○六月一日(日) 晴 暑
ひる頃メイケイ会館。伊藤さん、桂さんに会う。午後、シンポジウム。竹内氏の報告。四時終了。四時―六時、「現代思潮」同人總会。のち、瀧沢さん等とメイケイ会館へ行く。
『つづり方兄妹』をよむ。
マルクス主義も中心が古在、松村から大井、山田、芝田へとうつったようだ。
これからは広い所へ出ねばならない。神戸でちぢこまっているのはバカらしい。経濟問題を何とかして出てきたい。こんどの上京だけでも大きい利益があった。
発信 延世
○六月二日(月) 晴 冷
急に涼しくなった。
午前、理想社、大江氏、佐々木氏に会う。
午後、靑木書店へ。靑木氏に会う。銀座へ。東大へ。山田君に会う。上野を歩く。
受信 のぶよ
○六月三日(火) 晴 冷
午前、新宿。神保町へ。
午後、岩波書店に粟田氏を訪う。理論社で小宮山氏に会う。印税少し。上原センロク氏來る。図書新聞社へ。田所氏に会う。
『新讀書』、拙稿あり。
発信 延世、
○六月四日(水) 曇小雨 冷
午前、新讀書社。
午後、東大。哲学研究室を訪う。桂、岩崎等に会う。出版会へ行き、山田君に会う。浅草見物。
明日の出発の用意。
この一週間の滞京は大変有意義であった。今までとはちがう。
身体もかえってしっかりしてきた。気分もよくなった。大丸、そごうのように東京へ進出のこと。万難を排して。
古在さん、名大へ行くよし。
「国際」を買う。「チャンバラ的発想法」が出ている。
神戸の息苦しさにくらべ、東京へくると、魚が水に入ったようである。東京へくるべし。そして大いに活躍すべし。これからの人生。東京は神戸のように人非人がそろっているのではない。
○六月五日(木) 晴 暑
八時、起床。九時、家を出る。十時少し前、東京駅。十時半発長崎行にのる。すいている。食堂車でコーヒーをのむ。食堂車へ入ったのは何年ぶりか分らん。午後七時五十分大阪着。九時少し前家へつく。
東京にいればかなり活躍できる。神戸にて愚にもつかないことに煩わされているのは全くバカらしい。秋には東京に出よう。
これからのぼくの人生は東京で活躍すべきだ。人生の最後のコーナーは東京。
留守中たまっている雜用をはたす。
発信 平凡社 三上陸 前原聿江
受信 秋田和美 前原聿江 平凡社
○六月六日(金) 晴 暑
午後、みかげ。三浦さんに会う。長倉君から砂糖を貰う。
歯科へよる。
夜、井上さんを訪う。ぼくの件、順調に行っている。結局いやらしいのは岡田正三だけ。
秋田さん、横山さんへ『新讀書』を送る。
『つづり方兄妹』を書く。送る。
岡田正三は何といやらしい人間であろう。古林、長島、田中以下。
山口さんへ電話をかける。
広い中央へ出よう。もう神戸はつくづくいやになった。神戸にいるのは全くバカらしい。東京へ、東京へ。
山口さんへも『新讀書』を送る。
発信 前原聿江 林省吾 秋田和美
○六月七日(土) 曇後雨 暑
午後、元町へ。流泉書房。
山口さんから薬着。
『図書新聞』原稿を書く。九枚。送る。
受信 山口栄子
○六月八日(日) 小雨 冷
午前、兒玉医院。ヒソの注射をする。
午後、日文協例会。『女坂』について。
○六月九日(月) 晴 暖
午後、みかげ。横山さんに來てもらう。民科の件。
『迷路』をよむ。面白くなってきた。
田中、古林、事務局長もこの位で厄介拂いができればいいと㐂んでいるにちがいない。一番悪いのは岡田。それにしても悪い人間だ。
もう間もなく夏休みだ。問題は秋から。
発信 田所太郎
○六月十日(火) 晴 暑
午後、国際松竹へ行く。「續禁男の砂」「楢山節考」とを見る。
『国際』を小宮山氏へ送る。
