○十月一日(金)  晴 暑

午後、みかげ。コーンフォース研究会。学生が試験なので、事務職員だけ。

小宮山量平はたしかにけしからん。

夜、明日の政治学校の用意。

受信 理論社 平凡社

 

○十月二日(土)  雨 冷

午後、家にいる。五時家を出る。六時、勤労会館へ。六時半―九時半、弁証法の話。

庫本さんと入れ代る話。

夜、手紙など書く。

発信 亀井蔀

受信 日本哲学会

 

○十月三日(日)  曇 暑

午後、笹川君のところへ行く。山本氏。名古屋の件など。

いろいろのことが頭打ちである。

栃錦優勝。

大阪経大へ『哲学史入門』一〇〇冊ついた由。

発信 毎日新聞社 竹内良知

受信 野島義一 毎日新聞社

 

○十月四日(月)  晴 寒

休養。風呂へ行く。

理論社から「不易流行」の原稿着。すぐ政界往來社へ送る。

『図書新聞』着。『現代哲学讀本』の書評あり。

急に寒くなってきた。本格的な秋。

夜、雜用。

発信 理論社

受信 清水正徳

 

○十月五日(火)  晴 冷

午後、みかげ。試験のため閑散。元町へ行く。海文堂へよる。

夜、芦屋の岡本氏きたる。

『理論』(一〇月)をよむ。大したことはない。

この秋の新しい傾向。短い文章をいくつか書いたこと。ジャーナリズムへの手がかり。もう一つは講師活動。この二つがもっと多くなればどうにかやって行けるが。

『現代哲学讀本』の材料集め。

「不易流行」のような文章をのせないようでは『理論』はダメである。

とにかく人は手紙の返事を書かないものである。

発信 服部英次郎

 

○十月六日(水)  雨 冷

午後、大阪。創元社へよる。西野氏不在。櫻橋書店へよる。吉野氏不在。民科哲学部会。コンダン会。山本氏不参。甘粕氏きたる。名古屋の件。

甘粕さんも誠実でない。

発信 出版ニュース社

受信 出版ニュース社 理想社

 

○十月七日(木)  曇小雨 冷

午後、あしや。六時―九時、市職の研究会。「唯物論と觀念論」終り。この次は「機械的唯物論」

出さんから原稿きたる。古代哲学概説。

あしや、來週は休み。來々週から。

夜、雜用。

自分の業務にたいする自信はもつべきである。生活は苦しくも卑屈になる必要はない。

名古屋の件。これが原狀打開のきっかけになることをねがう。

発信 理想社 出隆

 

○十月八日(金)  曇 冷

午後、みかげ。六時―九時、コーンフォース研究会。第七章終り。

夜、明日の予習など。

お茶くみの問題。文科の進歩的な先生方への不信。

成田氏のくだらないあげ足とり。

甘粕氏のゴーマン。

受信 政界往來社 亀井蔀 堀川一知 岩橋久夫

 

○十月九日(土)  晴 暖

午後六時、教育会館。政治学校。第七章、終り。学習の態度ができていない。

庫本さんと入れ代る話。

夜、雜用。

学習を安易に考えすぎている。この次に検討しなければならない。

 

○十月十日(日)  曇 寒

竹内良知から葉書。名古屋大学へは十二日に行く。したがって名古屋へは明日行く。

午後、井上さんのところへ行く。庫本さんと入れ代りの件。

風呂、散髪。

今日が経濟的に一番ピンチであろう。そうあらせたい。來年三月まではどうやらもつだろう。來年四月を目標にする。こんどの名古屋行もその伏線の意味もある。

アラゴンは、フランス共産党大会で、「労働者万能主義に悪影響を及ぼしている」という。

夜、明日の用意等で。

政治学校よりあしやの方がずっと感じがいい。

発信 竹内良知 近藤政世 山本晴義 理論社

受信 竹内良知

 

○十月十一日(月)  晴 暖

『唯物論と弁証法』十月十五日発行の分一冊着。また一、〇〇〇部増刷。

午後三時すぎ家を出る。三時半大阪発の名古屋行準急にのる。九時五分名古屋着。十時近藤氏の家へつく。はがきがまだついていなかったので、突然であった。

受信 樺俊雄

 

