○十月一日(水)  晴 暖

午前十一時、医学部へ。日本哲学会秋期大会。午前、總会。午後、研究発表。四時半終了。参加者多し。知事の招待でホテル・マルエイへ。二十数人行く。六時半、医学部へかえる。公開講演。出氏と務台氏。九時半終了。

總選擧。自由党優勢らし。

 

○十月二日(木)  晴 暖

午前十一時、医学部。午前、シンポジウム。午後、討論。四時半、終了。懇談会。後、本多修郎と一緒に広小路を歩く。

自由党、過半数。共産党、全滅。

 

○十月三日(金)  晴 暖

十一時、家を出る。十二時、名古屋発。特急かつらぎ一号。中川でのりかえ、三時、上六着。四時半、家へつく。

風呂へ行く。

受信 常井直正、

 

○十月四日(土)  晴 暑

午後、みかげ。哲学辞典の件。テニス。

朝、陸井四郎來る。

夜、飜訳。

発信 キネマ旬報社 近藤任 大江秀樹、中瀬壽一

 

○十月五日(日)  晴 暖

午後、教育委員の選擧をしてから、三の宮へ行く。阪神会館で「お茶漬けの味」を見る。元町を散歩してかえる。

夜、飜訳。第九章、終り。後、三十一頁。一日平均二頁として十月二十日に終る予定。月末までに見直しを終る。

発信 常井直正、

 

○十月六日(月)  曇小雨 冷

午前、陸井氏來る。

午後、みかげ。教授会で挨拶。青木君と三の宮へ行く。阪急文化で「自由を我等に」と「舞踏会の手帖」をみる。

夜、飜訳。飜訳はスローリー・バット・ステッディ。登山の如し。

 

○十月七日(火)  風雨 冷

午後、みかげ。風雨つよし。阿部さんの所え行く。

夜、飜訳。規則的に一日二頁。水曜だけ休み。十四日に十一章が終る。二十一日に十二章が終る。後は結論が三頁残る。二十三日か二十四日かに全部終る。

 

○十月八日(水)  晴 暖

午後、みかげ。創元社の西野氏來る。哲学辞典の件。

みかげから大阪へ。民科。哲学部会

受信 中瀬壽一

 

○十月九日(木)  晴 暑

午後、みかげ。テニス。みかげから六甲へ。かえりに海道氏の家へよる。

夜、飜訳。

 

○十月十日(金)  晴 暖

休養。午後、風呂。

夜、飜訳。第十章、終り。

 

○十月十一日(土)  雨後曇 冷

午後、みかげ。創元社來る。辞典の件決定。

夜、飜訳。一日二頁づつ。今後、晝は辞典、夜は飜訳。飜訳は薬をのむように、事務的に、少しづつ規則的に。

 

○十月十二日(日)  晴 寒

午後、芦屋へ。青木君と一緒に樺さんを訪う。辞典の件。かえりにリオへよる。

夜、飜訳。

樺氏、常識家。それ以上でもそれ以下でもない。

 

○十月十三日(月)  晴 暖

午後、みかげ。樺氏等と会う。

夜、飜訳。二〇〇字で五〇〇枚を越す。

受信 醇郎、

 

○十月十四日(火)  晴 暑

午前、西野氏がカードを持ってくる。

午後、みかげへカードを持って行く。みかげから六甲へ。古林さんに会う。海道氏の家へよる。

夜、飜訳。第十一章、終り。

発信 小川利夫 醇郎、

 

○十月十五日(水)  曇後雨 暑

午後、大阪。父(?)の里の山本氏の家へ行く。甘粕、笹川氏。七時、民科へ。哲学部会。『矛盾論』終り。九時終了。

発信 矢内原伊作

 

○十月十六日(木)  晴 暑

午後、みかげ。テニス。小川君に会う。永積氏、來ることになったよし。

夜、飜訳。随分長くかかったが、ラスト・コースに入る。

 

○十月十七日(金)  晴 暖

午後、みかげ。辞典の仕事を開始。六時から民科幹事会。八時終了。

夜、飜訳。あときっちり十頁。

発信 小泉博資、

受信 小泉博資、

 

○十月十八日(土)  晴 暖

午後、みかげ。辞典。樺氏に会う。

『文庫』十月号着。ディーツゲン、十一月五日までに出る。

夜、飜訳。

 

○十月十九日(日)  快晴 暖

延世たち神戸へ行く。留守番。面白くもなし。

午後、風呂。

夜、飜訳。後五頁。二日で終る。二十二日に終る。

 

○十月二十日(月)  晴 暖

午後、みかげ。辞典。みかげから大阪へ。民科哲学部会。須田氏の話。

午前、赤松來る。

日共もこヽで根本的に反省が必要である。まけおしみを言ってごまかしていてはならない。

今日の教授会で永積氏來ることに決定。

 

○十月二十一日(火)  晴 暖

午後、みかげ。前進座の座談会に出る。後、辞典。後、松井氏等來る。

夜、飜訳。第十二章終り。結論に入る。明日訳了。

今年の終り頃には国際狀勢に大きな変化が起りそうである。ホーチミン軍總攻撃開始。朝鮮。フランスの狀勢。イラン、エジプトの動き。ソ佛秘密交渉説。スターリンの論文。

 

○十月二十二日(水)  曇 冷

午後、みかげ。テニス。辞典。神戸へ行く。元町を散歩。

岩波から葉書。六千部印刷、四千部発行。十一月五日発行。

夜、飜訳。ついにコーンフォース終り。二〇〇字で五八一枚。

発信 小宮山量平

 

○十月二十三日(木)  晴 寒

午後、みかげ。テニス。民科の幹事会。

午前、日ソの岡部氏來る。

今夜は休養。

発信 花田圭介

 

○十月二十四日(金)  晴 暖

午後、みかげ。テニス。

夜、カードを書く。終り。

発信 大江秀樹、

 

○十月二十五日(土)  晴 暖

午後、関西学院へ行く。関西哲学会。鬼頭氏と田中氏との講演。松本良彦氏と一緒に梅田へ出る。

六時、天六の菊月寮へ行く。山高の会。十二、三名。

 

○十月二十六日(日)  晴 暖

午後、のぶよと一緒に本壽寺へ行く。「白毛女」をみる。阿部さん、百瀬氏等と元町を歩く。

夜、飜訳。見直しをはじめる。案外時間がかヽる。

シンドシナ重大化。ホー軍黒河をわたる。

 

○十月二十七日(月)  雨 寒

午後、六甲。海藤氏に会う。みかげへ行く。

夜、飜訳見直し。

 

○十月二十八日(火)  曇 冷

午後、みかげ。のち、新開地へ行く。新劇で前進座の『屈原』その他をみる。家へかえったら十一時。

 

○十月二十九日(水)  晴 暖

午後、風呂へ行く。

夜、大阪。民科哲学部会。榊原氏に会う。

発信 梯明秀

受信 理想社

 

○十月三十日(木)  晴 暖

午後、みかげ。新明氏に会う。

夜、飜訳、見直し。

発信 理想社、武川武雄

受信 矢内原伊作 日文協、

 

○十月三十一日(金)  曇 冷

午後、みかげ。辞典。

夜、飜訳、見直し。

後二ヶ月で今年も終る。ディーツゲンとコーンフォースと、飜訳二冊。それから辞典。

発信 青木靖三