3月1日
朝ハ日もさししが午後より雨
歯いしやに行かうかと思ひしが後少しし研究してから行く事にする雨にて止めてよかったと思ふ
床に入りてゆっくり休む
新聞も朝日新聞と大阪新聞の夕刊朝刊はしからはし?読み後時間有り国に居れば忙しきに物体ない様なり
身体を出来る丈休養療養し丈夫になりて帰って郷里の仕事をするつもり

3月2日
前夜雨の音はげし朝より小雨
部屋の掃除をなす午後より歯いしやへ行く七人も待ち時間かゝり帰りに高濱神社に参詣する
帰り見れば三月三日のおひなさまが飾って有る
今日醇郎塩田先生に逢っていろいろ聞いてくれた由ペニシリンは一寸休むがよい由 尿ハ悪化有る由なり
今度の日曜日七日に来診してくれる由 薬二色貰って来てくれる
与平氏より路造の事 云って来てくれる
豫記 来信 小松与平氏

3月3日
晴れ 前夜ハ相当寒かりしが日中ハ暖かなり
皮フ炎の工合悪しく前夜よく眠れず一日気分悪し
与平氏に手紙を書き出しに行き果物等買って来る
便箋等も
此夜ブロハリン五つ飲んで少し眠れる
豫記 来信 小松与平氏
発  与平氏 速達

3月4日
朝小雨夕方大雨になる 此日ハ散歩にも出ず
午前新聞の切りぬき等をなし午後床に入りて休む 何もせず物体ない様なり
百枝の手紙平出のお母さんの体をなほして上げなさいとはかきに書いたが何とも書いてなし
昴が靖彦に試験がすんたら飲まうねと云つた由もうそんなに大人になったかと驚く
夏諏訪へやり度いと云ふ 来る事を願ふ
豫記 来信 中村百枝

3月5日
朝くもり午後雨
朝飯をすまし醇郎ハ登校の仕度し居る処へ埴原田の伊藤信衛氏路造調印の爲わざわざ来られ驚く
地図も見詳細の事を聞き当方からも調印前に云って約束して貰ひ度き事有りそれを快諾してくれしにつき調印す坪千円十二坪半で一万二千五百円受取る之れを醇郎に上げる
豫記 発信 中村百枝
      小松与平氏

3月6日
くもり少し寒くなる 未だ時節です 東京新潟方面雪のよし 信州も雪ならん 午前新聞やいろいろ読む午後証子二人の子供とウアオリンの先生の処へ行き留守に塩田先生の奥さん来り結婚式に都合悪しと云ふ

3月7日
天気風有り 醇郎塩田先生方へ行ってくれる
昼食後塩田先生へ醇郎と二人にて御診察に行く
菓子二百円持参す よく御診察を受け御話も聞いて帰る
帰って見ると和郎来て居る いろいろの話をなし夕飯を御馳走になりて帰る ウヰスキーも身体非常によくなりし様なり
直一氏路造の事について頼みやりし返事無理の無い丈所も有り
豫記 来信 伊藤直一氏

3月8日
くもりかなり寒し 未だ冬なり
此日武内義尚さんの結婚式とて仕度に大変なり
買物に出る 神参りもなす 皆出てから昨日の風呂有りし故肌着、おこし、腹帯布足袋二足等洗ふ 夕方?に大方乾く
原阿佐緒さん離郷の歌 すももの花吹くにいたらず病みて出づる 我がふるさとをまたは見ずやと
豫記 来信 摂郎

3月9日
晴れ寒さつよし こたつにしがみつき新聞を読んだり伊藤直一さんに手紙を書く
西独から日本のハリ灸の研究に来た人の事。高血圧防止は食生活から。昔主人の友人園田徳太郎氏の事等を見る
醫薬で中々はっきりしない私の咳ハリ灸をやって見度い等考へる
ペニシリン錠剤買って来てくれる 百二十円
塩田先生方から薬五日分始めて水も有り
豫記 発信 伊藤直一氏 礼状

