○五月一日（金） 晴 暖
午前、横井氏來る。契約書を正式にとりかわす。
午後、散髪。みかげ。事務長等に会う。陽子に会う。いっしょに下宿へ行く。のち、三の宮へ。後藤書店へよる。
どうも今年はついてるようだ。専修のことも何とかなりそうな気がする。全部ではなくても一部分でもいい。
発信 のぶよ
○五月二日（土） 晴 暖
午後、資料室へ。今井さん、楠さんといっしょに大手会館へ。送別会。学長等約三十人。学長いやらし。五時半終了。井上さんといっしょにかえる。井上さんの所で夕食。後、山本さん、庫本さんへよる。
送別会の途中で横井氏來る。宅地の件。
五日に歸京の予定。三日、休養。四日、残務。
発信 山田宗睦 正木重之 陽子 のぶよ 前原聿江
○五月三日（日） 晴 暖
午後、三の宮。流泉で古川君に会う。朝日会館で「裸のマカ」を見る。
夕食、井上さんの所で。庫本さんでテレビを見る。
発信 醇郎 のぶよ 森川澄枝
○五月四日（月） 晴 暑
ひる頃、ミカゲへ。井上さん來る。横井氏來らず。井上さん歸る。三の宮へ行く。『新讀書』を買う。前原さんに電話。ミカゲへかえる。奥村さんに会い、西鶴のことを聞く。資料室へかえる。陽子來らず。下宿へ行ってみる。行きちがいになる。資料室へかえる。陽子きている。陽子と田中屋へ行く。資料室へかえる。六時、大阪、シルヴァーへ。山本君の奥さんに会う。前原さん、山下さん來る。吹田へ。夕食。金をかえす。横井さんへ電話。小路へかえる。井上さんに実印をあづける。庫本さんへよる。丸徳へ挨拶。明日の出発の用意。
○五月五日（火） 晴後雨 暑
七時、家を出る。八時、三の宮発「高千穂号」にのる。車中あつし。六時、東京着。七時、家へつく。
郵便物沢山來ている。
受信 阿部眞琴 岸一枝 伊藤一美
○五月六日（水） 曇 寒
午後、理論社へ。小宮山氏に会う。新讀書社へ。森川さんに会う。ル・モンドで山田君、正木君に会う。
発信 岸一枝 多田英資 庫本一二 林和幸 井上増次郎 関西哲学会
受信 渡辺義晴
○五月七日（木） 曇 冷
午後、図書新聞へ。田所氏不在。新讀書社へ。三島の本をうけとる。村井氏といっしょに「むらさき」へ行く。須田へ電話。
葉書を沢山書く。
山田君はどうも忘れっぽい。緻密でない。
発信 東京唯研、淸水正徳、関西学院、前原聿江、哲学会、京都哲学会、中野康存 小松醇郎、渡辺義晴、伊藤一美、一誠堂、山形大学、日本哲学会、
○五月八日（金） 曇後雨 暖
午後、図書新聞へ。田所氏に会う。理想社へ。打合せ。
陽子へ『世界』を送る。
考えてみれば、全くここまでよく來たものだ。つなわたりのようなこと、スベリ込みセーフも何度もあった。予想以上によくはこんだ。去年の九月、ここまで具合よく行くとは予想もしなかった。
発信 樋口和博、坂本貢三、水野亜美、後藤宏行、思想の科学
受信 陽子 思想の科学
○五月九日（土） 雨 寒
午後、新宿。「思想の科学」へ電話。三時、法政へ行く。唯研運営委員会。六時、私学会館へ。粟田氏の報告。司会をする。九時終了。
発信 阿部眞琴 井上増次郎 山下正子
受信 井上増次郎 須田宗興
○五月十日（日） 晴 冷
午後、ひるね。阿佐ヶ谷の家へ行く。おじいちゃん一人留守番。
夜、讀書。広末さんの論文面白い。
テンポはおそいが、東京で着々地盤をきづきつつある。唯研、思想の科学等。教職がなくてもやって行けるように考えねばなるまい。
