○二月一日 (木)    晴 暖

午後、延世と一緒に教育会館の平野義太郎氏の座談会え行く。四時半終了。後、平野氏と共に元町まで行く。

 

○二月二日 (金)    晴 暖

午後、学校。研究室。服部氏に会う。

 

○二月三日 (土)    晴 寒

午後四時、中川旅館え。風呂え入る。小川、菅原、浪江、古林、多田、阿部、二宮。打合せ。夕食。九時散会。コリーヌえよる。

受信 寺沢恒信、民科大阪.

 

○二月四日 (日)    晴 寒

午後、大阪。民科。寺沢君來る。“理論”についての相談。五時終了。

如月会の成立わ可。併し、昨日の集りわつまらなかった。

受信 鈴木平八郎.

 

○二月五日 (月)    曇 寒

午後、三の宮え行く。阪急会館で“情艶一代女”をみる。元町を歩いて、歸る。

野島さんえ新聞等を送る。

京城防衛の中共軍反撃。

 

○二月六日 (火)    曇 寒

この数日又寒い。雪がちらちら。

午後、学校。三時―五時、唯研。クガイ氏、青木氏出席。

菅原氏え新聞返送。

 

○二月七日 (水)    晴 寒

午後、学校。研究室。古林さんに会う。調査書の件、庶務課に依頼。

発信 芳村進.

 

○二月八日 (木)    曇 寒

午後、学校。研究室。

はなばなしいときより、何でもないときの方が苦痛である。心理的に忍耐力を要する。

アメリカが非常にあせっていることがよく分る。国府軍を使うだの、原爆を使うだのと云い出したことわこのことをよく示している。

発信 大阪国税局.

 

○二月九日 (金)    小雨 寒

午後、学校。俸給。三時から日本文学協会。芥川龍之介について。

後、研究室でさヽやかな晩餐。小川、小松、幸、桂。八時半終了。

 

○二月十日 (土)    小雨 寒

午後、三の宮キネマで“田園交響楽”と“また逢う日まで”をみる。前者わ余り面白くない。後者わ佳作。高砂屋できんつばを買ってかえる。

 

○二月十一日 (日)    晴 寒

午後、魚市場え行く。三時―五時、映畫の話。

成田氏の件。

発信 芳村進.

受信 母.

 

○二月十二日 (月)    晴 寒

午後、学校。研究室。堀氏、池田氏等に会う。かえりに散髪する。

発信 榊原美文.

受信 野島芳子.

 

○二月十三日 (火)    晴 寒

午後、学校。三時―五時、唯研。“フォイエルバッハ論”終り。今学年わこれで終り。クガイ氏、青木氏と共にコリーヌによる。後、末永氏の所えよる。名和氏え“記録”を托す。

今学期の成果。唯研と日本文学協会。臨時講師の件。

 

○二月十四日 (水)    雪、暴風雨 寒

午後、雪の中を大阪え行く。珍しい大雪。関西哲学部会。集り悪し。芳村君と会う。かえりに暴風雨となり、深江から家まででヅブぬれとなる。

中ソ友好條約一周年。

余の誕生日。

夜、停電。十二時頃から風邪がおだやかになる。

去年の今夜ハンスト。

受信 野島義一.

 

○二月十五日 (木)    晴 寒

午後二時、住吉分校え行く。古林さんの学術会議の報告あり。四時終了。

発信 母.

 

○二月十六日 (金)    小雨 寒

午後、学校。研究室。古林さんに会う。かえりに大勢で六甲ガーデンによる。後、服部氏、古林氏、武市氏とエクランえよる。おそく家えかえる。

発信 大野正、堀㐂望.

 

○二月十七日 (土)

休養。ひるね。

靑木の風呂え行く。

学生來る。22日の件。

余の誕生日のお祝を今日にのばしてする。

心理的に相当疲れる。併し、一年半、よくねばったものである。

発信 鈴木平八郎.

受信 坂本都留吉、榊原美文、芳村進.

 

○二月十八日 (日)    晴 寒

午後、大阪え行く。科学者の会議。

夜、岡田氏來る。

発信 芳村進、坂本都留吉.

 

○二月十九日 (月)    晴 暖

午後、大阪。商大。民科。成田氏歸る。

六時、大手前会館。宮本百合子をしのぶ会。榊原氏の話。九時終了。

 

○二月二十日 (火)    晴 暖

午後、学校。研究室。何となく春らしくなって來た。

夜、岩井氏來る。

 

○二月二十一日 (水)    晴 暖

午後、平尾さんで種痘をする。後、学校。研究室。クガイ氏に会う。靑木書店の件。

夜、学生來る。明日の講演中止。

発信 野島義一.

 

○二月二十二日 (木)    雨後晴 暖

一日中休養。やはり相当つかれている。

発信 大井正、筑摩書房.

受信 大井正.

 

○二月二十三日 (金)    晴 暖

非常に暖い。春らしくなった。

午後、学校。研究室。

夜、井上さんを訪う。

 

○二月二十四日 (土)    曇小雨 寒

午後、大阪。大劇地下で原爆展をみる。民科え行く。幹事会。

夜、藝術講座。榊原さんの宮本百合子の話。八時半終了。梅田の喫茶店でコーヒーをのんで別れる。

 

○二月二十五日 (日)    曇小雨 寒

午後、古林さんの所え書物を持って行く。

午後七時、森小路の原眼科医え行く。民科分会。文学や映畫の話。九時半終了。

発信 芳村進.

 

○二月二十六日 (月)    曇 寒

午後、研究室。クガイ氏來る。雑談。

ムーア少将戦死。

市民税第二期納入。

3月末わとにかく一つの危機である。

 

○二月二十七日 (火)    小雨 暖

午後、学校。研究室。

この頃ずっと天気が悪い。

俸給打切りをすれば、損害賠償を請求する。

“フランスの起床ラッパ”をよむ。

 

○二月二十八日 (水)    晴 暖

午後、大阪。民科。関西哲学部会。芳村君に会う。

受信 筑摩書房、鈴木平八郎.