こんなところで愚にもつかない人間を相手にしているより東京へ行った方がいい。秋には東京に滞在して地盤を作る。ある程度できるだろう。神戸にいてサーヴィスばかしていても仕方がない。広い所に出ること。森信成のような愚劣な人間を相手にするのはエネルギーのロスに外ならない。ぼくが東京に行ったら、若い哲学者たちをまとめうるだろう。九年の苦労が物を言う。健康になったのは何よりいい。
発信 佐々木隆彦
受信 秋田和美
○六月十一日(水) 雨 冷
午前、兒玉医院。みかげへよる。猪野さんに会う。
午後、川島きたる。
渡辺義晴著『学生運動の心理と論理』の寄贈あり。
くぎりをつけるときがきた。健康のこと、神大の事情。
『迷路』をよむ。
発信 大井正
受信 横山智子 平凡社
○六月十二日(木) 晴 暑
午後、富士銀行灘支店へ。みかげへ。笠井さんに会う。三の宮、流泉へ。
関大学生内藤正秀きたる。講演の件。
東京に行ってみると、神戸でつまらないことをつつきちらしているのは全くバカらしい。神戸にいるのは無駄だ。東京へ行けば活躍できるのだから。
『迷路』をよむ。
前原さんから何も言ってこないのはおかしい。こちらから問合せる必要はない。それまでサービスすることはない。通知が來なければ行かないだけの話。
秋田さんのいうこともおかしい。
発信 小宮山量平 渡辺義晴 山田宗睦
○六月十三日(金) 曇 暑
午後、みかげ。後藤さんに会う。
「楢山節考」を書いて送る。
秋から東京へ行く。それが最上の方法だろう。神戸で愚にもつかないことをつついているのは全くバカらしい(たびたび書いたが)。東京でのびのびと活躍したい。こんど上京してみて、活躍できるという見当がついた。数年前とはだいぶ狀勢がちがう。條件はいい。
発信 鈴木亨 山本晴義 西牟田久雄
受信 前原聿江 鈴木亨 山本晴義
○六月十四日(土) 曇 暑
午後、歯医者。大阪へ。六時、シルヴァー。前原さんと会う。本町へ。哲学研究会。九時終了。
阪急で山内に会う。東京へ行く件。
発信 粟田賢三 寺沢隆信 醇郎 松男
受信 小松松男
○六月十五日(日) 晴 暑
午前、兒玉医院。
午後、大阪。浪速莊。民科哲学部会。山本晴義「道徳教育について」。森さんには困りものだ。
『迷路(一)』に落丁を発見。岩波書店へ送る。
もう神戸にいたくない。東京へ行ったら活躍できる。神戸にいたのではもったいない。
発信 鈴木亨 秋田和美
受信 小宮山量平
○六月十六日(月) 晴 暑
午後、みかげ。猪野さんに会う。東京行の件。五時、資料室で横山さんに会う。
三浦さん、成瀬さん、ぼくの東京行のことを知っている。楠さんから。
猪野さん、「小松先生の東京へ行くのはタイムリーだ」という。バンヒで。
井上さん、上京したよし。
発信 湯川和夫 瀧沢克己
○六月十七日(火) 曇後雷雨 暑
午後、歯医者。奥歯も悪い。大阪へ。ブルボンで山本君と会う。シルヴァーへ行って長らく話す。東京のことなど。
発信 小松松男 船山信一
受信 醇郎
○六月十八日(水) 晴 暑
午前、兒玉医院。みかげへよる。猪野さんに会う。
午後、入浴。歯医者。やはり歯がいたむ。
秋田さんのノイローゼも余りいいとはいえないようだ。
渡辺義晴のパンフレットをよむ。山下肇よりはいい。
発信 鈴木亨 国際新聞
受信 秋田和美 西牟田久雄 山田宗睦 国際新聞
○六月十九日(木) 晴 暑
午後、みかげ。猪井さんに会う。写眞。
歯医者。入れ歯終り。奥歯をぬくのは一応見送る。
西牟田君から「現代思潮」バックナンバー着。
「学生運動の心理と論理」を書く。
九月から新しい出発をする。十年間の神戸の生活。その苦しみの中から得たもの。元気で新生活に入る。
発信 西牟田久雄 鈴木亨 国際新聞
受信 小林延子 三上陸 国際新聞
○六月二十日(金) 晴 暑
午後、みかげ。ぼくの件、この次の教授会で通るよし。楠さんが言ったという三浦さんの話。流泉へ行く。
国際へ原稿を送る。
