○十一月一日(金) 晴 暖
午後、みかげ。国際共同行動デーで閑散。
西鉄優勝。
発信 醇郎
受信 醇郎
○十一月二日(土) 晴 暖
午前、みかげ。創元社へ電話をかける。
午後、入浴。
井上さんに会う。どうもボケている。
一昨年の今日、塩田さんへ行った日。よくここまで來たものだ。あの日は寒い風が吹いていたように記憶する。
今度はどんなことがあっても引下るわけにはいかない。背水の陣で。今をきめて、しかもゆっくりかかること。あわてないこと。
『愛の証言』讀了。二度目。一度目はつまらないと思ったが、二度目の方が面白かった。
○十一月三日(日) 晴 暖
午前、兒玉医院。天治でそばをたべて御影分校へ行く。二時から哲学研究会。コーンフォースと椎名麟三「愛の証言」について。熊野君、神谷君等出席。
第二回人工衛星発射。こんどは犬が乘っている。
陽子、風邪発熱。
『それから』をよむ。
古林さんへ手紙を書くことも一つの方法だ。
受信 三上陸
○十一月四日(月) 曇 暖
午後、みかげ。靑木君等に会う。
再校、七七~一五〇ページ、着。
校正をみる。七七~一〇〇ページを創元社へ送る。
○十一月五日(火) 曇 冷
午後、みかげ。小川君に会って様子を聞く。それにしても井上さんは冷淡だ。陸井三郎氏に会う。猪野さん來る。
祐二郞、インフルエンザ、発熱。杉原さんに來て貰う。陽子はよくなる。
再校、一〇一~一五〇ページを創元社へ送る。
再校、一五一~二二二ページ着。
校正をみる。一五一~一八八ページを創元社へ送る。
発信 醇郎
受信 醇郎 岩波雄二郎
○十一月六日(水) 晴 暖
午前、兒玉医院。みかげへよる。猪井さんといっしょに天治へよる。
午後、入浴。靑木へ新聞を買いに行って、サイフをおとす。珍しいことだ。だが、まあヤクオトシとしておこう。
校正、残り全部を創元社へ送る。これで再校終り。三校は保坂さんが見るだけですむだろう。
延世が楠さんから聞いた話。神戸大学の無責任にもあきれたものだ。
祐二郞、快方にむかう。
三田、井上、靑木もだらしがない。この三人で統一戦線を作ったら、岡田さんをおし切る位わけはない。靑木君が先頭にたたねばならない。あわれなコミュニストだ。
○十一月七日(木) 晴 冷
午後、区役所で選擧人名簿をしらべる。御影分校へ行く。保坂氏へ電話をかける。十一月下旬に出來る。三千部。陸井君に会う。永積さんに会う。流泉書房へ行く。古川君に会う。井上さんへ、永積さんからのことづけ。今井さん等も考えている。
月食。
『西鶴』をよむ。面白い。
○十一月八日(金) 晴 寒
午後、関西学院大学へ。日本哲学会大会。東京からも大勢きている。
『岩波茂雄伝』着。
西鶴をよむ。
夜、室内十四度。久しぶりの寒さ。立冬だけのことはある。
受信 秋田和美
○十一月九日(土) 晴 暖
午後、関西学院。日本哲学会、シンポジウム。五時、觀光バスで芦屋会館へ。日哲のコンシン会。七時終了。
発信 甘粕石介
受信 甘粕石介
○十一月十日(日) 晴後雨 暖
午前、兒玉医院。今日から又カルシウム、ヒドラジッドにかえる。御影分校へ。日文協関西大会。猪井さんの研究報告など。のち、三の宮のヤマトでコンシン会。東京からも近藤氏等参加。
西鶴をよむ。
○十一月十一日(月) 曇小雨 暖
午後、みかげ。閑散。三浦さんも休み。
『弁証法』も校了になっていい頃だ。検印紙もきていい頃だ。
日本のコミュニストもコミュニスト・パーティも、今のような狀態では全然だめだ。絶望とまではいわないが、絶望に近い。スターリン批判の問題をまともにとり上げず、形だけまねて徳球批判をするに至っては醜体である。
発信 亀井蔀、山口栄子、日本文学協会、小松醇郎、西牟田久雄、岩波雄二郎
○十一月十二日(火) 晴 暖
