○九月一日（火） 晴 暑
今日もよくねむる。どういうわけだろうか。
散髪。
山田君の本をよむ。
発信 笠井淸
○九月二日（水） 晴 暑
三六・四度。十七年ぶりの暑さ。
午後、延世、陽子といっしょに和幸氏の家へ行く。
おじいちゃんも來ている。六時、辞す。
留守中に古賀正則氏來訪。
山田君の本をよむ。
○九月三日（木） 晴 冷
午後、お茶の水へ。田村君に会う。山田君の本を貰う。
古賀氏に会う。田川氏の件。
急に涼しくなった。
山田君の書評を書く。四枚。
陽子、神戸へ立つ。
受信 理想社
○九月四日（金） 曇 冷
亜美さんへ山田君の本を送る。
午後、図書新聞へ。原稿をわたす。新讀書社へ。
哲学史の「まえがき」を書く。
発信 山田宗睦 前原聿江
○九月五日（土） 曇 冷
午後、理論社へ。小宮山氏に会う。交通公社で定期を買う。
理想社へ。「まえがき」をわたす。出さんの校正、できている。理想社、明日蓼科へ行く。飯島氏に会う。日文協、寺島氏、花田氏へ電話。
「思想時評」書き始め。
受信 寺島一夫
○九月六日（日） 曇 冷
休養。ひるね。入浴。
『理想』の校正來る。校正をみる。
『讀書人』に秋の企劃が出ている。
受信 井上智行 陽子
○九月七日（月） 晴 暑
『理想』の校正を送る。
午後、杉並診療所へ行く。能智愛子さんに会う。
レントゲン写眞をとる。文理書院へ行き、寺島氏に会う。
「思想時評」の原稿を書く。
受信 山田宗睦
○九月八日（火） 曇 暑
ルフェーヴル『哲学者の危機』をよむ。
受信 水野亜美 陽子
○九月九日（水） 晴 暑
午後、荻窪の診療所へ。レントゲン写眞の結果、よろし。新讀書社へ。片倉といっしょにブラジルへ。
陽子へ『世界』を送る。
原稿。
○九月十日（木） 晴 暑
午後、新宿へ。『人間失格』を買う。理想社へ。服部さんの原稿まだ來らず。
山崎時彦氏より『革命思想小史』の寄贈あり。
雜用。『世界』をよむ。
発信 山崎時彦
受信 飯島宗亨 渡辺義晴 山本晴義 江南正雄
○九月十一日（金） 晴 暑
入浴。ひるね。『人間失格』をよむ。面白い。
原稿、少し。
発信 草薙良子 山本晴義 飯島宗亨 根來敬 東京新聞
受信 草薙良子 吉井正俊 根來敬 吉井正俊
○九月十二日（土） 晴 暑
午後、新宿へ。買物。理想社へ電話。服部さんの原稿、着。新讀書社へ電話。
梅沢氏へ電話。
『学習の友』着。
『中央公論』をよむ。原稿、少し。「思想時評」終り。
○九月十三日（日） 曇小雨 冷
午後、皆で阿佐ヶ谷の家へ行く。のち、一人で新宿へ行く。
原稿を新讀書社へ送る。こんどは十六枚。割合に充実している。『新讀書』にはもったいない。
明日から僕の秋の活躍がはじまる。
今年の哲学界には新しい動きが出てきた。主体性論爭以來十年、歴史は週期（ママ）をもつ。旧民科哲学部会のメンバーは大体沈黙。メンバーがすっかり交代した。㐧一線では、僕が最年長の形になった。教條主義者は振り落されて行く。
これから一ヵ月、『劣等感』に集中しよう。
『ヴィヨンの妻』をよむ。
発信 伊藤一美
○九月十四日（月） 曇小雨 暑
午後、延世をつれて杉並診療所へ。医師不在。のち、学習の友へ。三一へ。大隈会館へ。自殺の座談会。飯島氏、樫山氏等。のち、「大都会」へよる。
大隈会館で理想社の井上氏に会う。
発信 服部英次郎 淸水正徳 鈴木亨
受信 服部英次郎 淸水正徳
○九月十五日（火） 晴 暑
