四月一日 曇り 小雨
イモシヤへ行キシも留守 清市氏に断つて帰る
午後ハ休む 雞暖メて困る
四月二日 クモリ 午前中ボロ探がし足袋布等
午後煮物 掃除 夕方カラ㐂一氏夫妻ヲ招ク
十時頃帰る 砂糖百五十匁程貰ふ
キントン コブマキ ミカンを上げる
四月三日 雨 前日の鉄ビンノフタの持ツ処を
川に失ひしを取りに来て作り持ち来てくれる
今夕から招かれる 午後五時頃から行く亀雄氏夫
妻も すし天ぷらを貰ひ帰る 帰りて腹痛甚しく
沢山に吐きて漸く痛み去り眠れる
四月四日 雨 足袋作り等
四月五日 天気よくなる
朝から染物 張物 洗物 掃除 夜ハ新やの叔母さん
関西へ行くので 足袋を持つて行つて上げる
四月六日 くもり夕方から雨となる 自分の帯を仕立てる
其後で足袋を裁つ いもじやの叔母さん八日の婚
礼を呼びかたがた給仕の人の着る物とゴサ
を借りたいと云ふ明日持つて行つてやるつもり
新やより草餅を貰ふ
四月七日 前夜よりつヾいてどしや降り 午前中手紙
を書き(醇郎と平林さん 中谷さん)をなす
午後雨止みいもしやへ手伝ひに行くゴサ着物
を持つて行つてやる 着物丈を上けてやる
帰宅して八時半頃なりし
四月八日 天気よし
いもじやの婚礼 朝寺からトーバを持つて
行つてやる 此日ハ餘り用事無し
竹村美㐂治氏一家来て居る 客として
伊藤直一氏来り居り色々話す 十日に長
男嫁と任地へ行くにつき九日藤森省吾氏
妻来る故私にも来よと云れる 私にチヤウ
チン有り 直一氏 美㐂治氏一家と一緒に帰る
四月九日 暖かなり 午前矢ヶ崎買物に
行き午後直一氏方へ行く藤森氏妻来り
しはらく話す 下河原の集會五時より有
る筈なりし故四時半頃辞去す 集合ハ
六時半頃漸く集る
四月十日 午前 その氏 五百円持ち来る
十時頃精米に行き待つて来て 出来る
午後 ウル種籾を水に浸す 畑をなす
その氏夕方漬物貰ひに来りやる
新やの叔母より高野山のお土産を貰ふ
四月十一日 午前寒く風強く午後風雨
午前煮物 キナコ豆イリ 午後足袋裁
三時頃よりサカン氏方へ苗間 アセヌリ田植
秋と頼みに行く 快く引き受けてくれて安心せり
四月十二日 天気よく風寒し
朝伊藤千房氏夫人来訪 十二時迄話す草履ウドン等頂く
いもしやから給仕の着物持て来る 餅を併せて
午後矢ヶ崎扶助料取りに行き帰りに糀やへ寄つて話
し御馳走になつて来る とみ子さんシンゾウにて悪
るかつたよし青い顔をして居る
四月十三日 天気よく暖かなり
ジヤガ芋蒔き エンドウ 菜 大根を
蒔く 夕飯後 㐂一氏方へ行き ワラ タイ肥
作りを頼み承認してくれる
四月十四日 うすくもり 暖かなり
九時頃 五味金平氏来り話し餅をやいて
上げ等し午後三時頃帰る
それから形づけ等し甘酒を作る
四月十五日 くもり 小松萬吉氏息苗間のアゼ
塗りに来る 一日かヽる 私ハ庭上の畑の掘り
返しを始める
欄外メモ 苗間アゼヌリ 一人
四月十六日 くもり今にも雨になりそうでしたか降らず
満吉氏息 アゼターキをなし後タイ肥ワラ
をつむ 私も手伝ふ 二つ作つてヒル食後帰る
オニバの糀やへ行き ワラ取りに来る様に頼み
来てたばねて持つて行く四百五十クビリ
其後て上の田へ一人でつむ 庭のねき玉ねき麦
に肥料をやる
欄外メモ タイ肥積み 半人
四月十七日 くもり 寒し 朝より形つけいろく
染物をなす 午後二時頃より念佛講に行く
四月十八日 晴天 暖かなり
大河原の麦畑の土よせ肥料やり 半日て二枚の
