二月一日
天気よし寒さつよし ちりめんの羽織のすその痛みし所をなおす
二月二日
天気非常に寒し ちりめんの羽織尚少しなほし度きたき処あり 午前少しやって終わるそれからふのりの残りし丈張り物をなす 午後豆ひろひをして四升オニバの豆腐屋へ持参す オニバの農協休みなりし故タバコやにてふすま五百匁買って来る 粉ミルクアスピリンを買ふ 寒さの時にハ粉ミルクを熱い湯にて作り飲みしに暖まる 明日の節分の用意 イワシ豆腐を買う 来信醇郎
二月三日
晴れ寒さつよし 家の中へ置きしもの全部見ている間に凍る 平常着の半天の袖口を返し午後カマ二つナベ三つテツビンヤカン皆炭かき洗ふ 其後にて鶏舎の掃除鶏糞の始末をなし家の掃除ぞうきん掛けをなす 日中は暖かなりし 豆を少しいり 豆投げをなし御飯を炊き豆腐汁を作り煮豆も作り年取をなす 風呂を沸かし入る身体□も洗い出しをなす さっぱりしたり
二月四日
くもり寒さつよし ゆっくり新聞を見て十時頃風呂をこぼし今日は張り物をするつもりなりしも昨日と異なり日は一寸もささず寒さきびしく一日こたつにしがみつき居り小布の整理や此部屋の新聞其他の整理などなす 中村の人種売り来り人参夕がほホウリ花三種位買ふ 親類先の人のよし 下古田の方の篠原ふくの氏に伝言たのむ
二月五日
日中は少し暖かなれども朝夕寒し 布さがし米沢織りの着物の残りを張る 夕方背丈縫ふ 週刊朝日来たり読む
二月六日
くもり寒さつよし 米沢織りの着物をついだりはいだりしてへらづけを終わる 夕方早くやめて夕飯をすまして早くやすむ 過労は何より悪いと思う故 寒は開けて春というのに何とも陰気な寒く二月の月は全くいやな月なり 雪無き故風にも悪いらし 陽子のホケン半年分七百七十円かける七月迄なり
二月七日
曇り寒さつよし 米沢織りの着物袖丈残して身頃裏表全部縫い上げる 過労になることをおそれて夕方早く五時には止めてゆっくり夕飯を作り早く休む
咳の薬もレスタミンも余り効く様にも思へずレスタミンはよく眠れることには効ある様なり
二月八日
クモリ寒し オニバの豆腐やへいって見しに折りよく氷豆腐できおり背負って帰りオカラもたくさん貰ひ重くて大変なりし それから凍り豆腐をあみ終わり之れで大安心せり 大きくよき豆腐なり アケネギを入れておからを煮る 珍しくおいし
二月九日
寒し 米沢織りの着物袖を作りつけてすそを合わせふくみ綿を入れてたたみつける ふだすきやきをなす コンニャク氷豆腐ねぎ等いれる とても味よし
二月十日
晴れ 初めて少し春らしく暖かき日ざしあり 六畳の障子を開けて綿づくりを午前中に仕上げる 午後は卵を持って農協へ行く 少し買い物をし帰って平常着の着物へゑりをかけ等す 此日久しぶりに氷点以上になり氷豆腐もかちかちして居しものが柔らかくなりゾーキンフキンもとける 此よく暖かくなると有り難いがまだまだ二月の内は寒さつよし
二月十一日
くもり 時々日がさす昨日からすっかり暖かになり 凍ることが無くなり身体ものびのびする 昨日綿入れをした着物をくける様にしつけでおさえる 午後暖かなりし故家の内外の掃除フキ掃除をなす いろいろと雑事をなし午後三時すぎになりそれより綿丈かくしてしまふ 針メド通しにも時間がかかり又手が荒れて居て綿布も綿もからみとてもやり悪く困難なり 余り暖かなりし故肌脱ぎして洗ふ
二月十二日
小雨 温度は暖かになり凍ることなし 米沢織りの着物くけ上げ押しをする 夕方オニバへ行くつもりなりしに雨余分に降り出し止める
二月十三日
天気暖かなり 午後四時頃より雨になる 黒崎さんへ返信を書き昼食後それを出しながら豆腐の入れ物を返しプナパスタ龍角散を買ひ豊平の農協でフスマコヌカを買ひ帰りに粉やへ寄りいろいろ話しお茶の御馳走になり糀を貰ひ帰る
二月十四日
朝かなりの雪つもり居りしも除雪に出ることはなかった 朝回覧を持って新やへ行き寄って話しお茶の御馳走になる 松雄氏厄年とて与平氏と二人甲州の厄除け観音へ団体にて行き由 南信には三百四十名とあり 部屋の形つけ掃除等雑用にて終わる 針さし何十年も使ひし故止めて二つ新しく作る 摂郎の処へ送る米を箱につめて見る
二月十五日
