七月一日 天気よし 疲労多く休む 昨日のモンペを
仕げる 流し元のコザ手入れして敷く

七月二日 ケイト台風の為め昨夜々通し今日一日
大雨 皮フ炎も痛み風邪気味 セキも多く朝
より上座敷の床に休む 日本評論 婦人公論
を沢山読む

七月三日 くもり 㐂一氏雞の巣を作りくるにつき矢
ヶ崎へ釘買ひに行く 製材所休みにて材料入手
出来ぬにつき来らす 庭の草取りをなす

七月四日 くもり 大暑で有るべき頃なるに涼しく単衣
物でハ寒い位なり 午前矢ヶ崎へ金アミ釘の不
足分買ひに行く午後 㐂一氏雞の家を作りに来て
くれる 私ハ庭の草取り等す 明日チヤウツガイ
を買ひに行く アミ戸の戸ブチ丈製材所にて
貰ふ外ハ自宅の物にて間に合ふ
欄外メモ 来信 醇郎より封書

七月五日 小雨 㐂一氏雞の巣作りに来てくれる
チヤウツガイ買ひに矢ヶ崎に行く パン フナ
木ウリ等買つて来る 午前中にて終り昼
飯をすまして帰らる 午後今朝雄氏方へ
拂ひに行く二千円でよしと云ふ お茶を持つて
行く 帰りて庭のさヽけの手をやるかきねの処

七月六日 くもり夕方より晴れ涼し 庭の畑の草取り
さヽけの手をやる 大によくなりたり後一日
位で庭の畑の整理出来るかと思ハる
欄外メモ 来信 ハガキ 岡久良氏

七月七日 天気よし 雞の巣へ砂を運ひ入れトマリ木
を作りヒヨコを移し 今迄の巣を洗ふ ナタネ
コナシをなす 其後庭の草取りをなす沢山
は出来ず 夕方より風呂をわかし髪を洗う 始めて
ゆかたのねまきを着て休む心地よし

七月八日 午前くもり午後雨 庭の草取りを
なす終り頃小雨になりみのを着てなし終る
畑を残して 全部美しくなれり
此日壮平氏見舞 菓子一斤持参す
午後 ヒルネをなし 三時頃より田村㐂一氏方へ
礼に行く壁をぬるものも返すトブロク
とじやか芋を持参す 百円より取らず
帰りて麦被害 立て札を置く

七月九日 天気 麦 立札を作り 山の上 大河原
三本建て帰る 田に草を入れる 稲の小さき
処へ硫安を少し入れる 午後ヒルネの後矢ヶ崎
へパン買ひに行く 高田やで魚みかん木ウリ
等買つて来る 新やから乳を貰ひパンを上げる

七月十日 午後小雨 田のベロ虫拂ひをなす帰りて庭
の畑の草取り 午後芋に肥料をやりさくる雨
になり風呂をこぼしくみ込みわかす 此日も
新やより乳四合貰ふ

七月十一日 くもり午後雨 朝手紙の下書き等即
支度して新やへ施餓鬼に行く 一升百円持参
大雨有り雨止みてより 正平 秀三 きち江 私と
四人にて寺へ行く内の永代もやる 帰りて御馳走
になり夕方帰る

七月十二日 朝クモリ 十一時頃より雨夕方大雨
トマト 木ウリ等昨日の大雨に倒れたのを直す
午前中手紙書き午後矢ヶ崎の局へ行く都合
悪しヽとて渡さす明日来る様に云ハる帰途
オニバ糀やに寄り話し お茶を頂いて帰る
午後七時から農組の集會 麦脱穀 芋消毒の
事等 夜中大雨
欄外メモ 山羊乳此日より礼せず 来信 和郎 綾子 発信 摂郎 醇郎

七月十三日 天気になりおそく㐂七氏来りアゼ
草刈りお茶後田草取り 午後一時より矢ヶ崎局へ
行き用が足りる
田のよく無い処へ硫安 雞糞 等を蒔く大雞の
巣の中へ砂を入れ清潔にしてやる
欄外メモ ◯ 発信 岡久良氏 和郎

七月十四日 朝雨後止む 㐂七氏田草取りニ
オソク来ル 夕方雨の中を七時頃迄やつて帰る
森元善久氏 恩給の新聞を持つて来る
百八十円渡す
欄外メモ ◯

七月十五日 前夜よりどしや降り一日中小止みなく降る
雨にて何も出来ず床に入りて休む 午後ユカタの
ヘラ付けをなす

七月十六日 夜通しひどひ降り朝になつて止む
㐂七氏おそく来り アセ草田の草を終り
夕方 こやしかけ瓜の手をやり 色々形つけて帰る
私ハ単衣物を縫ひ午後アセ草刈りに行く
欄外メモ ◯

