○十月一日(水)  曇 暖
  午後二時、紀伊国屋で向井君に会う。
  のち、神田へ。新讀書社へ。山田君と会う。
  のぶよから葉書。例の件、二十九日の教授会で通ったよし。全くしみったれたやり方だがやむをえない。井上さんがもっと強ければ、もっとすっきりしたものになった筈だが。
  発信 鈴木亨 井上増次郎 今井林太郎 楠照子 永積?? のぶよ
  受信 靑木靖三 中村屋 のぶよ 讀書人

○十月二日(木)  曇 暑
  朝、のぶよから速達がくる。診断書の件。厚生年金病院(飯田橋)へ行く。異狀なし。間接の写眞をとる。明日できる。
  午後一時、紀伊国屋へ行く。靑木君に会う。新宿を歩く。靑木君と別れ、平凡社へ行く。土屋保男君に会う。
  神戸から荷物がつく。
  発信 山口栄子 水野亜美 小川政恭 のぶよ
  受信 のぶよ 小川政恭

○十月三日(金)  晴 冷
  午前、厚生年金病院へ。検査証と写眞をうけとる。
  午後、法政大学。岩波へ。粟田氏、長田氏に会う。法政大学へ。広末氏、小原氏、近藤氏に会う。
  井上さんは頼りないとは思ったが、こんなに腰ぬけとは思わなかった。
  神戸大学ほどいやらしい所はない。あきれて物が言えない。
  急に寒くなった。
  神戸大学のことがシャクにさわって仕方がない。なんてバカが揃っているのだろう。井上さんの弱さ。いずれ、神戸大学と縁が切れたらバクロしてやる。
  発信 のぶよ 井上増次郎 兒玉順三 三上陸
  受信 井上増次郎 秋田和美(二)

○十月四日(土)  曇 冷
  午後、日文協へ。西郷氏、荒木氏等がいる。編集会議をしている。
  今日で主な所は一廻りした。これから歩けば、セコンド・ラウンドになる。手紙も大体一段落。
  井上さんも古林㐂樂と同じく期待外れ。ダメなものだ。
  明日は休養。
 シッシン、どうやらいいらし。
  一週間や二週間ですぐどうということはむり。この秋東京に滞在することが絶対。
  神戸大学のバカらしさ、話にならない。井上さんの言ってきたこと、タワケというより外ない。それが大真面目だからコッケイだ。
  発信 淸水正徳 鈴木享 山田宗睦 奥村久美子
  受信 岸一枝 淸水正徳 鈴木享 

○十月五日(日)  雨 寒
  のぶよから速達がくる。返事を書く。井上さんがもっとしっかりしないと困る。
  雨のため一日中家にいる。
  『妾の半生涯』讀了。
  『森と湖のまつり』着。よみ始める。東京へ來てから最初のもの。
  井上さんは三ヵ月のことばかりを考えている。だが、それから先が問題だ。
  山本晴義の平気でウソをいうには驚く。甘粕、森、山本はもうアイソがつきた。やはり東京の方がいい人がいる。
  発信 鈴木亨 三上陸 のぶよ(二) 森川澄枝
  受信 のぶよ

○十月六日(月)  雨 寒
  午後、本郷へ。東大哲学研究室へよる。東大出版会で山田君に会う。上野へ出る。
  のぶよからは何も言ってこないから、診断書、写眞はあれでいいのだろう。
  東大で山下君に会う。
  『森と湖のまつり』をよむ。
  神大文学部は何といやらしいものだろう。しみったれた人間のみ。あんなことをして恥ずかしくないのだろうか。見識のある人間がいない。
  やはり一度神戸へかえる必要があるようだ。古在さんの歸国の日の調査を山田君に依頼する。かち合わなければ、十九日を中心としてかえる。
  十一月下旬の寒さ。合のシャツにきかえる。
  発信 のぶよ 湯川和夫 山田坂仁
  受信 花田圭介

