○七月一日(火)  曇小雨 暑
  午後、みかげ。猪井さん、永積さんに会う。谷口氏に会い、バンビへ行く。東京行の話をする。
  発信 新藤美智子

○七月二日(水)  曇小雨 暑
  午後、みかげ。井上さんに会う。靑木君かえってくる。
  岡田、堀のいやらしいのにはあきれる。人間もここまでダラクできるものか。
  水野さんへ電話をかける。明日のこと。
  石を投げて犬をおっぱらうようなことは人間のすることではない。岡田、堀はやっている。人間とは思えない。経濟問題さへなければ、神大を相手にしない。岡田、堀のように神大でなければ通用しない人間とはちがう。猪野さんもいうように、東京へ行けば重鎮だ。余り人をバカにするな。神津、谷口、兩人、井上さんに会った筈。ぼくのことだろう。
  それにしても教授会はなさけない。梯のいうように、教授会で正論をはくものは一人もいないのか。岡田、堀はいくらにくんでもにくみたるということはない。
  発信 山本晴義 渡辺義晴
  受信 前原聿江 山本晴義 渡辺義晴

○七月三日(木)  曇小雨 暑
  午後、大阪。創元社へ行く。保坂氏に会う。阪急で山内に会う。イタリアンへ行く。水野さん、秋田さんに会う。秋田さん、七月一日から出勤。いいらし。ミナミへ行く。ドウトン、B・Cへよる。
  とにかく岡田、堀は悪質限りなし。
  陽子、大丸のアルバイト、パス。
  岡田、堀にはたしかにシットの要素がある。
  「迷路」をよむ。
  三田さんも全くだらしがない。ここらで頑張らなかったらナンセンス。
  どうも京大出身はしみったれている。東大出身の方が大きい所がある。
  西村勝比古は信用できない奴だ。
  発信 前原聿江 
  受信 秋田和美 国際新聞

○七月四日(金)  曇後晴 暑
  午後、みかげ。今井さん、阿部さんに会う。流泉へ行き古川君に会う。
  井上さんにとってもテスト・ケース。
  「星雲」、中村九郎の文章、よくない。
  井上さんもなめられている傾向がある。それにしても、岡田、堀は常軌を逸している。

○七月五日(土)  曇 暑
  午後、入浴。
  井上さんにとっても重要なテスト・ケイス。どこまでやれるだろうか。腹をきめたら、岡田、堀のような悪者をやっつける位なんでもないのだが。岡田、堀のようないやらしい、人間がなぜ地球上に存在するのだろう。神様の失敗策にちがいない。井上さんには、少したよりない点がある。そこをふみ切れるかどうか。
  『迷路(二)』讀了。終りの所がいい。
  受信 秋田和美

○七月六日(日)  晴 暑
  午前、兒玉医院。
  午後、祐二郞をつれて靑木へ行ってテレビを見る。大相撲初日。
  山口さんから葉書。
  井上さんのハラ一つの問題になってきた。どれだけやれるかだろうか。井上さんの弱さが気になる。明日の教授会に出すかどうか。たぶん十四日にするだろう。三田さんが当然のり出すべきだが、あわれな人間だ。それにしても、岡田、堀といういやらしい人間がなぜ存在するのだろう。
  星雲、第一期より劣る。
  受信 山口栄子

○七月七日(月)  晴 暑
  午後、みかげ。横山さんに会う。小川君に会う。
  夜、井上さん來る。今日も出せなかったよし。又別の妨害が生じている。とにかく恐るべく悪質の人間がいる。
  井上さんのいうのは武市か?
  永積さんも少しおかしい。猪野さんの方がいい。教授会で通らない場合も考えておかねばなるまい。しかし、井上さんも妨害を恐れすぎている所があるようだ。ガンで出れば、あんな連中はひっこむ。大部分誤解しているのだから。
  たしかに今日は井上、永積の打合せが足らなかった。
  『迷路』をよむ。
  発信 山田坂仁 森川澄枝

○七月八日(火)  晴 暑
  午後、みかげ。
  夜、井上さんを訪う。事情をきく。ずるずるひっぱって全くけしからん。ここまで來たら人道問題だ。それを平気でいるとは、文学部もあきれて物が言えない。
  井上さんもはっきり人道問題として出すべきだ。それだけの勇気はあるまい。四月からずるずるとひっぱってきたのは全くひどい。大学とはこんなひどいものであろうか。
  奥村さんから猪野さん(東京)へ電話をかける。そのあとをうけて、猪野さんと話す。
  神戸大学は全くバカらしくなった。こんなひどい所とは思わなかった。
  発信 山本晴義 水野亜美 
  受信 水野亜美 人民公論社

○七月九日(水)  晴 暑
  午後、みかげ。堀さんに会う。「哲学史」の件。小川君に会う。岡田正三というのは全くあきれた人間だ。奥村さんの件。『迷路』について。
  『迷路』をよむ。
  発信 三上陸 亀井蔀 醇郎
  受信 前原聿江 醇郎
 
