○八月一日（月） 晴 暑
午後、阪大病院。かえりに山本君のところへよる。留守。
皮フ病、今日は概していい。もう治ってもいい頃だ。
睡眠のシステムを昨日からかえた。夕食後一度ねて又おきることをやめ。
発信 中村百枝 山本晴義 保坂富士夫
受信 中村百枝 保坂富士夫
○八月二日（火） 晴 暑
一日中家にいる。
皮フ病、快方に向ったらし。
この頃の国際狀勢の動きはなだれのような早さである。戦争政策のマヒに近づきつつある。
発信 亀井蔀 川西洋太郎
受信 黒田稲夫
○八月三日（水） 晴 暑
午後、大阪。阪大病院。民科へ。人数が少くて流会。山本君のところへ行く。おそくかえってくる。諸事打合せ。十時辞す。
発信 図書新聞社
受信 政界往來社 図書新聞社
○八月四日（木） 晴 暑
休養。風呂へ行く。
『図書新聞』の原稿（四枚）を書く。投カン。
○八月五日（金） 晴 暑
午後、明和病院。
明日の京都行は延期。
凊水さんへ行き出してから三週間。ホウタイをした方がいいらしいので、又ホウタイをする。
発信 川西洋太郎 醇郎
受信 亀井蔀
○八月六日（土） 晴 暑
午後、川西きたる。
皮フ病、テイタイ。
原水爆禁止世界大会。
○八月七日（日） 晴 暑
今日も家にいる。あいかわらず暑い。
創元社から金がくる。
皮フ病も治りがおそい。身体全体の問題だろう。
発信 創元社
受信 創元社
○八月八日（月） 晴 暑
午後、阪大病院。注射。
「私のすいせん本」を書いて送る。
皮フ病、手足の方はよく、耳の方が悪い。
発信 山本晴義 亀井蔀 政界往來社
○八月九日（火） 晴 暑
午後、吹田へ行く。スワの件。八時半辞す。
この夏ほどつまらない夏はない。
受信 醇郎
○八月十日（水） 晴 暑
午後、阪大病院。志水氏不在。カンゴフに注射をして貰う。民科へ行く。山本氏來らず。
発信 小松与平 山本晴義
受信 民科
○八月十一日（木） 晴 暑
休養。風呂へ行く。
政界往來の金がようやくくる。
野坂、志田、紺野現る。
発信 政界往來社 平林ます、田中菊雄
受信 平林ます、
○八月十二日（金） 晴 暑
午後、明和病院。大阪へ行って定期を買う。
亀井氏から電報。明日都合悪し、と。
留守中に川西が来る。
今夜は少し涼しい。二十七度。いつもは三〇―二九度。
皮フ病も全体としてはよくなった。七分というところか。
発信 小宮山量平
受信 図書新聞社
○八月十三日（土） 晴 暑
一日中家にいる。
強力ミノフォーゲンＣ五ｃｃ注射。アクゼンは利くようだ。
図書新聞着。拙稿あり。
○八月十四日（日） 晴 暑
一日家にいる。ラジオ（高校野球）をきく。
山本君もなんとかいってくればいいのに。
暑さも峠をすぎた。夜、虫がなく。秋のけはいを感じる。
皮フ病も全体としていい。涼しくはなるし、もうよくなるだろう。強力ミノファーゲンＣ五ｃｃ注射。
八月は雌伏、九月は雄飛。九月からは復歸問題についても戦術轉換をして大いにやる。何物も恐れる必要はない。戦術轉換をして頑張る。八月中に策をねる。
発信 山本晴義 靑木靖三
○八月十五日（月） 晴 暑
午後、大阪。阪大病院。
夜、赤松來る。
藤野氏、コーンフォース訳了の由。
今日で凊水さんへ行き出してから一ヶ月。大体よくはなったが、それでもひっつこいものだ。
敗戦記念日。十周年。
発信 亀井蔀
受信 藤野渉
○八月十六日（火） 晴 暑
一日家にいる。
午後七時半頃少し雨が降る。
今年の秋にはケッセンに持ち込まねばならない。余り長びいてはいけない。神大を根底から動揺させること。文学部の中にとまっていてはならない。
金の問題。研究費、土地の処分で一息つく。九月下旬までが問題である。
とにかくシッシンを治さなければ十分な活動はできない。八月中は他事を放擲して治療に専心すること。八月中には治るだろう。
