○三月一日（土） 曇小雨 寒
午後、大阪。メトロへ行く。国際新聞の新発足記念パーティ。總評の中井君に会う。「眼には眼を」の試写招待券を貰い、朝日会館でみる。佳作。八時半終了。
国際の原稿を送る。テーマ、「入学試験」。
理論部会、欠席。
国際に書くことが、マスコミに乘るきっかけになればいいが。これはかなり期間にわたるから、その中にきっかけができるだろう。
今日は定期の使いぞめ、国際の件、秋田さんの件、何だかさいさきがいいような気がする。四月からの生活の安定ができればいいが。実現しそうだ。
常盤高校へ行って長くしゃべって僅かの俸給を貰うより、原稿を書く方がいい。
発信 秋田和美 甲斐誠三
受信 秋田和美
○三月二日（日） 曇 寒
午前、兒玉医院。
午後、散策。
山口さんから薬着。
『人間の條件』をよむ。第一部はそう面白くはない。
明日、明後日、陽子の入試。
『星雲』の執筆者、関西ではベスト・ライターだ。『朝日』の「きのうきょう」よりはよくなる。
夜、室内九度。久しぶりで十度以下になった。
受信 岩波書店 山口栄子
○三月三日（月） 晴 寒
今朝、零下三度。寒波襲來。季節風強し。
午後、みかげ。事務室で時をすごす。
「星雲」、今迄の所では平凡。
みかげのかえり、長倉君の所へより、砂糖を貰う。
『それから』をよむ。
「星雲」を見ると、矢内原伊作もつまらない人間だ。前芝、小野もイージー・ゴーイング。
発信 三上陸
受信 三浦壽美子
○三月四日（火） 晴 寒
午後、みかげ。入学試験終了。
陽子、数学ができなかった由。
『人民』（三月号）着。「人間の研究（二）」がのっている。『国際新聞』「星雲」に「入学試験」がのっている。
創元社から印税がくる。
今朝、零下二度。
夜、雜用。『それから』をよむ。こんどは割合に面白い。
発信 苺書房 トルーマン
受信 創元社
○三月五日（水） 晴 暖
午後、みかげ。杉島君きたる。各室とも答案しらべ。
山下正子さんから『サンデー毎日』着。
山口栄子さんから電報。明日行けぬ。
「星雲」、松田さんのはいい。一番つまらないのが矢内原伊作。
夜、入浴。
兒玉医院。今日は行かず。
発信 山田宗睦
受信 山口栄子 山下正子
○三月六日（木） 雨 冷
午後、大阪。創元社へよる。秋田さんへ電話をかける。休み。山口さんへ電話をかける。国際新聞へ行く。末永氏に会う。
『山形大学紀要』（四・一）着。
明日の哲学研究会の用意。
発信 横山智子
○三月七日（金） 曇 暖
午後、みかげ。
六時、三浦さんといっしょにＫＣＣへ行く。哲学研究会。九時終了。
「星雲」、小川隆太郎、今日のはいい。文章もいい。
横山さんから電話。民科の件。
『人民』二月号着。座談会がいい。
発信 ハタ 苺書房 山形大学 秋田和美
受信 アカハタ 苺書房
○三月八日（土） 晴 暖
午後、三の宮。流泉書房。
国際の原稿「眼には眼を」を送る。
神戸大学のやつらのいやらしいことは言語に絶する。あえて退かない。
国際の原稿。分る人にはピンとくる筈だ。
どうも女は感情的で困る。
陽子を神大に志願させたについては、深い意味がある。一つの攻める手段。
眼には眼を、だ。
発信 国際、
○三月九日（日） 晴 暖
午前、兒玉医院。
午後、日文協。『荷車の歌』について。のち、皆で白ダンによる。
船山氏から抜刷きたる。
陽子のこと、変なことをいう人間がいる。
大相撲始まる。若の花、信夫山にまける。
竹内良知が『図書新聞』で「哲学の貧困」のことを書いている。まるで、「哲学の貧困」のモデルのような文だ。
発信 秋田和美 船山信一
受信 秋田和美
○三月十日（月） 晴 暖
午後、みかげ。楠さん、猪井さん等。
「星雲」、矢内原伊作、つまらない。矢内原というのはつまらない人間だ。
ハタ、ぼくの原稿を出さない。もうハタには協力しない。
名古屋、マンネリズム。
今日教授会。小川君が相談したにちがいないと思う。
