○九月一日(木)  晴 涼

静かな二百十日。

午後、みかげ。三浦さん、笠井さん、小川君に会う。

九月の活動はじまる。皮フ病も大体よろし。耳が一番悪い。右より左の方が悪くなった。Mもだいぶいい。

戦術轉換。学長、部長に打撃を与えること。元気で行こう。

從來の日和見を一擲をする。文学部の先生方は四年前の頭である。新しい狀勢に○○(適応)できない。

シッシンが大分よくなった、八月ですっかりよくなる予定であったら九月にかかった。

発信 人文学園

受信 ソ研

 

○九月二日(金)  晴 暑

午後、明和病院。海文堂へよる。高教組へ行く。民科の件。

 

○九月三日(土)  晴 涼

午後、六甲映畫へ行く。「たけくらべ」と「こころ」をみる。「こころ」は退屈。

やはり映畫を見るのは気分轉換にいい。

今年の秋には国際狀勢、国内狀勢に大きな変化があるような気がする。戦争屋の最後のあがき。

『財閥』をよむ。

発信 ソ研

 

○九月四日(日)  晴 暑

休養。風呂へ行く。

コーンフォース、改訳にかかる。

発信 中村吉治

受信 中村吉治

 

○九月五日(月)  晴 暑

午後、阪大病院。丸善でインクとペンを買う。仕事をするつもり。

皮フ病、よろし。ちんく油のかたまったのがはげてきた。

明日の哲学講座の予習。学生がくるかどうか。

発信 中村吉治 理論社

受信 理論社 人文学園

 

○九月六日(火)  曇 暑

午後、みかげ。靑木君と会い、バンビへよる。哲研。座談。

受信 和郞

 

○九月七日(水)  晴 暑

午後、阪大。

民科、哲学部会。山本君來らず。

受信 船山信一

 

○九月八日(木)  晴 暑

午後、みかげ。市川氏、小川氏に会う。

小宮山氏から手紙。コーンフォース、一、二はすみ。三をいそぐこと。

発信 山本晴義

受信 理論社

 

○九月九日(金)  雨後曇 暑

午後、明和病院。

白松が最中着。

筒井來る。民科の件。

関西学院新聞の原稿「マルクス主義」を書く。五枚。

 

○九月十日(土)  晴 暑

午後、吉治氏來る。

関西学院へ原稿を送る。

『認識論』の原稿を見はじめる。割合によくできている。

発信 小宮山量平

受信 平林正二郎

 

○九月十一日(日)  晴 暑

風呂へ行く。休養。

コーンフォースの原稿を見る。出來はふつう。分りにくい所もある。文章も余りいいとはいえない。

 

○九月十二日(月)  曇 暑

午後、京都。亀井氏にあう。六時、人文学園。第九章。

発信 山本晴義

受信 山本晴義

 

○九月十三日(火)  晴 暑

午後、みかげ。哲学講座の打合せ。陸井君に会う。

コーンフォースの訳をみる。文章は気に入らない。

この秋は少しあばれよう。

 

○九月十四日(水)  曇 暑

低気圧がきてむしあつい。

午後、阪大。のち、民科。山本氏來らず。

 

○九月十五日(木)  曇 暑

午後、みかげ。哲研、打合せ。

この二、三日むしあつい。そのためか、皮フ病、余りよくない。

原稿をみる。

受信 大井正

 

○九月十六日(金)  晴 冷

午後、明和病院へ行く。梅田へ行く。デリシャスで醇郎に会う。スワの報告をきく。

涼しくなったので、シッシンいいらし。

夜、原稿を見る。藤野渉の訳も余りよくない。文章がまずい。

 

○九月十七日(土)  晴 暑

風呂へ行く。又むしあつい。

夜、原稿を見る。

戦争末期、大本営は、負けていながら勝った勝ったと放送していた。いまのアメリカ政府は同じことをしている。戦争政策のマヒも近いであろう。頑張れ。

発信 山本晴義

 

○九月十八日(日)  雨 冷

午後、勤労会館へ。民科神戸支部の準備總会。

山本氏來らず。どうも大事なところで抜ける。

夜、原稿を見る。

発信 大井正

 

