五月一日 木曜
天気よく暖かになり之れでハ農作物も育つと思ハる
午前かほちやを蒔き後庭の草取りをなす
朝新やの叔父のめい日故墓参に行くくさ餅を頂く
午後少し休み矢ヶ崎へ買物に行く モツコ其他
帰りて農協へ卵四百匁持参硫安過石、養成リンピを
一俵づヽ頼み帰る
矢ヶ崎てやつと夕顔の種を見つけ夕方蒔く
今年の様に不順の年にハ霜でも有るかと思ひ種蒔おそくす
ヒ1 3
欄外メモ 卵四百匁

五月二日 金曜
晴天暖かになる午前中に上の畑の掘り返しをなす
倉の前の掃除井ばたの掃除草取りをなし
上の畑は立派になれり下の畑も昨日の草取りの後
掃除をなし屋敷の畑ハ立派になれり
昼食後おしたしうどすみそ等作り念佛講の
花見に行くつもりなりし処へ長田畔夫氏妻来り
お茶を上け話し行かれず婚礼にオシヨーバン
に座つてくれと頼みに来しなり明日の出拂の用意等す
ヒ3 4
欄外メモ 八十八夜

五月三日 土曜
天気よし 五時少し前に起床 御飯を炊きべんとうを作
り六時半頃出発出拂ひに行く 三場所の道を作り水
の有る木陰にてべんとうを食すつかまハりは私と正勝
氏とお宮城山の方へまハる 城山登るに大変なりし帰り
に正勝氏方へ寄り休みお茶を頂き帰る新やにてインロク
豆二合とねき持寄るしようちう一升ぶとー酒五合調合
しておいしく飲めるホツケ肉カリントウ等を買ふ新やより
長芋の煮たの人参ゴマあへホーレンソウノアヘモノ漬物等なりし
少し飯を出ししも餘り誰も食べられすカリントウを分ける
来信 醇郎  摂郎

五月四日 日曜
雨 摂郎に手紙を書き正午頃出しに行く
昨夜より咳多く苦しみたり午後床に入りて休む
夕方倉に入り式服をさがしたり江戸褄と下前
模様と二重ね有り白長しゆはんも有り何も有りて都
合よし 此間から不明なりし中風呂しき倉の二階に有り
ほつとしたり 夕方皮フ炎のほーたいを作り又
ぼろの整理等す しとくと春雨の音のどか
なり明日ハ竹内氏へ行き薬を貰ひ来るつもり
発信 摂郎

五月五日 月曜
天気よし子供の日とて国旗か処々に見ゆ
朝大急きて支度して九時のハスへのり竹内さんへ行く
ねき牛房人参持参す
午後苗間の紙取りにサカン氏来る勝三氏子供後れ
て来る すんでお茶を上げる サカン氏よりシイタケ
を貰ふ それより洗濯等なす
一回つヽ飲みしか薬の効にや気分大によくなる
咳も少くなる
来信 綾子

五月六日 火曜
晴天暖かにてよき気候なり
上の畑に木うり モロコシ 下の花のそばへ
トマトを蒔く
午後休み綿入四枚 キハツでふき干して倉に
入れる小布の不用のものも倉に入れる夕飯後
ねき牛房人参を一美氏方へ持参せしも
留守門口に置いて来る

五月七日 水曜
天気初夏の気分少し有り
サカン氏 勝三氏 田のむら直しに来てくれる買つて
置いたモツコを始めて使ふ
午前のお茶 菓子煮豆 漬物 おひるハ
かんぺう人参油揚の五モク飯おしたし切いか豆等
三時おひるの飯のにきり飯 おしたり 漬物夜ハさば豆
ねきすみそとぶろく苗代の紙ナワ干し上がる
灰やき場にて与平氏カヤクヅを焼き風つよく火ひろ
がりそうで驚く消し止む
ヒ3 5 ゴマの雞始めて産む

五月八日 木曜
天気よし午前中冬じゆはんの手入をなし倉へ
入れる 咳が多く出て苦し午後床に入りて
休む 昨日の疲れか熱ハなし 夕方御社宮
寺より柴を切り苗間に水をかける中々かヽ
らず 笹岡様大川より入れてくれて漸くかヽる
水口ハ改良する要あり勝三氏に頼む
川干しの日にでもやると云つてくれる
新やへ貸した振袖を調べて倉に入れる倉も少し形づける
ゴマ ヒ3 5

五月九日 金曜
天気よし 苗間の消毒を九時よりとの事に急ぎ
宮原へ行き帰りしに中止との事に又水をかける
宮原へ結婚式に参列出来ないかと云つて行きしが
是非出てくれと云ハる 米一升金三百円持参し置いてくる
オニバにてダイアシンペナパスタ等買つて来りタイア
ジン二つ重曹と飲み午後はずつと床に休む
ゴマ 4

