前夜より雨二百十日なれども風は少しも無く人皆ほ
っとした様なり吹田ではさぞ㐂んでいるでせう
一美氏妻へ漬瓜を女中に持たせてやる
降る日は女中の仕事無くて困る雑誌のみ
取りつき居る一日中小止みも無く降る
豫記
来 延世
発 摂郎 百枝 昂 林さん
9月2日
前夜は朝より止みしもくもり日はささず又雨降る
薬取りに女中を矢ケ崎へやる 私は河西氏平林氏
三沢氏春日氏に手紙はかきを書く長く気になって
居た手紙を出してほっとしたり
昼に乳無かりし故に三時に氷餅と粉ミルクを
飲む腹具合よく夕方空腹を覚えるほとなり
夕飯すまし女中と眠りし処へオニバの麹やのおばさん
来らる私の病気をききて■■のお礼返しと
豫記
来信 摂郎 春日氏 平林氏
発 河西氏 平林氏 春日氏 三沢氏
9月3日
雨は止み晴れたり女中朝洗濯後畑の草取り私は午前ソーキンサシ三人の子供より可愛いいはかき来る女中にも
餘りねて許り居るとどうかと思ひ少し家のまわり
の雑用をなし倉に入りて布さがし等をなす
冬衣類を形つけし許なるに早や涼しくなり夏衣は形づけ冬衣を出す様になる気候の変り節か早きかにおどろく
豫記
来 和郎より砂糖の小包
来信 陽子 紘一郎 裕二郎
9月4日
割合日もさし天気よくなる
女中御社宮寺の草取りをなす
昼過き処方を持って矢ケ崎へ行って貰ふ
夏物を干したり形づけたりする少し夕方
女中御社宮寺の畑の草取りを仕上げる
豫記
発 林省吾氏 陽子外二人に
来信 林省吾氏処方等二枚封入
9月5日
昨日は良く晴れて居り今日の天気も大丈夫と思ひしに
夜中より雨朝も相当降り居る後止む
今日ㇵ主人の死去せし日なり感慨無量
おはぎを作り新やへも沢山上げる私もよく食べれる
女中庭の畑の菜蒔きをなす
敷布をなをし冬のじゆばんのゑりかけ冬の肌じゆばんの
枕丈に手をつける
豫記
来信 小松綾子
発信 小松和郎 綾子
9月6日
晴れたりくもったり温度暖かになる
昨夜おいしかったおはぎ今朝は餘りおいしからず
女中山の上の畑へ草取りに行く山に近き処ㇵこわいといふ
東北は山に遠き故にや草取り半日丈午後風呂をわかし
女中一人入り寒き風有り私は止める夕方薬買ひに矢ケ崎へ行ってもらう
熱気有りアスピリンホシカリシ故併明朝迠様子を見んと飲まず
豫記
夕方三六九
夜三七
9月7日
晴天暑気つよし
午前女中山の上の畑に草取りに行く
午後気持ちよきひるねの後汗が出てマサツして見しに
あか出でし故全身をまさつしてあかを取る気持ちよし
さらだ油の残り有りし故マヨネーズを作る
夕飯後より雨の音はげし
豫記
朝三六、五
9月8日
くもり降ったり晴れたり温度は暖かし
二日許半日つつ山の上の畑に草取りに行きしに今朝ㇵ女中頭痛がするといふ
アスピリンを飲ませ休ませる
午前中女中に手伝はせて家の中の障子の切り
張りをなす昼食後休みそれより笹岡氏に
封書を書く之れで暑中見舞いの返事終わる
其後で百枝と靖彦に手紙を書く
豫記
発 笹岡美代吉氏
輝夫氏
9月9日
くもりむし暑し
吹田へ手紙を書く女中ㇵ山の上の畑の草むしり終りし由午前中に
午後買物ながら手紙二本出して貰ふ
めいせんの夜具のゑりをかける
豫記
発 百枝 醇郎
靖彦
9月10日
晴れたりくもったり二百二十日なれども無くおだやかなり
布ほどき等なし倉にて布さがし洗って
貰ふ冬の用意あれこれと考へて何となし
に仕事の多き様に思ハる
9月11日
朝よりよく晴れ中秋名月美しからん
倉に入り着物の裏其他いろいろの布さかしをなす
女中は夏物日当てる
米撰機に一斗利用部へ持たせやる
午後上座敷にヒルネす
よく晴れ一点の雲も無く美しき月夜なり
すすきをさし枝豆果物のたもちを供える
9月12日
晴れ天気よし明日台風日本に上陸と新聞に注意有り其爲か風つよし
女中に張物を■に袷表一反お張らせる
女中にはかせるもんぺ一つついでやる
中谷氏御主人五月にころんで頭をうって以来お弱りになった
由あき江氏も故障だらけ一つも治らず■太氏よい様です
があ■てつとめに行かれずとの由老いての持病ㇵ一層困り
ます等あり何処も同じ感有り
9月13日
晴れたりくもったり午前洗濯もよく乾く
女中に着せる古上着をつぐ中々時間かかり終わらず
豫記
来信百枝
9月14日
台風大変のと■■■様子に新聞に有れども昨夜
より風と小雨今日は少しㇵ風有れども大した
事なク雨も時に降る位で大した事ㇵ無き
様なり女中の上っ張りつぎ終わる
何やら身体疲れし様なり竹内さんの粉薬を飲む
