○七月一日(金)  晴 寒

午後、海文堂。海文堂から山本君のところへ。打合せ等。十時家へつく。

眞下さんからフォイエルバッハの本の寄贈あり。

非常勤でもたしかに意義は大きい。それをフルに活用すれば、相当なものである。

『弁証法入門』を山本君に寄贈する。朝日新聞へ送る。

 

○七月二日(土)  曇 暑

休養。風呂。

夕食の前も後もよくねむる。疲労がひどい。四月以来の斗争の疲れか。緊張から弛緩へ。

非常勤でもかまわない。不十分ながら勝利だ。これをフルに活用し、事実上哲学科を牛耳ることができる。学生とのつながりもある。今の哲学科では哲学科全体を總括する人間はいない。武市、三田、岡田では魅力がない。学生がこないのも無理がない。非常勤であっても、肩書をもフルに活用する。四月からの斗争がなかったら、非常勤も決して出てはこなかった。

 

○七月三日(日)  晴 暑

午後二時、海洋会館。文化教室で新しい道徳について話をする。中村氏、置塩氏來る。

井上さんあたりがもう少し積極的にやってくれるといいのだが。事情はよく分っているし、人道問題で押して行けば誰も反対はできない。学長の鼻息ばかりうかがっているのでは情けない。どうしてこう意気地がないのだろう。教授会で正論をはくものが一人もいないのか。

受信 村岡皙 朝日新聞

 

○七月四日(月)  曇 暑

午後、京都。法律文化社。亀井氏に会う。人文学園へ。第八章、発展の法則。十一時家へつく。

今日の教授会はどうだったろうか。井上さんも何も知らせてくれない。

延長戦(長期戦)になったか。

戦争勢力のマヒもありうる。

太っ腹になること。かんしゃくを起さず、じっくりせめること。広津和郞氏のいうごとく。攻める方なのだから、プラスをつみかさねて行くこと。戦争政策のマヒ、狀勢の大変化も近いだろう。

 

○七月五日(火)  雨 暑

午後、みかげ。哲学講座。

シュニアーの教授会でとりあげるという小川君の話。三浦さんがつたえる。どういう意味だろうか。木曜に会う。教授会に出す以上、通る見通しはあると思うのだが。昨日の文学部教授会にはジュニア制度の問題が出ていた。それと関連がありそうだ。

学長、部長にしても、現在の動きをそうそう無視することはできないだろう。頬かむりで休みにもち込みうるかどうか。神戸大学の悪いことをしたのはごまかしようもないので、根本的な弱みがある。問題がひろがって行くことは相当こたえているにちがいない。

発信 竹内良知 眞下信一

受信 花岡謹一郎

 

○七月六日(水)  曇 暑

午後、大阪。民科哲学部会。

阿部眞琴も全くだらしがない。

『国民の科学』に簡單なアピールが出ている。『図書新聞』や『讀書新聞』がのせるようになると、一辺に大きい問題になる。

発信 亀井蔀

 

○七月七日(木)  曇 暑

午後、みかげ。小川君に会う。民科神戸の相談。哲研。

小川君から聞くところによると、狀勢は必ずしも悪くはない。

個人攻撃をして問題をすりかえるのは最も悪質な方法である。古林、阿部。裏切りといえる。

靑木書店から『論理学入門』の寄贈あり。編集費もくる。

発信 山本晴義

受信 野島義一

 

○七月八日(金)  曇 暑

午後、海文堂。

九日の教授会は一つのメドになろう。今井林太郎がどんな陰謀をするか。

疲労、ヒフ病、心労。

いずれいつかは古林喜楽をとっちめる。

夜、『世界』をよむ。

発信 靑木書店

受信 深谷滿

 

○七月九日(土)  晴 暑

午後、大阪。創元社へよる。

ラーマというヒフ病の薬を買う。よさそうなり。

井上さんは学長からまるめられているだろう。おそらく永積さんも。学長をいやらしいと思わないのだろうか。よくもかいならされたものである。

 

