○十月一日(土)  曇 暑

午後四時、大阪。民科。哲学部会専門部会。

夜、原稿を見る。

悪質な宣傳が行われている。これは敵が恐怖している証拠である。

ジュク、家庭教師、それに勤労協。これが順序がつけば生活の設計はたちそうだ。そうなれば落ちつきもできる。それにしてもシッシンを早くなおすこと。十分に活動できるようにすること。

発信 志水

受信 理論社

 

○十月二日(日)  曇 冷

風呂へ行く。

鏡里十四勝一敗で優勝。

台風二十五号近づく。

文部省から金がこない。

夜、原稿を見る。

シッシン、大体いい。悪化の勢はとまったようだ。

どうも身体に元気がない。

発信 図書新聞

受信 図書新聞

 

○十月三日(月)  曇 冷

午後、阪大病院。志水氏不在。馬場氏に注射をして貰う。

台風、西へそれる。

靑木から『弁証法的唯物論(三)』の寄贈あり。

家庭教師のお弟子きたらず。

文部省から金きたらず。

醇郎から電報。今日行けぬ。

夜、原稿を見る。

シッシンも、静脈注射をもう少し續けたら、こんどはよくなるだろう。気候もよくなるし。もう、そう悪化することはないだろう。

小松問題を社会問題にしてやる。

台風○○○(山口県)へ行く。

発信 図書新聞 醇郎

 

○十月四日(火)  雨後曇 暑

午後、みかげ。誰もいない。

夜、原稿を見る。

東大、法政に勝つ。五十三試合目。

ニューヨーク株又暴落。

十月十日頃から活躍する。それまでにコーンフォースを見てしまうこと。シッシンをなおすこと。

受信 知性

 

○十月五日(水)  晴 冷

午後、大阪。阪大病院。志水さんに注射をして貰う。五時、デリシャス。醇郎に会う。六時、民科。哲学部会。

文部省から金がくる。

勤労協の加藤氏來る。

発信 知性 湯川和夫

 

○十月六日(木)  曇 冷

午後、神戸銀行で金をうけとる。みかげへよる。小川君に会う。ジュニアーの件。

山本君來らず。全くあいそがつきる。

シッシン、こんどはよさそうだ。

コーンフォース、第一巻のゲラがくる。品の悪い、悪文にしてしまった。

発信 理論社 山本晴義

受信 理論社 図書新聞 重原実立

 

○十月七日(金)  晴 暑

午後、明和へ。志水さん、病気で休み。みかげへ行く。哲研について学生と相談。

校正を見る。ガサツな文章になってしまった。原稿(八―十一章)といっしょに荷造りする。

発信 山本晴義

受信 山本晴義 井尻正二

 

○十月八日(土)  晴 寒

午後、海文堂へ行く。丸善で谷口君に会い、森永へよる。

原稿、校正を送る。

寒波襲來。夜、室内十六度。シッシンも引込むだろう。

夜、原稿を見る。

発信 井尻正二

 

○十月九日(日)  晴 暖

祐二郞と二人で家にいる。しづか。風呂へ行く。

夜、原稿を見る。

 

○十月十日(月)  雨 冷

午後、大阪。阪大病院。志水さんに注射をしてもらう。

図書新聞で復歸の件をとり上げる由。学長、部長は驚くだろう。こっちもそう甘くはない。

夜、原稿を見る。

台風二十五号きたる。

シッシン、大体いい。静脈注射を續けたらよくなるだろう。

ジャーナリズムで少し書きたてたら、学長も何とかするだろう。悪いことをしたものは臆病だ。スネにキズをもつ身の弱さ。ジュニアーの問題と結びつけばいいが。

朝、ホウタイをとってみて、バリッとくっついているような所はなくなった。

受信 湯川和夫 図書新聞

 

