○七月一日（木） 晴 暑
午後、大阪。教育タイムス社を訪う。成田氏に会う。原稿の打合せ等。
旭屋に『唯物論と弁証法』七月一日発行のものが出ている。第三版であろう。だまって増刷するとはけしからん。理論社へ嚴重にいってやる。
夜、『作家の仕事』をよむ。面白い。
発信 理論社
○七月二日（金） 雨 暑
午後、みかげ。服部さん、青木君、笠井さんに会う。毛沢東研究会。名越氏に会う。
理論社はけしからん。先方の出方をまつことにしよう。
夜、野間宏の『現代文学の基礎』をよむ。大したことはない。粗雜である。
受信 田口憲治 岩崎武雄
○七月三日（土） 曇 暑
午後、風呂、散髪。
夜、野間、讀了。大したことはない。エレンブルグをよむ。比較にならないほど高い。
受信 紅松保雄
○七月四日（日） 雨 暑
紅松君から原稿、岩崎君から書物到着。金はこない。
午後、みかげ。日文協例会。猪野氏に会う。
夜、エレンブルグ、讀了。『教育タイムス』の原稿「女性に関する十二章その他」を書く。四枚。
問題は理論社の問題。未解決。
発信 紅松保雄
豫記 岩崎、〒、１０５、
○七月五日（月） 雨 暑
大雨。川があふれるには至らず。
夕方、海文堂へ行く。「讀書の栞」ができている。
理論社、平凡社、理想社、金のくるべきところが三つあるのに一つもこない。
夜、「哲学における傳統と創造について」を書きはじめる。
○七月六日（火） 晴 書
午後、みかげ。井上さんに会う。
田口氏から原稿着。
小宮山量平へ速達を出す。返事をよこさんとはけしからん。
夜、原稿。
発信 岩崎武雄 田口憲治 小宮山量平
受信 名越悦
○七月七日（水） 晴 暑
小宮山量平から手紙がくる。
法律文化社から再校がくる。
午後、大阪。創元社。西野氏不在。六時、民科。教育タイムス社の写眞をとる。哲学部会。
みかげのＳは全くだらしがない。
夜、手紙を書く。
戦後最大の轉換期に直面している。
年表作製、山本氏に依頼。
発信 小宮山量平 亀井蔀 西野顯
受信 小宮山量平
○七月八日（木） 曇 暑
コーンフォース、七月一日発行の分一冊着。
理想社から原稿料の内金きたる。
午後、三の宮で定期を買う。海文堂へよる。むしあつい。
夜、『世界』をよむ。
発信 理想社
受信 理想社
○七月九日（金） 快晴 暑
午後、みかげ。堀さんに会う。毛沢東研究会。『矛盾論』終了。この次からはコーンフォース。堀さんとお好焼へよる。
今泉から原稿きたる。
夜、『西洋哲学入門』の校正をみる。割合よくできている。
発信 母 山本晴義 小宮山量平 今泉三良 キネマ旬報社
受信 小宮山量平 亀井蔀
○七月十日（土） 小雨 冷
午後、風呂。
夕食にビール。食後ながくねむる。
ひる頃山根きたる。神大Ｓの件。縣からも指示あった由。
夜、校正をみる。
去年の八月と今年の八月。その間、『弁証法入門』『哲学小辞典』『史的唯物論』『西洋哲学入門』の四冊出版。経濟的にも、ずっと好轉している。また、仕事も拡大し、とくに関西に根をおろした。『思想』『理想』の論文もある。たしかに今年の方が見通しは明るい。去年は、九月からの経濟的見通しは全然なかった。
受信 細野武男 高木正孝
○七月十一日（日） 曇 暑
午後、陽子といっしょに「しうらくかん」へ行く。「スミス都へ行く」を見る。アメリカにもこういう映畫もある。
夜、校正をみてしまう。
延世は、そとで良い子になろうとするので、うちでヒステリーをおこす。陽子も同じ。紘一郎が、わりあいうちとそとで変らない。
受信 醇郎 名越悦
○七月十二日（月） 曇 冷
午後、みかげ。長倉氏、青木氏に会う。
小宮山量平はたしかに態度がゴーマンである。
齋藤信治、本性をあらわして去る。
夜、索引の指定。
発信 亀井蔀 醇郎
受信 鈴木三郎 小島輝正
○七月十三日（火） 晴 暑
午後、みかげ郵便局から校正を京都へ送る。元町、海文堂へ行く。
夜、『思想』の原稿、ふたたび書きはじめる。
受信 浜田泰佑 岩橋久夫
○七月十四日（水） 雨 冷
ひる頃西野きたる。
午後、大阪。民科。哲学部会。「ニュース」の合評会。山本氏のはなし。古林さんもだらしがない。Ｓも同じ。家へかえる。起きないので、窓から入る。
夜、雜用。みかげのＳはあてにしないこと。山本氏のいう通り。
発信 出隆
受信 出隆
○七月十五日（木） 曇 冷
一日休養。
總評事務局長、高野実当選。
コーンフォース、史的唯物論、今日できる筈。
小宮山量平はゴーマンである。
夜、原稿。
破局がくるだろう。戦争政策の崩壊が。日本はアメリカに依存しているのではあるが、日本独自の條件もある。幕末。吉田幕府の崩壊。