○七月十日(日)  晴 暑

休養。午後、長くねむる。疲れ。

山本氏から葉書。東京は物凄く動いている由。具体的にどの位かは分らないが、山本氏が驚いているというから相当だろう。もしこの動きが神大へすでに反映しているとすれば、急轉直下解決するかも知れない。希望的觀測だが。

学長も部長も小心翼々である。事実をバクロされたら責任問題になる。悪いことをしたことはごまかしようもないのだから。休みには入ったが、この勢で押し切る必要がある。全体としては確実に狀勢は進んでいる。

受信 山本晴義

 

○七月十一日(月)  晴 暑

午後、みかげ。海文堂。

夕食後、井上さんの所へ行く。大井、今井往復書翰。今井林太郎のいやらしさ。かぎりなくいやらしい。

法律文化社から『哲学史』十冊着。

ヒフ病、いいらし。手足の方は勢がおとろえてきた。耳はまだよくない。

今井林太郎のヒステリックな手紙。かれが追いつめられてきた証拠である。大井がにくらしくて仕方がないにちがいない。

杉本町の校舎もかえってきた。あせらず、ねばり強くやれば必ず勝つ。今迄の成果も大きい。大きい勢を盛り上げて行くこと。それまで経濟的にもたせること。

 

○七月十二日(火)  晴 暑

午後、みかげ。三時―五時、哲学講座。五時―七時、哲研。『空想から科学へ』開始、

『政界往來』八月号着。

古林、今井、よくもいやらしい人間が揃ったものである。

受信 成田日出雄

 

○七月十三日(水)  晴 暑

午後、大阪。民科。哲学部会(専門部会)。のち、学習部会。

陽子、奨学金來る。

理論社から金來る。

留守中に神港新聞記者來る。科学研究費六万円通ったよし。事実とすれば、だいぶ助かる、六万円入れば、ちょっとらっくりする。

七月八月はシントウにつとめること。九月からは新しい構え方でやらねばならない。今迄の方法は限界にきた。

玉井氏から原稿着。

悪質のデマをふりまく人間のいるのには驚く。武市、古林、今井だろう。大井正の手紙は実にいい。大きい目標ああいうところにむくべきである。

発信 理論社 玉井茂

受信 理論社 尾関文二郎 前野正

 

○七月十四日(木)  晴 暑

午後、みかげ。哲研。

夜『教育タイムス』の原稿を書く。四枚。

ヒフ病よくない。ユウウツなり。やけに暑いのが影響しているだろう。この気候も放射能の影響か。

研究費の件、今朝の神港には出ていない。ウソではないだろう。

九月からはたしかに構え方をかえねばならない。今迄のところでは学長、部長にも致命的打撃を与えていない。しかしかれらには極端に恐れるところがある。眞実をバクロされること。悪いことをしたものは臆病である。

 

○七月十五日(金)  晴 暑

午後、大阪大学附属病院へ行く。志水氏が鳴尾の明和病院へ行っているというので、明和病院へ行って会う。尿の検査。注射。頓服をくれる。昨夜よりはよろし。

恐るべき悪いことをしておきながら、頬被りですまそうというのはけしからん。しかも、眞理の研究をする大学においてのことだから尚更である。あくまで頬被りですごそうというなら、こちらにも覚悟がある。

大井正の言うことは大体正しい。ねばり強くやるべきだ。市大式の特攻隊式は考えものだ。

注射はしている、ヴィタミンはのんでいる、果物はたべている。生活は楽にしている。もうよくなってもいい頃だ。

 

○七月十六日(土)  晴 暑

午後、阪大病院。注射しただけ。民科へよったが、研究費はきていない。

井上さんの所へ行く。

皮フ病、今日は余りよくない。どういうわけだろうか。

発信 人文学園 亀井蔀

 