九月から腹をきめてかからねばならない。今迄のような消極的な態度はいない。（ママ）どうも山本君はたよりない。粗雜である。
発信 藤野渉 川西洋太郎 和郞、
○八月十七日（水） 晴 暑
午後、阪大。志水氏不在。カンゴヅに注射をしてもらう。民科へよる。山本氏來る。
四日市優勝。
たしかに四疊半をもう一つ作りたい。ぼくの仕事の能率も上るし、延世の洋裁ももっと大キボにできる。
皮フ病も七分まではよくなった。しかし、最後のところがきっぱりといかない。
○八月十八日（木） 晴 暑
午後、久しぶりで神戸へ行く。海文堂へよる。
発信 図書新聞社 川西洋太郎 亀井蔀
受信 川西洋太郎 亀井蔀 平林ます、
○八月十九日（金） 晴 暑
午後、明和病院。志水氏不在。カンゴフに注射をしてもらう。
また暑さがぶり返してきた。今夜は一番暑い。
山本英一氏にもらったビールをのむ。
発信 理論社
受信 理論社 靑木靖三 小松綾子
○八月二十日（土） 晴 暑
一日中家にいる。
発信 靑木靖三
受信 藤野渉 川西洋太郎
○八月二十一日（日） 晴 暑
一日中家にいる。風呂へ行く。
ごく少し雨。涼しくなる。
藤野氏から原稿來る。
皮フ病、おおむねよろし。耳が悪い。
目方、四一・五キロ。
発信 藤野渉
○八月二十二日（月） 曇 暑
昨夜の雨でだいぶ涼しくなった。
午後、阪大病院。志水氏不在。創元社へ行く。田代氏に会う。保坂氏不在。
発信 山本晴義 平林ます、伊藤一美
受信 伊藤一美
○八月二十三日（火） 晴 暑
午後三時、梅田。川西君とおちあう。いっしょに京都へ行く。法律文化社へ行く。山元一郎氏と会う。亀井氏と会う。辞典はすぐかかる由。九時家へつく。
この秋には問題が解決するようなカンがする。とにかく大きい問題になる。今迄で相当シントウしたが、これが地盤になる。僕も九月からは腹をきめてかからねばならない。それが勝利への道である。
○八月二十四日（水） 晴 暑
午後、阪大病院。志水氏歸っている。注射。民科へよる。山本氏から電話で連絡あり。
『偉大なる道』讀了
手足はほとんどいい。耳も大したことはない。問題はＭ。
九月からは大いに活躍したい。
受信 醇郎
○八月二十五日（木） 晴 暑
午後、みかげ。駅で小川君に会う。研究室で靑木君に会う。
○八月二十六日（金） 晴 暑
午後、明和病院。のち、山本君のところへ。夕食後、改訳の打合せ。
眞下氏からフォイエルバッハ『哲学史（下）』の寄贈あり。
受信 和郞
○八月二十七日（土） 雨後曇 涼
久しぶりで雨らしい雨が降る。涼しくなった。
一日中家にいる。
九月からのこと。正攻法で攻めればそうむずかしいことはない。相手はそう強いわけではない。今迄は学長の手に乘った形であった。戦術轉換。遠慮なしにやる。民科も民科全体のものにする。
○八月二十八日（日） 曇 暑
低気圧のくる前でむしあつい。
風呂へ行く。
田中さんから書物四冊寄贈あり。
発信 眞下信一 田中菊雄
○八月二十九日（月） 曇 暑
午後、阪大。志水氏不在。馬場氏に注射をして貰う。
むしあつい。
学長も部長も、夏休みにもちこめばウヤムヤになると思ったろう。どっこいそうはいかない。秋季攻勢がはじまる。問題は大きくなるばかり。学長としてはほってはおけなくなるだろう。秋にはなんとかなりそうだ。狀勢もよくなっている。
受信 深沢幹男
○八月三十日（火） 雨 冷
久しぶりで散髪する。
寒冷前線がきて雨が降る。
○八月三十一日（水） 晴 暑
秋らしくなったが、まだ暑い。
午後、阪大。のち民科。
石母田正『歴史の遺産』讀了。
八月が終る。七月八月は苦しい月日であった。九月からは少し活溌に動きたい。幸、シッシンも大体よくなった。
受信 京都人文学園、