四月一日 火曜
雪降り今日の婚礼に気をもむ
午後二時頃より止み道ハ悪るけれども降らなければ
有りがたし 私の家にて多くの人支度をなす
日くれ頃来る振袖中々よし 私ハ十時頃に先に
帰り休む十二時過き迄座敷はかヽりし様なり
米一升と五百円持参す
ヒ3 6
欄外メモ 朝六時三六、二度 午後三時三六、五 午後六時三六、五 卵620匁
四月二日 水曜
今日ハ晴天なり新やの法要に行く
米一升に二百円持参す
夕方早く帰りて卵を出しに行く帰りに栄子
氏の都合を聞かんと寄りしに明日朝七時に
出ると云ふので仕方なし
来信 綾子 ヒ4 6
欄外メモ 朝六時三六五
四月三日 木曜
天気よし 朝七時でハ何とも仕方なしと思ひ居りし
に時間を後らせしとてバス発車前に寄つて
くれる作重氏東京迄送るよし
新やへ形つけに行く嫁さん三ッ目に支度して行く
昼後帰り床をのべて休む残り物貰ひしもの
を亀雄氏方へ持参す
来信 醇郎 ヒ1 2
欄外メモ 朝三六二
四月四日 金曜
晴天てハ無くも温度上り春らしくなる
朝より醇郎和郎に手紙を書き十二時頃急ぎ村の
ホストへ出しに行く和郎のを取戻し明日出す事にする
セキも多く気分悪しき故床をのべて休む
休むとセキも大に少くなる
発信 醇郎 ヒ2 4
欄外メモ 朝三六二 午後四時三七、四 午後八時三七、二
四月五日 土曜
天気よく暖かにて昨日よりやつと春らしくなる
いろく用事も兼ねて竹内さんへ行く
時計直しを持参す その氏のむこにトブを
上けるべく持参す
いろくの買物をなし帰れば二時なり昼を食し
床をのべて休む竹内さんよくく診察しマン性気管支炎
でそこから熱も出るとの事薬の加減をしてくれる気管
にあちこちカノメル有りよく判るといふ
発信 和郎 揚往婦人會へ二十円出す ヒ4 6
欄外メモ 朝三五、九 午後四時三七、四 午後八時三七、三
四月六日 日曜
庭は凍り居りしも天気よく暖かになる様なり
朝飼の用意をなし居りしに鶯の声聞こゆ庭にとひ出し見しに
梅か□を始め皆冬枯れのまゝにてけやきの大木に二羽有り春の心地す
大根を掘り出し洗ひ等す漸く春らしくなりのびく
して雑事をなす午後床をのべて休む
今朝氏苗間外田起しをやつてくれる
今日ハ発熱無いらしく心地よし
恩給の新聞を森元氏持参しくれ読む中々デコボコ直し困難の様なり
ヒ2 5
欄外メモ 朝三六、二 咳少し餘分に出る 午前十一時三六、二度 午後四時三六、八度
四月七日 月曜
天気よく暖かなり今日も鶯の声を聞く
掃除其他雑事をなす午後新やへ福沢の母来り嫁を
つれて来る おしやうばんに呼入れられ夕飯迄御馳走になる
振袖の御礼として五百円とお茶二本持参金ハ返すつもり
夕方ダリアの事で千房氏方へ行く此家でハ大方腐らせた
よし新やの芋の穴より出して見しに生き居り今一度土に埋め
芽ぐみてから分植する事にする それよりサカン氏方へ行き
苗間作り本アゼヌリ。田の高低をなほす事等を引き受け
くれて安心せり
大変後れた通信の下書をなす ヒ2 4
欄外メモ 朝三六、二 十一時三六二
四月八日 火曜
朝ハぼろく位なりしも午後雨となる苗代の低の事ワラ灰
の事等新やへ聞く福沢よりの礼を返そうと云ふ新やでハ
取つて置けと云ふ醇郎にはかきを書き正午過ぎ
に出しに行き埴原田農協の娘に苗代の紙を頼む
餘金の帖を頼む 帰りて昼飯をすまし床を
伸べて休む
夕方同好通信に手をつける
発信 醇郎 ヒ4 5
欄外メモ 朝六時三六、二 正午三六、六 午後四時三六、七
四月九日 水曜
朝より大雨なり今日ハ揚往婦人會が寺に有る
が行くのに困難ならん
朝より組の通信を書く午前にて大方終る
午後春日氏に手紙を書き封じて出せる様にする
此仕事も仕上つてほつとしたり
それより床を伸べて休む 食欲もかなり出て大に
よくなる
ヒ2 5
欄外メモ 薬終る 朝三六、四 午後四時三六、九