発信 森川澄枝 奥村久美子
○五月十一日（月） 晴 暖
午後二時、藏前へ。須田、齋藤忍随に会う。相撲を見る。六時、終了。人形町の久八で夕食。
電話の件。
三島をよむ。つまらない。
去年の九月のことを考えれば、たしかにかなりの足場はできた。
○五月十二日（火） 曇後雨 暖
午後、三一へ。正木君に会う。理論社へ。小宮山氏に会う。新讀書社へ。
「思想の科学」の原稿。こんどのは面白い。
発信 山本晴義 山田宗睦 陽子
受信 樋口和博 山本晴義
○五月十三日（水） 晴 冷
午後、三一。電話で山田君と話をする。学士会館へ。日文協へ。
「思想時評」原稿。
発信 阿部幸男 水野亜美
受信 思想の科学 水野亜美 阿部節 実存主義協会 陽子
○五月十四日（木） 晴 暖
午後、三一。山田君等に会う。出版記念会の件。レッド・パージ研究会の件等。弘文堂で田村君に会う。お茶の水で木村誠君に会う。
夜、おじいちゃん來る。
『中間文化論』着。
「思想時評」終り。十四枚。こんどのは充実している。
発信 井上増次郎 山田宗睦 前原聿江 正木重之
受信 井上増次郎（電報）
○五月十五日（金） 晴 暑
午後、新宿へ。文理書院へ。寺島さんに会う。「哲学講座」の件。理想社へ。神楽坂でテレビを見る。若の花、朝汐にまける。
『中間文化』讀了。
もう東京へ出てきてしまったのだ。ここまでは予想以上に順調に行った。これからは東京で地盤を作ることだ。
発信 正木重之 鈴木亨
受信 多田英資
○五月十六日（土） 曇 暖
午後、新讀書へ。「思想時評」をわたす。銀座へ。
六時から「思（ママ）の科学」、国際文化会館。十時終了。
発信 平凡社 山田宗睦
受信 平凡社 林和幸 東京唯研
○五月十七日（日） 曇後雨 暑
休養。午後、ひるね。祐二郞といっしょに下井草でテレビを見る。若の花優勝。
とにかく東京で、おそいながら、着々足場をきづきつつある。そう心配することはない。
発信 林和幸
○五月十八日（月） 曇小雨 冷
午後、家庭裁判所で樋口和博に会う。三一へ。『今日の哲学』のプリント、できている。図書新聞へ。書評の件。学士会館へ。岡倉さんと電話で話をする。
「出版記念会」の通知きたる。
発信 亀井蔀、小松勝子 芝田進午、大井正、井上増次郎、醇郎、信毎年鑑、前原聿江
受信 前原聿江、信毎年鑑
○五月十九日（火） 晴後曇 冷
午後、三一へ。正木君に会う。編集費を貰う。新讀書へ。理想社へ。佐々木氏に会う。
たしかに、東京における足場は段々拡張しつつある。電話が通じたし、はるかに便利になった。
発信 井上増次郎 笠井淸 田畑弘
受信 井上増次郎 笠井淸 田畑弘
○五月二十日（水） 晴 暑
午後、延世といっしょに和幸の家へ行く。ビールをのむ。空気よろし。四時辞す。
「ちっくたっく」を書く。「トク名批評」を注文されるようになったら、ジャーナリストとして本物だ。たしかに東京にかなりの足場を作った（『人生手帖』その他）。収入が急上昇するとはいえないが、希望はもてる。大いに頑張るべし。
発信 醇郎 井上増次郎 横井龍太郎 和郞 鶴見俊輔
受信 井上増次郎
○五月二十一日（木） 晴 暑
午後、新宿。白十字でアチコチへ電話をかける。買物。神田へ。学士会館へ。図書新聞へ。田所氏等に会う。
「ちっくたっく」の原稿、書き足して送る。
