母上様

6月4日附の御手紙拝見しました、お金も有難うございました、

手紙の往復に日がかゝりますので、その間に様子も変ります、延世わ

その後、注射を續け、無理をしないようにしていますので、だいぶ良いよう

です、荷物を分けることわ大体終りましたので、無理をして來て下さら

なくても結構です、スワの方の荷物わ大体まとまりましたので、近い中

にとにかくこの方を送ります、スワの方も随分荷が沢山あります、運

賃も貨車買切の方が安いようです、明日でも貨車の都合を聞いて、

送るようにします、

神戸の方わ、本が相当ありますから、結局かなりになります、書物だけ

わ学校え、後の荷物わ家え運びます、神戸の方の金わまだ來ません

が、或わ私が行かないと出ないかも知れないので、次のように云つて

やりました、“荷の片付けも大体出來て、後わ運送屋にたのむだけに

なつたので、金を送つてほしい、若し私が行かなければ金が出ないと

いうのであれば、私一人先に行く、そして予科の授業の終る頃(7月

上旬)に山形え歸つて引越しをすることにする、併し、用意も進捗した

ので、こゝで皆で引越して了いたい、”

陽子が昨日から学校え行つています、3月以來病気續きでしたが、

これでどうやら常態に復しました、

 

皮フ炎も一度よかつたそうですが、又悪化した由、困つたことです、

前、よくなつたときの方法でわもう利かないのでしようか、

 

6月7日  攝郎