3月10日
くもり寒し 純子の幼稚園の會とかで証子も行く大さわぎ
午前買物に出る 卵十三円でよいのが有る
リバノール油残等買って来て午後リバノール湿布をなす
心地よい様なり

3月11日

午前笹岡美代吉氏にはかきを書き訪問してよい日を聞き輝夫氏等諏方へ行くや否や行くなら何日頃かと聞いてやる
アルコールを買って始めて吸入をなす 心地よし
夕飯後ペニシリ液を作り吸入をなす
豫記 発信 笹岡美代吉氏

3月12日
晴天 雨上りにて心地よし 昨日二回吸入をせしが此朝同じ様に咳有り中々急にハ仕方ない様なり
朝 昼 夕 三回吸入をなす 純子さんと遊ぶ
夕方来客有り 部屋を形つけ六帖に居る
此日掃除して置きて都合よし
此晩ヒフ炎に苦しみ眠れず 全身の気分もよからず
吸入 ■■ ペニシリン
豫記 奈良のお水取りの頃か

3月13日
晴れ寒さつよし 午前床に入りて休む 午後散歩に純子をつれて出て棒つきの飴リンゴ、ミカンを買って来る 高濱神社に参拝す
お水取りの寒さ風中々寒し身体も指先も寒くつめたかりしが純子ハ平気なり
醇郎帰りおそく先に夕飯をすまして休む
吸入 ■■ ペニシリン

3月14日
晴天中々寒し
今日ハ日曜なれども授業をやって父兄の参観が有り懇談会が有るよし証子さんハ純子をつれて昭子の学校へ行く
笹岡さんよりはかき有り返事を書いて出しに行く ナベ敷を買って来る
塩田先生方へ醇郎行き色々話し薬を頂いて来る
熱 夕方 三七、アスピリン一つ
吸入 ペニシリン
豫記 来信 笹岡美代吉氏
発信 笹岡美代吉氏

3月15日
晴天 寒し 0下一度といふ
塩田先生より頂いたお薬オーレオマイシンを一粒朝食後に夕方四時頃に一粒飲む 何やら痰が切れて心地よい様なり
午後東尾清氏木下佳壽氏二人見舞に来てくれる
木下氏ハ長野松本にもし居りし人のよしいろいろとお話して帰らる
薬四日分貰って来てくれる 夕飯後オーレオマイシン飲む
豫記 朝熱 三六、一
塩田先生
尿の検査をして頂く殆んどタン白無しとの事安心せり

3月16日
天気なれども中々寒し
此夜皮フ炎ピリピリしてよく眠れず朝より床に入りて休む
朝飯後オーレオマイシンを飲む
午後ペニシリンの吸入をなす
林婦さ氏よりのはがき 東京も0度とか寒きよし
婦人公論を送りし由
豫記 来信 林婦さ氏
発 摂郎へ

3月17日
晴天 寒さつよし 朝二度 寒い心地す
敷布ゑり自分で洗ふつもりなりしが証子さんが序が有ると云って持って帰ってくれる
日中は非常に暖かなり 洗ひものもよく乾く
明日ハ彼岸入り故暖かにとなるべし諏訪ハまだまだ寒い日も多いと思ふ ゑりをかけ敷布も美しくなり心地よし

3月18日
少し暖かになる 午前少しカーゼ等洗ひ午後証子さんに行って貰って買物をなす 明日美代吉さんへ行くにつき女の子の衣表ワナゲ新やへの布等々 ブロバリン レスタミン軟膏
豫記 来信 延世さんより

