一月一日 火曜日
昨日の雨晴れて暖かなり
昨日の餅つきの道具を干し衣類のぬれしものも干す
餘分の衣類のキハツ油ふき等して倉へ入れる
雞の巣の掃除野菜洗ひ等昨日の仕事の後れをなす
二日に子供のお宿をなす由につき豆野菜等煮物
をなし表の室のコタツを作り倉よりふとん茶わん等を
出す 風呂をわかし入る

一月二日 水曜日
うすくもり暖かなり こたつを二つ並へて作り火を入れて
矢ヶ崎へ買物に行く留守に子供ハコタツに当りし
由なり菓子三斤みかん二十個 午後二回お茶を出す
表の室は暗くて陰気故カベに陽子紘一郎祐二郞
昭子等の繪絵を張りて少し室を明るくする
機嫌よく遊び四時半に帰る

一月三日 木曜日
昨夜より大変 雪一尺近し初雪なり
組にて雪かきに行く
帰りてはがきを書き午後出し
に行く買物は子供足袋ペナパスタ ハガキ モナカ
ピン 鉛筆二ダース
夕方より夜にかけて足袋つぎ

一月四日 金曜日
晴天寒さきひしく卵も凍り割れたるもの有り
前夜の足袋カバーを仕上げ下駄のハナヲ直し
室の形つけ掃除等をなす 十一時頃より綿入のオクミ
つけ ゑり 袖付け 綿をふくめる午後四時終りそれ
より倉に入りて綿を探がし手入等して止める
夕飯後古い書類の整理等して早く休む
昨日から大に仕事形づく
欄外メモ 山羊乳

一月五日 土曜日
晴天寒さつよし 綿つくりをなす
仙台よりカキ来る ちりめんの羽織の袖をちヽめる
午後二時半頃よりカキを出し少し持ちて糀やへ行く
おばさま病気診察の為めに上京せし由寄らず
に帰る 悪病ならざる事を祈る

一月六日 日曜日
くもり寒さつよし 朝より綿入をくける夜八時半
頃迄かヽりて仕上げる 日の短かき事も有り若い
時の様に早く仕事が出来ざる感じなり
それから㐧一に神戸へやるふとん紘一郎のねまき下がけ
等を作り発送して次に百枝のものを作る
醇郎より小包来る タイアジン パンビタン
欄外メモ 朝零下十三度

一月七日 月曜日
雪あれ寒さつよし夕方よりはれる
朝よりはがきを書き十一時頃より出しに鬼場に行く
矢ヶ崎の本やへ行き自由日記とゑはがきを買ふ
スキー等のゑはがきをほしかつたが無し 帰りて事務
所へ醤油買ひに行く二時半頃より政一郎氏方へ行く
嬢ちやんに足袋お茶を持参すいろく御馳走になり五時半
頃帰る夜ハはがきの整理等して休む
発信 のぶよ 醇郎 和郎 百枝
欄外メモ 山羊乳

一月八日 火曜日
晴天 寒気強し
最後の年賀状を書き出しに行く来年賀状の整
理をなす
午後神戸へやるこだつふとんの表裏のつき当て
をなす夕飯後紘一郎のねまきのつぎ当てを
するつもりなりしも疲れねむくなり早く休む
発信 矢島猛氏 中岡稔氏 三沢つぎ氏

一月九日 水曜日
晴天寒気強し
朝より紘一郎のねまきつき当て ふとんの縫合せをなし
おさへ縫ひを夜なす様にする 四ッ身つき当て終
らず 夕飯後ふとんをおさへを八時半頃迄に終る
卵を調べ見しに凍りしもの四五有り此夜より注意す
和博氏の年賀状に
かど松乃うましき国に四十路越ゆ
御一家皆様の御健康を御祝致します御影を持て御来しの程御待ち致します
来年賀状 樋口和博氏 小杉かずこ

一月十日 木曜日
前夜の温度非常に下りし様なり
山形でハ此日十日市なり ハシゴウスキネミノカサ凡での荒
物がそこへ行けば手に入り便利なりし(山形の思出)
紘一郎のねまきつき当て終りヘラ付けをなし
つヽいて縫ひ表終り裏オクミ袖付丈残り十時過ぎ休む
来信 百枝より
欄外メモ 山羊乳 卵十個上げる

一月十一日 金曜
前夜半より雪降り一尺以上も有らんか大雪なり
屋敷内をかき組の雪かきに行く帰りて十時
それより紘一郎のねまきを縫ひ綿をふくめたヽみつける
ふとんも表裏合せふせ縫ひをして全部終りたり
暖かの日に綿づくりをと願つて居る夜ハ下掛けの
布をほどき休む
倉に入りてふとん綿四ッ身の綿等探がす
発信 百枝子

