九月一日 月曜
雨昨日迄の大暑か急に涼しくなり単衣物でハ
寒いほとになる 二百十日故風無く幸なり
醇郎へ手紙四本ハカキを書く 輝男氏に手紙美代吉氏に
繪ハガキを書く
表六帖の床の下の棚の掃除をなす
発信 醇郎 林さん 平林さん 馬場さん 中谷さん 笹岡美代吉氏 輝男氏 英子氏

九月二日 火曜
天気少し雲有り 昨日の雨にてすつかり涼しくなる
八時半頃出てヽ吹田へ小包を出しながら歯医者に行
く歯いしや大変の人にて帰宅午後四時すつかり疲れ
たりおそい昼飯を食し休み六時頃より利用部へ
麦粉頼みに行く金も四千円程出す事を頼む
金冠の糸切歯を抜く後義歯のカタを取る
歯いしやに診察料として五十円拂ふ
来信 摂郎 延世 陽子 紘一郎
欄外メモ 山羊乳二合 勝三氏 山羊乳四合 新や

九月三日 水曜
朝夕めつきり涼しくなる
田へすヽめおとしをやる正午頃農協の娘の家へ
行き金四千円受取る昼食をすまし急き歯いしや
に行きしに三時迄留守との事に竹村美㐂治氏方へ
寄り四時頃迄話す歯いしやに行き二回に渡りて歯
の工作をなす明後日午後来よと云ふ
神戸へ小包を午前中に作り出す
神戸へ小包

九月四日 木曜
天気よし 小豆を全部洗ひ干す
摂郎河西さんに手紙ハカキを書き出しに行
くワカサギほしかりしが無し
昼食後よく休む 小豆のイブを形づける
発信 摂郎 河西えつ氏

九月五日 金曜
晴天 かんぺう引き ゆうかほ五本之れか最後か
十一頃よりおはき作りにかヽ る主人のめい日故
佛に供へ新やへ上げ 竹村美㐂治氏方へも
三時少し前に歯いしやに着く夕方六時過き迄かヽり
いろくに工作し入れる帰途川村氏方へ一寸寄り帰る
歯の工合餘りよろしからず
歯いしやに三千円払ふ

九月六日 土曜
朝寒い位なりしも日中かなり 暖かなり
午前中いろく雑事をなし 午後新やへ蚕ひ
かしの手伝ひに行く夕飯後帰る

九月七日 日曜
天気よし
新やへ行くつもりなしりもそう忙しくもないとの
事に止める 夕方より雨
醇郎より薬来る手紙も漢法の咳薬の事有る
ナラツケの瓜を塩づけにする
洗濯をいろくなす いろく形つけ掃除等よくなす
義歯工合悪しく痛くて何もかめずよくなほして
貰はなくてハ困る
受信 醇郎小包 綾子 発 醇郎ハカキ二

九月八日 月曜
前夜より雨朝大雨十時頃止む 朝食後上座敷にて休む
十時頃米の中買人来り三斗渡す 二千八百五十円也
和郎へ手紙書き出しに行く
来信 平林ます氏 延世 発信 綾子

九月九日 火曜
一日中小雨 夕方より大降りとなる
昨日一日田へ行かさりしに沢山穴あき有り時間かヽる
それより事務所へ麦粉取りに行く
帰りし処へ正勝氏妻子供をつれて遊ひに来る
お茶の用意出来し処へ嫁傘を持ち来り寄つて
お茶を上ける十二時近く帰る 昼食後ゆつくり休み
少し布さかし等し四時頃義一氏方へいろく聞きな
から遊ひに行く醇郎の手紙私の咳の事塩田さんに聞いてくれたについて
供出終了後来てよく診察し貰へと云ふ
来信 封書 醇郎

九月十日 水曜
くもり十一時頃より晴れる
ぼろをさかし腰帯を作つたり敷布のつぎ当て等
田へ行けば穴だらけ実に今年ハひとひです
午後休み二時頃より歯いしやへ行く 長くかヽつてけず
り直してくれる大によくなれり
何回でも来よといふ
来信 証子

九月十一日 木曜
昨夜より雨朝より降つたり一寸止んだり
外の仕事ハ出来ず敷布のつぎ枕の直し等す
午後休み後キナコ豆をひろつたりして午後五時一寸前
に事務所へ行く原茂氏アイサツするとの事に
一美氏方へ寄り夕飯の御馳走になり六時半頃
来り少しあいさつ有り十三日の晩七時半より
来る由 中々熱有り当選させたい人なり
来信 河西えつ氏

九月十二日 金曜
昨日の様に雨降つたり止んたり夕飯後も雨たれ
の音す 醇郎と河西氏に手紙を書き出しに行
き昼食後ゆつくり休み田水見に行き序に
上の田穂ヒエを取り終り頃より大雨すぶぬれ
になり帰りて キナコ豆をいり利用部へ持参
頼み来る
裏の障子雨戸なし故あかぬやうにする