○七月十日(木)  晴 暑
  午後、みかげ。小川君に会う。ジュニアーの件。
  三上君から電報來る。
  芥川『河童』をよむ。
  受信 三上陸

○七月十一日(金)  晴 暑
  午後、みかげ。井上君に会う。
  『河童』讀了。
  陽子、大丸のアルバイト、今日から一ヵ月。
  西村勝比古の無責任には驚く。
  ぼくの問題も七月中には結末がつくだろう。そうそう引きのばすことはできない。ここまで來れば、どんずまりのおちつきのようなものもある。岡田正三のような気狂いをごまかす方法を考えるのが賢明である。
  発信 山本晴義
  受信 山本晴義 人民公論社

○七月十二日(土)  晴 暑
  午後、大阪。心齋橋そごうへ行く。梅田へかえる。シルヴァーで秋田さんに会う。前原さんがくる。六時、住友火災へ。哲学研究会。『矛盾論』に入る。深沢君の報告。十人。
  祐二郞、カバンをなくす。夜、ポリがくる。田中の派出所にあるよし。
  『新讀書』五冊着。
  山口さんと横山さんへ『新讀書』を送る。
  発信 森川澄枝 人民公論社
  受信 人民公論社

○七月十三日(日)  晴 暑
  午前、兒玉医院。
  午後、日文協例会。芥川の『河童』について。山本君の報告。
  夜、国際会館ホールへ行く。俳優座の「令嬢ジュリー」。流泉へよる。
  朝、井上さんに会う。
  右の耳のシッシンよくなる。この夏はシッシンはまず大丈夫。
  この頃身体の調子はいい。余り疲れを感じない。上京前よりいい。去年の今頃よりいい。去年はもうシッシンになやまされていた。
  発信 山本晴義
  受信 醇郎
 
○七月十四日(月)  晴 暑
  午後、みかげ。田中屋で猪井さんに現状について話す。井上さんに会う。明後日学長に会うよし。流泉へ行く。
  復讐の一つの方法。『人民公論』へレッド・パージの記録をのせること。

○七月十五日(火)  晴 暑
  午後、みかげ。大阪。シルヴァーでテレビを見る。六時、吹田。いろいろの打合せ。
  夜、井上さんに会う。学長と会う件。くいちがいがあった。
  井上さんの弱さが出てきたようだ。学長に会ったら、おどし上げてやろう。
  明日の講座の用意。
  学長に会えば、もちろん東京のことをいうだけではない。思い切りしゃべってやる。
  発信 櫛原孝(二)
  受信 櫛原孝

○七月十六日(水)  晴 暑
  午後、大阪。天六、関大へ行く。六時半から講座を始める。八時終了。人間の問題。今迄で一番人が多いよし。
  明日の用意。
  とにかく神戸大学というものはひどいものだ。驚くべきものだ。岡田正三は人間とは思えない。
  シッシン、右の耳、少し悪いらし。
  ここで全面的に検討する必要がある。専修の問題というようなことだけでなく。
  発信 古林㐂樂 永積安明 秋田和美
  受信 秋田和美

○七月十七日(木)  晴 暑
  午後、大阪。五時半、関大。六時―八時、講座。
  『関西公論』創刊号着。
  秋田さん、扇と切手をとどけてくれる。
  神戸大学ほどひどい所はない。ボルタリのように復讐する。來年から。
  発信 櫛原孝
  受信 櫛原孝

○七月十八日(金)  曇 暑
  午後、みかげ。かえりに田中屋へより、テレビを見る。
  夜、井上さんを訪う。よく考えている。それにしても岡田正三はどこまで悪人か底が知れない。井上さんはかなり決心しているようだ。
  発信 小松松男 樋口金吾
  受信 三上陸

○七月十九日(土)  晴 暑
  午後、みかげ。哲学研究会打合せ。日文協打合せ。大阪へ。六時、シルヴァー。山本君と会う。
  『関西公論』二部着。
  シッシン、よからず。
  『迷路』をよむ。
  井上さんがあれだけやってくれたら、否決されても仕方がない。そうなったら経濟問題を別に考えること。
  体重十三貫二、三百匁。上京前よりむしろふえている。十三貫を割ったことがあった。

○七月二十日(日)  曇小雨 暑
  午前、兒玉医院。
  午後、大阪へ。二時、浪速莊へ。民科七月例会。鈴木亨著『実存と労働』の出版記念会。五時終了。若草へよる。テレビ、若の花、栃錦に勝つ。
  前原さんからカバン、秋田さんから(山口さんから)薬を貰う。
  明日、学長等と会談。
  シッシン、よからず。明日皮フ科へ行く。山口さんから貰ったレスタミンをつけてみる。
  梅雨の頃のようにむしあつい。
  発信 山口栄子
  受信 秋田和美