3月19日
くもり割合に暖かなり
午前用意して午後醇郎の帰りを待って笹岡さんへ行く 女の児の衣表 ワナゲ 羊カンノ■り 醇郎よりウヰスキーを持参す 大阪駅よりタクシーで酔って気分悪し いろいろの御馳走になり九時頃帰る 大阪駅?タクシー便利なり 醇郎オーレオマイシンを買って来てくれる
タクシー汽車二人三百二十円渡す
豫記 来 林さんより
婦人公論五冊
オーレオマイシン 一ツ

3月20日
くもり 昨日の疲れにて一日中家に居る 婦人公論や新聞等読む
食欲が少し悪るくなりし様故 粉薬をヒルより二回止めて見る
マイシン 三つ
豫記 来信 摂郎

3月21日
くもり 彼岸の中日にて大に暖かになる
今朝ハ輝夫さん方諏訪へ帰って居るならん
午前に一人午後二人来客有り証子さん中々忙し
学位を取りし人のお祝に呼ばれしとて醇郎おそく帰る
豫記 オーレオマイシン 二回

3月22日
くもり朝寒し 0度位のよし
朝よりよく休む 証子さんの姉さん信子さん来られる 証子さんハ午後昭子の学校へ行く 信子さん一緒に帰らる 生菓子を頂く 醇郎ハ一日在宅
マイシン 二回
豫記 来信 笹岡美代吉氏

3月23日
くもり 朝中々寒し
朝友繁さんへお悔みの手紙書き証子さんに一緒に出して貰ふ 香典千円也
林さんへはがきを書き出す
午後五時お灸の先生来りいろいろ話してすえてくれる
豫記 発 友繁健之助氏
   林婦さ氏

3月24日
天気 暖し
午後早目に昼食をなし皮フ科の清水先生の処へ行く 診察して貰ひ薬を沢山貰って来る 御礼として千円 薬代百円上げる
帰りて休む 夕飯作りの頃純子来り遊ぶ
頂いた薬白い方工合よい様なり 色の有る方ハ又試験して見るつもり
靖彦入学の通知
豫記 来信 中村靖彦氏

3月25日
晴天暖し
午前肌着等洗濯をなす 座敷掃除をなす
午後五時頃灸のお医者来る 二回で五百円拂ふ
豫記 発 小松与平
   河西てう氏
   平林■氏
   中村靖彦氏

3月26日
晴れ すっかり春らしくなる
午前に買物をなし 神様に御■する
帰りて証子さんに灸をすえて貰ふ 午後ハ婦人公論等読み休む

3月27日
非常に暖かになり気分悪しきほとなり
午前に証子さんに灸をやって貰ふ
午後二人の子供をつれてヴアオリンの先生の処へ行く 私一人留守居す 灸の故か気候の故か何となし気分悪し 午後吸入器を洗ふ
豫記 来信 友繁健之助氏

3月28日
非常に暖かになり長じゆばんをぬぐほとなり
午後醇郎のタン生祝を兼ねて私と逢って話し度い事有り摂郎和郎来る由故午前ゆっくり休み午後部屋の掃除等なす 四時頃なりしか摂郎来り 五時過ぎ和郎来る 諏訪の家の事三人共同の責任を以てつぶさぬ様にしてほしい事等々話す
さしみむしずし卵の■物ほーれんそうのおしたし塩■等々茲に使わず有りし米粉小豆を和郎にやる

3月29日
前夜雨朝より晴れる朝ハ相当寒し
咳痰も多く午前中よく休む
午後灸をやって貰ふ 与平氏に二三日帰日後れると云ってやる
豫記 発 与平氏

3月30日
暖かなり 暖かになりし故にや身体がだるく食欲が無くて困る 目まひもする
灸をやって貰ふ 証子さん二人の子供も阪急へ行く
延世さんから二日の夜行がよいかと云って来る
はかきを書いて出して来る
豫記 来信 延世さん
発 延世さん

3月31日
天気よく暖かなり
何もせず一日中よく休む
プロタミラーゼのみ飲み咳の薬ハ一日止めて見る 夕飯に少し食欲出た様なり