○十月七日(火)  雨 寒
  午後、図書新聞へ。田所氏に会う。神保町へ。
  のぶよから速達。診断書、写眞はあれでよかろうと。履歴書を書く。バカにしてる。米沢からの書類。
  今日は速達二つ來る。二つ出す。
  『森と湖のまつり』をよむ。
  神大のことがしゃくにさわって仕方がない。「つまらんことをいう人もいるが、撃退しておくから安心していなさい」と部長はいうべきではないか。腰ぬけにも驚く。小心ヨクヨク。ちょっと何といわれるとすぐへこんでしまう。
  発信 のぶよ 理想社
  受信 奥村久美子 森静夫 のぶよ 理想社

○十月八日(水)  晴 寒
  久しぶりの秋晴れ。
  午後、岩波へ。森静夫といっしょに学士会館へ。布川氏もきたる。
  井上さんから手紙。文学部のいやらしさはヘドが出る。井上さんの腰ぬけにもアイソがつきる。何の「しがらみ」にもならない。
  夜、和幸のアパートへ行ってみる。
  『森と湖のまつり』をよむ。
  文学部にいるいやらしい奴、自分の徳にもならないのになぜいやらしい妨害をつぎからつぎへとするのか。了解に苦しむ。人間が邪悪であるとより外思えない。全くひどいものだ。
  発信 井上増次郎
  受信 井上増次郎

○十月九日(木)  晴 暖
  いろいろ一段落。一日休養。午後、ひるね、入浴。二週間のつかれというものか。
  『森と湖のまつり』をよむ。
  神戸大学のバカを相手におこっても始まらない。こちらの値が下る。
  発信 秋田和美 岩波 讀書人 森川澄枝 陽子
  受信 森川澄枝 陽子

○十月十日(金)  晴 冷
  ひる頃、図書新聞社來る。『哲学概論』の件。
  午後、有楽町へ。ニュー・トーキョーへよる。銀座へ行く。ユーハイムへよる。
  『哲学小辞典』着。
  少し風邪気。
  神戸大学に対する怒り又発する。かたきうちの方法を考える。
  『森と湖のまつり』讀了。
  発信 巖谷大四 のぶよ 粟田賢三 湯川和夫 図書新聞
  受信 水野亜美 岩波 図書新聞 横山智子 湯川和夫 山田坂仁 のぶよ

○十月十一日(土)  晴 暖
  昨日からタバコを止める。昨夜は風邪気味だったが、今日はいい。久しぶりで少しのんびりした気持になる。午後、阿佐ヶ谷を歩く。テレビを見る。ジャイアンツ勝つ。チェロへよる。
  『森と湖のまつり』の批評を書く。
  山本晴義、鈴木亨、三上陸が何も言ってこないのはけしからん。
  専修にきまったら全くめでたしめでたしだが。古在さんもその位のことは考えてくれてもいい。廻りをかためておくことが必要だろう。もう明るい方向が出てきていい頃だ。雌伏十年。
  発信 淸水正徳 阿部節
  受信 のぶよ 淸水正徳

○十月十二日(日)  晴 暖
  午後、散髪。阿佐ヶ谷を歩く。
  『森と湖のまつり』の批評を書く。十枚。
  水野亜美さんには鋭い所がある。
  まだ少しセキが出る。
  神戸へかえってみたくなった。なつかしいから奇妙である。
  ぼくの知っているヤング・レディでは、横山さん、水野さんが優秀。
  水野さんの「先生が日本文学に鍬を入れられたように、」と言ったのは急所をついている。ぼくの考えていること以上のことをいっている。

○十月十三日(月)  晴 暖
  午後、神田。新讀書社へよる。原稿をわたす。「人間の研究」をわたす。石川氏の所へよる。留守。平凡社へ行く。土屋君に会う。神田の龍宮へ行く。
  古在氏等歸国(昨日)のよし。
  発信 井上増次郎 田所太郎 靑木春雄 のぶよ
  受信 山本晴義