天気よし張り物をなすつもりなりしが空模様悪しくちらちら雪あられなり思い止まる 平林さん河西さんにはかき書き十二時頃村へ出しに行く 午後は布さがしをなし後週間朝日の新平家物語を全部読み終わる なかなか面白し 子供の時母が織りくれしつむきじまの半天少し大なれとも作って着るつもり 表を繕わねばならず又るねにも有切にて綿入□作って上げようとこれも張るつもりなりしも止める 塩沢の森本氏恩給について請願書を出すとて三通記名調印す 発信平林氏河西氏
二月十六日
天気寒さ中なかつよしソーキンフキン皆凍りいる 和郎と証子に手紙を書き出してくる 午後張り物をなし少し洗い物もなし 暖かなりし故野菜を出し洗ひ等す雑煮を片づけ凍った大根等皆すてる
二月十七日
くもり寒さつよし百枝にはがきを書き出しながら早く支度をして念仏講に行く 夕飯後色々読んで早く休む
肌着を着変えシボリのおこしと手入れしてこれと替える心地よし
二月十八日
天気よし昨日脱ぎし肌着類小布など洗濯をなす 来信河西その氏
二月十九日
晴れ寒さ強しぼろさがしつぎ 正午より農業組合の話し合ひ門の前に有る そこへ出て帰って肌着類のつぎ等す 長田睦治氏北山村へ来しとて寄る風ぞ引きいせぬかと寄ってみたと其心うれし 咳非常に多し夕飯後吹田の薬アスピリン等飲んで休む 夕方より野菜サラダを作りおいしく栄養も有るよいものなり 来信森ます氏
二月二十日
晴れ寒さつよし朝飯を終わりし処へ岡谷の商人来る 七十七才といふのになかなか丈夫にて感心する 味だし飴菓子お茶二本いわし等々買い卵と米出し渡す 後三十六円渡す 一円五十銭借り白足袋二足裁ち一足中途まで縫う
二月二十一日
くもり寒さつよし 雪も少しあれる 正午頃より細雪降りつもる 昨日の縫いかけと他一足計二足仕上げる 古布を表裏に使ひし故自分用なり 夕飯後休む頃にはほどの雪つもり明日は除雪に出るやと思ふ
二月二十二日
天気よし朝起きて見しにかなり雪つもり居れとも屋敷丈かき人夫として出るほどの事なし 伊藤勝之氏妻病気東京へ手術に行き終わって帰りそこへ新家のおばさんと見舞いに行く 米一升味だし百匁持参す お茶をいただきとろろの夕飯を頂き五時頃帰る それから魚買い置きの□□を持って今朝雄氏方へゆき庭で渡して帰る 新年週間朝日を読んで早く休む 来信百枝はかき二枚
二月二十三日
非常の寒さなり今年の二回目の寒さのよし □時に零下十五度七分 百枝にやる衣類の見つもりほどき等し午後矢ヶ崎へ買い物に行く 主として新やの赤ちゃんのお祝いの物なり表丈買ってくる ほしい物は何も無く只表丈買ってくる
二月二十四日
くもりなれとも温度ハ昨日に比べておおいに暖かなり 百枝の羽織のうらを他の布さがしに何回も倉に入り等す 午後支度して念仏講にお寺へ行く 都合の悪い人も有りしが九人行く お茶を頂き夕飯も頂いて五時頃帰る 昨日降り寒かりし故にや
正午 三六、九 アスピリン一つ
午後六時三七、三 アスピリン一つ
二月二十五日
寒さ大いによくなる凍らなくなる 朝起きし時少し雨降り居り段々大降りになり一日中降り続く 朝熱無かりし故倉に入り布探し等し正午三十八・一有り驚きアスピリン一つ飲み床に入りて休む 四時汗ばみはかりしに三十六・七なりき 凍る心配なくなりこだつのまわりに置きし卵野菜等この日お勝手にやる
朝 三六、一 正午三八、一 午後三六、七
午後六時 三六、五 アス一つ
タス七割 来信醇郎
二月二十六日
床を敷いてねて居る 食事作りや雛飼ひやらちょいちょい起きる事有り大した熱でも無く只苦しいのは咳なり オヒルとろろ夕飯豚のスキヤキおいしく頂く 間へちょこちょこミルクを飲む 午後事務所へ行き小野氏に二千円引き出しを頼む
朝三六、ニ 正午三六、六 午後六時 三六、四
二月二十七日
晴天朝は凍る 熱も少し有り咳も有り床に入りて休む
朝三十六度五分 正午三六、九 午後二時三七、ニ 午後六時三七、六
二月二十八日
天気よく寒し咳多く気分悪しき故思い切って竹内さんへ行く 朝からこたつに居り動くこと苦しけれども新やの客と近づき行かねばならず十一時のバスにて行く 薬を貰ひ来たり飲んで休む 少し汗ばみたり熱も少し下がる 矢ヶ崎で新やの赤ん坊の衣の表を買い来る パンホーレンソウリンゴを買って来る 帰りには買い物有りし故歩行せしに疲れ城下で二回も休みやっと帰る
朝三六、一 午後一時三七、七竹内さんで 午後六時 三七、一