七月一日
前夜非常なる大雨 隣組の組長とのことに笹岡氏書類を持参す
昨日政一郎氏方より貰いし豆の芽出しせしものを山の上の畑に持参植え返ししてくる 田へ水見に行き昼食後又休む 午後三時頃より大雷雨になる 植えし豆よくついてよし かすりめいせんの単衣物を縫ふ様に下仕事をなす 明日はヘラ付けをして縫ふ みのやの洗張りの上手には感心せり 来信林ふさ氏
七月二日
昨夕から昨夜にかけて大雷雨 今朝はからりと晴れた好天気昨日の雨に三枚共水止せし故今朝は五時に見に行く 下の田干て居りかけてくる 午前よく休み其後かすりのヘラ付けをなす 午後又休み三時頃より少し縫い始める いつもの米仲買人より木うりいか桃などを買い木うりいかを今朝雄さんへ桃を乳を持ってくる子供に上げる 濃い痰が沢山出る二三回痰に少し色ついたかと思われる気味なりき 来信中谷さん 三沢さん 摂郎
七月三日
朝より雨夕方小止みになる 田の水止めに行く 長靴が具合よしかすりめいせんの単衣物を縫ふ ゑりつけ迄なす 朝飯後休み昼食後ゆっくり休み三時頃より仕事を始める 皮膚炎の具合悪しく幾度もいろいろの薬を塗る結局マスイの薬を塗る レスタミンも飲む十時大雨なり 雨の多い年なり米作安心
七月四日
午前中大雨昼過ぎより止み又夕方降る 雨にて病院行き出来ず午後止みし後行く オニバ一時半頃バス来りそれにてちのへ行き竹村さんへ寄り奥さんと病院へ行く 院長居り都合よし食欲の出る水薬を貰い来る 夕飯三十分前に飲みしに少し食欲出たようなりおいしく夕飯を食べる 竹村氏より買い来りしナスを油やきにて食べる 咳も少し減じたる感あり 来信醇郎
七月五日
くもり かすみのめいせん単衣を後少しくける丈にして仕上げる 午後庭の草取りをなし夕方オニバへ買物に行く
七月六日
一日中雨 朝飯後休みそれよりかすりめいせん単衣仕上げる午後三時過ぎ迄休みそれより醇郎摂郎に手紙を書く 明日は病院へ行く日故出すつもり明日は雨ならば病院行き困る晴れることを祈る
七月七日
くもり 今日も降りそうなりし故午後或は少し良くなるかと病院行きを午後にして様子を見る 午後は雨が落ち始めし故此日は止める午後午前共よく休むそうきん二つ作りほろ布の整理等なす
七月八日
雨降ったり止んだり午後一時半オニバ発のバスにてちのへ行く 竹村氏方へ寄り政枝氏同道してくれる 注射と薬を貰ひ四時五十分茅野発にて帰る 帰りしに咳多く出る茅野駅へ下がりし時には雨ドシャ降りにてすっかりぬれる病気には悪いと思ふ 帰途に割合降らず四時五十分発米沢行きにのる帰り見れば多分上諏訪の伊藤さんなどんいろいろの品置いて居る
七月九日
晴天 洗濯をいろいろなしお勝手道具 桶等がすっかりカビの生えしを全部洗ひ日光にて乾かす お勝手の掃除をなしさっぱりして心地よし 朝と午後休みしが後は働きどうしにて咳も多く出る 大河原の麦不作につき見に来るよし 札を立てに行く 七時頃家を出てすまして八時一寸過ぎ帰宅 登る時には三四回休み下りには少しも疲れずいろいろの花を取って帰る
七月十日
今日は喜七氏田の草取りに来る由なりしも四時目をさまし見れぞどしゃ降りこれでは田の畑の草取りもだめならんと思ひ御飯もたかず居りしに喜七氏来る 急ぎ御飯を炊くアゼ草刈り 蒔き田の草取りをなす 朝八時頃堀歯イシャの母なる人来訪ありイモジヤへ行く途中の由十一時上りバス迄話帰る三時のお茶を出してからオニバヘ買物に行く
七月十一日
天気よし朝セルにても寒いほどなり 朝今朝雄氏池の水の入り口を看てくれる それより急ぎ支度して矢ケ崎の局にて扶助料を頂く 上の原の原田さん丁度来合わせて少し話す それより病院へ行く 内科には二十人も待ち居る 十一時のバスに乗り遅れて仕方なし歩いて帰る 昼食後寺へ施餓鬼に行く 喜七氏来て居り何となく忙し夕方少し床に入りて休む
七月十二日
天気よし 昨日の疲れにや身体だるく午前二回床に入りて休む 岡谷の物売りハチミツを持参す 半分頼みしも一本置いて行く 二百七十円 お茶を買ふ 昼前に下諏訪のフリキヤ来り倉の雨とゆを注文する内金二百円渡す 昼食を上げる午後休み喜七氏にお茶を出し夕方庭トマトの下の草を取り等す 喜七氏昨日米二斗利用部へ持参し夕方持ってくる
七月十三日
晴天 漸く天気よりしや 夜具カバー敷布其の他小物いろいろ洗濯をなし敷布のつぎをなし等す
七月十四日
晴天 九時半頃までに病院へ行く一二人診察し居りすぐに診察しくれる何か力のつくものなしやと問しブドー糖の注射をなす こんなのより仕方なきか 帰りに竹村様へ庭までより十一時のバスにて帰る 少し休み午後は冬の衣類のえりふきをし日にあてる 冬着たる半天をほどき洗ふ
七月十五日