○七月十七日(日)  晴 暑

午後、みかげ。日文協例会。近藤さんの報告あり。

文部省から研究費の通知がくる。ただし、もう一度書類を出して、金は九月下旬。お役所仕事のバカらしさにあきれる。

ビスオニンの注射を三回する。

皮フ病、昨日よりはいい。昨日はおかしかった。注射を間違えたのではなかろうか。

大井正の山本君への手紙はいい。日本の全科学者を味方にする体制を作らねばならない。大阪には特攻隊的傾向がある。この問題はそう簡單には片づかない。地道につみ上げて行くことが必要である。

受信 文部省

 

○七月十八日(月)  晴 暑

午後、阪大皮フ科。注射。今日でまだ四日目だから、一週間はたたないとよくなるのも目に見えないだろう。

発信 笹川儀三郎

受信 新関嶽雄

 

○七月十九日(火)  晴 暑

午後、みかげ。哲学講座。のち、哲件。皮フ病にもうんざりした。

 

○七月二十日(水)  晴 暑

午後、阪大病院。注射。民科、哲学部会。笹川氏來る。

人文学園、二十五日はもう休暇。

今日はひどく暑い。

発信 山本晴義

受信 人文学園

 

○七月二十一日(木)  晴 暑

午後、みかげ。哲件。人数少し。

古林はアイゼンハウアー、今井はダレス。古林も相当こたえてはいる。今井はヒステリックになっている。かれらは眞実をバクロされたら困るという弱身をもっている。そこをつかねばならない。学長、部長の地位が動揺するところまで行かねば解決しない。

山本君はどうもカンジンのところがぬける。

発信 亀井蔀

受信 柳原吉次

 

○七月二十二日(金)  晴 暑

連日炎暑。三十五度。

午後、明和病院。注射。淸水さんにかかってから丁度一週間。ようやく快方に向ってきたようだ。根気のいる仕事である。

こんどは腹の具合が悪くなってきた。

受信 小林登

 

○七月二十三日(土)  雨 涼

家にいて休養。風呂へ行く。

久しぶりで雨。涼しい。

皮フ病、少しいい。腹も少しいい。

和郞から一万円來る。

発信 小林登 醇郎

 

○七月二十四日(日)  晴 暑

又暑くなった。

一日中家で休養。

皮フ病のひっつこいのにあきれる。ミノファーゲンを二つ注射。

発信 山本晴義

 

○七月二十五日(月)  晴 暑

午後、阪大病院。注射。はじめから見たらだいぶよくなっている。もう一息、とのこと。ぬり薬をちんく油にかえる。

発信 中島

受信 中島

 

○七月二十六日(火)  晴 暑

午後、神戸駅みかど食堂。中島氏に会う。海文堂で古川氏に会う。丸善で「平家物語」を買う。

とにかく皮フ病には根気がいる。

 

○七月二十七日(水)  晴 暑

午後、延世といっしょに朝日会館へ行く。「ドン・カミロ」をみる。面白い。

平凡社の原稿料の催促。

いろいろの問題が山積している。ややこしいかぎり。中途はんぱでスワへ行くようになるのもやむをえない。

発信 陸井四郎 平凡社

受信 陸井四郎

 

○七月二十八日(木)  曇 暑

午後、大阪。市大へ。六時、民科。哲学部会。

とにかく御影のSはだらしがない。けしからん。

大掃除。

名大、愛知大の件。

コーンフォース、まだ出ない。どうかしたのだろうか。

発信 平凡社

受信 母 平凡社

 

○七月二十九日(金)  晴 暑

午後、明和病院。これで二週間。はかばかしくない。みかげへ。哲研。これで終了。

徳球氏、一昨年十月死亡。

留守中に醇郎來る。

発信 図書新聞社

受信 佐藤三郎 図書新聞社

 

○七月三十日(土)  晴 暑

休養。風呂へ行く。

昨日からシッシンにホウタイをする。その方がよさそうだ。

発信 湯川和夫

受信 湯川和夫 醇郎

 

○七月三十一日(日)  晴 暑

午後、醇郎のところへ行く。和郞もくる。法事延期の件など。