夕飯後グレランを飲む具合よかりし
9月15日
晴れたりくもったり風少し有れども台風は退散のよし
大さわぎしておどされし形なり
午前平のおひでさん来訪上座敷にて話し
お昼を上げ午後三時頃帰らる
午後休むしゃべる事咳にㇵよからぬ様なり
午後竹内さんの粉薬をのむ
豫記
発 百枝
新や 山羊乳 一合
9月16日
晴天暑さも相当強し
夏物外出着を日に当て倉に入れる夏座
ふどん其他夏物を干して倉に入れる
女中ㇵふとん表袷ウラ等張物をなす
新やの山羊乳でなくなったと云ふにつき
下の今朝雄氏方へ頼む一日二合づつ
豫記
来信 百枝
新や 乳二合
9月17日
雨夕方ひどくなる
女中敷ふとん一枚仕上げる
ぼろの始末ぞうきんの下つくり等なす
又台風来るよし明日も雨ならん
豫記
朝牛乳二合 来信摂郎 新や 山羊乳 
9月18日
台風の為ならん雨風
昨夜一時間毎に起き眠れず今日は気分悪しく
殆ど一日ねて居る夜は非常の暴風雨なりしも
此辺ㇵ何の心配もなくよく休む
女中矢ケ崎へ行って貰ひ林さんの薬を貰って来てくれる
女中の印を一美氏持って来てくれる私八十円支拂う
豫記
朝朝二合 新や二合
9月19日
台風一過晴天日がつよく気分よし
昨夜林さんの薬を飲みしに深く眠れて今朝気分
よし白布の古布有りし故枕かけ等を作る
女中は朝より張物をなす
豫記
朝朝一合 山二合
9月20日
晴天昨夜中寒くふとんを出して掛けて休む
彼岸入り争われないものなり
女中印が出来し故今朝は貯金に行く
米一斗利用部へ持参す
長じゆはんをほどき破れしゆかたもほどき洗って
貰ふ女中洗濯ハ早くて上手なり
久しぶりに鶏の巣の掃除をなす
ヒヨコの方一羽立てなくなって居る何故にや
豫記
朝一合 山羊乳二合
9月21日
晴天一点雲も無く秋晴の心地よし
ほどきものをなし(私のカスリ単衣)女中に張らせる
私の長じゆばんも中々早く上手になせり
日中暑きほどなり
豫記
朝二合
9月22日
晴天日中暑きほどなり
ほどきものをなす綿入りねまきのすそをなほす
女中は自分のもんぺを裁ち作る
彼岸につきおめい玉を作りおたんごも作り佛様に供える
豫記
一合五勺
9月23日
朝くもり
彼岸の中日なり後晴れる
倉に入り布さかしをなしほどいて女中に張って貰ふ
豫記
一合五勺
9月24日
朝くもり後天気よくなる
いろいろ女中に張って貰ふ
二人にはかきを書き出して貰ふ
ハンソーコー(絆創膏)を買って来て
鶏の足に張ってやる歩ける様になるや否や可哀想なり
豫記
来信摂郎の本
発摂郎 醇郎 山二合
9月25日
朝晴れ午後雨降る
中谷氏に封書を書き午前中に出す
女中かぼちゃの■を取る
午後おひでさん寺へ来りしとて寄るチョコレートを頂く
アン餅の残りアンを上げる
念佛講に私が出ないに淋しいと云ひ誘ひに来てくれし様なりしが
私は未だ出れず
豫記
朝一合 発中谷氏 山一合
9月26日
台風十五号のよし夜前より風雨今朝ㇵ
ひどし今日ㇵ埴原田の夜祭り芝居と映画も有るよし午後止むを祈る
おひでさん傘と下駄を返しなから卵乳を入れしだんこ持参しくるる
汽車不通にて芝居後れるよし映画は明晩とか台風の為めに豫定が狂って気の毒なり
豫記
来 醇郎 
発 醇郎
9月27日
昨日の風雨に引き替え今日は朝より晴天なり
昨日の風にて折れし花の手入れ鶏の巣のむしろつるし等
女中と形つける
便所の戸昨日の風で破損せしのを製材所の人々なほしてくれる
午後伊藤要子氏来訪少し話して帰らる
今日ㇵ思いきりて墓参りに行く途中で一度休みしが行かれる 墓の前の大木
折れて居る 今日は昨日の後れの芝居有り早夕飯で女中行く
9月28日
雨寒し
よく休む女中も二晩おそくなりし故日中よく休む
笹岡氏退職公務員新聞を持って来てくれる
完全是正恩給局長好意有る受入れ有りし由
有り難き限りなり命長らへて有り難き恩恵に浴し度いと思ふ
なすこともなし得ずなりし老いの身にあなたうとしなくにのたまもの
老いの身の世に在るかぎり給わなかげにありがたきくにのたまもの
豫記
来信中谷あき江氏
9月29日
天気よし
女中ほーれんそう 冬菜を蒔く
午後油やへ取り替へに行きいろいろ買物をなす
トマト ナシ ナス ワカメ菜等々
こだつふとん下掛ねまき等日に当てる
明朝税金故金をこわして貰って好都合なり
区の婦人會に何かげきをやる由人不足故内の
女中にもやってくれと云って来る出る事にする
9月30日
くもり風寒し
女中ささげの手を取り草むしり等す
お昼にのたもちを作る