○十月十四日(火)  晴 暑
  井上さんから手紙。まづは一安心。
  午後、明大へ。山田坂仁君に会う。
  つぎは専修の問題。これがうまく行けば、めでたしめでたしだが。
  葉書を沢山書く。
  務台さんの『哲学概論』をよむ。よろし。
  発信 松原安治郎 山本晴義 のぶよ 井上増次郎 山田宗睦 秋田和美 前原聿江
  受信 井上増次郎 山田宗睦 唯研 秋田和美 前原聿江

○十月十五日(水)  曇後雨 暑
  午後、栗田雜誌で布川氏に会う。
四時、法政へ行く。湯川君、芝田君に会う。六時、湯川君といっしょに雜誌会館へ行く。唯研。野崎氏の報告。
  早東決勝、東大勝つ。リーグ戦はじまって以来。
  神戸から「まつたけ」着く。
  明日付で発令のはず。これで一寸息がつける。
  発信 三上陸
  受信 のぶよ

○十月十六日(木)  曇 冷
  休養。
  午後、入浴。四八キロ。
  今日発令のはず。外交辞令としては謝意を表す。実質は、フンマンやる方なし。
  『哲学概論』をよむ。よくできている。
  発信 後藤宏行
  受信 井上増次郎 後藤宏行

○十月十七日(金)  晴 冷
  午後、新宿紀伊国屋。永積さんへ電話。上野へ行き、永積さんに会う。いっしょに銀座のユーハイムへ行く。近藤さんに合う。後藤宏行氏へ電話をかける。明日会うことにする。
  『哲学概論』をよむ。
  発信 井上増次郎 のぶよ
  受信 のぶよ

○十月十八日(土)  冷雨 寒
  午後二時、平凡社へ。後藤宏行君と会う。神保町へ。茶房で六時までしゃべる。
  手紙も一段落の形。
  『哲学概論』の批評を書く。
  発信 横山智子

○十月十九日(日)  晴 暖
  午後、ひるね。新宿へ行く。散歩。
  原稿、終り。九枚。
  今日、大阪で民科。出版記念会。
  専修の問題も一擧に片づくことはできないだろう。やはり、根気よくやること。モスクワ行のメンバーの中には大井正もいるのだが、どれだけやってくれたか疑問だ。期待はできない。大井正が頑張ってくれれば、かなりいけるのだが。
  十月は書評二つ。十一月は『新讀書』と『理想』の二つ。後者の方が厄介。
  発信 後藤文利

○十月二十日(月)  曇 暖
  午後、図書新聞社。原稿を持って行く。神田へ。学士会館でテレビをみる。巨人まける。四谷の文化放送へ。野沢隆一氏に会う。
  「假履歴書」を書く。
  とにかく三上隆はけしからん。彼のためには随分盡したのに。

○十月二十一日(火)  曇 冷
  正午、上野の学術会議で永積さん、本田さんに会う。
  午後、出さんを訪う。出さんはまだ古在さんに会ってない。
  夜、入浴。体重、へってない。
  三上陸へ又速達を出す。
  西鉄優勝。
  古在さんも全くおかしい。あんなでたらめでは仕方がない。ことわるならことわるではっきりすればいい。名大にも迷惑をかける。
  伊藤さん、倒れたよし。記憶喪失。
  発信 井上増次郎 のぶよ 三上陸

○十月二十二日(水)  雨 冷
  正午、学術会議。古林氏、永積氏、吉治氏に会う。永積さんといっしょに「ゴッホ展」をみる。「ゴッホ展」でも吉ちゃん、啓ちゃんに会う。のち、浅草へ行く。
  三上君(関西公論社)への速達かえってくる。
  秋田さんから民科の出版記念会の様子を知らせてくる。
  発信 秋田和美 山口栄子 陽子 のぶよ 靑木靖三 阿部節
  受信 秋田和美 のぶよ 靑木靖三

