十二月一日 月曜
くもり 朝二枚ハカキを書き庭のもみ柄をやき
し灰を形づけ後をきれいにし ハカキ出しに行
き帰りて昼食午後少し休みさヽけの手を
つるを取り形づけ井辺始め落葉をかき
美しくする 漬菜を洗ひしも暗くなりて
漬けられず明日とする 之れて外の仕事ハ
終りたるなり
発信 摂郎 醇郎
十二月二日 火曜
小雨降つたり止んだり気候ハとても暖かなり
菜漬の終りをなし 干菜をつるす
ねぎをたばね居りしに竹村美㐂治氏来り生菓子
を頂く税金の事で役場及塩沢迄行くとの事
帰りに寄つてと云ふ午後柿を四十許皮をむき
つるすおそ過ぎてむき悪かりしも只置きても
食べられぬし送る事も出来ぬ故 こたつに暖まつて
居ねむりす美㐂治寄らぬと云つて帰らる
倉よりコーリを少々布さかし等す
欄外メモ 農協増資一口二百円 二口割当 貯金より出す様にする
十二月三日 水曜
朝あられ降り後吹雪急に寒くなるとこへも出ない事に
してぼろこぢを致し居りしに十時頃より晴れて天気
よくなりし故急き支度して北大塩農協へ苗木取
りに行く塩沢義治氏方へ行きしに奥さん丈なり
お茶を頂き道路の事を頼み置き三時頃出でし
帰る苗木六本にて百八十円拂ふリンゴはよく
分らないからとの事に桃二本丈貰つて帰る中々
大きくてよき木なり非常に寒い処を歩き咳餘分に出る様なり
来信 昭子 画を送りよこす
十二月四日 木曜
朝の間あられ吹雪 あれ模様にて寒さつよし此朝
勝手のおせんふき少し凍り居る
綿入れの長しゆばんの袖を作りつける
午後 ムロをきれいにして人参大根等入れる穴を
掘りて大根を埋めるシヤガ芋の種を取りに行き
之れも穴にうめる 昨日持つて来た桃の木二本
植える長芋の箱及カボチヤを倉に入れる一時的
の処置なれども凍る事を考へてなり 三回こたつにて食事す
モスボロの行りの整理等す
来信 和郎 発 昭子 農家の家計簿を買ふ七十五円
十二月五日 金曜
朝くもり後晴れる寒さつよし
腰ひもを作りしゆばんにゑりをかけ三時頃より
オニハへ行き朝鮮漬の材料其他見舞品等
いろく買ふ 新聞を一メ匁渡す七十円也
帰りて勝四郎氏方へみかんかんづめ及氷餅二つ持参
す百五十円也夕飯後今朝氏方へ拂ひに行く
四十円の魚を持参す百円渡して帰る
十二月六日 土曜
天気よくあれ模様なく日中ハ暖かなり
㐂七氏御社宮寺のオロヌキに来る朝精米に
行き夕方取りに行く
午前中に綿入の綿づくりをなす 不用の衣類を
干して倉に入れる
欄外メモ ○㐂
十二月七日 日曜
天気よし風も無く過ぐしよし
㐂七氏御社宮寺のオロヌキに来る炭をやく一寸カマス
三つ有り夕方早く夕飯を出して帰る
午前半天をくけ始める 午後ハお茶夕飯と次々
に仕事あり何も出来ず
ボヤ三十四束 薪 束 炭三カマス狭に
処なるのによく有るものなり林が之れでよく
なる 㐂七氏来る日は暗い五時半頃起きる大変なり
欄外メモ ○㐂
十二月八日 月曜
天気少し雲出る
午前半天を仕上げ サカン氏 ケサヲ氏へ拂ひ
に行き農協の娘にリンゴ苗の事を頼む
午後三時頃より新やへ行き稲コキ モミスリ
の拂ひをなしお茶を頂いて帰る夕飯後政一郎
氏方へ行き 魚と子供にアメカン二つを持参し九時
過きに帰る
十二月九日 火曜
朝より雪降り午後大降りとなる
庭のほーれんそうを取り御社宮寺のカチクモロコシ
取りに行き持つて来てサヲに通す
午後足袋カハーをつき夕方迄に仕上げる
初雪なり風もなくよく降る
音もなく降る初雪をなかめて
暖きこたつに足袋カハーをつぐ
十二月十日 水曜
くもり 寒さつよし雪ハ雪丈寒し二三寸つもる
始めて雪かきをなす 一日こたつにこたつの下掛を
作る 半分位出来しのみなり
来信 摂郎 中谷さんより小包 シヤボン一箱
十二月十一日 木曜
