○十二月一日（月） 晴 暖
午後、六甲。海藤氏に会う。みかげへ行く。左足のできもの治らず。
服部さんから『西洋哲学史要』の寄贈あり。
夜、『神大新聞』の原稿を書く。五枚也。
陸井氏に原稿をわたす。
発信 大江秀樹、
○十二月二日（火） 曇 寒
午後、みかげ。辞典。執筆依頼の件。笠井さんに会う。
夜、『眞空地帯』をよむ。
発信 道家忠道
○十二月三日（水） しぐれ 寒
急に寒くなった。
私鉄スト。省線でみかげへ行く。辞典。
夜、『眞空地帯』をよむ。
○十二月四日（木） 晴 寒
急に寒くなった。昨夜、室内で七度。
なんだか疲れが出た感じである。
午後、省線で大阪へ。民科哲学部会。矢内原伊作氏の話。ストの参加少し。
○十二月五日（金） 晴 寒
午後、みかげ。青木氏、西村氏、創元社へ行く。みかげから三の宮へ。阪急で「セールスマンの死」をみる。
風邪気なり。
夜、『眞空地帯』をよむ。
○十二月六日（土） 晴 寒
午後、みかげ。『眞空地帯』の批評会。
夜、『眞空地帯』をよむ。傑作であるかどうか。
『神大新聞』原稿を赤松にわたす。
風邪いくらかいいらし。足のできものもいいらし。
『哲学辞典』も來週から原稿を書く段取りになった。
アイク訪鮮。
受信 田村義也
○十二月七日（日） 晴 寒
一日中ねる。風邪はいいらし。しかし、風邪よりも疲れらしい。一年間の疲れ。
夜、『眞空地帯』。
発信 母
○十二月八日（月） 曇 寒
午後、みかげ。辞典の件。原稿依頼。
まだ風邪気あり。左足のできものもよからず。
夜、辞典の雜用。
発信 竹内良知 山崎正一 矢内原伊作、
○十二月九日（火） 曇小雨 寒
一日中ねている。要するに疲れである。風邪も大体いいらしい。
○十二月十日（水） 曇 暖
昨夜、嘔吐。酒となまこのため。
午後、大阪。山内に会う。六時、民科。甘粕氏の「科学の階級性」の話。甘粕氏、山内氏等の討論活溌。
夜、『眞空地帯』をよむ。
風邪はよろし。できものはよろしからず。ヴィタミンＢ６をのむ。
來年三月まで今の金でもたす。四月以後、ディーツゲン、コーンフォース、辞典でつづける予定。
発信 小宮山量平
受信 小宮山量平 和郎
○十二月十一日（木） 曇 寒
午後、みかげ。ヘーゲル研究会。テニス。
夜、『眞空地帯』讀了。終りの方は面白い。
発信 新橋書房
○十二月十二日（金） 晴 暖
午後、栄町の第一銀行へ行く。元町で買物など。みかげへ行く。辞典の件。
岩波から印税來る。
できものもいいらし。ヴィタミンＢ６がきいたのかも知れない。
吉田内閣もつぶれそうである。
夜、辞典原稿の書きだめ。「ディーツゲン」を書く。
発信 岩波書店 渡辺義晴
受診 岩波書店
○十二月十三日（土） 晴 暖
午後、みかげ。映畫を見るつもりだったが、やめてテニスをする。のち、小川君と一緒に大阪へ行く。阪急へよる。
夜、辞典原稿。
この頃は夜、大概十一度。
○十二月十四日（日） 曇 暖
午後、ニッサンへ行く。「青春音頭」と「眞空地帯」をみる。四時間立ちつづけで疲れる。柳田氏の座談会はやめにして家へかえる。
夜、辞典原稿。
○十二月十五日（月） 曇 暖
午後、みかげ。『神戸大学新聞』出來。青木、陸井、杉之原、長倉氏等と串カツ屋へよる。
夜、原稿。
○十二月十六日（火） 雨 暖
午後、六甲。かえりに海道氏の所へよる。
夜、原稿。
○十二月十七日（水） 晴 暖
午後、風呂。久しぶり。
大阪。六時。民科哲学部会。北川氏の話。
左足のできもの大体よろし。