七月十七日 くもり夕方降り 午前中家の事色々なす
午後念佛講に行く

七月十八日 天気よくなる 梅雨も上つたのでせう
午前中の残つたアゼ草を刈り午後庭の手入
ゑんとうの棚を取り草取り等す
欄外メモ 河西てう子氏

七月十九日 天気よし 河西氏 平林氏にはかきを
書く 百枝の手紙来る靖彦は一高へ入りし由中々
秀才でせう 午前十時半頃 ハカキを出しながら
一美氏方へ見舞に行く 大工も来て居り一美氏
も居り昼飯を頂いて帰る 午後洗濯 セル類
干してしまひ後畑をなす 人参間引草取り
欄外メモ 来信 百枝 発信 平林氏 河西氏

七月二十日 天気よし 田のあぜのひくひ処へ土を運
び高くする アセ草を 土の中へ入れる 庭の畑
のゑんどうの跡 大根 菜の跡へ中づる菜
大根等を蒔く なすにわらを敷く
午後ゆかたのゑりつけくけ わき縫ひをなす
木ウリの手をやり 風呂をわかし入る 明日
の赤飯の米を洗ひ 小豆を煮る

七月二十一日 天気よし 赤飯をふかし 氷餅とを持つ
て上諏方へ行く 茅野ハス前にてキヤラメル二つ三十円
買ふ ハスにて角間迄行く河西氏の処へ行きし此
日ハ都合あしヽとて電話せし由 着かず
午後三時半迄話して帰る

七月二十二日 天気よく暑さ甚しくなれり 㐂七氏夫婦
麦刈りに来る 私も少し手伝ふ 一日にて全部終
り夕顔の上へ青葉の枝を切つて来てのせてくれる
欄外メモ ◯

七月二十三日 天気 㐂七氏老婆一人来る 麦の後の
草取りに行く 午前七時から麦脱穀について
相談あり 明日の朝よりやる事にきめる
オニバの農業會に行きウトン取り替へて来る
おひるに冷ウトンにする 午後山の上の畑へ行く
草多く終らず
欄外メモ △

二十四日 くもり 此日脱穀をなす午前中ハ上三戸
なり私ハ出ず 午後は出る 与平内勝三政一郎
仁氏小麦終り大麦迄終る 此日メートルにする
為めに電気の工夫来り二個つけて帰る
欄外メモ 発信 百枝 午前手紙を書く

二十五日 天気よく時々くもり夕立気味なりしも降らず
昨夜電気つかず朝いもしやの電気やへ行く
頼む 上つてお茶を頂く麦一升持つて行く
此日㐂七氏婆さん来る 午前に山の上終り
下の小さな畑へ移る 私も手伝つて上の
畑丈終り私ハ山上の畑へ行き 土よせをなす
欄外メモ △

二十六日 天気よく暑さ甚し 此日㐂七氏来り二人にて
大河原へ弁当持ちにて草取りに行く筈なりし故
御飯沢山炊きしに手痛く来れぬと云ふ
朝早く山の上の上下土よせを終り御社宮寺
の草取りをなし ヒル過き休み 夕方庭の油工の
中 豆の中の草取をなし 土よせをなす

二十七日 晴天暑気強し 出来る丈早く支度して
大河原の下の畑へ草取りに行く非常な草にて
手間どれる 畑の下の清水を飲み氷餅アメを
原の木かげにて食し明日一度来て終る様に
半分過き取りて帰る 家に帰りし時三時
冷水にて御飯を食し休む夕方トマトの手
をやり 雞の工其他いろくなす 如何に用事
多き事よ

二十八日 昨日と同じに朝早く支度をして 大河原の
畑へ行く 弁当持ち 此畑終り 枯草を根
元へ入れ硫安を少々入れて土寄せをなし 帰
る 午後五時頃 暖め雞を助雄氏方へ貸す
風呂をわかし床に入る心地よし
欄外メモ 林さんから雑誌二冊 ハカキ

二十九日 晴天暑気強し 大河原行きハ今日
は休む 朝小松萬吉氏来り 台所の戸の車
を直して貰ふ お茶を飲みて帰らる
平沢電気店より収金に来る 千五百円也
ひるねし家の事いろく形づける
電気店の人に中座敷の電気をよくして貰ふ
風呂の湯にてこたつの下がけ其他洗濯をなす
欄外メモ 発信 林省吾氏

七月三十日 晴天暑気強し
㐂七氏田ノ草取りに来る 植木やも来りカキネ
を刈る 朝矢ヶ崎へ買物に行き帰りてヒル飯
の用意をなす 三時にハ買つて来たパンを出す
夕飯ハ冷しうどん 魚等々
風呂をわかし入り休む
欄外メモ ◯

七月三十一日 晴天暑気強し 㐂七氏田ノ草取りニ来ル
門の麦ヌカをやき夕方蒔いてくれる
植木やも来り 二日分五百円拂ふ
麦をふるひ干して倉に入れる 肥料を合せて畑へ
やる様にす
欄外メモ ◯