五月一日 天気よし
前晩叔父無事なりし 朝行つて見しに悪る
い事ハ悪るかりしも直ちに変化も無さそう
なりし故 出拂ひに行く 午後二時頃帰り中
島政一郎氏の御厚意により少し早く帰る事
を得たり 新やへ行き見しに随分悪るい様
なりし故付ききりに手を持ち脈を見つヽ
有り結滞少し有りしも 大した事も無かりしが
午後四時頃から一層苦しそうにて鼻口、口より
痰の如きもの多量に出し目を開き苦しき表
情にて其内に死去せり 此夜通夜なりしも
十一時頃帰りて休む

五月二日 朝一寸行き それよりいもじやへ行きしも
留守 土橋氏方へ頼み置きて帰る
田のそめをなし午後二時頃より宮原へ行く
畔夫氏方皆居りたり 睦治氏方へ行き
一寸茶を飲みすく帰る それより新やへ行き
夕飯後納カンし 十時頃帰る 葬式四日正午
と決定 此朝隣家の人々来りきめる

五月三日 新家へ行き手伝ふ

五月四日 朝早くより新やへ行く 私の家にて皆支度
をなす 家を形つげ掃除等す
二時半頃出カン 午後七日をなす

五月五日 今日ハ片づけなり 墓参り 午後故人の衣類洗ひ 洗ひし
夕方早く帰る

五月六日 庭ノ畑ヲナス 午前 平林さん 醇郎 摂郎(手紙)
出し ハカキ 切手 種を買ひ来る 夕方平のおひで
さん方へ洋傘の代拂ひに行く

五月七日 クモリ 庭の畑作り 木うり 八房 大根 菜
夏菜 スイカ モロコシノ苗作り 等をなす
明日ハ中瀬へ行く用意をなす 風呂わかし入る

五月八日 雨 中瀬行出来ず 午前袷直し
午後形づけ等す回覧を持つて壮平氏方へ行
きしにおひでさん居り お茶の御馳走になる
欄外メモ 発信 ます氏

五月九日 天気よし 前夜より用意して中瀬村へ
へ行く バスの都合よく十時頃にハ着く
東京行 其他の話多し 持参の物 オハギ 種 大サーギ五合
粟升 下駄とリンゴを頂く晩埴原田事務所
へ映画見に行く帰宅十二時半
欄外メモ 来信 ます氏

五月十日 前日の疲れ多し 明日ハ味噌炊き
故 豆ヒロヒに大方一日かヽる 水につけ置く
米を精米所へ背負つて行く

五月十一日 天気よし 㐂七氏来る カマを新
やより借りる 二カマに煮る オニハへ人参
の種買ひに行く 㐂七氏 人参牛房
長芋 ネキを植えてくれる 夕方早く終
りカマも洗つて返す
欄外メモ 来信 醇郎より

五月十二日 天気よし のし板 雪ぐつ 洗つて干す
午後一ぱい洗濯をなす
欄外メモ 来信 摂郎より

五月十三日 天気よし 区セギ上げ 出拂ひ 私ハ事
務所の掃除 午前中に終り 午後ハ明日
上諏方行きに用意等し 三時頃より新やへ
二七日の墓参りに行く夕飯を頂いて帰る

五月十四日 天気よしくもり雨なくよい工合なり
朝八時半出宅 上諏方河西さんへ行く米豆
サツマ芋 シヤカ芋 等を持つて行く
十時過きに着き 進物を置いて町へ買物に出る
紅茶茶わん 紅茶 キユース 等を買ひ町にて
平林氏に逢い同行 コマ餅 其他いろく御
馳走になり 五時頃出宅 バスにて帰る

五月十五日 くもり午後三時頃より雨
大掃除が十七日ですので朝より庭の草取りをなす
草取はき庭丈ハすつかり仕上り午後四時頃迄か
かり上ノ畑の麦の中の草取り土よせを終る
それからこたつで綿入と半天をほどく

五月十六日 㐂七氏アゼボリに来る
午前下古田長田米雄方へ小屋火災見舞に行く
午後草餅を作り新やへもやる此日米一斗小豆
二升煮る

五月十七日 アセヌリに来る 一日で仕上げる

五月十八日 味噌仕込用意 樽を洗ひ 午後糀やへ
玄米七升持参 ゆつくり話し お茶を頂き帰る
欄外メモ 和郎より手紙

五月十九日 朝より飯四升五合二カマに炊き
二つの樽に甘酒を作る

五月二十日 朝和郎に手紙書き出しながら塩
買ひに行き帰りて味噌仕込終り器具を
洗ひ形つける午後三時頃終る それより庭
の畑の草取りをなし夕方より風呂をわかし
入りて休む
欄外メモ 来信 河西えつ氏 林福さ氏

二十一日 天気よし 長田義雄氏方へ行き
メートルにする事を頼む 帰りに竹村美㐂
治氏方へ寄り帰る 帰りていもしやの電気
やへ行き増燈及メートルの事を頼む電気
やハメートルハ今ハ出来ない 増燈ハ名前を
別にしてやる と言ハれ驚き帰る
義雄氏にハカキを書き頼む

二十二日 義雄氏 林婦さ子氏にはかきを書き出し
に行き帰りて庭の畑草取り豆蒔きを
なす芋の中も 麦の中も 全部取りさくる
夕方迄かヽる

二十三日 気温少し暖かになる 昨日作つた畑へさヽげ八月豆
オグラ 等を蒔く じやか芋の芽を取り庭の
人参を掘る 大部分腐り居る 牛房は腐
らず芽を取りて又埋める ニハトリ巣二つ掃除す
午後上諏方の物売女来り家に入り 甘酒を飲ませる
午後山の上へ行くつもりなりしも夕方になりし故倉の片付
等して止める

五月二十四日 天気よく暑くなり 山の上の畑へ掘返し
に行く夕方少し残る

二十五日 天気よし 㐂七氏田ノクレコハシニ来る
私ハ食事作りに終る敷布のつぎ モンペノ
洗濯 ほどき等す
欄外メモ ◯

二十六日 くもり 㐂七氏来り石灰窒素を蒔き
タイ肥ヒロゲをなす 十時頃より矢ヶ崎へ買物
に行く 午後苗間へ硫安を一メ五百匁程やる
タイ肥ひろげを手伝ひ 屋敷のタイ肥も
運びひろげる 庭に八月豆を蒔く
欄外メモ 醇郎よりハガキ 摂郎より新聞四枚

二十七日 午前くもり午後小雨夕方より
本降りとなる 午前山の上の畑掘り返しを終る
午後はもんぺの裏返しをなす
欄外メモ 来信 長田義雄ハガキ

二十八日 午後夕立 一時間はかりにて晴れる
㐂七氏来り大河原の麦畑草取り掘り豆を
蒔く 硫安は加石と先に施し豆を蒔く夕方おそ
く迄かヽり上の方残りたり ワラ 麦カラを運ぶ

五月二十九日 天気よし 㐂七氏妻来り 山の上の豆蒔
きをなす

五月三十日 㐂七氏妻来り 大河原の残りをなす
午後 干草を田に運び ひろげる
欄外メモ ハカキ醇郎より

五月三十一日 午前山の上の小さい畑へ豆蒔きに行く
午後雨 モンペのひもをつける それより事務所
へ行き電球と障子紙を買ひ来り帰りに㐂一
氏方へ寄り塚原の人も来て居り 御馳走に
なつて七時頃帰る それより風呂をわかし
入る 大雨なり