晴天なれとも寒さつよし午後少し雪とける位
朝突然㐂七氏来る木を割つて形つけて
くれる昼飯を食へて帰る
㐂七氏に支拂をなす此日迄
妻秋二日（一日八十円つヽ）只ノ日七十円つヽ
㐂七氏秋二日（一日百六十円つヽ）只ノ日十日半
午後新やの妻手伝ひくれ朝鮮漬を仕上げる
塩辛切イカリンゴ大根人参ニンニクコシヨーシソノ実
欄外メモ ○㐂半日
十二月十二日 金曜
晴天 雪大にとけしも中々寒し
朝よりこたつの下掛を作り 午後一時半頃
迄かヽりて仕上げるおそい昼食をすまし昨日
の朝鮮漬の後形づけ等し夕方倉に入りて
布さかし等す仕事大に形つきたり
此日より水かめを止め手樽をお勝手へ入れる
十二月十三日 土曜
晴天日中暖かなりしも朝夕ハ随分寒し
朝の間前掛のひもをつけるそれから洗ひ米を作り
樽枡を洗ひよく乾かす 倉に入りてかほちや
を米ぬかに入れ長芋等よくふたをする之れハ
一時的の処置なり牛房を半分程掘り干して
ムロに入れる 雞の飼料大根を全部取りよいのを
ムロに入れたりする大に仕方形づきたり
明日ハ日曜故竹村美㐂治氏方へ行くつもり
来信 中谷あき江氏
十二月十四日 日曜
晴天日中暖かなり 十時頃迄に支度して出かけ塚原の
美㐂治氏方へ行く米一升牛房人参持参す
上諏方の建設事務所有り道路の事をやるよし
聞きし故 今の事情を話していろく聞いてくれる様
に頼む今一竹村本家の二男につい詳細に聞い
てくる二時頃道を出て茅野へ行き丸通て荷物を
送りくれるや否や聞く少しハ後れるが出すといふ
茅野薬やでペナパスタレスタミン軟膏□□□チリ紙水油等を買ふ帰りて四時疲れたり
十二月十五日 月曜
天気よく暖かなり中谷氏へはかきを書き其後
洗濯をなす 菜 ホーレンソー 大根等そろへて
洗ふ午後オニバの糀やへ行く 菓子と柿を
持参す ひての氏の民談を話す夕飯を御馳
走になり下迄おはさま送つてくれて八時半
頃帰宅す 沢山の糀を貰ひ来る
発信 中谷あき江氏
十二月十六日 火曜
午前中ハ小雨午後大雨となる
農協の吉田さんに手紙を書き金六十円封入する
関西へ カマス 出す用意に布さかしをなす
昨日一昨日と少々歩きし故疲れ午後ハ床をのべて
休む
十二月十七日 水曜
晴天温度も高く暖かなり 十時頃出宅竹内
医師へ行く 帰りて午後一時頃 それより昼食を作
り雞も飼ひ等し二時半頃より念佛講に行く
農協に寄り五千円引出しを頼む帳面の記入
も頼む
今日矢ヶ崎の肥料や集金に来る 五千百円也
不足に四千六百円渡す
明日ハ税金故与平氏より千円借りる
来信 三沢つぎ氏
十二月十八日 木曜
天気朝ハ少し寒く日中ハ暖かなり
十時頃より歯いしやへ行く 上の自分の歯のしみるの
を止めて貰ふ為めに二時頃迄かヽる帰りにおその氏
に呼ひ込まれ家庭のいざこさを沢山聞かせられる
女が出来てむこが帰らぬよし困りものなり
帰りに農協の娘の処へ行き五千円受取り直ちに
与平氏に千円返す それから夕飯を作り二回分
の食事をなす
十二月十九日 金曜
天気よく雪もどこにも無く大に仕事がやり易し
大阪へ送るカマス作りの用意をなす
牛房を土の中より掘り出志かわかすカマス
を探がし 袋を縫ひて米小豆等を入れる
明日ハ仕上げたいと思ふ
新聞二枚来る故と週刊朝日を読む朝十時頃
迄読んで居る 仕事がはかとらず
今日ハ雞の巣の掃除をなす
十二月二十日 土曜
天気割合暖かなり朝サカン氏荷物を出してくれる様云つて来
し故朝飯もそこくいろくカマスへ二つつめる味噌
も二つ大勉強にてなし十一時頃大体仕上りサカン氏方へ
頼みに行き昼食後直ちに来てくれナワをかけて持つて
行つてくれる三時半頃帰る四ツで三百七十円也
サカン氏に御礼百円上げる
カボチヤ人参牛房長芋大根ジヤカ芋モチ米三升小豆