○七月二十一日(月)  晴 暑
  午後、阪大病院へ行く。志水氏不在。兒玉さんにミノファーゲンの注射をしてもらう。大阪から御影へ。永積さんといっしょにエクランへ行く。後から学長、井上さん來る。専修の件など。井上さん、永積さんといっしょに田中屋へよる。二十四日の件など。
  シッシン、少しいいらし。
  受信 小川政恭

○七月二十二日(火)  曇 暑
  午後、みかげ。三浦さん不在。加藤さんと信州の話などする。
  台風、近畿へ上陸のようす。
  革のカバン、使いぞめ。
  『迷路(3)』讀了。
  台風、東海へ上陸の予定(二十三日午前二時)。
  岡田、堀は井上さんをなめていたにちがいない。反撃にあってびっくりした所。かれらの浅はかさ。
  学長には不満。服部さんにはとくに不満。井上さんに苦労をさせて、高見の見物。
  発信 伊藤一美 甲南毎日社
  受信 伊藤一美

○七月二十三日(水)  晴 暑
台風、東へ去る。
午後、大阪。阪大ヒフ科で志水さんに会う。注射をしてもらう。阪急で山内に会う。陽子のアルバイトの件。シルヴァーで秋田さんに会う。
明日の教授会で多分通るだろう。なんだか緊張感はない。それにしても、岡田、堀といういやらしい奴がいたものだ。重大な日なのに、なんだかのんびりしている。井上さんを信頼しているからだろうか。
  シッシンの憂鬱。しかし、志水さんにかかったのだからこれ以上は仕方がない。
  『図書新聞』(七・一九)に、この間の出版記念会のことが出ている。
  発信 花田圭介
  受信 林省吾

○七月二十四日(木)  晴 暑
  午後、みかげ。
  井上さん、教授会の報告に來る。岡田正三の妨害。恐るべき人間である。
  発信 亀井蔀 山本晴義
  受信 法律文化社

○七月二十五日(金)  曇後雨 暑
  午後、明和病院。志水さんに注射をしてもらう。みかげ。猪井さん、三浦さんといっしょに田中屋へ行く。雨が降ってきたので、流泉へ行き、カサをかりる。
  シッシン、少しはいいらし。
  岡田正三の背後に何かがあるか。ありそうだが分らない。この問題はこれで終り。九月になって又持した所で意味はない。あとは、部長が経過を教授会に報告するだけ。井上さんがどこまでやれるかが問題。
  『迷路』をよむ。
  猪井さん、「先生のことを心から心配している人は大勢います。」猪井さん、三浦さんはこの問題について非常に眞験(ママ)に考えている。楠さん、沈黙。井上さんも辞職すべきだ。
発信 船山信一
  受信 亀井蔀 秋田和美

○七月二十六日(土)  曇後雨 暑
  午後、流泉へ行ってカサをかえす。海文堂へよる。
  コーンフォース、予習。
  『迷路』をよむ。
  シッシン、どうやらいいらし。少しづつだが。
  岡田、堀のやったことは脅迫に外ならない。大学の破壊である。井上さんも何かを決心しているにちがいない。依然として井上さんのテスト・ケース。
  受信 小松松男

○七月二十七日(日)  曇 暑
  午前、兒玉医院。
  午後、三時、みかげ。哲研。コーンフォース、二〇三ページまで。のち、レコード・コンサート。九時終了。
  シッシン、どうやらいいらし。

○七月二十八日(月)  晴 暑
  午後、阪大皮フ科。志水さんに注射をして貰う。みかげ。久しぶりで図書へよる。
  小林延子さんから映畫の招待券、濱田義文氏から論文を送ってくる。
  いくつも葉書を書く。
  発信 元浜清海 前原聿江(二) 林省吾 亀井蔀 三上陸 山本晴義
  受信 小林延子 元浜清海 船山信一 関西哲学会 法律文化社

○七月二十九日(火)  晴 暑
  午後、みかげ。楠さんに会う。狀勢好転したよし。今井さんの説得だろう。楠さんが喧嘩兩成敗的考え方をしているのは反対。
  『関西公論』の原稿書き始め。
  受信 濱田義文

○七月三十日(水)  晴 暑
  午後、京都。法律文化社へ。櫛原君、三上君と会う。亀井君といっしょに「志る幸」へ行く。「哲学史」の件など。十時家へかえる。
  原稿。
  受信 花田圭介 山本晴義 名越悦

○七月三十一日(木)  晴 暑
  今迄で一番暑い。
  午後、大阪、阪大皮フ科。みかげへ行く。楠さんの話。ピント外れ。流泉へ行く。証明をして貰う。
 夜、室内三十一度。
  原稿、少し。
  発信 山本晴義 濱田義文 名越悦