晴れ実によき天気なり今迄に無き大霜なり
倉のもみ干し昨日で終り今日明日にて家に有るもの終る
晴天つづきで有難し
平常夜具のカバー付け終るしばらく気持ちよし
古ゆかた(男物)をほどき洗ふ様にする
吹田より薬来る事を毎日待って居る
11月2日
晴天 ゑんがわのもみ干し 今日で終る
天気つづきにて有り難し座敷庭の豆全部取る
ぼろとぢにしてもむずかしいもの神経を使ふものをやれば
咳多き様なり何をせんかと考へる
仙台より小包来るいろいろとよいもの許多十一個有り難し
マスクを作る ハタキを作る 夕方明日打つ大豆の根
を女中と共に取る
豫記
仙台より小包来る
ミルク一ツ
マヨネーズ大二ツ
ウヰンナーソーセージ一つ
スキヤキカン二ツ
牛肉大■■二ツ
煉羊羹三ツ
11月3日
晴天アゼ豆打ちをなす
咳多く苦し歌集を見心少し落つく
朝仙台へ礼状を書き朝の内に出す
午後二字頃豆打ち終り其後矢ケ崎へ薬買ひに
行って貰ふ 食前の薬とグレラン等々
夕飯より薬を飲む工合よし
午後倉に入り布さがしをなす打ちすて置きし
古布の如何に多きか 利用し度きものなり
豫記
発 中村さん
11月4日
晴天 霜多し一日中雪のけもなく暖かにて有りがたし
女中黒豆打ちをなす
綿入れの羽織をほどく
豫記
今朝雄氏より三百二十五円おつり返し
11月5日
晴天よくつづく
女中豆打ちはかどる
東京の林さんに私の病状をこまこまと書き
心臓の薬のよきもの知らせてほしいと手紙を書き直ちに
出して貰ふ
ほどきものをしたりハタキを作ったり後は休む
11月6日
晴天一点の雲もなく此様な天気の続く事覚えず
農家は大㐂び仕事はかどる 女中豆打ち
三沢氏来信持病が起きて寝たり起きたりして居ら
れるよし年を取りますと駄目ですと云はれる同感なり
新やのおばさま朝来てくれて里の娘の婚礼に振り袖を
借り度いとの事快く承認したり
豫記
来信百枝ハカキ二枚
三沢かつへ氏
11月7日
晴天
女中豆打ち
二人で豆を拾ひ一斗美しくする一昨年あまり
の豆なり
11月8日
晴天前夜少し雨降りし様なりしも晴天となる
林さんより手紙処方も頂く午前麹やへ味噌取り
にやる豆一斗持参 午後薬取りにやる
午前五時過ぎ未だ暗い内に人来り起き出て見しに
伊藤直一氏来訪■を持参しくる、実に美しい■にて感謝す
午後女中新やの自転車借り矢ケ崎へ薬取りに行く
新やへ芋代百円卵十個百二十円上げる
豫記
林省吾氏東北大学抗酸菌病研究所
11月9日
晴天気候も暖かし よく天気つついたものなり
豆の青いのは豆打ち出来ず日に当てて置く女中長芋
掘り午前中に終わる貰ったはがきの返事を書く
自分の部屋を徹底的に掃除をする疲れる
又埴原田公民館にシバイが来た由女中行き度き様なり
豫記
来信醇郎ハガキ薬送った由
三沢かつゑ氏
11月10日
晴天温度も暖し
新やのおばさまのお里から主婦嫁入りの着物借りに来る
着物一重長じゆばん帯をお貸しする芋とりんごを頂く
女中豆打ち青豆明日一日で終る
お昼に小豆を煮てお汁粉を作る
シバイ昨日来ず今夜有るので女中行く
豫記
林さんより婦人公論 五月七月二冊
11月11日
前夜晴れてあかるく明日も晴天と思いしが
朝小雨後晴れる女中豆打ちの終りをなす
古布を女中のヅボンにやる。新やの嫁さん裁って持って
来てくれるヒザ当の布等さがす
倉に入りて布さがしを仕様と思ひしが其元気無く明日に伸ばす
主婦の友六月号に有りしハウザー食の健康料理を作って
食べて見たいと思ふ
豫記
発 林省吾氏雑誌の御礼
11月12日
晴天女中のツボンのヒザ当尻当の布をさかし張らせる
序に私の帯の表と心を張らせる
明日あたりもみすり俵作りのナワ農協にも無く困りしが
笹岡さんよりゆづって頂き安心せり一束百五十円
豫記
手甲寸法 長 九寸
     中 一尺
11月13日
美しい朝雲有りしも後晴れる
此日もみすり供出の俵作り新やへ朝早くより
キカイ来り始め内も朝から用意をなす
午後二時頃来るもち米乾燥が悪るくて出来ず
止めるうる十二俵半許する俵十作るつもりたりしが
米少なき様故九つ作る
新やより若夫婦二人とおばさま手伝ふ
もみすりやさん夕飯を作り待ちしが新やで食べし由来らず
11月14日
くもり 天気悪くなる様なり
女中自分のズボンを仕上げる
此朝は餘分にだるくハーハー云ふ様なりし故何も
なさず歌集等見て居る午後いつもの様に一寸
こだつに休む
午前女中矢ケ崎へ薬買ひにやる
林さんの食前の薬と食後と注射器等々
醇郎へ手紙を書く礼状其他いろいろ
11月15日
晴天
乾燥悪るくもみ有り出来なかった餅米を干す
ぬか新やから道具を借りて来てやく与平
氏見てくれる
昨日供出のよし松雄氏目方をはかり俵を作りくれる
11月16日
凡ての野菜をむろに入れる
11月17日
くもり風寒し今日供出と思ひ運ぶ人も頼みしに供出ㇵ
十八日のよし都合悪し
朝ビタカンファーを注射する
一日工合よかりしが夕方は元の様になる
豫記
発 醇郎へ薬の礼状
11月18日
米の供出お隣のむすこさんに運んで貰ふ
九表三等 午後矢ケ崎へ買物に行って貰ふ
庭にぬかやき始めて有りて厄介なりし
林さんの薬二食(食前トクレラン)等々グレラン
工合よき様なり
チンセイザイ多く入り居るか
サラダ油 バタ矢ケ崎に無し
女中シバイに行くシバイ氏よく来るものなり
11月18日
朝より一日中雨
午前に竹内秀三氏来訪 赤玉ブドー酒を頂く
よめさんの話頼まれ来しを話す問題にはならない様なり
序に庭の新やへとの界の事を話し考慮してくれる様に頼む
林省氏よりはがき有り薬の用法を注意してくれる
女中シバイに行く
豫記
来信林省吾氏
11月20日
晴れうすくもり
吹田より持参せし夜具をほどかせる早く仕立てて
送り度し
豫記
発 林さんへ礼状
11月21日
朝雨後くもり
古新聞の整理等させる
十一月分の給料を女中に渡す
此日も芝居有るよしにて道を音立てて通る其時同行せし子供
寄る人ずれのした大したものなり
帯を継いだりそうきん(女中)をしたりす
くもりにて今一日干し物有り形づかなくて困る
11月22日
晴天よく日が当る
林さん食前食後の薬貰ひに女中を矢ケ崎へやる
11月23日
晴天風も無く暖かし
もち米もみ干しをなす
ぬかやきも今日で終る
流し元の障子張り中座敷の障子を張る
日当たりよき処に障子張りをなし居りしに目まい有り
苦しく休む
11月24日
晴天暖かし風有り
供出の割当来る三石六斗供出せし丈なり
代金三万四千百八十二円 実にやすきものなり百姓は
みじめなりストも出来ず気の毒のものなり
モチ米モミスリに新やの松雄氏行ってくれる
まだ豆の始末有りねこ二枚残し二枚裏干をして倉へ
入れる 帯のつぎをなす今一日にてすつかり形づく故天気
なる事を祈る
11月25日
降ったりやんだり
やいたぬかの灰を形つける