受信 大村靖雄 竹内良知 清水正德 母 キネマ旬報社 平和擁護日本委員会
○七月十六日（金） 曇 冷
午後、みかげ。今日からコーンフォース。第二課程が加ったので約二十人。
『社会タイムス』着。
平凡社へ原稿料の催促をする。
夜、原稿。
発信 平凡社
受信 成田日出雄 山本晴義
○七月十七日（土） 曇 冷
午後、大阪。山内の店でコーンフォースの金を拂う。ミナミを歩く。
木本氏から原稿着。
夜、原稿。
受信 木本幸造
○七月十八日（日） 曇 暑
午後、風呂。井上さんのところへ行く。深江の海岸へ行って、子供の釣りを見る。
夜、「哲学における傳統と創造について」終了。三一枚。
むしあつい。まだ梅雨は上らない。水爆の影響。
発信 成田日出雄 木本幸造 大阪文学学校 母
受信 成田日出雄 大阪文学学校
○七月十九日（月） 曇後雨 暑
午後、みかげ。堀さん、三浦さん、青木君にあう。海文堂へ行く。
藤本氏、濵田氏から原稿着。山本君から年表の原稿着。
『思想』の原稿を岩波へ送る。
『讀書新聞』に『史的唯物論』の広告が出ている。白井氏との共訳。それはいいが、だまっているのがけしからん。定價二四〇円。
夜、雜用。年表原稿を京都へ送る。これで『入門』もできる。一冊の本を作るのも大変なことである。
発信 鈴木照雄 藤本進治 浜田泰佑 亀井蔀
受信 出隆
○七月二十日（火） 曇 暑
午後、阪神ニュースを見る。今週は余り面白くない。
子供たちは、今日で学校が終り。
夜、エレンブルグをよむ。
受信 大阪文学学校
○七月二十一日（水） 晴 暑
午後、大阪。久しぶりで山内に会う。民科、哲学部会。イリヤ・エレンブルグの話。
コーンフォース、まだ店頭に出ていない。
山本氏から名古屋の話。本田氏の件。
鈴木三郎から原稿がくる。
インドシナ休戦成立。昭和六年の満洲事変いらいはじめて世界に戦火やむ。
発信 亀井蔀 岩崎武雄 鈴木三郎
受信 岩崎武雄 鈴木三郎
○七月二十二日（木） 晴 暑
午後、風呂。疲れが出たとでもいうのだろう、よくねむる。
夜、雜用。
コーンフォースがおくれているので、予定が狂ってきた。
発信 山本晴義
○七月二十三日（金） 晴 暑
午後、みかげ。コーンフォース研究会。
小島君から原稿着。
平凡社へ速達で原稿催促。
梅雨あける。
コーンフォースのおくれたことを何もいってこないのはけしからん。
夜、「文学学校」の準備。
発信 平凡社 小島輝正 醇郎
○七月二十四日（土） 晴 暑
午後、大阪。民科。哲学部会専門部会。コーンフォース、まだ店頭にでていない。
夜、フィールディングをよむ。
発信 今泉三良 亀井蔀
受信 今泉三良 亀井蔀
○七月二十五日（日） 晴 暑
午後、大阪。醇郎のところへ行く。大掃除中。スワへ女中きたよし。
コーンフォースのおくれているのは、まさに理論社の責任である。
夜、雜用。
○七月二十六日（月） 晴 暑
午後、大阪。六時半、教員会館へ。大阪文学学校。九時終了。
『図書新聞』にパージの問題あり。白山氏に手紙を書く。
発信 小宮山量平 青木清三 白山友樹
○七月二十七日（火） 晴 暑
午後、延世といっしょに朝日会館へ行く。「ドン・カミロ」をみる。面白い。
平凡社の原稿料の催促。
いろいろの問題が山積している。ややこしいかぎり。中途はんぱでスワへ行くようになるのもやむをえない。
発信 陸井四郎 平凡社
受信 陸井四郎
○七月二十八日（水） 曇 暑
午後、大阪。市大へ。六時、民科。哲学部会。
とにかく御影のＳはだらしない。けしからん。
大掃除。
名大、愛知大の件。
コーンフォース、まだ出ない。どうかしたのだろうか。
発信 平凡社
受信 母 平凡社
○七月二十九日（木） 曇 暑
午後、みかげ。小川君にあう。青木君といっしょに京都へ行く。四時半、法律文化社着。亀井氏といっしょに樂友会館で夕食。新京阪でかえる。
『史的唯物論』八〇冊着。
留守中に西野氏來る。
Ｓのだらしなさの根源は阿部眞琴にあり。
夜、雜用。
発信 母 理論社 山本晴義
受信 理論社
○七月三十日（金） 曇小雨 暑
午後、みかげ。『史的唯物論』を持っていく。海文堂へ行く。みかげへかえる。五時半からコーンフォース研究会。
午前、西野きたる。
検印紙、法律文化社へ送る。
受信 山崎正一 成田日出雄 林省吾 中村百枝
○七月三十一日（土） 雨 暑
午後、陽子をつれて元町へ買物に行く。ボストンバッグ等を買う。
法律文化社から金がくる。
堀さんから原稿がくる。
留守中に西野氏きたる。
スワ行を一日のばす。東海道、今日不通。
阿部眞琴というのもいやらしい人間である。
入浴。散髪。
発信 母 堀喜望 西野顯 亀井蔀（二）
受信 堀喜望 亀井蔀