九月三十日 十月一二日 一人にて病院へ行く一日の帰りに和郎
の処へ行き 足袋の作り方を綾子に教へたり
熱心なりし故教江るにも力有り和子の洋服の生地
うすもヽ色の毛織の切れはしにて作る美しくなる
三日は醇郎と午前中に出てヽ阪急デパート
にて 志水先生と笹岡美代吉氏方への土産物
を買ひ 病院へ行き それから笹岡氏方へ行く
栄子さん一人母上の着物を縫ひ居る沫一ハ道路の
向ひ側に遊び居り我々の門を開くや走り来り母さん
居るよと云ふ 輝夫ハ夜学に行き 美代吉氏夫妻ハ
店に行き留守今日迄三日売り出しの由おそく
なると云ふ 母先に帰り栄子氏と御馳走を作り
くれる肉のすきやき酒を出す 其内に美代吉氏
輝夫も帰り少し話して帰る
二日の夕飯後 摂郎井上氏小川氏三人 大阪へ来りし
とて寄る 色々聞く私ハ四日に立つつもりなりしも一日
のばして四日にハ摂郎の処へ行く此晩吹田へ帰る
五日午後立つ大阪駅へ醇郎と昭子と送りくれる
純子が信州のおはあさんと信州へ行くとて聞かず
神戸へ行くと云つて立つ
大阪駅から名古や迄イハラキ縣の小学校長なる人と
同席話し来る村の校長にてよくやつて居るよし
妻なる人ハ機械をす江てもみすり精米等の
仕事をなし居るよし
名古やの乗り替へも心配なく新宿行へ乗れて安
心せり 六日午前五時頃茅野へ着 寒くてふる江上れり
高校の生徒ならん沢山とこへか出発の様なりし
六時過ぎ新やへ着き朝飯の御馳走になり家も
雞も無事なりし卵もよく産み居りし様なり
其中より卵も十三も残し有り 十新やへ上げる飼をやりくれし
由なり 下駄一足 しやぼん二つ 本一冊御礼として
上げる 家の中の掃除 ふとん干し自分ののも留守居
の人ののも

十月七日 役場へ行き戸籍謄本を頼む塩沢氏の宅へ寄る
醇郎摂郎和郎百枝に手紙ハガキを書き午後出し
に行く八日カボチヤなど少し取る 色々の形づけ

十月九日 㐂七氏麦蒔きに来りくれる朝矢ヶ崎へクワノエを
買ひに行き魚も買ひ来る サンマ沢山有り其間㐂七氏
カボチヤの棚をこわし居るクワを作り山の上へさくりに行く
昼飯後事務所へ肥料買ひに行く㐂七氏車につけて
来る帰りて石灰窒素溶性燐肥とを合せ私も同道
山の上の畑へ行く私も手伝ひ茲を終り私ハ帰る㐂七氏
は下の小さな畑を耕やして帰る
欄外メモ ○㐂

十月十日 㐂七氏来り山の上の下御社宮寺と全部終
り午後ハ庭のさヽげの手を取り形づけくるし 私ハエゾ
菊の種を取り四ツパクワ等に油を引き 形づけるカマも
といて貰ひ油を引く 白菜の間引き草取り
欄外メモ ○㐂

十月十一日 午前矢ヶ崎の局へ行き扶助料を貰ひ来る風呂をわかす

十二日 午前中洗濯 旅行中のもの 及夏物 午後寺へ婦人
會に行く布教師の話力有りよかりし それより御詠歌
のおとりを見 お茶の御馳走になり帰る 前夜と二晩
さヽけをむきをなす 夕飯頃㐂七氏にハカキを書きやる

十月十三日 雨かと思ひしに 天気になる夏物の残り洗濯をなす
去年の白大豆 さヽげ黒豆等に虫のつきしのを
洗ふ さヽげを干して それくにして倉へ入れる倉に
ねずみ二疋死しうぢが生して居る 倉の掃除をなす
夕方より白菜間引き 肥料をやる 上の倉のひつの
中にもさヽげ豆 三色有り下の倉へ入れる

十月十四日 雨風も有り 午後より大降りとなる
午前中手紙林さんへハガキ平林さん長田義雄氏書
き出しに行く 午後ハナヲを作り三時頃より㐂一氏
方へ行く夕飯迄御馳走になり六時頃帰る

十月十五日 風雨はげしく台風ルース本土にも上陸したらし
大阪迄ハ如何なりしか吹田かあんじられる
午前肌しゆばんの直しつき当て 午後矢ヶ崎へ行きペナパスタ
ミルクマツチ等を買ひ来る夕方 油工を切り少し
ふるい束にして門の方へ立てかける御社宮寺ののも取る
明日ハ日赤入院中の三沢春郎氏を訪問するつもり
天気気づかわれる十日間にかしは九つ白土産む

十月十六日 台風一過洗ひし如き晴天なり 上諏方へ行
かうかと昨日ハ考へしも今朝の気分勝れず止める晴天
なる故樽豆等洗つて干す 洗濯もなす午後
田及御社宮寺の小豆取りをなす又ゴマも取る
ローバ雞巣入りを始め たらひに伏せる

十月十七日 晴天気候も暖し コマをたばね箱に並べる
ナリツコ七合売る 一升百四十円也驚く許りなり新やの
メン羊に注射をなす少しづヽよい様なり
午後 念佛講に行く キントンを作つて持つて行く