野間をよむ。つまらない。
○六月二十一日(土) 晴 暑
午後、みかげ。理論部会。五時、三上君きたる。田中屋で打合せ。
平凡社の原稿を書く。
発信 三上陸
受信 秋田和美
○六月二十二日(日) 晴 暑
午前、兒玉医院。
午後、みかげ。哲学研究会。半田、延世、秋田、前原等。のち、田中屋へよる。秋田さん、前よりいいが、まだおかしい。
岩波から『迷路(一)』がくる。
平凡社の原稿。
田舎侍で終るのは全くつまらない。東京へ出るのは今がチャンスだ。東京で思う存分あばれたい。そのためのエネルギー、知識と経験の蓄積はできた。
○六月二十三日(月) 晴 暑
午後、みかげ。楠さんに会う。
夜、井上さんを訪う。今日の教授会に出さなかったよし。堀㐂望の妨害(?)。とにかく大学には馬鹿げた人間がいる。
猪井さんが原稿の件をはなす。
『迷路(一)』讀了。
「無神論」(六枚)書き終る。案外厄介であった。平凡社へ送る。
今朝の雷?が当ったか。
堀㐂望というのは何といやらしい奴だろう。
永積さんより猪野さんの方が人間味がある。
岡田正三も下劣な人間だ。
受信 田所太郎
○六月二十四日(火) 晴 暑
午後、みかげ。小川君に会う。
「国際」を渡辺義晴氏へ送る。
神戸大学は非人間性の極というより外ない。堀㐂望は精神鑑定を要する。アブノーマルというより外ない。自分でも何を言っているのか分らないだろう。つくづく神戸がいやになった。全くバカらしい。広い所へ出ることだ。
関大の講座の用意。
弁証法讀本、〒、二十四円
発信 秋田和美
受信 秋田和美 瀧沢克己 醇郎
○六月二十五日(水) 小雨 暑
午前、兒玉医院。みかげへよる。楠さんに会う。
奥野氏に『弁証法讀本』を送る。
午後、入浴。散髪。
堀喜望の件。不可解。ヒステリー。
神戸でバカどもを相手にしていても全く仕方がない。エネルギーのロス。
関大の講座の原稿。
発信 奥野良道 醇郎
○六月二十六日(木) 晴 暑
午後、みかげ。三浦さん、小学校の方?(可)へ出るよし。流泉へ。古川君に東京行の話をする。
「星雲」、選手交代。
明日にでも東京へ行ってしまいたい。
関大の学生來る。原稿をわたす。
猪井さん等、日文協大会のため上京。
『迷路』をよむ。
岡田、堀のようないやらしい人間がどうして生れたのであろう。
発信 小宮山量平 人民公論社 西村勝比古 前原聿江
受信 国際新聞
○六月二十七日(金) 曇 暑
午後、みかげ。今井さんに会う。神津さんに会う。三浦さんにもくわしく話す。今井さん、この次の教授会で通るだろうとのこと。三浦さん、小学校の件。
十年の歴史に終止符をうつ。新しい出発をする。
『迷路』をよむ。
発信 山本晴義
受信 秋田和美 平凡社
○六月二十八日(土) 雨 暑
午後、ひるね。入浴。なんだか疲れが出たような気がする。
『図書新聞』着。「哲学のためいき」が出ている。『新讀書』で山田がぼくのことを書いている。はからずも兩方に日哲大会のことがでている。
『新讀書』をよむ。
受信 奥野良道
○六月二十九日(日) 雨 暑
午前、兒玉医院。
夕方、阪神特急にのる。
『迷路』をよむ。
シッシン、今年はいいらし。ヒソの注射をしている。
十年の歴史のページを閉じる。新しい出発をする。(くりかえすが)
四、五月より、今の方が身体の調子がいい。精神的要素も大きいだろう。
ぼくが東京へ行ったら、民科その他のサークルはみなつぶれてしまうだろう。
発信 森川澄枝
受信 新藤美智子 人民公論
○六月三十日(月) 曇小雨 暑
午後、富士銀行神戸支店へ。みかげへ。横山さん來る。バンビへ。
今日、この家へ來てから九周年。たしかに、もうページをかえていい。
森信成はダラクというより外ない。何の勉強もせずやたらに人にかみつく。ゴロツキである。