一升五合黒豆一升弱クリ少し摂郎方へアワ一升餘分に
此出荷をどの位心配せしかほんとうにほつとしたり
朝飯を落ついて食べさりし故にや少し腹痛あり昼ハおそくヒスケツトクズ粉等にてすます
十二月二十一日 日曜
前夜はそんな気はいも無かりしに朝起きて見て雪が
しんくと降つて居るので驚く
摂郎と醇郎に手紙書き三沢さんにはかき書き
切手無き故事務所へ行きしに日曜仕方なく
帰り昼食をすまし二時半頃よりオニバに行き手紙を
出しミルク切手ハカキを買ふ長田肥料やへ行き残金
五百円を拂ひ帰途みかんを買ひ来るパンも交換して
来る
十二月二十二日 月曜
晴れ風寒し 朝パンミルクに朝飯をすます早く
終つてよし 薬入れの箱のこわれしのを張る昼食に
魚かほちやを煮る 岡谷の物売より味出しけずり
ぶし丸干を買ふ卵十五出す１８０円高いのに驚く
三時頃よりカボチヤ二つ切りかけ一つ持つて一美氏方へ
行くお茶を頂いて帰る新聞税金受取其他
整理する夕方政一郎氏より山羊乳頂く
此日少し洗濯もなしいろく形つげる
十二月二十三日 火曜
晴天おとやかの天気なり早く支度して歯い
しやに行く十一時頃終るそれより竹内医師へ
行く此頃より吹雪きも少し有り寒くなれり
竹内氏を出てしが十二時半頃駅へ行き十二時
四十分発の北山行きにのり帰る
朝もヒルもパンミルクリンゴ等 夕飯ハウドンを
作り甘酒魚等いろく食すしゆはんの袖を
ほどき又週刊朝日等読む
十二月二十四日 水曜
くもり寒し午後少し日がさして来る
倉に入り綿入物を探がし出す其他いろくの布を
さがす少し洗濯をなし雑巾がけ等して午後二時
頃に寺へ行く本堂のおつとめ寒し和尚さんハ
中々よいお話をなす 十七日にも小人数で聞くにハ
惜しき話なり
明日ハ念佛講の人丈で寺の林へ行きボヤ切り
をして上げる事にきめる私ハ下手なれとも行くつもり
十二月二十五日 木曜
晴れ暖かなり夕方より風出で寒くなる昨日ハ寺の
ボヤ切りに行くつもりなりしも昨夜咳多く出てし故亀雄
氏婆さんに伝言して止めるムロの中を整理し倉
より長芋ジヤガ芋を出し牛房も分けて入用丈ムロ
に入れ後ハ庭の穴へ埋める牛房長芋シヤガ芋
雞の大根も土をかけて置く 夕方事務所へ餅米
一斗持参明夕方迄に出来るよし貯金通帳を取つて来る
十二月二十六日 金曜
朝起き見しにうす雪有り寒さつよし
河西さん平林さんに中谷さんより石鹸来りしにはかき
を書く昼食に御飯汁天プラを作り十一時半頃始めし
も食へて終りしハ二時頃 それよりじゆはんの袖を作りつけ
る夕方利用部へモチ米持ちに行く
少し風気味ぬけぬ故にや此日最高三十七、度出る
静かにして居る故咳ハそれ程でもなし
寒き故こたつに許しかみつき居り仕事の能率上らず
発信 河西氏 平林氏
十二月二十七日 土曜
天気寒さつよし をいろくなす
午後買物なから糀やへ寄るワラ代もサイソクす
タバコや清算し 砂糖三百匁買ひて七十円
拂つて終りとなす
風の気分大によし咳も少し
塚原の竹村氏糀や行きよし 私も塚原へ行つて
様子を聞かねばならず 天気ならは明日行くと
都合よし
十二月二十八日 日曜
午前晴天午後少しあれる
午前中いろく雑用をなし早昼て出かけちの
竹村氏へ行く オニバに少し待ちバスに乗る
竹村義人方にてひて子氏の事いろく聞いたり話したり
夕飯を頂き美㐂治氏方へ一寸寄りリンゴを頂
き正枝さんに送られ六時五分発北山行に乗りオニバに
下り糀やへ寄り打合せをして帰る
十二月二十九日 月曜
天気よく割合暖かなり
明日モチツキの米を洗ふ いろくの野菜を洗ふ
ワラタヽキの土地の代一俵持つて来てくれる
田中□作氏と 正平氏
糀やよりワラ代千二百持つて来る
二人にお茶を入れトブを出しねぎらふ
小豆黒豆を煮る
陽子紘一郎祐二郞の繪類沢山着く上手になり驚く