天気よし 朝飯後ゆっくり休みそれより三沢つぎ氏に手紙を書き醇郎にもはがきを書き昼食後又よく休み三時頃より矢ケ崎へ買物に行く ギオンにて中々にぎやかなりし さつま芋人参リンゴワカメナスパンカリントマンナ等買ひ 当分買物に出なくてもよし ブナパスタレスタミン軟膏も 毎日田の水見には大方三回は行く近くて便利なり
七月十六日
天気 午後五時頃より小雨 朝食後休みそれより門の辺の草取りをなす 表実に美しくなれり 昼食後お寺へ行く 澪子の追想を持参 イハイを供へる事のできるや否や尋ねる イハイさえ買って来れば改名も作り供へてくれるよし 三時に行き五時に帰る いろいろ話す平和の友五冊貰って帰る 誰にこれを上げたら一番有効か考え中 平和の友新家へ一部 来信和郎
七月十七日
朝より小雨 晴天続きを望めども割合天気悪く農作あんじられる 十時頃より本降りになる 午前中ゆっくり休み大雨なれば念仏講は休むつもりなりしが其の内に小降りになりし故昼食をすまし雛を飼いいろいろの用事をすまして二時前に家を出て念仏講に行く平和の友一美氏方へ一部
七月十八日
朝より雨 天気ならば中央病院へ行くつもりなりしが喜七氏来り朝飯を食べさせ雑用をして居る内に本降りとなり止める 喜七氏は田のアゼ草刈 草を田へ入れる夕方早目に終り屋敷の草取りトマトの中さくり等す 夜具の裏のつき当て白えりかけ等し夕方門の池の辺等草花を植える 来信三沢つぎ氏
七月十九日
雨まったく梅雨時季の如し 土用も近づくのに稲も小さく不作を思わせる 麦を早く刈りし人は芽が出て困り居る 雨降りゆえ何もせず午前も午後もよく休む お昼に野菜サラダを作り食べる 部屋の新聞を形づけたり来た回覧を下より上へ回したりす 醇郎私の身体につき心配し塩田先生にも相談しくれし様にてありがたし 十七日夜本降り続いて豪雨和歌山中心に甚大な被害の由死者行方不明五千五百と新聞に有り
七月二十日
飯田測候所にて引き続き大雨警報を出し中央気象台でも豪雨の特徴なりと観測夜通しどしゃ降り朝になりても中中止まず水も昨夕汲み置き助かる 午前中醇郎に手紙を書く正午頃出しに行く雨小止みなりし故白小布を出し探し等す 雨止み田の水見等に行く 非常な咳なりしが午後三時頃醇郎よりの咳薬を飲みしに咳大いに減じ心地よし 明日は病院へ行かうと用意す 夕方お湯をわかしお湯を使ひ全身のアカをこすり落とす 心地よし 発信醇郎 (欄外)強力消化剤 アペランコーワ錠 強力除草剤クロレート
七月二十一日
朝五時頃は小雨 六時頃より相当に降る 病院行きも困難故休む 摂郎延世に手紙を書く 午後雨止みし故早昼にて病院へ行く 時間少し遅れし故矢ヶ崎の局へ手紙を出しながら歩いて行く 診察終り竹村方へ寄りしが留守なりし故平和の友二部と□□うし置いて来る 三時のバスに丁度間に合ひ三時一寸過ぎ家に帰る 食欲の薬と咳薬をくれる 夕方上の畑の草取りを少しなす 夜十時半頃明日蚕を渡すにつき十時半迄に本部へ来よと組長故一戸一戸ふれて歩く 発摂郎 延世
七月二十二日
午前中小雨後本降りとなる 中の田のアゼを切りて下の田へ水を落とす様にす 下駄ハナヲを一足作り歯の下駄へすげる 醇郎にハカキを書き出しに行く 午後五時頃より農民組合の集り製板の処に有り 消毒をなす人選挙 此組でハ松雄氏当選す もすの古布にて□□作る 夕飯にてんぷら作りおいしく沢山食べる 二三日前に買ひし魚粉を鶏にやりしに卵をよく産む此日七ツ 発醇郎
七月二十三日
朝よりどしゃ降りよくも降りしものかな 私等覚えてから餘り無きことなりし
七月二十四日
天気よし 外出用着用及いろいろ洗濯する
七月二十五日
天気よし 次の税金の書込み勘定をなす 朝中島勝三氏妻に三百円貸す 病院へ行く帰りに竹村氏方へ寄りお昼の御馳走になり四時五分のバスにて帰る 田全部消毒出ずるので一戸一人づつ出席の筈なりしも出られぬ故金で取つてほしいと言ふ
七月二十六日
天気よく暑くなる 倉の雨どゆをかける人来り おそいお昼を作り上げて帰る 七百四十円払う 昼前区の税金の書込みをなし夕方札を配る 田の消毒に人を出せとのことに小野四八氏を頼み出す
七月二十七日
天気よし 喜七氏麦刈りに来る 穂も芽が出ず好都合なり 全部運び後鶏の巣から糞を沢山に出し庭の庭へやり大根葉を蒔く 外の処へこやし丈上座敷の方より汲み出しくれる 消毒に四八氏を頼み出す
七月二十八日
天気 大夕立あり 中央病院へ行き竹村氏方へ寄り休み昼も御馳走になり四時四十分のバスにて帰る
七月二十九日
晴天 大夕立 冬物其他洗濯をなし家の中の掃除形づけ等なす 昨日の夕立に痛められしトマト花の木等に木をさし起こす
七月三十日
晴天 夕立が気づかハる 昨日洗った敷布のつぎを当て冬こだつふとん座ふどん等干して倉へ入れる 此日夕立無く仕事形づく
七月三十一日
晴天 暑気強し 六時半頃より税金集めにまハる 中島勝三氏出さず 後ゆっくり勘定をなし十一時頃事務所へ持参す 午後ゆっくり休む