十月十八日 晴天 今日こそ日赤に 三沢氏を見舞ふつき早起き
をなす 朝かんぺうを煮て巻ずしを作る 菜とさヽげを取り
三沢氏へ持参す 三沢氏には卵二十 リンゴ五つ持参す
矢ヶ崎の上迄行きしに倉の戸障子のまヽなる事を思ひ出し
持物を実氏方へ預け置き帰り衣類も暖か過きる故着
替へて行く 茅野迄歩行茲よりバスに乗り角間にて降りる
伊藤直一氏と同*なり 三沢氏方へ行き ひるをすまし
娘さん病院へ行つて三沢氏の居る事を確かめくるし娘さん
と行きしに 三時迄安静時間なりし故帰り三時一寸過きに行
く一寸一時間話し四時十五分の汽車に帰宅す
三沢氏六七年も入院し居るよしやせてハ居るが元気そう
なりし 早く退院なさる事を祈つて止みません

十月十九日 晴天 アブラエ ゴマ等のふるつた処形つける八月豆
をねこに干して形つける 午後山の上の畑へ行き小豆を取る
畑半分で背負へぬ程有り 帰りて庭の砂糖キビ
を刈り倉の前へ形つける

十月二十日 天気 思ひ切つて高部のとしさんを見
舞ふ 餅米一升味出し百匁持参す 色々話して
おひるを頂き 三時頃出て帰る久しふりに雨降り出
し傘を借りて来る 長男の事実に気の毒なり
帰途竹内氏方へ寄り薬を貰ひ来る 帰りて
見れば延世さんより手紙有り雞 三四日前より巣入り
を始めタラヒにふせる 実に困りものなり

二十一日 朝の間雨後晴れる 昨夜より摂郎方へ手紙を書
きかけそのつヽきを書く 小包を作る 午後出しに行
く月曜と思ひ行きしに日曜なりしにハ驚く 局の若
い人に頼み置き来る帰りて山の神の畑上下小豆
取りを終り帰る

二十二日 天気なれとも今朝より寒くなりたり
竹内医師へ行く明日から稲刈りに㐂七氏来る故パン
魚ヒヂキ切イカ等を買つて来る ヒルは二時近くなる
それより菜を洗ひ漬ける 豆を煮始めるカボチヤ
とさヽけを煮る 菜もゆでヽ置く

二十三日 雨にて稲刈り出来ず 朝利用部へ精米一斗持つて行く
明朝迄にやると云ふ 雨なれば何も出来ず気分もよか
らず 朝四時より目をさまし居りし故ひるねをなす
そうきん等さす
欄外メモ 来信 林省吾氏

二十四日 昨夜大雨今朝ハ止む稲ぬれて居る故稲刈りは
来らず精米持ちに行く キナコの豆をひろひいりて
利用部へ頼みに行く麦粉にする為めに洗ひ干す
幾つもびんを洗ふ酒買ひの用意なり おそいさヽげ
を取る
欄外メモ 来信 和郎より

二十五日 くもり後晴れ 今日ハ稲刈りなり㐂七氏、妻 勝雄氏
三人来る 私も手伝ふ 朝ハ煮豆 かぼちや おしたし
漬物 ひるハ まぜ御飯に切りいかを餘分に出す
三時にハパンと豆、もしたし 夕方酒買ひに行く さんま
欄外メモ ○㐂 ○妻 ○勝

二十六日 晴天 三人来る おひる煮おこわ ひじき ゑび煮つけ
三時 昨日のませ飯のにぎり さつま芋の煮たのとひじき
夕飯 わかさぎ 等々
欄外メモ ○㐂 ○妻 ○勝

二十七日 晴れ少しくもり 㐂七氏来りハゼ棒を伐りに山へ
行きそれにて稲を全部ハゼカケヲ終る 午後砂糖
キビをいもじやへ持参し置いて来る帰りて柿取りをなす
倉の後のの残る 私ハ砂糖キビの皮をむき 午後麦を
持つて利用部へ行く帰りに一美氏方より鍋を借りて豆
腐を買ひ来る新やから天プラを貰ふ豆腐を六*位
上げる
欄外メモ  風 二百七十匁 ○㐂

二十八日 天気よし夕方降りそうになる 醇郎と摂郎とに
手紙 ハカキを書く 十一時頃より竹内医院へ行き留守にて
薬のみ貰ひ来る帰りて田の稲穂ひろひに行く
上の田一枚終り豆を少し取り来る

二十九日 朝小雨 油工ゴマのふるひ落しをなす
午後㐂七氏来り柿の残りを取りお茶を飲みて後
大河原へ小豆 豆取りに行く小豆全部豆残り居る由
延世さんからはかき有り 手紙小包無事着のよし
安心せり 洋裁を習ひ摂郎のオーハも作る由
欄外メモ ○㐂半

三十日 くもり午前田の豆こぎ落穂ひろひを終る
和郎への手紙出しに行く ヒル食後いもじやの砂糖キビ
絞りの家へ行き都合を聞く 十一月三日後ならよいと云ふ
おそめさんの家へ寄りお茶を頂く 帰りに埴原田
農協の売店にて樽を二つ買ひ来りオニバへ
キヤウギ枚買ひに行く 夕飯後樽へ味噌をつめ
る重くて何とも手の施し様なく 新やの松雄氏
に頼みに行く明朝来てくれる由安心せりそれより
荷札を書く

三十一日 晴天 朝新やの叔母様来てくれる 矢ヶ崎の医者へ行く
序も有るとの事荷造りをしてくれる 朝の下りのバスに入れて
二人乗る駅前の丸通に持つて行きし処客車便の方よしと云ふ又
客車便の処へ持ち行き頼む三つ三百二十五円也
帰りに少々買物をなし城下にて又新やの叔母様後より来り
一緒に帰るハガを四枚書き出しに行く午後疲れと安心とにて何もやる気もなく一寸
休む それより油工の終りの始末をなす柿の残りを列等
して居る内に暗くなる夜さヽけをむく