○十月十二日(火)  晴 暖

午後名大文学部へ行く。平林氏、竹内氏、眞下氏に会う。一旦別れ、栄町へ行く。明治製菓で眞下氏、竹内氏に会う。

 

○十月十三日(水)  晴 寒

午前十一時名大文学部へ。本田喜代治氏に会う。眞下氏、竹内氏にも会う。一旦近藤氏へかえる。三時すぎ家を出る。五時発近鉄特急にのる。八時大阪着。九時家へつく。

夜、事務的な用事をする。

急に寒くなった。

発信 岩波書店 法律文化社

受信 母 岩波書店 法律文化社

 

○十月十四日(木)  晴 暖

午後、第一銀行へ行く。みかげへよる。小川君にあう。平凡社の『人名辞典』ができている。五時、山本君のところへ行く。名古屋の話。家へかえってから、井上さんの所へ行く。引越しの件。

神戸大学も齋藤信治のあとがなくて困っている。よほどのバカでないと來ない。

夜、手紙等。

あと半年。

発信 近藤任 山田宗睦

 

○十月十五日(金)  晴 暖

午後、元町。海文堂へよる。みかげへかえる。コーンフォース研究会。生物の学生が二、三人参加。第八章終り。

理論社へ速達で印税の催促をする。実に手がかかる。けしからん次第。

夜、讀書。

野島さんからリンゴ一箱來る。

発信 理論社

 

○十月十六日(土)  晴 暖

午後、家にいる。

六時半、勤労会館。コーンフォースの第三回。水準はかなり低い。第八章。

井上さんから酒田氏の話をきく。

 

○十月十七日(日)  雨 冷

午後、風呂。

とにかく理論社はけしからん。小宮山量平には季刊理論派(武市、梯、武谷)と共通点がある。

夜、『人間性の追求』の資料集め。

 

○十月十八日(月)  曇 暖

午後、京都。四時半、法律文化社へ。亀井氏にあう。雜件。『弁証法入門』の件。立命館の件。タコキンで夕食。かえりは新京阪。十時家へつく。

発信 亀井蔀 西野顯 キネマ旬報社 政界往來社

 

○十月十九日(火)  曇 暖

午後、みかげ。青木君にあう。コルニュの件。元町へ行く。

理論社は実にけしからん。明日電報を打ってやろう。

紘一郎、伊勢へ修学旅行。

夜、庫本夫人きたる。家の件。

甘粕さんも小人物である。いやらしいことをする。小宮山量平は季刊理論派。ヒステリックである。

夜、『フォイエルバッハ論』をよむ。

『人間性の追求』の材料を集めている。書きはじめるについてはもう少し生活のおちつきがほしい。

来年の四月にはどうにかなるという見当がついた。

発信 務台理作

 

○十月二十日(水)  曇小雨 暖

午後、家を出るところを後から延世がおいかけてくる。理論社から金がきたという。催促の電報をうつつもりでいたのを中止。大阪、心齋橋を歩く。六時、民科。哲学部会。山本氏缼席。

理論社も立直ったよし。

山本氏から原稿きたる。

夜、手紙を書く。

理論社が立直りの緒につき、七千円きたこと。これで少しホットした。まだ安心はならないが。

『哲学小辞典』『弁証法入門』が法律文化社から出ることになれば、経濟的にも相当楽になる。

発信 小宮山量平 鈴木亨

受信 小宮山量平

 

○十月二十一日(木)  晴 暖

午後六時、あしやへ。市職の研究会。コーンフォース、第三章。八時終了。

庫本夫人きたる。引越しの件解決。

人は筆不精なもの、不精確なものである。

夜、雜用。

発信 山本晴義 清水正德

 

○十月二十二日(金)  晴 暖

午後、元町。海文堂へよる。みかげへ行く。青木君にあう。山元一郎氏、時間講師で來ているよし。コーンフォース研究会。新人加わる。第九章に入る。

図書新聞社へ写眞を送る。

一つ一つ問題を片づけていくこと。

夜、『レ・コミュニスト(8)』よみはじめ。

金曜の研究会が一番楽しい。政治学校が一番面白くない。

経濟的にもここ当分余裕ができた。來年四月からは大阪経大か立命館かいずれかに入れるだろう。それまでは持つ予定。

発信 図書新聞社

受信 図書新聞社 堀川一知

 