五月十日 土曜
今日ハ大河原の掘返しか アセボリに来てくれる日なり
しも朝よりしとくと小雨なり醇郎平林さんへ手紙を
書き十時頃出しに行く帰りにサカン氏方へ寄り明日丈
留守故と頼み来る床に入りて休む午後ハ大雨になる
夜具のカバーをつける 足袋白エリ枕カハーを洗ふ
こたつで乾かしゑりもかける 夜具さつぱりする
発信 醇郎 平林氏 コマ ヒ2 5

五月十一日 日曜
天気よし 此日宮原の婚礼に招かれ居り行く事に
する川干しなり上半持出る田の水をかける処
を勝三氏に作つて貰ふ 雑用をなし昼頃に
着物を持つて行く ムコ入りの人も未だ帰らず 嫁も
おそく来る新客の帰りしが二時後フキ等て時間
過ぎ三時頃より一時間こだつに居ねむりして四時頃に出て
帰宅す

五月十二日 月曜
天気よし 此日サカン氏アセボリに来てくれる
夕方迄に終る 夕方肴買ひに行きしに三沢
つぎ氏来るに會ふ 先に来て待つて居る
サカン氏に夕飯を上げ後より二人にて夕飯を食す
いろく話し居りし十一時過きになる

五月十三日 火曜
天気よくおだやかなり 三沢つき氏帰りし
後にて用意して宮原へ法要に行く
墓参りをすまし御馳走になり夕方帰る

五月十四日 水曜
天気よく暖かなり風もなし
客用敷布 カバー等を洗ふ 其他沢山
の洗濯をなす 夕方ダリアの芽の出し
のを持つて千房氏方へ行つて切つて貰ふ
三つづヽになり新やへ一つつヽ上ける
来信 林省吾氏 婦人公論三冊 6

五月十五日 木曜
天気よく風少し有り
タリヤを植え後二株を荷作りして
出しに行く㐧四種とかにて送料十円也驚く
豊平農協に寄りフスマを買つて来る
気にかヽつて居たタリヤの芋を送つてほつとした薬のビンも入れ
て之れで薬も貰へるし大安心したり
午後少し休み倉の後の畑と柿の木の下を草取りさくり白さヽげ
を両方に蒔く玉ねきも植えるグラシオラスとオクラ
を植える夕方より風呂わかし入る気分よし
発信 醇郎 タリヤ 3 晴れて寒し霜心配有り

五月十六日 金曜
晴れ 暖かなり 朝の間つぎもの等なし はがき
を書き出しに行く帰りて門の辺日の当らぬ処を
草取りをなし午後休みて庭の畑に出で上の畑の作を
つくり夏葉八房モロコシ ナリツコ 三峯を蒔く
下の畑の草を取り さくり 黒小さいさヽげ及八月豆
を少し蒔く
発信 林省吾氏

五月十七日 土曜
天気よし 朝事務所へ行き米一斗精白して
貰ひ 午後畑をやるつもりなりしが苗間の消毒
との事に出る 夕方七時頃迄かヽる

五月十八日 日曜
天気よし 前晩咳多く雇人も来られない様故
竹内さんへ行く 途中でトマト苗を十本買つ
て来る 午後三時頃庭の畑を作りトマトを植える
来信 中村吉次氏 盛岡出張先よりエハガキ
欄外メモ 二合 四合 山羊乳四合

五月十九日 月曜
曇天 さかん氏 アゼヌリに来てくれる
キナコを少し引き十時のお茶にタンコにつけておしたしと
上げる おひるにハ竹の子 油揚 かんペう
の御飯切イカツクダニ牛房のキンピラ
三時昼の御飯のにぎりめし だんこ
夕飯にハみかきにしんのてりやき味よし
夕方迄屋敷の草取りをなす
アゼヌリ少し残る
欄外メモ 山羊乳四合

五月二十日 火曜
午前くもり十一時頃より小雨止んたり降つたり夕方より大降り
さかん氏アゼヌリの残りに来る昼飯後終わつて帰る
明日ハ大掃除故朝より庭の草取り午後よりお勝手
の凡てを出してすヽ拂ひをなす夕方雨にて出した
ござお勝手の物ぬれる

五月二十一日 水曜
晴天 朝より庭をはき家の中もはき戸障子
を明け放し 十一時頃みまハりに来るそれより
床をのべて休む 咳多し疲れしならん
朝豆腐や来り一丁置く豆一升渡す加工賃二十円も
午後三時頃迄床に入り休みそれより卵五百匁持参す
塩殺虫樟を買ひ来る 丁度サカン氏肥料持ちに行
き居り内のにも三つ持つて来て貰ふ 風呂しき二つ洗ふ
雑用明るい内ハ外で働き夕飯は九時過ぎになる
来信 醇郎 武内静子氏 ゴマ此日迄産む
欄外メモ 大掃除 卵五百匁