秋田さんへ電話をかける。木曜に大阪へ行くことにする。
『世界』をよむ。
発信 平凡社
受信 横山智子 醇郎 平凡社
○三月十一日（火） 雨 暖
午後、みかげ。猪野さんに会う。常盤高校の件。
『国際』に「眼には眼を」が出ている。
神戸大学が何もしないというなら仕方がない。「眼には眼を」だ。
ぼくの原稿をハタが出さないことが、ハタの缼陷を示すものである。
『異常心理学』をよむ。
○三月十二日（水） 晴 暖
午前、兒玉医院。
午後、みかげ。陽子、四六〇点代、上の部。最高、四八〇点。
三浦さん、後藤さんといっしょに新聞会館へ行く。結婚式の案内狀ができている。グリルで三浦さんの兄さんに御馳走になる。
ハタはぼくの原稿を出さんつもりらしい。けしからん奴だ。
夜、入浴。
旭に電話。明後日行く。
一体、文学部はぼくをどうするつもりか。音無しの構え。何にもしないつもりか。それなら、余りにあつかましすぎる。常盤の方はとにかく確保しておく方がいいだろう。神大の方がうまく行けば、誰かに譲ればいい。とにかく哲学科はだらしがない。十七日の教授会は入試の件。入試の発表があるまでは他のことに手がまわるまい。二十四日の教授会が問題だ。これがヤマといえる。來週が大事だ。
受信 国際新聞、
○三月十三日（木） 雨 暖
午後、大阪。阪神百貨店を見る。總評へより、機関紙を貰う。阪急で山内に会う。切手を貰う。シルヴァーで秋田さんに会う。そばや、喫茶店を歩く。民科についての相談。
横山さんの送ってくれた多聞漬着。
『政界往來』原稿料着。
秋田、山口、横山、山下がブレイン。
発信 横山智子 鍵本芳雄 寶梅商事
受信 寶梅商事 政界往來 秋田和美
○三月十四日（金） 晴 暑
午後、みかげ。陽子、十番のよし。常盤高校へ行く。旭君に会う。流泉へよる。みかげへかえる。
『国際』の原稿「二十年前」を書く。送る。今週は一日早い。今度の原稿は意味あがる。ぼくの言いたいことを間接に表現している。
陽子は合格した。つぎはぼくだ。一体神戸大学はどうするつもりか。頰被りですませるつもりか。古林㐂楽のだらしなさ、岡田正三のいやらしさ、何度くりかえしてもいい。ゼロということはない筈だ。少しは何とかする筈だ。何にもしないというのでは余りに非人間的だ。
常盤高校の件も、そう気が進んでいるわけではない。神大の方、ある程度収入があれば、止めるつもりだ。
受信 落合一
○三月十五日（土） 曇 冷
午前、本山中学へ行く。紘一郎の卒業式。岩橋先生等に会う。
午後、入浴。
「星雲」、前芝、つまらない。
明日の用意。
発信 落合一
受信 平凡社
○三月十六日（日） 晴 暖
午前、兒玉医院。
午後、みかげから大阪へ。浪速莊へ。民科哲学部会。約二十人。盛会。
「中央公論」三月号、戦後日本思想の再検討
「民主々義科学者協会」の思想
倂「現代日本の思想」岩波新書Ⅱ日本の唯物論 担当 小松摂郎氏、
のち、秋田さん等と哲学研究会の打合せ。
○三月十七日（月） 曇後雨 暖
午後、みかげ。楠さんからいろいろの報告を聞く。延世、十日位休む。
延世、胃がいたむよし。
とにかく、森信成は不愉快な人間だ。
紘一郎、今日明日入学試験。
楠さんいわく、「お宅はこの四月はいいことばかりです。」苦節十年。
発信 理論社
○三月十八日（火） 曇 暖
午後、富士銀行灘支店へ。みかげへ。三浦さん、休み。合格者発表。
紘一郎、試験終り。
「国際」、「二十年前」が出ている。けだし「傑作」。
『自己を活かす』をよむ。
わが家の春がくるか（？）。
○三月十九日（水） 曇 冷
午前、兒玉医院。みかげへよる。三浦さん、お父さん急病のため、田舎へかえったよし。
三の宮へ行く。阪急会館で「崖」を見る。「道」よりつまらない。相撲のテレビを見る。宇田さんに会う。
夜、入浴。
千代、栃、若、朝、琴、五人とも十勝一敗。
『自己を活かす』讀了。
神大の問題、なかなか現れてこない。事情はあるのだろうが、おそすぎる。