一月十二日 土曜
晴天寒気強し十時頃より矢ヶ崎茅の局へ行く
今日ハ都合出来ず火曜の十二時頃来てほしいと
云ふ色々買物をなし帰り見しに中村寅一氏
三沢つき氏 岡井政枝氏より来信有り
寅一氏 吉次氏 博士になりし由知らせ来る
直ちに仙台と平出へ祝状を書き出す
午後紘一郎の綿入の綿作りをなし少しくけ夜ハ
中村よりの香典を持つて新やへ行く
来信 中村 岡井 三沢 発信 寅一氏 吉次氏

一月十三日 日曜
晴天非常に温度低くヽ卵を又割る部屋に入れ
ふとんをかけて置いてなり風も無く天気よければ朝
洗濯をなし神戸へやる下掛の布を主として。和郎より小包
来る長ぐつと粟おこし味付のりと外袋沢山なり
前へ出すはかきを書き居りしに三沢つき氏来訪それから
わかさぎを煮たり汁を作つたりアベカハ餅の御馳走を
なす三時半頃帰る綿作り出来ず夕方より風呂
をわかし入りて早く休む
来信 小松綾子 小包
欄外メモ 零下十八、四 今冬の最低

一月十四日 月曜
朝からくもり十時半頃から小雪舞ひ本降りになる
昨日の風呂につけたものを洗ひ風呂樽を洗ひ湯を流す
ナベ釜の洗出しをなす寒さつよく金物にぬれた手が
凍りついて放れずひどひ寒さなり勝三氏に魚と鉛筆
1タース上ける砂糖を貰つた御礼なりはかき出しに行き
午後紘一郎のねまきを仕上げる夜ハ下掛の布をほどきつぎ
等す一枚出来ててほつとしたり日のくれ方にハ一尺近くつもり
屋敷内雪かきをなす尚降つて居る明日は思ひやられる
発信 和郎

一月十五日 火曜
雪は止み居りしも大雪なり組の雪かきに出る屋敷内も
今一度かく ぽろく雪舞ひ居りしも神戸へやる下掛
を張る午後からふとん作り四時半頃迄にとじてしまふ
後残れるものハ下掛のみ早く送つてしまひたい
今日扶助料を渡すと云ハれしも今日ハ成年式にて休み故十六日
来てくれとはかき来る
来信 局から 醇郎

一月十六日 水曜
天気よく割合暖かなり 朝二枚はがきを書き矢ヶ崎
の局へ行き扶助料を貰ひ来り直ちに新やへ行きお
ひるの御馳走になり居る処へ竹村美㐂治氏来り
共に墓参りに行きそれよりお茶ドフロク等の
御馳走をなし帰りて三時半過ぎ又新やへ行き
御馳走になり夕飯をすまして六時頃帰りそれ
よりお寺へ米一升□十持参し帰りて休む
発信 摂郎 醇郎

一月十七日 木曜
晴天温度大により凌ぎよし今日ハ念佛講の定日
私とおひでさんか当番なり朝雪かきに行きしに先日
にかきくれ有りそうきん掛け等して帰る朝鮮漬
とかぼちや等持参す新やからもお寺からもいろくの
御馳走を貰ひ沢山煮物有り
夕飯後新聞等見て早く休む
欄外メモ 山羊乳

一月十八日 金曜
天気よし暖かなり神戸へやる下掛をつぎ布をさ
かし等して居る処へ午後政一郎氏夫人子供をつれて
来らる お茶に トブ お吸物等出し二時頃帰らる
それより少し張物等なし倉へ入りて古布をさがし
来りほどき等す
夕飯後政一郎氏方へ行き年賀ハガキのクジを見
て貰ひ九時頃帰る
欄外メモ 卵六つ上げる

一月十九日 土曜
此朝ハ非常に寒く 十三日の朝位に思ハる
政一郎氏方へ糀とトブ二合許持ち行く前日
作りたいとの話有りし故 それより豆を持つて
豆腐やへ行く矢ヶ崎へ行きペナパスタを買
ひ来る氷豆腐一形に豆四升金八十円渡す
帰りて下掛の布を洗ひ午後千房氏夫人来り
夕方迄話す

一月二十日 日曜
天気よく割合暖かなり下掛用の古布をほとき張る
つもりで居りし処へ落合村の五味金平氏来訪いろく話し
あべ川餅を作りおひるを上げ二時過ぎ帰らる急き支度
し食事もそこくに区會に出席すまた始まらず
いろくの報告を聞き夕方帰る酒が出るらし女の人にハ
菓子か出るからと皆さん引き止めくれしも女の人五六人
なりしか皆帰る私も帰る
古き顔新らしき人も出揃つて初の区會のさかんなるかな
欄外メモ 山羊乳

一月二十一日 月曜
雲切れしか障子に日かげさし来れば
歌集を置きて張物に立つ
一日少し日かさしたり雪が舞つたり夕方より少し白い
位につもりたり張物をなし下掛を縫ふ午後卵を
持つて農業會に行く二つ落してきずをつけし故新
やより二個借りて四百匁になる様に持参す目切れの
分を入れて充分に四百匁有りたり貯金の通帳を渡して
二万円許定期にする様に頼む
欄外メモ 卵四百匁

