二月一日 晴天 もう幾日もつヾく
朝より自分の綿入の表 二反張る後ハ
倉へ行き布探がしをする
足袋ソコ白三足カバー用二足 布を取る
一美氏奥さんに頼む為めに
皮フ炎悪化 アネルゲンを飲む効力は
分らず只眠い丈 レスタミンと同じ様なり
二月二日 天気ヨク 日中暖カナリ
午前中 布探がし 張物 足袋 ソコ
ヲ作り午後 一美氏奥さんに頼みに寄る時に
伊藤要子氏居り御馳走になる要子氏四時半 バスにて
帰る それより矢沢みな氏方へ行き 嫁さんの話
をなし夕方帰宅す
前日要子氏及び中河原の母上来り きみちやん私
を呼びに来りし由 私倉にても居りしか知らず
行かず残念なりし由
二月三日 厳（畏）しき寒さなり少雪あれ
午前中自分の綿入 ヘラ付迄にする 午後
氷餅を作る 三カマ 大方三升位
ニ月四日 セツブン 寒明けと云ふのに昨日からの寒さ
甚し 午前足袋カバー二足裁つ其後自分
の綿入二枚ヘラ付けをなす 古布を考へて
使用し縫合せたりついだり 時間かヽれり
二月五日 晴天 寒気強し
前日ヘラ付けした綿入を縫ふ 午前十時頃㐂七氏
妻はかき書を頼みに来る 茶を入れ餅砂糖キビ汁
を掛けて上げる 㐂ひ食べる 大豆オカラを上げる
午後 いもしやのおばさま来る 知人の息京大を受
けるにつき頼まれたから頼んてやつてほしいと云つて
来る 大阪と誤りしなり 武内さんに頼んてやると
云つてやる 夜も少し縫物をなす
二月六日 晴天 寒気強し
午前縫物 午後醇郎ニハカキ出しに行く
日中暖かにて掃除ソーキン掛けをなす
縫物 風呂をわかす
二月七日 洗濯 風呂の後仕末 午後縫物
夜迄かけて 一枚縫上げる綿入れる迄に 氷餅少し切る
二月八日 晴天 寒気強し
午前九時から綿入を縫ふ夕飯前に袖口の綿を
入れ夕飯後八ツ口小八ツ口を入れて仕上げになると思
ひしに夕飯すんた処へ㐂一氏妻 さつま芋を持つて
来てくれ寄つて話して十一時に帰る
二月九日 雪降り 前夜三時過き迄眠れず皮フ
炎の工合悪しく少しこすり過き 今日ハ朝より身
動きも苦しい程なり オニバへ買物に行きテラポール
を買つて来て塗布にてハよし 午後綿入のフクメ綿
終り 風呂をくみ込みわかし入る風呂ハ皮フ炎か少しハ
工合よい用に思ひし故 摂郎にハガキ出す
二月十日 前夜半より小雨殆んと一日中雨
氷餅を切り終り二枚の綿づくりをなす夜くけ
る今日政平氏オンドリ一羽持ち行く四百匁あり
る六十円置いて行く 皮フ炎 テラポールで痛み
止み 今度ハかゆくなる仕末の悪いものなり
二月十一日 紀元節なるに何処もそんな気はいもなく国
旗も出さず淋しいものなり
綿入 一枚クケ上げ後一枚も大方くける
風呂をわかし入る少しこすつたり後へマスイの
薬とチンク油を塗りよく眠れしも夜中に
かゆくなり又塗りしに今度ハ痛くなり翌日一日
中痛んだりバリくした感じ苦しむ
二月十二日 綿入午前中にくけ上げる フトンのエリをかける
足袋カバーを始める
午後から肥料配給有り過燐酸ハ内の門前にて
渡す塩沢の さん（二字あき）門の中迄で入れてくれる
硫安二俵ハ 勇氏持つて来てくれる
二月十三日 天気よく寒天強し
足袋カバー二足仕上ゲル 午後三時頃より矢ヶ崎へ行
キ中沢デべナパスタート湯の素ヲ買つて来る
今晩風呂をわかし 湯ノ素を入れ上つてベナパスター
ヲ塗つて見る
二月十四日 天気よし 平林氏にはかき出す
午後 糀やへ行き糀を取り来ル卵十貰ふ
午後三時頃牛乳を呑み後へ茶が出て煮物ハ
長芋生のを食せしに俄然胃痛起り二回程
薬を服用せしも中々なほらず急き帰る
夜も色々薬を飲みしも全快せず苦しき夜なり
二月十五日 朝より胃痛少し有り朝ハクツ油のみにす
昼はおかゆ卵を食す 平林氏よりハカキ有り
十七日に来遊有る由掃除 米洗ひ ふとん出し
等をなす ツブシ芋を作りしか丁度役に立つ
十六日 小雪寒し