午後、みかげ。三浦さん、猪井さんに会う(ともにインフルエンザ)。永積さんもインフルエンザで休み。笠井さんに会う。小川君も來らず。風邪か。
夜、外大の学生來る。
『世界』をよむ。
受信 醇郎
○十一月十三日(水) 晴 冷
午前、兒玉医院。
みかげ。猪野さん、猪井さんと天治へ行く。分校へかえる。岡田さんと会う。三時―五時、山元氏のドイツの話。余り面白くない。山元、岡田、堀、井上、靑木氏等と有楽へ行く。
外大の学生來る。原稿の件。
こんどは紘一郎発熱。
○十一月十四日(木) 晴 暖
午後、みかげ。醇郎來る。和郞のこと、スワのことなど聞く。
『人民』十一月号着。
ルフェーヴルの論文(『中央公論』十一)をよむ。面白い。日本にも参考になる。
岡田さんの心境に若干変化がきたように思う。恐らく当っているだろう。この側面を押して行くことが、結局キイ・ポイントだろう。
保坂氏、インフルエンザで休み。
発信 三上陸
○十一月十五日(金) 晴 暖
午後、市長選擧。みかげ分校。保健室で注射。これでミノファーゲン終り。創元社へ電話をかける。保坂氏出社。今日で校了。十日位で本ができる。醇郎に会う。白ダンへよる。
とにかく森さんには困りものだ。一度はっきりいう必要があろう。
ぼくの経濟事情を岡田さんは知っているだろうか。知ってるらしく思われる。かれの態度にも微妙な変化がみられる。
ルフェーヴルの論文は面白い。日本人もこういう論文を書くべきだ。
受信 西牟田久雄 淸水正徳
○十一月十六日(土) 曇 冷
午後、入浴。散髪。
休養。
『人民』の原稿用紙五冊着。
検印紙來らず。保坂さんボケたのかも知れない。
ルフェーヴルの論文をよみ返す。たしかに重要な論文である。日本にとっても。
ミノファーゲンの注射がおえたから、今日からはコーボンをのみ始める。
考えてみれば、ぼくの『人民』(3)にのせた論文はかなり重要だ。『中央公論』にでものれば、かなり反響をよぶにちがいない。
発信 苺書房 西牟田久雄
○十一月十七日(日) 曇小雨 暖
午前、兒玉医院。
午後、浪速莊へ。仲人と(を)して居る甘粕さんに会う。哲学部会。『現代思潮』第三号について。森さんにもうんざりする。ルフェーヴル
『ナポレオン』をよむ。面白くない。
女の問題に入らず、(4字不明)森口さんの饒舌で終った。
○十一月十八日(月) 晴 暖
午後、みかげ。淸水正徳氏といっしょにバンビへよる。分校へ行く。保坂氏へ長話。今日校了、印紙も送るよし。この前と同じことをいう。靑木君等に会う。醇郎に会う。和郞のことをきく。「哲学」で何かの会議。大体見当はついている。
学長選擧。
『弁証法讀本』のできるのは、十一月の末。予定より一ヵ月おくれた。止むをえないが、十一月中に出れば、まず我慢せずばなるまい。
○十一月十九日(火) 晴 暖
午後、みかげ。永積さん、悪いらし。
流泉へ行き、古川君に会う。
森さんのスターリン主義にも困ったものだ。
外大新聞の原稿を書く。終了。七枚。
大相撲、全勝は玉乃海だけ。
亀井氏、頰被り。創元社から印紙來らず。どうも本屋はいい加減なものだ。
発信 三上陸
受信 三上陸
○十一月二十日(水) 曇 寒
検印紙ようやく到着。
午前、兒玉医院。みかげへよる。遠山さんに会う。
午後、入浴。
外大の学生、原稿をとりにくる。
古林学長再選。
『中央公論』をよむ。
○十一月二十一日(木) 晴 寒
午後、天王寺の市大病院へ行く。和郞を見舞う。いいらし。
森さんのいうことは、創価学会の折伏と同じ。
十八日の件。たぶんぼくのことを相談していたのだろう。しかし、今相談するのは良い方のことだろう。悪いことなら、今頃相談することは何もない筈だ。
『山形文学(十一号)』着。
『現代思潮』の原稿を書く。
受信 西牟田久雄
○十一月二十二日(金) 晴 暖
午後、みかげ。歴研準備会。透谷についての報告。のち、遠山氏をかこむ座談会。司会をする。
