○七月一日(火)  梅雨 暑

午後。六甲。阿部さん、長倉氏と一緒に海道氏、古林氏に会う。民科の件。

村山知義の「死んだ海」をよむ。

英国議会における朝鮮問題。どう発展するかが問題である。

 

○七月二日(水)  雨 暑

大雨。

午後、御影。長倉、井上、陸井氏等に会う。

帆足、宮腰氏昨日歸国。

自由党、幹事長問題で内紛。

夜、飜訳。

 

○七月三日(木)  梅雨 暑

休養、

午後、風呂。

破防法、参院通過。右社の裏切りが原因。自由党の分裂。

アメ帝最後のあがき。製鋼スト一ヶ月。終戦も遠くない。日本の終戦前のような状態である。

夜、飜訳。

発信 野島義一

 

○七月四日(金)  曇小雨 冷

午後、御影。テニス。六甲の南天莊へより、『毛沢東選集』(三)を買う。

破防法成立。

毛沢東の『矛盾論』をよむ。

 

○七月五日(土)  晴 冷

午後、山手寮。平和活動家会議。御影へよる。

夜、飜訳。

アジア平和会議。

 

○七月六日(日)  晴 暑

休養。

午後、散髪。

日ソの岡部氏來る。

『潮』をよむ。

夜、飜訳。

 

○七月七日(月)  晴 暑

午後、大阪。民科。六・二五の調査団。哲学部会の打合せ。

夜、古林さん來る。開襟シャツ。

飜訳。第二章、終り。

売国奴、田中保太郎、坂本彌三郎。

 

○七月八日(火)  小雨 暑

午後、六甲。海道氏に会う。六甲から新開地へ行く。松竹座で「ドイツ零年」をみる。

夜、飜訳。

日本の自由党、アメリカの共和党、何れもお家騒動。ド・ゴール派は分裂。

 

○七月九日(水)  晴 暑

午後、御影。御影から大阪へ。阪神の定期を買う。民科。哲学部会打合せ。岡倉氏の国際狀勢の話。

『平和』をよむ。

 

○七月十日(木)  雨 暑

午後、御影。太田氏來る。

夜、『世界』をよむ。狀勢分析も問題のとらえ方が平面的である。

受信 野島義一、

 

○七月十一日(金)  雨 暑

昨夜、豪雨。各地で出水。

午後、元町。日生へより、芳村氏に会う。御影へ行く。民科幹事会。五時すぎ終了。

夜、飜訳。

朝鮮の休戦は成立しそうである。国連軍は戦闘力はない。内部崩壊。英印の圧力。米国内の製鋼スト、第六週。イギリスの労働攻勢。デンマルク、インドネシアもアメ帝の云うことを聞かぬ。国内では自由党の崩壊。迫り來る大破綻。

受信 大江精志郎、

 

○七月十二日(土)  晴 暑

午後、古林さんの所へシャツを持って行く。御影分校へよる。

夜、飜訳。

子供二人をつれて風呂へ行く。

ヨーロッパは全体として方向轉換をし始めている。はりこの虎。朝鮮の戦争は遠からず終る。

発信 大江精志郎

 

○七月十三日(日)  梅雨 暑

午後、潮江氏の所へ行く。民科哲学部会のコンパ。九時半辞す。

『キネマ旬報』からうちわがくる。

 

○七月十四日(月)  梅雨 暑

午後、御影。六甲へ。海道氏に会う。

夜、飜訳。

ヨーロッパは大きく方向轉換し始めた。

アメ帝もそろそろ降参してもいい頃である。この頃余り飛行機が飛ばない。

 

○七月十五日(火)  曇 暑

午後、小川君の家へ行く。日文協の打合せ。六時去る。

三十週(ママ)年記念。

熱帯性低気圧のためむしあつい。

国連軍は戦争を拡大しようとして必死である。それだけ追いつめられていることを意味する。

 

○七月十六日(水)  晴 暑

午後、大阪。哲学部会。夜、同じく哲学部会。『矛盾論』の第一回。

 