○九月十九日(月)  晴 涼

午後、大阪。阪大病院。醇郎もくる。デリシャスへよる。

夜、原稿をみる。

 

○九月二十日(火)  曇 冷

午後、みかげ。長倉というのも情けない人間だ。バンビで武市に会う。

山本君はいったいどうしたのだろう。

「関西学院新聞」着。

明日から下旬。研究費が來てもいい。

夜、原稿を見る。

なさけない神大S。

これからは積極的に出る。武市グループへねじ込んだのが手始め。永積さんにも会う。ついで、部長、学長。一度にかんしゃくをおこしてもニヒルになる。ねばり強くやること。

 

○九月二十一日(水)  晴 暑

午後、大阪。阪大病院。醇郎來る。久しぶりで南を散歩。六時、民科。

まったく山本君はおかしい。

志水氏、今日から月末まで北海道へ。

発信 山本晴義

 

○九月二十二日(木)  晴 暑

午後、みかげ。猪野、堀、原光雄 靑木、名越氏等に会う。

山本君は全くおかしい。

夜、原稿を見る。

 

○九月二十三日(金)  曇後雨 暑

午後、みかげ。靑木君に会う。上林の件について聞く。海文堂へ行く。ひがんだんごを買ってかえる。

青木から編集費がくる。

夜、原稿を見る。

シッシン、また少し悪い。

受信 靑木書店

 

○九月二十四日(土)  晴 涼

午後、神戸東寶で「新平家物語」をみる。佳作。

山本君からようやく返事がくる。忙しいといっても、もっと早く何とか云ってくるべきであった。二週間放任はひどい。

夜、原稿をみる。訳は悪くないが、文章は気に入らない。

シッシン、よろしからず。どうして治らないのだろう。

受信 山本晴義

 

○九月二十五日(日)  晴 暑

風呂へ行く。

靑木から原稿用紙二九冊着。

アイゼンハウアー倒る。桐一葉。

夜、飜訳をみる。まずい文章だ。棒訳し。

山本君もたよりない。いくら忙しいからといって、葉書一枚位は書ける筈だ。藤本さんの所へ行くのが、少くも一週間は早くできた筈だ。

神戸大学もひどいものだ。悪いことをしておいて頬被りですまそうで(ママ)いうのだから。

発信 山本晴義 靑木書店 理論社

 

○九月二十六日(月)  晴 暑

午後、京都。法律文化社へよる。六時、人文学園。今日で終り。

『認識論』第七章までの原稿を理論社へ送る。

 

○九月二十七日(火)  曇後雨 冷

午後、みかげ。永積さんに会う。

シッシン、よくない。

ニューヨーク株大暴落。

夜、原稿を見る。

神戸勤労協の件。

 

○九月二十八日(水)  曇 暑

午後、大阪。民科。藤本、笹川、重原。おそく甘粕さん來る。

シッシン、よくない。静脈注射をやめたからだろう。

夜、原稿をみる。

山本君の健忘症のためだいぶ予定が狂った。民科もこれからは陣容をたて直してやる。

発信 大井正

 

○九月二十九日(木)  曇 暑

午後六時、民科。山本君と会う。いっしょに藤本さんの所へ行く。川西君があとからくる。ジュクの件など。

『哲学小辞典』追加分の校正きたる。

文部省から研究費決定の通知きたる。

台風二十二号九州上陸。

靑木から原稿用紙二十七冊着。

受信 文部省 和郞

 

○九月三十日(金)  曇 暑

一日中家にいる。山本氏來らず。

台風二十二号、日本海へ去る。

シッシン、若干よろし。ブクブク吹き出すのはとまったようだ。

法律文化社へ校正を送る。

夜、原稿を見る。

十月、『哲学小辞典』、それにコーンフォース三冊が出る。『弁証法入門』も増刷していい頃だが。

ジュクでやっていけるなら相当の時間とエネルギーを費やしてもいい。山本君がもっと早くやってくれたらよかったのだが。

発信 小松与平 醇郎