言葉     小松百枝
それは去年の正月頃であらふ、兄弟達が私にセのつく言葉の言ひくらをしようと言ったので皆が同じこだつにあたつて言い出した。
兄から先にやれと弟が言ふと突然大きな聲をし「馬鹿」と言ったので私達はびっくりした。母は「なんですそんなことを言って何が言ふ先にはきつと「ばか」をつけるそれはお前のいけないくせですよ」としかられた。兄は仕方なしに先に言ひ出した。其の次に弟である、弟はこまつた風でしばらく考へていたが「セミ」と大きな顔をして言った。母はにこにこして上出來とほめて居る、
今度は私の番だ少しこまつた。兄は笑ひながら出來なければ頭を下げろと言ふ、私は残念ながらも頭を下げた。兄はセリと言った。又弟が考へていた。母はせきをしといて、「今お母さんのしたものなにと言ったので弟はよろこんでセキと言った。言葉は大事なもので其の言葉で其ノ人の品質がわかる。
どうしても、田舎あたりは言葉が惡くて大人で(この後遺失-編者)