○十月十一日(火)  曇 寒

午前中強風。午後から静かになる。台風一過。

午後、みかげ。靑木、井上(庄)に会う。

シッシン、どうやらいいらしい。

急に寒くなった。夏から冬へ。

梯、倒る。

夜、原稿を見る。全部終了。東京で強引な直し方をするから、手を入れても仕方がない。

ニューヨーク株三回目の暴落。恐慌になるかも知れない。アメリカの戦争政策も土台から揺らぎ出した。

発信 湯川和夫

 

○十月十二日(水)  晴 寒

午後、阪大へ。注射。六時、民科哲学部会。重原氏、岡氏に会う。

哲学小事典の再校來る。夜、校正を見る。

アデナウアー病気。アイゼンハウアー、アデナウアー、鳩山。反動勢力没落の象徴。

発信 靑木靖三

 

○十月十三日(木)  晴 暖

午後五時半、阪急西宮北口。山本君とあう。いっしょに黒木氏を○う。ジュクの件について相談。かえりに寶塚で山本君と相談。

校正を法律文化社へ送る。

大井君から山本君へ「要請文」きたる。よくできた文章である。

夏休みにもち込んでウヤムヤにしてしまえると思ったら、学長も部長も甘すぎる。

受信 理論社

 

○十月十四日(金)  小雨 暖

午後、明和病院へ。余り長いので、カンゴフもあきれている。

本多顯彰の『指導者』をよむ。

 

○十月十五日(土)  晴 暖

午後、海文堂へ行く。

『指導者』讀了。面白い。

昨日明和で貰った薬はよく利く。

「指導者」の流儀で、ぼくが神戸へ來てからのことを書けば、すばらしく面白いものができる。

署名運動も重要ではあるが、それだけでは勝てない。限界がある。学長、部長に打撃を与えねばならない。プレス・キャンペーン。

 

○十月十六日(日)  晴 暖

休養。風呂。

『思想』『世界』着。『婦人民主新聞』『平和新聞』ストップ。

『図書新聞』、こんどのにはでていない。

『世界』に『哲学小事典』の広告が出ている。

学長、部長は、非常に恐れている所がある。ビクビクしている。

『世界』をよむ。

プレス・キャンペーンのことを考える。『図書新聞』のこの次に出るだろうが、その反響を見ること。少くも神戸大学ではかなりの問題になるだろう。

來週からは研究会がはじまる。

発信 婦人民主新聞 平和新聞

 

○十月十七日(月)  晴 暖

午後、阪大病院。コオノ氏死去の由。

シッシン、よろし。

『国際新聞』に『哲学小事典』の広告がでている。

夜、『世界』をよむ。

学長、部長をいじめてやろう。予想以上にこたえるだろう。

民科にはスピードの感覚がない。アメリカ的ビジネスがない。

シッシンも、ようやく、治るという自信があるいは見当がついた。

『唯物論と弁証法』の校正は理論社で見ているのかも知れない。勝手のことをするから。

受信 友広淸

 

○十月十八日(火)  雨 冷

午後、みかげ。哲研の打合せ。

『新日本文学』十月号に例の問題、出ている由。

友広淸へ『弁証法入門』を送る。

今の段階ではプレス・キャンペーンに全力をつくすべきだ。

発信 友広淸

 

○十月十九日(水)  小雨 寒

午後、阪大病院。志水氏不在。ババ氏に注射をしてもらう。六時、民科。今日で『哲学史』終り。つぎは茶話会。そのつぎから毛沢東の『実践論・矛盾論』。

『図書新聞』がどの位の大きさで出すか、またその反響を見よう。だが、プレス・キャンペーンをやるなら大がかりにやらねばならない。

理論社はだまりこくっている。したがって、原稿の一部を依然おさえてかく。

発信 図書新聞

 

○十月二十日(木)  台風 寒

台風二十六号、突然來る。紀伊半島を横断。夕方から静かになる。

午後、みかげ。

発信 図書新聞 理論社

受信 日本文化人会議

 