矢ヶ崎へ買物に行く胃痛の薬を買ひ
飲みしに工合よし セメンも買ふ
午後煮物 モチツキ 新やの叔母来てくれる
掃除等 モチ切り十一時頃迄かヽる
十七日 天気よし 朝トーフヤへ行き二丁持ツテ来ル
ミカン 石ケン を買ふ
十一時過ぎ 平林 河西氏来訪 うれしさ云ひ様なし
牛豚ロース肉上諏方の上生菓子下駄等々
土産 おひるに餅 夕飯ハスキヤキ酒トブロク
夜十一時過ぎ迄語る 三人共健康を感謝ス
十八日 六時に起き 御飯を炊き前晩のスキヤキ等
にて食す ヒルハお汁料 トブロク 甘酒等
御馳走ハ餅をつき置き 栗キントン ツブシ芋 ナマス
ワカサギ イカ 煮豆 等
土産に上けたもの 餅二十切づヾ 河西氏に小豆一升
足袋カバー布 サツマ芋牛房人参少々
平林氏 足袋カバー 粟一升 餅二十切サツマ芋
トブロク種 コージ等々
十九日 晴天 日中暖かし
昨日の寄書きのはかぎへ私ののを書き込み午後
出しに行く 太田光子さん春日みき子さん中谷あき江
さん宮入信さん 三沢かつ江さんへ寄せ書き夏目さん
へ封書で 醇郎河西さん平林さんにはかキ出す
午後田村㐂一氏方へ行きトブロクの種を貰ひ来る
甘酒を持つて行く 帰りて客ぶとんを倉へ入れる
それから風呂をわかし入る
二十日 天気よし 洗濯 肩がこりし様にて腰胸
つまり午後少し休む 大に楽になる 倉の中へ
ふとん形づけ 夕飯後政一郎氏方へ行く 一時頃
帰る
此頃皮フ炎よからず夜中に一回ハ必ず 二回の時
も有り薬をぬり等す 色々の薬の内にて何を
用ふべきか迷ふ 何を使つてよからず
二十一日 天気よく暖かなり 朝より掃除 ナベカマ洗ひ
煮物の手入れ 午後伊藤一美氏夫妻を招待し来る
お茶 生菓子 アメ 干菓子 柿 ツブシ芋煮豆等々
酒トブロク ワカサギ イカ等 一美氏ハ一滴も酒を呑マズ
夕飯ニ芋汁を作り七時頃㐂んて帰る
二十二日 雨 足袋カバー作り 午後ヒルネをなす
三時頃迎へ有り事務所へ所得税ニツキ行く
納めるに及ばすとの事 それから矢ヶ崎へ行
き脱脂綿 リバノールを買ふつもりにて行きしも
主人留守リバノールはビンを置いて来る
二十三日 天気よく暖かなり
きち江氏来り生菓子を貰ふ 洗濯ナベカマ洗ひ
夕飯後新やへ行く吉村氏ニ米升上げる
二十四日 朝朝鮮漬を上げる 五目飯を貰ふ
十時頃南大塩のあいさんの娘 息子の就職を
貰みに来る四時頃帰る 夕飯後両角
仁司氏叔母来り京大へ入学につき頼
みに来る 夜武内氏に手紙書く
二十五日 雨降り 雪交り
朝早くオニバへ行き状袋 テラポール等
買ふ 帰りて手紙書き 足袋のつくろい等
す 此朝両角仁司氏の叔母来り武内氏への
紹介状を渡す
二十六日 天気よし 和郎に山寺の息子の事を頼む
手紙 武内氏へ両角氏を頼む手紙仕上げ出
す東京林婦さ氏に手紙書皮フ炎の事
頼む
午後手紙出しに行きリハノールを取り来る矢ヶ崎
にて糀やの叔母さんに逢ひ糀やへ寄る御馳走
になり帰り七時頃野沢助雄氏方へ行き農地法ノ
時の御礼 おはさんに下駄外に飴を持つて行く
助雄氏居らず 税金の事を聞かんと思ひしも果た
さずリハノールを用ひしに非常に痛み夜三時頃迄眠れず
薬を止める
欄外メモ 来信 宮入さん 夏目さん
二十七日 縫物（小物）をなす夕方より風呂をわかし
入る昨夜の替りによく眠りたいと思ふ
此夜割合よく眠れる 二時三時頃ハ眠れず
欄外メモ ゴマの雞始めて卵を産む
二十八日 雪 あれ 寒し 朝税金納む
布探し 洗張りするつもりなりしも天気悪るく
ほどきもの 形づけ等す
皮フ炎水のじくく出るのは大によくなる痛し痒し
は変らず 夜ハ阪大の薬を塗つてねる 十二時頃餘りぴりびり
するので起きてテラポールを塗る四時又非常に痛い
ので少しマスイ薬を塗り七時迄眠る朝ハ阪大の薬
欄外メモ 来信 太田光子氏 岩井正治氏
夜もすがら痛し痒しでねもやらず雨たれの音いとど淋しも