が喜ばしい時には何か
喜はしい事が起つてゐる様な、起りさうな気がして、純な心で喜ぶ
事が出来なくなつた。
六月十四日 天氣 雨 寒暖 寒 來信 父 發信 小澤一雄
○作文。題「天」。島田鈞一氏が見る。作文日は六月三日であつたが
のびたのだ。
六月十五日 天氣 晴 寒暖 暖 來信 母 發信 姉
六月十六日 天氣 晴 寒暖 暖 發信 河西健兒
○七時頃朝飯も食はずに今井博人と大森へ向ふ。今井は昨夜
明道館へとまつたのだ。大森へ来て見ればもう、今井が
十二番僕が十三番(二組で)であつた。実弾射撃なのだ。
九時四十分頃(八時に初まる)撃つ。今井は二十八点(四十点中)、
僕は五・六・五・七で二十三点。歸りに、千駄ヶ谷の今井の兄の
今井登志喜氏方へ寄る。午後五時明道館へ歸る。
六月十七日 天氣 晴 寒暖 暖 來信 姉 發信 父
六月十八日 天氣 晴 寒暖 暖 發信 姉、書留(同)
試業日割発表。一日―七日。三十日休。
六月十九日 天氣 曇 寒暖 暖
○東京帝國大學工學部大教室に於ける。丁酉倫理會公開講演會を
聴講。 午後一時―五時。
我國思想界の現状を顧みて 經濟學博士 永井 享氏
對治邪執 文學博士 紀平正美氏
○今日から梅雨なのださうだ。
六月二十日 天氣 晴 寒暖 暖 來信 イデア書院
○嗚呼我眞理ノ世界ニ分ケ入ラントスルニ一人ノ共ニ進ムノ友ナシ
只孤軍奮闘アルノミ
六月二十一日 天氣 曇 寒暖 冷
六月二十二日 天氣 曇 寒暖 暖 來信 河西健兒
○東京帝囗大学附属病院塩田外科第一七号室に山野金三郎
氏を見舞ふ。盲腸炎の手術をして五週間程入院してゐるのだ。
六月二十三日 天氣 曇 寒暖 暖
一.春日影うらくとのどけき日和
菜の花の色榮えて咲きたるあたり
あれよ胡蝶 ひらひら おれよ胡蝶飛ぶよ
ひらく ひらく 飛ぶよ
二.花がたみ手に持ちてつれ立つ童
香に香ふ つぼすみれ つみおる所
あれよ胡蝶 ひらく あれよ胡蝶飛ぶよ
ひらく ひらく 飛ぶよ
六月二十四日 天氣 曇後晴 寒暖 暖 發信 新潮社 春陽堂
○明日休になるかならぬかに就いて流言斐語が盛であつたが、結局休に
ならなかつた。
○今学期は決して無為でなかつた。否、大いに有為であつた。何故であ
るか、讀書をしたからだ。大分頭の進んだ事を覚える。讀書は決して
つらくはなかつた。面白かつた。面白くなければ決して本なんかよめるも
のではない。興味なき所には力がない。力なくしては仕事を為す
事は出来ない。
六月二十五日 天氣 快晴 寒暖 暖
○歸りに矢嶋羊吉君の下宿(森川町一鴻城館)に寄る。
阿部能成著「山中雑記」とリッカート著山内得立譯「認識の対象」と
を貸りて来る。
○俄然腹下る。
○僕は昨年の夏頃から讀書し始めたのであるが、当時は尚讀書する
と云ふ一種の誇の様なものにも引かれて讀んでゐたが、近頃漸く活字
的思索へ少し入りえて、純眞の心からの要求として讀書慾が起つ
て来た。
六月二十六日 天氣 晴後曇後雨 寒暖 暖 來信 姉(書留) 發信 姉、 聚芳閣
六月二十七日 天氣 晴後曇 寒暖 暑 來信 弟(醇)
○夕飯後太田和彦君と本郷元町通を民情視察に行く。道
端の傑作。「コヽヘゴミシ(、)テルベカラジ(、))」
○ノンキニカマヘテイタラ、イワモトサンノイソガシイ事。
六月二十八日 天氣 曇後雨 寒暖 暖
○午前中岩本さんをしらべる。午後と夜とは、今井と岩本
さんの輪講をする。四〇頁迄。約十時間労働。
○試験の時割発表
2
- 兵
中村
|
1
-
⒓
- 菅 経 ―
⒒
- 國 漢 独
⒑
- ―
9
- 自 心 西 英
ペツ
|
8
文法
|
木 金 土 月 火 水
六月二十九日 天氣 曇後小雨 寒暖 暑 來信 近代社
○午前岩本さん(ユニペルース)の終の方約七頁調べる。午後今井が
来て、昨日の残りの輪講をする。終へる。へばる。
六月三十日 天氣 細雨 寒暖 冷
午前午後菅、夜国語ト東洋史。頭脳―疲勞大。