四月十日 木曜
天気夕方くもり風出る
竹内さんへ行かうと着物をコタツにかけし処へ高部のとし
さん来訪行く事見合せるすし一重、ソーリ一足持参す
お茶虫菓子チクワ漬物、昼トブ甘酒煮肴チクワネキ卵ノ
汁次のオ茶アワオコシアメ干柿等々(餅干柿アワオコシ
アメ等を上げる) 夕方糀やへ行くと云つて帰らる
ヒ2 3
欄外メモ 朝三六 午後四時三六九
四月十一日 金曜
天気よくうすぐもり
竹内さんへ行くよく診察し貰ひ薬を貰ひ来る
じゆんかん通信を出す 扶助料を頂く
事務所へ卵出しに行き地下足袋を買ひ来る口座より出し貰ふ
事にす 地下足袋二百八十円との事
卵五百匁出す
欄外メモ 1267入円
四月十二日 土曜
天気よくうすぐもり 倉の前の雪漸くとける
穴の野菜を掘りムロのものも全部出し乾かしたり
洗つたりする それくに処分する
玉ねきの芽の出しのを植える種が取れるよし
雪も大方とけ倉の前横等の落葉をかく
雞の巣につけしわらを取り形づける
風呂仕様とせしに水汚れ居り中止す
種モミ一升八合勝三氏に取り替へ貰ふ玄米一升五合上げる
7
四月十三日 日曜
くもり 朝新聞を見て居りし処へ役場の人クルミノ木
四本持参しくれる代八十四円也渡す 位置を考へて四本植
えるその後庭の畑のハコベ取りをなす午後三時頃
迄休み上の畑へエンドウ 菜 大根を蒔く処を
作る風呂をわかし入る 咳も多からず熱も出ず
気持よし二ヶ月ふりの入浴非常のあかなりし
ヒ2 4
四月十四日 月曜
朝小雨一日中しめやかの春雨なりし
朝新やへ行き宅地の廣さについて役場よりの通知
を話し書付けを置いて来る嫁さん福沢へ行きしとて留守
草餅の御馳走になる苗間其他松雄氏を頼みしに
快く承認しくれる 午後三時頃より政一郎氏方へ行
く山羊乳のビンを返し婦人公論十一月号を渡す切り
いか百匁持参す㐂一氏と栄二氏と御礼に来て居り後にて
御馳走になる餅を貰ひ帰る
ヒ2 4
四月十五日 火曜
朝より雨夕方止む
綿入れのくけかけをくけ終る
夕方㐂七氏方へ頼みに行く中々来られないと云ふ
牛房人参持参す
午後ハ床を取りて休む 咳中々止まず困りもの
なり
ヒ4 6
四月十六日 水曜
夜中も雨降りの音聞こ江あんじられしが朝起きて見しに
晴れ居る風ハ寒し水稲共済金捺印に出願せよ
の通知有りし故十時頃より出かけ役場にて用を
足し帰りに一さん方へ寄りしも全戸留守なりし
家へ帰りて十二時なりし食事を作り昼食を終り
少し休み三時頃より洗濯を沢山になす後にて
牛房を土に埋める 咳が出て困る
4
四月十七日 木曜
天気よく暖かなり 畑の堀返しの不足分を少しやり
ゑんとう 時無大根冬菜を蒔く
後いろく雑用をなし昼飯をすまし之れから
支度して念佛に行かんとせし処へオニハの糀や
からわら取りに来る共に田に行きぬれたので
やめて乾いたよいの許り千二百束渡すそれより
急き念佛に行く終りてお茶を飲み居りたり
ゆつくり話して帰る カマスをつぎ豆等煮て明日の用意をなす
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四月十八日 金曜
雨正午頃より止む
長田睦治氏来訪 せとものの注文をなす
正午頃迄話しいろく御馳走して帰る
午後㐂七氏来る薪を積み事務所へヌカ
を取りに行き田のタイ肥を積む
4
四月十九日 土曜
天気よし 㐂七氏婆さん畑の草取りに来
る サカン氏苗間のアゼヌリに来てくれる
アゼヌリシロ正午迄にすまして帰る
ヌカを黒くやく 夕方迄に全部終る
矢ヶ崎へ行きパン 油 生サバを買つて
来る
勝四郎氏ヒノキ五十本持参しくれる草履を
貰ふ子供に菓子飴を上げる
6
四月二十日 日曜
くもり 夕方から小雨夕飯頃より本降りと
なる庭の畑の芋蒔きをなす深く掘り
タイ肥 下肥 過石等を入れる昼食後に少し
残るいろく雑用もすまし昨日の焼ぬかもカマス