『現代思潮』の原稿を書く。八枚。送る。
三浦さんいわく、「陸井先生より小松先生の方が、精神的年齢は若い。」
発信 常井直正 西牟田久雄
受信 小松松男 亀井蔀
○十一月二十三日(土) 晴 暖
午後、延世、祐二郞といっしょに三の宮へ行く。そごうで濕度計を買う。元町の高砂屋でテレビを見る。玉乃海、優勝決定。
山口さんから葉書。
祐二郞、検印終り。三、〇五〇でなく、三、〇〇〇らしい。創元社へ送る。
濕度計、四五〇円也。
陸井四郎の教條主義にも困りものだ。森信成に至っては、もっとひどい。精神鑑定ものだ。
発信 月刊社会科 亀井蔀 小松松男 保坂冨士夫
受信 山口栄子
○十一月二十四日(日) 成 暖
午前、兒玉医院。久しぶりで診察する。異狀なし。血圧、一〇二と六八。
午後、分校。哲学研究会。コーンフォースの續き。『陷没の世代』について。
玉の海、全勝優勝。
今日から冬服になる。今年はたしかに暖い。
今日から電気コタツを入れる。
『人民』の原稿、書き始め。
石母田正『平家物語』をよむ。面白そうだ。
受信 根來敬
○十一月二十五日(月) 曇 冷
午後、みかげ。創元社へ電話をかける。印刷所の都合で又おくれる由。おくれるのはいやになってしまう。
インフルエンザにかかったらしい。
三時から社研。武智論文について。
陽子、実力試験で一番だったよし。
今日からレンタンをいれる。電気コタツは外す。
原稿を書く。
咳が出る。大したことはないが。
猪井さんに久しぶりで会う。永積さんはこの木曜から出る由。
竹内良知が近頃書くものは、さむざむとして、泣きたい程退屈だ。
受信 森信成
○十一月二十六日(火) 小雨 冷
印紙五〇着。すぐ捺印して送る。印刷は二七日に完了。それから製本。出來上りは、二~三日頃。見本だけ三〇日にできるかも知れない。
午後、みかげ。小川、百瀬、井上氏等に会う。かえりに、醇郎、のぶよといっしょに白ダンへよる。
古林㐂楽がこんなにくさっているとは思わなかった。
インフルエンザで気持が悪い。
原稿を書く。
神大の無責任には驚く。こんなひどいことがありうるものだろうか。皆頰被りをしている。
発信 保坂冨士夫
○十一月二十七日(水) 晴 暖
午前、兒玉医院。インフルエンザ、大したことないよし。分校へよる。
アイク倒れる。NY株暴落。悪條件がかさなっている。一九二九年のようになるかも知れない。
原稿少し。
今のところは、小川、百瀬、井上、永積等にまかせておくのがいいだろう。とにかく神戸大学の無責任にはあきれる。
インフルエンザ、昨日よりは気分がいい。この位で治るだろう。
『平家物語』をよむ。
『弁証法讀本』は題は『讀本』だが、単なる入門ではなく、かなり高度の問題も入っており、それより、全く新しい領域を開拓した所に意味がある。
○十一月二十八日(木) 曇 寒
一日中休養。インフルエンザも大体いいらし。
夕方から温度急降。
『学園新聞』に『弁証法讀本』の広告が出ている。
原稿。
発信 山口栄子 三上陸
受信 山口栄子 西牟田久雄
○十一月二十九日(金) 晴 寒
午後、みかげ。創元社へ電話。出来上りは十二月五日。最後の所へきて、おそいのはかなわん。
巡政民氏から抜刷がくる。
鼻汁が出るようになる。
『人民』原稿。來年はジャーナリズムへ出られないだろうか。
大学は大義名分を明かにせねばならない。神戸大学のやること、言うこと、しみったれていて全くいやらしい。楠さんを一度とっちめねばならない。
○十一月三十日(土) 晴 暖
午後、みかげ。理論部会。小川君と岸さん。終って、白ダンへよる。
インフルエンザが治らないと見えて気持が悪い。
原稿。二九枚で終り。
古林㐂楽ほどけしからん人間はない。一度徹底的にやっつけたい。
哲学界へ新風を吹きこまねばならない。全く沈滞している。
こんどの原稿はかなりしんどかった。