十二月三十日 火曜
晴天日中ハとても暖かなり
午前事務所へ部割に行き午後ハ餅つぎ
すつかり形つけて矢ヶ崎へ買物に行く
夕飯後新やへ松雄さんの御礼に行きお茶を頂
いて九時半頃帰る（一袋五十円全百円）
村より二千八百二十七円貰ひ驚く
義正氏方より畑年費二十円持つて来る
来信 摂郎 三人子供
十二月三十一日 水曜
晴 天おたやかなよい日なり
餅切りをなし 家全部掃除し家のまハり
もなす
農具 カマ等といで油を塗つて倉へ入れる
かつさん 今朝雄氏 畑年費百円つヽ持つて
来る
煮物ハ黒豆と小豆が出来しのみなり
一月一日 木曜
昨日の暖かなりしに引き替へ朝起きて驚く吹雪と
厳しき寒さ 掃除 形づけ其他一年間の仕末をきちん
となせし昨日の天気有り難し
ゆつくりお茶を頂き雑煮を作り食べ どしんと来
た新聞に目を通し くりこしの金にも目を通す
年賀状も十五程来た コブ巻を作り煮る
年賀状も少し書き始める
お昼ハおしるこ夕飯ハすきやき
欄外メモ ２８年
一月二日 金曜
晴天寒さつよく 朝六帖にて何ともなかつた御飯かお
勝手へ出ししに凍る 早く朝飯をすまし年賀状書
きにかヽる正午少し前迄に弐十五通仕上げる
午後二時頃より宮原へ嫁さん招きに行くタバコやにて酒
砂糖等買ふ三時一寸過きよりいもしやへ同じ嫁招きに
行く此日非常に寒く苦し嫁呼ひも之れが最後と
思ふ 年賀状も出してしまつてほつとしたり
コブマキ柔かくよく煮江る
一月三日 土曜
晴天日中ハ大に暖かなり 明日ハ客呼故忙し
末廣人参 キントンを作り サラダを作り中へ入れる
ものも切り明日ユデル事にする
家の中の掃除をなし上座敷にこだつを作る
此朝仙台よりカキ着く明日使ふに都合よし
家の中全部掃除をなし表六帖二間丈後になる残る
仙台よりカキ小包 来信 水野克彦氏
一月四日 日曜
晴天 日中暖かなり 表の間掃除をなし倉より茶
わん皿類を出す 早く新やの叔母様来てくれて助かる
煮物など頼み置きて矢ヶ崎へ買物に行く鯉サシミ
手拭 菓子 豆腐 等々 帰りて十一時イモジヤの
嫁さんと 叔母様来て居る 急ぎ汁粉を作り
上げる食へて居る処へ宮原より二人来る 昼食後少し
時間置き色々の肴と酒を出す豆腐とカキで吸物
を作る夕飯ハトロヽ宮原の二人とイモシヤの嫁ハ夕飯食へずに帰る
来信 中村家 陽子 伊藤よし江氏
一月五日 月曜
晴天午後より雪降る 昨日の形づけ等なし十一時過ぎ
頃より新やへ招かれて行く 米一升と足袋一足持参す
昼雑煮餅 シータケウサギネギ等々 午後酒 吸物トーフウサギシータケ
サシミ 煮魚 コブマキ 頭付 三モリ等々 夕飯ハトロロ
ユツクリ頂いて帰る
来信 三沢かつへ氏
備忘録
昭和二十七年来年賀状芳名
武内義雄様 四日市市小古曽町
武内義範〃 京都市左京区浄土寺真如町三十
友繁健三郎〃 京都府加佐郡大江町字在田
林省吾〃 東京都杉並区阿佐谷二ノ六三九
笹岡美代吉〃 大阪市福島区海老江上三ノ一三二
笹岡輝夫〃 〃
岡久良子〃 東京都中野区野方町一ノ七六七
伊藤よし江〃 東京都新宿区西落合一ノ二九二
夏目志づ子〃 東京渋谷区千駄ヶ谷四ノ六四二
中谷あき江〃 東京新宿区西落合二ノ三五五
矢嶋猛〃 大阪府池田市石橋町六八寺阪八郎様方
中岡稔〃 大阪府南河内郡狭山町池尻四五七
三澤春郎様 諏訪日赤病院六病棟内
三澤かつ江〃南安曇郡三田村田島井
中村寅一〃 上伊那郡朝日村
武村美㐂治〃 ちの町仲町三
長田義男〃 ちの町上原中部電力変電所
河西てう子〃 諏訪市北沢
平林ます子〃 中諏村
中村吉治〃 仙台市北五番町一五
小松摂郎〃 神戸市東灘区本山町小路県住一号
小松醇郎〃 吹田市南町二〇四
小松和郎〃 大阪市旭区大宮西之町七ノ一三五