明日の大阪行の用意。
受信 水野亜美
○五月二十二日（金） 曇後雨 暑
七時五十三分中瀬中学前発、八時十五分荻窪発、九時少し前東京駅着。九時三十分発、なにわ号。車中ねむる。あつし。京都で国電にのりかえ、七時吹田へつく。
夜、コーンフォースを讀む。
発信 のぶよ
受信 前原聿江 亀井蔀
○五月二十三日（土） 雨 冷
午後、吹田へ陽子がくる。いっしょに出て、本山で別れる。庫本さん、井上さんへよる。大阪へ。六時、イタリアン。前原、水野、山下、山本さん等。第八章、科学。
小路の家へもぐりこむ。
発信 笠井淸 のぶよ
受信 笠井淸
○五月二十四日（日） 晴 暑
午後、大阪。浪速莊へ。民科哲学部会。『戦後思想史』の出版記念会。十一人。五時、終了。のち、山田、鈴木、元浜、淸水等とシルヴァーへよる。十時、家へつく。
○五月二十五日（月） 晴 暑
午後、京都へ。松田さんを訪う。飯島衛氏を推せん。法律文化社を訪う。亀井氏休み。河原町で三一の田畑氏に会う。「なると」で夕食。十時家へかえる。井上さんへ横井氏來ている。経濟的取引終了。入浴。
発信 のぶよ
○五月二十六日（火） 晴 暑
午後、元町、第一銀行へ。御影分校へ。湯浅さんに原稿の件。笠井さん來る。いっしょに三の宮へ。丸高で夕食。家へかえる。散髪。庫本さんでテレビをみる。
加藤さんへ電話。山岸さんへ電話。
流泉で古川君に会う。
発信 和郞 陽子 前原聿江
○五月二十七日（水） 曇 暑
午後一時半、石原宅。いずみ会。「四、主要な矛盾と矛盾の主要な側面」について。五時終了。六時、大阪、シルヴァーへ。山本君夫妻に会う。九時家へかえる。
ルイスをよむ。
蚊が出はじめる。
発信 のぶよ、
○五月二十八日（木） 晴 暑
午前、横井氏來る。登記終了。
午後、富士銀行灘支店へ。東灘区役所で転出の手續き。神戸大学へ。資料室へ。図書室へ。元町へ。杉島君に会う。ドンバルで山岸さんに会う。御影の杉島君の家へ。十時家へ帰る。
ロウソクの灯で『図書新聞』の原稿を書く。
発信 のぶよ
○五月二十九日（金） 晴 暑
午後、ひるね。御影、資料室へ。
六時、元町の三好野へ。陽子來らず。下宿へ行ってみる。葉書不着。先へ井上さんへ行く。夕食のごちそうになる。後から陽子來る。下宿まで送って行く。
原稿を送る。
発信 醇郎、山田宗睦 山本晴義 森川澄枝 のぶよ
○五月三十日（土） 曇 暑
午後、山本英一氏を見舞う。大阪へ。心齋橋を歩く。梅田へ。シルヴァーで水野さん、前原さんと打合せ。吹田へ。醇郎不在。「すし」のごちそうになる。和郞、來る筈だが、來らず。八時半去る。本山へ。庫本さんへよる。今夜で小路の家へとまることも終り。
『図書新聞』、マルクス先生。
これで家の問題も完了。ようやく移転終了。これから東京における出発となる。記念すべきこと、時期を劃すること、意義深いことである。十年の歴史をとじる。全くよくここまで來たものだ。こんどの滞在は神戸の総決算の意味もあった。楽しい十日間、忙しい十日間でもあった。
○五月三十一日（日） 曇 暑
七時、家を出る。八時、三の宮発。すいている。汽車中ねむる。午後六時、東京駅着。七時、家へつく。
これで神戸の用件は一段落。これからは名実ともに東京都民となる。どっかり腰をおしつけて活躍する。
発信 芝田進午 平凡社
受信 松田道雄 服部英次郞 唐木邦雄 平凡社