発信 理想社 小宮山量平
受信 竹内良知 新橋書房 理想社 日文協
○十二月十八日（木） 晴 寒
午後、みかげ。ヘーゲル研究会。大江精志郎氏に会う。
夜、原稿。
○十二月十九日（金） 晴 寒
午後、みかげ。民科。杉の原氏の番町調査の報告。
北京へディーツゲンを送る。送料二五円也。
小宮山氏から手紙。コピイ・ライトを獲得。印税は七％、一、二、三月に分割拂い。
夜、原稿。マルクスとエンゲルスとを書く。なかなか厄介である。
陽子、この間の試験で一番。
発信 小宮山量平
受信 小宮山量平 岩波書店
○十二月二十日（土） 晴 寒
午後、みかげ。日文協。笠井さんの話。原光雄氏來る。
みかげから大阪へ。民科忘年会。おそく解散。
発信 小宮山量平
受信 阿部敬吾 醇郎、岩波書店、渡辺義晴、
○十二月二十一日（日） 晴 寒
ひる頃、永井氏來る。
午後、陽子、祐二郞をつれて元町へ行く。六甲へ廻り、夕文砦へよる。
夜、雜用を一掃。
ハタの原稿「夜明け前」を書く。二枚。
発信 阿部敬吾 岩波書店 振替貯金課、図書新聞社
○十二月二十二日（月） 晴 寒
午後、みかげ。コーンフォースの件。
紘一郎、風邪。
夜、原稿。「ヘーゲル」と「マルクス主義」を書く。人名を終り、事項にうつる。
受信 出先生還祝会、中国国際書店
○十二月二十三日（火） 晴 暖
午後、みかげ。西村氏と一緒に創元社へ行く。西野氏と会う。『欲望という名の電車』をもらう。
ピネー内閣總辞職。
五月書房から原稿料來る。
夜、原稿。
発信 佐木秋夫
受信 母 五月書房
○十二月二十四日（水） 曇 寒
午後、大阪。心齋橋を歩く。梅田へかえる。民科、哲学部会。十時、散会。
夜、雜用。
平凡社から哲学辞典が出る。
受信 小宮山量平 平凡社
○十二月二十五日（木） 晴 寒
午後、みかげ。ヘーゲル研究会。のち、元町へ行く。
夜、雜用。スターリン論文をよむ。
発信 藤野渉 平凡社 小宮山量平 日文協、
○十二月二十六日（金） 晴 寒
午後、みかげ。六甲へ。海藤氏、古林氏不在。みかげへかえる。
南天莊で買物。日記などを買う。
夜、雜用。
風邪気。
受信 野島義一
○十二月二十七日（土） 晴 寒
午後、みかげ。宮本氏等。官廰御用納め。
風邪気。昨日より気持悪し。
スワの子供らの写眞を送る。
発信 母
受信 岩崎武雄、
○十二月二十八日（日） 晴 寒
風邪のため一日臥床。大体いいらし。
『欲望という名の電車』讀了。
風邪も疲労であろう。一年間の、とにかく奮闘生活の疲労。
來年は大いに仕事をしたい。ジャーナリズムでも活躍したい。二、三年の沈黙はむだではなかった筈だ。この頃、飜訳、論文等急に色々たのまれるようになった。一年前とはだいぶちがう。一年前は、ようやくディーツゲンにすがりついた所であった。ペンでどうやらやって行けるであろう。
発信 岩崎武雄
○十二月二十九日（月） 晴 寒
昨日と同じ。どうもよくならない。
午後、阿部さん來る。
創元社の忘年会。欠席。
『平和』をよむ。和田氏の論文は重要である。
○十二月三十日（火） 晴 暖
一日中臥床。風邪、今日は大体よろし。
午後、青木君來る。創元社の金をもってくる。
夜、起きて、『季刊理論』の原稿を書きはじめる。
ありがね、十万五千円也。
○十二月三十一日（水） 晴 暖
午後、しばらくぶりで外出。元町で買物など。六甲へ行き文砦へよる。
夜、原稿。
ハタの一月一日号低調。思想的にも感覚的にも。
受信 藤野渉、