帯のつぎを少しなす

夕飯後助蔵氏娘来り供出の米運び代を上げる百円
娘寄って遊んで帰る私は先に休む
11月26日
天気よし時々雲出る
矢ケ崎へ買物にやる食前の薬タカジャスターゼ
マヨネーズ等
帯のつぎをなす 新やの■母様雪子氏をつれて来て遊び帰る
11月27日
うすくもり晴れ間も有る
ねこ二枚裏干しをして倉へ入れる漬け菜をつむ
帯のつぎを午前中に終る
貸し畑に票を立てる様村役場より云って来る新やと正勝氏方へ頼む

11月28日
前夜より雨朝は相当大雨一日中大雨
おとなりの娘に誘はれしとて女中ちのの映画に
五時の下りバスにて行く
女中を山の木伐りにやるにつき手袋を作る。布さがし
をなしつぎ合せたりする
神戸へ手紙を書き午前中に出す
豫記
発 延世さん
11月29日
朝洗ったような上天気
女中菜洗ひをなす
木伐りの手袋を仕上げる
木川氏より返しに来り礼を持参■せをは■きや
と考へ中卵は有り難し
11月30日
晴天霜多く寒し日中風も寒し暖かになりし故
障子張りをなす私の部屋三本お勝手の方日本
女中紙をはかして私四本女中一本張る
夕方菜漬けをなす