五月二十二日 木曜
曇り 今日ハ刀の登録に上諏方地方事務所へ行く
つもりなりしも朝より気分悪しく咳も多く止める
倉に入りて男の客のねまき等探がす自分の単
衣物セルも単衣て出す午後床に入り休む手先も
熱気有りはかりしに三七、位なりとても気分悪
し大掃除の疲れの様なり今度ハ竹内さんの薬少し
も効なしどこかの医師にかヽつて見やうかと思ふ
ゴマタラヒニフセル ヒ4 5
欄外メモ 山羊乳三合

五月二十三日 金曜
雨後晴れ好天気なり
朝新やへ行き色々聞く お茶を頂く帰りて
味噌漬になる なす うり、長芋ノ種等貰ひ
長芋を植える 木うり トマトを蒔く午後
床に入りて休み二時頃より矢ヶ崎へ買物に行く
ゑんどう むきゑんどう かつぶし入り居る
ゑんどうを新やへ上げる
武内さんより小包着
欄外メモ 山羊乳四合

五月二十四日
曇り 昨日働き矢ヶ崎へ行きし故にや気分悪しく咳多し
四人にはがきを書き出しに行く
午後セロリーを植え畑を作り牛房と菜を蒔く
下肥をやり充分の手をつくして蒔く
夕方新やより貰ひしウリナスを味噌漬になす
武内さんの送られしムキエンドを煮て始めて頂
く珍らしく味よし 大阪にてよく食べし事有り
来信 摂郎 証子 発信 武内さん 醇郎氏 平林ます氏 中村吉次氏

五月二十五日 日曜
朝は寒かりしもおたやかなよい天気なり
此日今朝雄氏 シロに来る妻君あせきしの土引
をやつてくれる 今日ハ日曜故美㐂治氏に逢ふべく
用意する九時半頃今朝雄氏にお茶を出し置く
十時頃出宅黒豆卵牛房人参を持参す
日曜なれども休みなし出勤とて美㐂治氏留守なり
お昼を頂きいろく話し居りしに四時過きに帰らる
例の事を尋ねしか其まヽでよからんと云ハる
初夏の気分実によく歩いて夕方帰宅す
来信 平林ます氏

五月二十六日 月曜
曇り温度低し 昨日塚原迄往復せしも疲れもなく身体の
状態悪しからず 庭の畑に八月豆 モロコシ等を
蒔く夏子供ノ来くれし時の為めに
夕方農協へ行き醤油 ゾーリ マツチ アミツクダニ等
買つて来る
非常に寒くあんじられる気候なり
庭の畑の草取りをなす シヤガ芋よく芽
か出て感心せり悪るい種なりしが
来信 平林ます氏

五月二十七日 火曜
朝より小雨正午頃より本降りとなる
キナコ豆をいり利用部へ持参し帰途一美氏宅
へ寄り来客用ねまき裁縫を頼む 昼の御馳
走になり帰りて伊藤千房氏方へダリヤの芽につき
厄介になりし礼に行く帰りてねまき用の着物を
ほどき天気になり次第張つて持つて行き頼
むつもりなり 千房氏へサハ一本持参す
発信 ます氏へ

五月二十八日 水曜
雨止み 天気になる 温度低し
朝飯をすまし雑用をなし居る処へ山岸いつ氏
子供をつれて来る煮物等して御茶を入れる帰りて
醇郎にハカキを書き出しに行くサカン氏に逢ひ
内の田植は五日と云ハなし
客用ねまき裏表外に□着物まで沢山洗ふ
風呂の水にて長クツ古下駄等洗ひ水をあけて樽
を洗ふ
苗間のムラへ追肥タイヒをやくワラも少しひろげる
来信 醇郎 河西氏

五月二十九日 木曜
天気よく寒し 客用ねまき表裏張る十一時頃
迄かヽる 午後二時頃より田のタイ肥ひろげに行く
昨日午後四時頃タイヒに火をつけ夕飯後水をかけ
しに中々消えず午後二時過ぎ迄も江て居る
水をかけく田の中へ四本刃で適当の処へ配布
る上と下か終り中の田一つ残る

五月三十日 金曜
前夜雨風ひどし 朝も小雨有り止みしを待ち
て矢ヶ崎へ買物に行く タンゼン 袖口エリ縫糸
メ糸等 昼食後タンセンのつもりをなし
三時頃より田のタイ肥ひろけに行く下一枚
丈やつと出来る夕飯後一美氏方へ行
き仕立を頼むお茶を御馳走になり十時
頃帰る
小川平二氏より恩給是正の経過を知らせ来る
発信 河西えつ子氏

五月三十一日 土曜
天気よし 田中その氏仕事に来てくれる
朝よりアゼ草刈り 此日苗間の消毒につき
十時より出る 私ハそれ迄タイ肥ひろげをなす
その氏午後屋敷の草刈りをなす 私ハ夕方迄タイ肥
ひろげをなす
屋敷に案外よい草草有り
その氏割つて居る
欄外メモ その