午後、新宿へ。学習の友へ。梅沢氏に会う。花田君へ電話、新讀書へ電話。
『劣等感』のプラン。哲学的スタイルをすて、全く文学的スタイルで書く。
今年の秋の哲学界は、小松、山田、花田。
発信 正木重之 陽子
受信 陽子
○九月十六日（水） 曇 冷
午後、入浴。ひるね。
『劣等感』書き始め。この本が売れるといいが。
発信 森信三 片倉昇
受信 森信三 中筋烈 東京新聞
○九月十七日（木） 曇 暑
午後、新宿。理想社へ電話をかける。荻窪で「だんご」を買ってかえる。
『河』をよむ。
今年の哲学界は面目一新した。選手交代。左派では、小松、梅本、山田、花田。
教條主義者の没落。大井、寺沢、森信成。竹内も影がうすくなった。
武市のカム・バックはもう不可能。
発信 森川澄枝 山下正子 唐木邦雄
受信 森川澄枝
○九月十八日（金） 晴 暑
朝、図書新聞來る。哲学ジャーナリズム。
午後、共立講堂へ。「暗夜行路」を見る。
三三・二度の猛暑。台風の置土産。
原稿。
受信 片倉昇
○九月十九日（土） 晴 暑
午後、教育大学へ。唯研。小牧氏の話。
六時半、日文協へ。現代部会。『河』について報告する。
原稿。
発信 唐木邦雄
○九月二十日（日） 晴 冷
午後、文理書院へ。『人生手帖』の会。
『図書新聞』の原稿「哲学ジャーナリズム」を書く。五枚。よくできている。
いよいよ秋冷の候になった。
受信 庫本一二
○九月二十一日（月） 晴 暑
三一、花田君、図書新聞へ電話。
図書新聞から原稿をとりにくる。
午後、入浴。
『人生手帖』の原稿、一気に書く。十四枚也。
三一はだらしなくて困る。非人間的だ。
○九月二十二日（火） 晴 暑
文理書院へ原稿を送る。
午後、新讀書へ。片倉に会う。
原稿。
受信 森信三
○九月二十三日（水） 曇小雨 冷
午後、新宿へ。理想社へ。服部さんの校正出ている。花田君へ電話。
原稿。少し疲れた感じがする。
○九月二十四日（木） 曇 冷
午後、渋谷労政会館へ。「唯研」臨時總会。山田君に会う。
原稿。ようやく『人間失格』終り。これまでで約四〇枚。この原稿も調子が出てきたようだ。これから、いっそう急ピッチ。いいデータをさがすこと。おそくとも十月中には書き上げる。十一月には本になる。こんどはかなり売れると思う。ベスト・セラーまで行かないともいえない。そうなればしめたもの。
発信 中筋烈 山下正子
受信 人生手帖
○九月二十五日（金） 雨 暑
午後、理論社へ。シナリオをかりる。台風近づく。
原稿。
発信 山下正子
受信 山下正子 三一（電報）
○九月二十六日（土） 雨 暑
台風來る。スピード台風。
ひるね。
原稿。
○九月二十七日（日） 晴 暑
午前四時、台風山形県へ。東京はしづかになる。そのごねむる。
午後、入浴。テレビを見る。若の花優勝。
原稿。全学連のこと。
○九月二十八日（月） 曇 冷
午後、浅草へ行く。観音様でおみくじを引く。第九大吉。
原稿。一区切り。七八枚（一五五枚）。
○九月二十九日（火） 曇小雨 寒
午後、ラ・モンドへ。花田、山田、正木來る。打合せ。新讀書へ。
今夜は少し休養。
発信 古川雅章 前原聿江 陽子
受信 陽子
○九月三十日（水） 晴 暑
午後、新宿へ。理想社へ。十月号出來。新讀書社へ。原稿をわたす。十月号出來。
小池さんからの書物、着。
原稿。「東京へもの申す」を書きはじめる。
受信 渡辺義晴 醇郎