一月二二日 火曜
天気よく大に暖かなり
下掛を仕上げる 柿を干す いろく明日ハ発送
すべく準備をなす
新やへ夕飯後卵を返しなから松雄氏茅野
迄行つてくれる様頼む
ふとんも日に当てる四ッ身肩上げをなしひも
をつける包む風呂しきも縫ふ

一月二三日 水曜
天気よく気温より凌きよし早起きして神戸への荷物
を包み朝飯後松雄氏来て包みくれ出しに行つ
てくれる吹田へ小包を作り神戸吹田へはかきを書
き昼飯後出しに行く局にてハ主食が有るらしいか
らと注意され笹岡写真やへ寄り厚紙を貰い当てヽ
荷造りし直して出す笹岡氏方にてお茶を頂く帰りて
ふとん米等倉へ運び辛きものも仕込む家の中大に形づく
二つ荷物出してほつとしたり松雄氏へ五十円礼をなす
来信 醇郎より

一月二四日 木曜
天気暖かなり 布をさがして綾子にやる足袋を
裁ち縫ひ始めるカハーの布も探がして裁ち
足袋そこをミシンをかけて貰ふ様一美氏方へ
夕方行き置いて来る 夕飯後カバーを縫ふ
干柿を入れし餅バコをきれいにして干す
夕飯後少しして腹痛起り十一時頃迄に二回
大量に吐く昨年十一月の時の同じ様なりし故
非常に心配せしか夜半より痛み去り眠れる
十二月二十四日に一羽他の一羽ハ一日始めヒヨコ一羽又産み始める 之れにて三羽産む
欄外メモ 山羊乳三合

一月二五日 金曜
昨夜より雪降り一尺近くもつもり有り朝飯をすまし
て雪かきに出る 帰りて綾子の足袋そこを縫ひ居り
しに一美氏足袋そこを持ち来らる
ちの局より扶助料増額につき証書と印を持つて
来よとの通知有りヒル過きに行つて来る少し増額有り
事なし帰りて足袋カバーを作り小包を作る明日出しに
行く之れにて仕事大に形つきほつとしたり今度ハ
百枝の事をなす順序なり

一月二六日 土曜
晴天寒気強し はがきを書き昨日作りし小包を負ひ
矢ヶ崎に出しに行く帰りにいろく買物をなす
午後雞の巣の掃除をなし皆放ししにとれかひよこ
やら親やら見当つかず夕方迄出し置き やつと判る
ひよこの方か大きい位なり コマの雞巣入りを始め雪
の上にタラヒにふせる 今日ハ卵四つ
夕方より新聞の整理見残した処を読み等す
三人ニ荷物出しほつとしたり
発 和郎 ハガキ 小包

一月二七日 日曜
晴天 寒気強し いもしやの家に年始に行かうと思ひ
居りし処へ一美氏妻上諏方の人々来りし故来よと
呼ひに来りし故十一時過きに行く卵十個持参す
雑煮等の御馳走になる要子さんといろく話す夕方帰らん
とせしに其内に三平氏来る故と強く止められ一度帰宅して夜の
用意しそれからトブロクカキチヤを持参し夕飯の御馳走になり
帰る 年賀として五十円貰ふ
ひよこ巣より出たか最後入れるに困難なり
欄外メモ 二十八日 来信 延世

一月二八日 月曜
寒気強く十時頃より雪降り夕方迄に一尺近くつ
もる外出せず足袋のソコをつくり 足袋カバー
を作り始める 夕方屋敷内の雪かき大変なり
ひよこ四羽めが卵産みし如し
七個卵産む

一月二九日 火曜
朝くもり正午過ぎより雪降る 種モミ交換に北大塩の
農協へ行く帰りに塩沢義治氏方へ寄る途中にて
義治氏に逢ふ 奥さんとしはらく話し義治氏に尋
ねる事も頼み昼飯の御馳走になり三時頃帰る
帰りに一義氏方へ寄りお茶を頂いて帰る
来信 醇郎 証子

一月三十日 水曜
晴天寒さも大に軽くなる家の形つげ探か物等なし
十一時頃昼食をなし新やのおばと中央座へ映画見に行く
時間早くよい場所に座れ寒くもなし都合よかりし
馬喰一代中々よかりし
林さんより婦人公論 9⒑⒒の三冊来る

一月三十一日 木曜
前夜より温度は大に暖かにて凌ぎよし十一時頃迄
に足袋カバーの裁ち有りしのを仕上げる
前夜よりゆるみし故倉の屋根の上の雪か落ちて倉
の前ハ高くなりて歩けず倉の前へ横より入りて
井丈やつと堀りて水を汲む処丈になす 外へ訪問
のつもりなりしが雪あれ居るにつき中止家の中
の事いろく形づける風呂をわかし入りて休む
又一つ足袋カバーを裁つ読書ハ実に楽し