○十月二十一日(金)  晴 寒

午後、明和病院。元町海文堂へ行く。

コーンフォース『認識論』の残りの原稿を理論社へ送る。

『ノイローゼ』をよむ。

寒い。夜、室内十五度。丹前をきる。

これからプレス・キャンペーンをはじめる。反動は臆病だから案外妥協を申し込んでくるかも知れない。それは甘いか。

発信 勤労協

受信 関西勤労協

 

○十月二十二日(土)  晴 寒

午後、延世といっしょに新開地の松竹劇場へ行って、「あこがれ」と「靑銅のキリスト」を見る。

『図書新聞』、こんどのにものっていない。

 

○十月二十三日(日)  晴 暖

午後、大阪。民科、専門部会。甘粕、森、山本氏等。

夜、『ノイローゼ』をよむ。

家庭教師より勤労協で動いた方が有利だ。山本氏との話し合い。

○十月二十四日(月)  晴 暖

午後、阪大。会議でまたされる。

留守中に家庭教師の子供二人きたよし。

日本哲学会、十一月十九日、二十日。千葉大学で。

明日の哲研の予習。

ひじょうにおくれたが、いろいろのことが順序がついてきたように思う。署名運動、カンパ、勤労協、家庭教師。哲学部会専門部会のカンパ、御影の研究会。ジュクは一番おくれている。

古林㐂楽、今井林太郎をやっつけなければ承知しない。プレス・キャンペーン。

 

○十月二十五日(火)  曇小雨 暖

午後、御影。銀行、郵便局。大井正へ千円送る。分校へ行く。陸井、小川に会う。五時―七時、哲研。

神大は無風狀態。

法律文化社から検印紙きたる。『小事典』印刷中。

夜、明日の用意。

『ノイローゼ』をよむ。

発信 大井正 山本晴義

受信 法律文化社

 

○十月二十六日(水)  曇後晴 暖

午後、阪大病院。大阪から塚口へ。森永工場へ行く。六時―八時。講座。

『ノイローゼ』讀了。

受信 小宮山量平

 

○十月二十七日(木)  曇 暖

午後、御影郵便局。海文堂へ行く。『弁証法入門』増刷する由。

検印紙を法律文化社へ送る。

『長周新聞』の原稿「自分の穴の中で」を書く。

発信 亀井蔀 政界往來社 靑木書店 勤労協

受信 政界往來社 靑木書店 勤労協

 

○十月二十八日(金)  雨 冷

午後、明和病院。終着駅近し。

五時、御影。哲研の打合せ。どうも、この秋は御影もすっかりぼけた。

この頃は、大体夜二十度。一時より?くなった。

『自分の穴の中で』終り。五枚。発送。

睡眠不足。

 

○十月二十九日(土)  晴 暖

午後、風呂。二週間のアカをおとす。シッシンはこの二週間で随分よくなった。散髪。これも二ヶ月ぶり。

大井君に、こちらの狀勢を知らせてやる。

『哲学小事典』寄贈の住所をしらべる。

発信 大井正

受信 大井正

 

○十月三十日(日)  曇 寒

午後六時、生田公会堂へ。柳田謙十郎氏の講演会。十分ほどしゃべらせられる。

法律文化社へ寄贈のリストを送る。

山本君がもう少ししっかりしているといいのだが。

しかし、今日は久しぶりで大勢にたいしてしゃべって愉快であった。レクリエーションになった。神戸との結びつきのきっかけにもなろう。講師活動を積極的にやるのが差当っての方法である。

神戸で一番優秀なのは僕ではないか。僕を利用しないという法はない。差当っては講師活動に出ること。家庭教師よりその方が有利である。

 

○十月三十一日(月)  曇 寒

午後、阪大病院。のち、ビ研へより、奥野氏に会う。レントゲンをとって貰う。

明日の予習。

発信 勤労協 山本晴義 醇郎 理論社

受信 勤労協