○十月二十三日(土)  晴 暖

午後、祐二郞をつれ、元町まで行き、阪神の特急で大阪へ行く。阪急の屋上へ行く。五時家へつく。

疲れあり。夕食の前と後とにねむる。

夜、『レ・コミュニスト』をよむ。

受信 務台理作

 

○十月二十四日(日)  曇 暖

午後、みかげ。日文協。のち、西宮の西野氏のところへ行く。今日東京から歸って塚口へ行ったよし。明日來てもらうことにする。

夕食後、庫本さんの所へ行く。引越しの件。

甘粕さんの原稿、京都へ着いたよし。全く世話のやける人間である。

夜、手紙を書く。

この数日、つぎつぎと問題が打開されて行く。

ディーツゲン以後の業績。六冊の本。ガッチリした土台。創元社の二冊が法律文化社から出ることになれば、六冊生きている。相当なものである。

発信 亀井蔀 林直道 中村九一郎

受信 亀井蔀 山田宗睦

 

○十月二十五日(月)  小雨 冷

午後、みかげへ行く。三劇へ行き「しおさい」と「風立ちぬ」を見る。

午頃、西野來る。

法律文化社へ山元君の原稿を送る。

『唯物論と弁証法』を理論新書へ入れる。『史的唯物論』を十一月上旬増刷する。

文学部の教官は根本が抜けている。だから、善意ではあっても、やることがすべてピント外れとなる。

夜、『史的唯物論』見直し。『哲学小辞典』『弁証法入門』『唯物論と弁証法』『史的唯物論』の四冊、一度に改訂や増刷がでてきた。量的蓄積の結果。

発信 亀井蔀

受信 小宮山量平 清水正德 常井直正

 

○十月二十六日(火)  晴 暖

午後二時半、元町。庫本さんに会う。いっしょに縣庁へ行き、住宅課長に会う。かえりに海文堂へよる。

理論社からコーンフォース二冊くる。訂正用。

四国の池田氏へ『弁証法入門』を送る。

夜、風呂へ行く。

この数日、全く新しいことができてきた。出版関係。

山元氏の件、Sのだらしなさ、間抜けさにいたってはいうべき言葉がない。

夜、『史的唯物論』よみ直し。余りミスはない。

発信 池田鶴吉

受信 池田鶴吉

 

○十月二十七日(水)  晴 暖

午後、大阪。五時、民科。山本氏と話し合う。六時半から哲学部会。懇談会。

「ロミオとジュリエット」の招待券來る。

夜、『史的唯物論』をよむ。

受信 中村九一郎 キネマ旬報社

 

○十月二十八日(木)  晴 暖

午後、みかげ。堀氏、笠井氏から書物の寄贈をうける。みかげから芦屋へ。六時―八時、コーンフォース研究会。第四章。

夜、『史的唯物論』をよむ。

発信 林直道 理論社 亀井蔀 常井直正 中村憲市

受信 林直道

 

○十月二十九日(金)  晴 暖

午後、大阪。ガスビル。「ロミオとジュリエット」の特別試写会。八時終了。

西野來らず。

夜、明日の政治学校の予習。

受信 出版ニュース社

 

○十月三十日(土)  晴 寒

午後、家にいる。五時、家を出る。海文堂へより、古川君といっしょに書籍会館へ行く。九時終了。

夜、『史的唯物論』をみる。

それにしても、みかげのSはだらしがない。一度思う存分やっつけねばならない。

李徳全女史きたる。

受信 図書新聞社

 

○十月三十一日(日)  晴 寒

『図書新聞』『出版ニュース』同時に着。ともにわが短文掲載。

午後、のぶよといっしょに元町へ行く。大丸で靴を買う。二千五百円也。先にかえる。

何事もねばり強く。

夜、『史的唯物論』をよむ。

発信 西野顯