○十月二十三日(木)  曇 冷
  正午、学術会議。古林氏、中村氏と晝食を共にする。
  午後、新讀書社へ。森川さんに会う。理論社へ。小宮山氏に会う。靑木書店へ。靑木氏に会う。理想社へ。佐々木氏に会う。

○十月二十四日(金)  曇後晴 冷
  正午、上野、学術会議。
  午後、学術会議を傍聴する。
  『図書新聞』、務台さんの本のぼくの書評が出ている。東京へ來てからの第一声。つぎは「新讀書」。
  夜、入浴。
  発信 井上増次郎
  受信 後藤文利 後藤宏行

○十月二十五日(土)  雨 冷
  午後、学士会館へ。山田君に会う。名古屋のことなど聞く。
  矢島音次氏死去のよし。八十二才。弔電を打つ。
  三上君から速達。『関西公論』休刊。原稿は神戸へ着。
  靑木君から速達。二十九日はするよし。
  明後日の出発の用意。
  発信 秋田和美 靑木靖三 のぶよ(陽子)
  受信 のぶよ 陽子 三上陸 讀書人 図書新聞 靑木靖三 

○十月二十六日(日)  雨 冷
  午後、新宿へ。お土産を買う。
  夜、入浴。明日の用意。
  東京で会った人で一番感じの悪かったのは野沢隆一。専務におさまりかえっている。
  滞東丁度一ヵ月。やはりかなり成果はあった。最大の問題の専修の問題は未決だが。ジャーナリズムは徐々に進出できる。手がかりはできた。
  甘粕、森、山本には会いたくない。鈴木、元浜、淸水の方に会いたい。『現代の思潮』の件等。

○十月二十七日(月)  晴 冷
  午前七時起床。八時少しすぎ家を出る。和幸の自動車にのり、東京駅へ九時着。九時半、東京発「なにわ」にのる。すいている。富士がきれいに見える。午後七時、大阪着。七時半家へ着く。
  井上さん、入院のよし。
  発信 秋田和美 小林延子
  受信 秋田和美 小林延子 三上陸

○十月二十八日(火)  晴 冷
  ひる頃、流泉書房へ行き、古川君に会う。
  午後、みかげ。今井、松原、楠、井上、淸水、小島等に会う。
  三劇で「河は呼んでいる」「戦争と貞操」を見る。
  明日の「いずみ会」の準備。
  発信 林省吾 鈴木亨
  受信 白石凡

○十月二十九日(水)  晴 暖
  午前、みかげ。横山さんへ電話。十一月二日に会うことにする。
  午後一時半、石原氏宅へ。いずみ会。『実践論』終り。
  手紙を書く。出生届の件。農地の件、一応片づく。
  シッシン、又わるし。左の耳。不可解。
  発信 三上陸 篠原 久次 米沢支所 山形市役所 小川政恭 鈴木亨
  受信 小川政恭 山形市役所 瀧沢克己

○十月三十日(木)  雨 暖
  午後、みかげ。後藤さんに会う。交通局から電話がかかってくる。
  三時、大阪へ。創元社へよる。保坂氏、に会う。イタリカンへ。秋田さん、前原さん、山本さんがくる。九時解散。
  「人間の研究(六)」を「人間性の歪みについて」として、『現代思潮』に出す。
  発信 亀井蔀 三田俊雄 山田坂仁 鈴木亨 元浜清海
  受信 秋田和美 淸水正徳

○十月三十一日(金)  曇 暖
  午後、みかげ。靑木、鍵本、等に会う。楠さん、資料室へ引越してくる。八木さん、事務室の方へ。
  「妹の力」を書き始める。
  神戸へ來ると、段々宵(よい)ばり朝ねぼうになる。
  今井さんだったら、井上さんよりはもう少し要領がよかったろう。もう少しすっきりした形にできたろう。井上さん、はじめから最低線まで引き下り、しかも下手にばかり出ていたからナメられる。
  発信 鈴木亨 元浜清海 湯川和夫 三上陸
  受信 淸水正徳 鈴木亨(電報)、