○七月十七日(木)  晴 暑

午後、御影。テニス。

夜、久し振りでヘーゲルをよむ。

十八日午前一時すぎ、地震。時計がとまる。

御影へ行く前、古林さんの所へシャツを持って行く。

朝鮮の戦争も終りそうである。

 

○七月十八日(金)  晴後雷雨 暑

午後、御影。ヘーゲル研究会第一回。十六節から。約十人。後、天治へよる。

延世と子供、「ビィヴァ」等を見に行く。

イギリスのジョンソン博士、日本の帆足、宮腰、高良氏。反ソ反共のインチキが完全に曝露される。はじからボロが出て収拾がつかない。細菌戦、水豊・平壌爆撃等のあがきもマイナスのみ。

夜、飜訳。

 

○七月十九日(土)  雨後晴 暑

休養。午後、風呂へ行く。疲れあり。

ウォール街急落。

アメ帝は土俵際に追いつめられている。もう一押しで土俵を割る。朝鮮が鍵。

子供達は今日で学校が終り。

夜、飜訳。

 

○七月二十日(日)  晴 暑

午後、神戸へ。帽子、運動靴等を買う。阪急文化で「巴里の空の下をセーヌは流れる」をみる。土用餅を買って歸る。

夜、雜誌をよむ。

 

○七月二十一日(月)  晴 暑

午後、御影。樺さんに会う。テニス。

夜、飜訳。

アメリカが戦争拡大に必死になっていることは事実である。しかし、拡大出來るかどうかが問題である。

 

○七月二十二日(火)  晴 暑

午後、出屋敷。山本君、学生等と集合。尼鋼へ行く。組合と話し合う。後、大阪へ出る。民科へよって、印鑑を置く。

夜、飜訳。第三章、終り。

破防法、二十一日施行。

 

○七月二十三日(水)  晴 暑

午後、六甲。古林さんに会う。昨日北海道からかえった所。海道氏に会う。

アメリカ最大の砲彈工場閉鎖。

夜、飜訳。

アメ帝の最後も遠くない。急ピッチで崩壊している。共和党と民主党の泥試合でアメリカのぼろが出てくる。もう一押しで世界中あちこちで狀勢が変る。

 

○七月二十四日(木)  晴 暑

午後、古林さんの所へシャツをとどける。御影分校へよる。テニス。

軍需生産停止寸前。

夜、飜訳を少し。ヘーゲルをしらべる。

発信 醇郎

 

○七月二十五日(金)  晴 暑

午後、御影。ヘーゲル研究会。藤本氏、山本氏等。

製鋼スト解決。

夜、飜訳。五〇頁に達す。

井上さんから二万円。

 

○七月二十六日(土)  晴 暑

休養。午後、風呂。

夜、飜訳。二頁半(二〇〇字で一一枚)。今までで一番多い。

朝鮮の休戦会談、再び公開。

 

○七月二十七日(日)  曇 暑

午後、みかげ。青木氏、小川氏等とテニス。

夜、飜訳。第四章終り。

留守番さへあれば、早くスワへ行ってもいいのだが。

イラン、エジプトの問題。

 

○七月二十八日(月)  曇 暑

午後三時、出屋敷。山本、藤本氏、学生二人と尼鋼へ行く。資料を貰う。かえりに民科へよる。

夜、久し振りで雨。飜訳。

イラン、エジプトの問題。連鎖反応を起すかどうか。

 

○七月二十九日(火)  雨 暑

午後、古林さんの所へシャツを持って行く。これで終り。古林さん在宅。六甲へ行く。海道氏に会う。

夜、飜訳。

朝鮮の休戦、実現しそうである。

 

○七月三十日(水)  雨 冷

午後、民科。大阪。哲学部会。『矛盾論』の続き。二十数名。

夜、雜用。

世界は物凄い勢で動いている。

受信 醇郎、

 

○七月三十一日(木)  晴 暑

午後、みかげ。二宮氏來る。

夜、ヘーゲルをしらべる。