○三月二十日（木） 晴 暖
午後、みかげ。三の宮へ行く。古川君に会う。相撲のテレビを見る。
『異常心理学』をよむ。哲学の書物よりどんなに面白いか分らない。
○三月二十一日（金） 晴 暖
午後、祐二郞をつれて元町へ行く。壽でテレビを見る。三横綱まける。又、五人が二敗。
「心中考」を書く。送る。來週は「心の虫」の予定。
受信 国際新聞
○三月二十二日（土） 小雨 冷
午後、みかげ。結婚式の打合せ。一旦家へかえる。紘一郎、神戸高校合格。出直して、三の宮へ行く。テレビを見る。
『人民』の原稿書き始め。
「星雲」、前芝、つまらない。時代感覚のずれがひどい。
トリプル・プレイ、オール・セイフ。ぼくのことも楠さんを信用していいだろう。ついこの間、十七日に言ったことだ。現れてくるのがおそいのがおかしいが、何かわけがあるだろう。
○三月二十三日（日） 晴 暖
私鉄スト。兒玉医院へ行かず。
午後、入浴。祐二郞をつれて靑木へ行き、テレビを見る。朝汐優勝。
井上さんから牛肉百匁を貰う。紘一郎のお祝い。
夜、原稿を書く。『人民』もつぶれないだろう。
甘粕、藤本、森、山本はもう過去のものだ。森さんに至っては全く気狂いじみている。
○三月二十四日（月） 晴 暖
午前、本山小学校。祐二郞の卒業式に出る。
みかげへよる。笠井さんに会う。岡田さんに会う。
午後、神戸高校へ。紘一郎の入学の手續き。神戸高校は軍国主義的で感じが悪い。
夜、原稿。
発信 米沢役場 日教組
○三月二十五日（火） 雨 暖
午後、みかげ。卒業式。楠さんが赤い顔をしている。
「国際」に、「心中考」が出ている。
夜、原稿。
○三月二十六日（水） 小雨 冷
午前、兒玉医院。みかげ。晝休みに、三浦、鍵本、後藤、延世等で相談。
午後、大阪。ＯＳ文化で「この目で見たソ連」を見る。のち、秋田さんに会う。民科の件。
夜、原稿。
常盤高校はどうしたろうか。こっちからは何も言うまい。
森信成はキ印だろう。
○三月二十七日（木） 曇 寒
私鉄スト。延世、歩いて行く。
午後、入浴。
冬型の気圧配置、寒くなる。
三浦さんへおくるトースターを買う。
夜、室内十二度。冬に逆戻り。
神戸大学ももっと責任を感じなければならない。大罪を犯したではないか。ことに学長。
発信 鈴木亨 山本晴義
○三月二十八日（金） 曇 寒
寒波襲來。
午後、みかげ。トースターを三浦さんへおくる。
陽子、身体検査。パス。
「心の虫」を書く。送る。
夜、室内十度。明朝は寒いだろう。嚴寒の温度。
新讀書社から原稿の依頼。森信三の書物を送ってくる。
発信 西牟田久雄 湯川和夫 新讀書社
受信 新讀書社
○三月二十九日（土） 晴 寒
今朝、零下一・三度。今頃になって寒いのはやり切れん。
午後、みかげ。明日の結婚式の打合せ。島田さん、引受ける。三の宮へ行く。流泉へよる。
夜、散髪。
夜、室内九度。風はおさまった。
明日の用意。
○三月三十日（日） 晴 寒
今朝、零下二・七度。
午前、兒玉医院。
午後一時、六甲莊。杉島、三浦、兩君の結婚式。
留守中に醇郎來る。
『哲学小事典』の検印紙五〇〇着。捺印して送る。
夜、原稿。
○三月三十一日（月） 晴 寒
午後、みかげ。図書館へよる。三の宮へ行く。定期を買う。
延世、臨時雇、今日で終り。
神大入学、二次発表。十一日、入学式。陽子の所へ合格通知來る。
昨日よりは暖い。こんどは本当に暖くなるだろう。
夜、原稿。
『新讀書』（四月、徳永直追悼特集）着。
常盤高校、何も言ってこない。これは惜しくはない。それより、神大を責める方がいい。
わしのことも、何か計畫がある筈だ。まだ出てこないのはおかしい。予算の関係でもあるのだろうか。ゼロということはないだろう。
貯金額 「二四五・七五二」
一月二万円づつ出すとすれば、一ヵ年もつことになる。
現金、一〇・二七五
計、二五六・〇二七
発信 三上陸 醇郎 米沢役場
受信 三上陸