につめたりして形つける夕方草取りを少し
やつて居る処へ睦治氏茶わんを持つて来
る飯茶わん14円25ヶ 仙茶上14円10ヶ 仙茶中11円20個700円
ごま雞をタラヒにふせる 上便所を昨秋以来始めてくむ
5
四月二十一日 月曜
昨日の疲れにや気分悪しかりしが午前矢ヶ崎へ買
物に行く オニバ フスマ無く仕方なし午後事
務所へ注射に行く卵も五百匁出す苗間の
紙を持ち来る 夕方スモリボ先に立寄合が
有りしが行かず 苗間のシロをせし後を
水を拂ふ
3
欄外メモ 卵五百匁
四月二十二日 火曜
天気よし 午後よりサカン氏来り上ゲ床を午後
七時頃迄かヽりて仕上げる
種モミへ湯をわかし入れる
二十四日の出拂植林大変の労動の由故人
を頼む源三氏孫を頼む
ヒ3 5
四月二十三日 水曜
くもり寒し
植木や来り 上のカキネへヒノキを植えサクを
作りしくれる 五十本のヒノキを全部植える
午後よりサカン氏松雄氏手伝ひ苗代ヌキを
終る 紙をかけ安心なり
モロコシの種ハ後の申込故此日にハ来らざるよし
注射のアトを見せに行く
昨年も種マキ二十三日なりし今年ハ紙かけ故早く
のびる事と思ふ
ヒ2 3
欄外メモ 飼料用玉葱□ 種子配付 農協本部
四月二十四日 木曜
くもり 植林の出拂なりしも仕事が大変の様な
りし故若い人を頼み出す
午前中御社宮寺の表の追肥土入れをなす
餘り草無く早く仕上る
午後床に入りて休み三時頃より庭の畑の草取り
をなす
山の上の畑上下追肥土入れか未だ出来ず早く仕上げ
たいと思ふに中々一人故手かまハらず二三日中にやるつもり
ヒ3 4
四月二十五日 金曜
朝より小雨畑にも行かれず 午後雞の飼料フスマ
買ひに行くつもりにて其時出す様に三人に手紙を
書く 午後ハ大降りになりし故止める床に入りて
休む夕方早くつぶし芋をつくるおいしく出来たり
発信 摂郎 醇郎 和郎 二十六日発信 ヒ2 3
四月二十六日 土曜
天気はよけれとも寒さはつよし
午前オニバに手紙三本出し豊平の農協
へフスマ買ひに行きしも無し仕方なしにタバコ
やにて五百匁買ひ来る
午後埴原田農協へモロコシの種を買ひに行き
帰りて山の上の小さい畑の草取り施肥土ヨセを
終る午前庭の草取りもよほどなす
昨日の雨で苗間の紙の上へ水タマリハキ出す
ヒ4 6
四月二十七日 日曜
晴天なり雞を飼ひ其他雑用をすまし九時半
頃より山の上の畑の草取りをなし昼後肥料をやり
土よせをなす コーセイリンピをやる
夕飯後新やへ行き税金の事や伊藤勝之氏方法事
の事を話し合ふ
あんじて居るよりも手を下して案外早く
出来てほつとしたり 之れにて麦畑の土よせ
施肥を終る
ヒ1 3
四月二十八日 月曜
晴天朝夕は寒けれども日中ハ少し暖かになる
かほちやの穴を掘り草タイヒ雞糞等を入れる
午後床に入りて二時間許休みかほちやの穴へいろく入れる
雞の巣を掃除し大きい方に砂を入れるきれいになる
庭や便所の後等に有つた麦ワラワラクヅ等を夕方
火をつけてやく庭大に美しくなる
ヒ3 5
欄外メモ 古い雞三日つヽけて三羽共産む
四月二十九日 火曜
くもり夕方より雨降る
支度して伊藤勝之氏方へ法要に行く米一升金二百円
夕方から雨降り墓参りに困る五時頃帰宅し
七時頃よりサカン氏方へ行く ニシンイワシ四尾夏ミカン
二つ伊藤さんより貰ひし湯□□豆一袋持参す
肥料の事等聞く田のムラ直し本アゼヌリ等頼み
打合せをなす 大河原の掘り返しを頼み承知
しくれ安心せり
ヒ 3
四月三十日 水曜日
天気よし 上座敷形づけ新やの婚礼以来のコダツ
を取りふとんを干して倉へ入れる 小布の整理をなし
それぐに形つけるたヽみ迄そうきんをかけて
美しくなる
苗間の水無くなりし事笹岡氏注意しくれて
行きつく迄居て止めて帰る
奥の小さい方の押入を形づける いろくのもの有り
結婚式の時の水引残沢山有り干してしまふ
ヒ3 5