畑を仕上けるつもりなりしか下の畑丈に半日かヽり
一度帰り重い肥料を二度背負ひ行き夕くれ
迄かヽり仕げる
四月十九日 午前くもり 午後雨
午前中御社宮寺の麦の施肥土よせを終
り午後ハ牛房人参等の料理作り
サカン氏苗間作りに来てくれる シロを終り
三時頃帰る 夕飯に招く 十時頃
迄話しをなし帰る
欄外メモ 苗間一時より三時頃迄
四月二十日 天気よく暖かなり
朝より糀やへ行き糀を一枚半取つて一枚を千房
氏方へ置いて来る それより御飯を炊きドフロク
を作る用意をなす 冬の衣類をふいたり干し
たりして倉へ入れる おひな様を拂つて箱に入
れる 甘酒造り
欄外メモ 二十三日朝新やの叔父チウキになる
四月二十一日 天気 サカン氏苗間作りに来てくれる
昼食を上けるつもりなりしも早くすんで帰る
二十二日 天気よく苗間乾いて工合
よし 山の上の麦畑へ行く午前も午後も
欄外メモ 三沢つぎ氏来り一宿す 二十三日朝帰る
二十三日 くもり 朝サカン氏来て種蒔きも
なす 午前中に村長村會議員投票
に行く 午後ハ山の上麦畑へ行く
二十四日 天気よし 一日中山の上の畑へ行く
非常の草にて疲れる
欄外メモ ヒヨコ二十四日にムケル 一羽死 一羽親鳥の下になり死す 八羽丈夫なり
四月二十五日 天気よし 朝苗間の水を見山の上の
畑へ行き十一時頃全部終り帰りて茎を切つて
苗間に水のかヽる様にす カラスカスヾメか
苗間を荒らし そめをなす
午後 掃除 風呂わかし
何回も苗間を見に行く大変なり
四月二十六日 晴天 茲三 朝ばかり氷点下になり
非常に寒し 朝はがきを書き 延世さん
醇郎 林ふさ氏に 之れを出しなから矢ヶ崎に行き
生菓子 十七買ひ来り新やの叔父の見舞に寄
る昼飯を頂いて帰る きち江氏来りなり
午後洗濯等す
叔父の容体は顔つきよく話も出来る少し舌
がもつれるか大した事なし 左手きかず 非常に
㐂び話しをしたがる 餘り食欲無い様なり
欄外メモ 来信 醇郎よりハガキ
四月二十七日 晴天 暖かなり
前日夕刻みな氏 両者参りに行く事の誘ひに来て
くれしも急の事にて用意も出来ず いろくの用事も
有り残念ながら行かれず
田のタイ肥に水をかける 苗間へカラスか来て
仕方なし 又 棒に布をつけて沢山立てる
庭のカボチヤ 夕顔等の蒔く処の穴を掘
る 庭の草を取り其穴へ入れる
四月二十八日 晴天 暖かなり 午後よりうすくもり
朝新やへ行き叔父を見舞ふ 一昨日より元気無く
言葉もはつきりせぬ様なり尿少しと云ふ
牛乳を飲ませるかよいと思ひオニバへ牛乳取
りに行つて一合上げる 一回に飲みし由なり
午後 カホチヤ 夕顔の穴へ青草 タイヒ
灰下肥を入れ種を蒔く
天気よければ 明後日味噌たきをなすにつき
豆を拾ふ
四月二十九日 雨 午前大雨 午後小雨
午前 オニバに買物に行き 糀やへ行つて牛乳
二合取り来る テラポール ミカン ニシン等買ふ
田村㐂一氏方へお茶とニシンを持ち礼に行く
草餅をつく処にて手伝ひ御馳走になり
尚大十五貰ひ帰る 午後勝之氏及みな氏
方へ行き 勝之氏へ切りイカとミカン みな氏方
へけすりぶしとみかんを上げる みな氏方にて
夕飯の御馳走になり帰る夜休みし処を
起こされ新やの叔父見舞に行く状態
よろしからず竹内医師来る
四月三十日 天気よし 朝~投票に行き
勝之氏方へ叔父病重き事を知らせる
それより新やに行き手伝ふ 夕飯後行き
帰りて休む 病状により起こしくれる様に頼
み帰る 随分病状悪し