九月十三日 土曜
雨降つたり止んだり
午前矢ヶ崎へ行き神戸へ本を送り帰りにワカザキ
百枝の処へ送る氷餅ソバ等買つて来るビスケツトも
ワカサギ百匁ビスケツト少々勝三氏方へやる
ワカサギを煮たり テンプラにしたりして昼食をなす
ゆつくり休み畑の草取りさヽけの手をやつたりする
テンプラ亀雄氏方へ少しやる 夕飯後原茂氏の演舌会に
行く塩沢長俊氏外議員溝上氏等の話よし原氏熱有り人々感動したるらし

九月十四日 日曜
くもり 午前雑事をなしさヽげを取る
昼食後ゆつくり休みそれより畑を作り肥料
をやり菜ほうれんそうを蒔く

九月十五日 月曜
朝より大雨
仙台へ手紙を書き小包を作る米小豆キナコカン
ペう氷豆腐 氷餅 干ソバ
昨日さヽけを取り菜蒔畑の草取りをしてよかつ
たと思ふ
午後ゆつくり休み ハナヲ作り等す
婦人公論五月号を読む混血児をかヽ江し女の人の悲げき
再軍備のおそろしさ等
発 中村吉次氏

九月十六日 火曜
朝よく晴れ之れて天気上りしかと思ひしに午後
三時半頃又雨降る
朝晴天故沢山の洗濯をなす午後一時頃迄かヽる
昼食をすまし二時過き家を出て仙台へ小包を背負
ひ局で出して歯いしやに行きしに時間外とて
だめ帰りに雨に逢ひ家にハ洗濯物を干して有
り医者だめにて丁度よかりし
かずこより可愛いヽ手紙来る
来信 かずこ

九月十七日 水曜
天気よし 午前家の中の掃除形つげ等
午後一時半頃より念佛講に行く 六時半頃より
学校の映画會に新やのおはさまと行く人混みにて
よろしからず帰宅十二時

九月十八日 木曜
朝寒い位にて日中暑し
衣更へとハよく云ひしものなり朝寒かりし故
袷類を出し カタビラユカタ等を洗つたり
出て居た単衣物類を干して倉に入れる
早昼食にて歯いしやに行く朝よりの人四五人
居り暗くなつてから家に帰る
歯の工合少しよくなれり今夜ハ区會有しドモ
休む
来信 河西えつ氏

九月十九日 金曜
曇り 上つ張りをほどき張る庭の畑のさヽげ
の手を少し取りとまとの木も少し取る
午後オニバへ買物に行き糀やへ寄り夕方帰り
夕飯をすまして村の映画見に行く帰りて
十二時 急に涼しくなり始めて袷を着る
映画の始まる頃小雨雨の中にて見る利用部のヌキバに
入りてぬれる事を免る
欄外メモ オニバタバコヤコヨリ 醤油 一升九十円 砂糖五百匁 塩一キロ

九月二十日 土曜
前夜かなり降る 朝止んで居る
彼岸の入り念佛講に行くにつき当番なりし故御馳
走作りに半日かヽる ジヤガ芋玉ねき魚肉を入れて
コロツケーを作る時間かヽりよろしからず 外に
なすやき 木うりもみ

九月二十一日 日曜
天気よし 洗濯等午前中なし午後から
念佛講に行く

九月二十二日 月曜
晴天 朝の間涼しく日中暑くなる
麦種を農協本部迄取りに行く 塩沢升治氏
方へ寄つて来る エンガハにて奥さんと話して
十一時半頃帰宅 昼食後念佛講に行く
ムシイカサンマ冷凍のよきもの有り塩沢氏へ持つて行く合せて五十六円
来信 摂郎

九月二十三日 火曜
天気よし 夕顔の棚をこわし 最後のかんぺう
引きをなす
午後彼岸の中日 佛講に行く沢山の人来り
にきやかなりし
明日ハ上諏方へ行くにつき小豆を煮たりなす
同好會の下相談に河西氏方へ行く

九月二十四日 水曜
天気よし 朝早く米を洗ひ置き朝飯をすまして
昨夜煮たる小豆を入れて赤飯を炊き支度して
其外に黒白豆五合づヽ持つて河西氏方へ行く
すぐ後から平林氏も来り同好會の下相談となす
ちの迄バス それから歩いて夕方家に帰る

九月二十五日 木曜
天気 雞の巣ヒヨコの方久しぶりに掃除をなす
糞は大根畑に入れる 田のヒエ取りをなす下ニ
枚終る 帰りて庭の畑のトマト モロコシ等形づける
午後念佛講に行く

九月二十六日 金曜
小雨なり 家の中の掃除 さヽけ豆の皮むき
整理をなす モロコシもつるす
連月焼有り倉より出し 寺へ持つて行くつもり
彼岸明けにて墓参りに行く
来信 中村吉次氏

九月二十七日 土曜
朝雨後くもり
池の出入口へ金アミヲ当てる
袷のしゆばんの背へ綿を入れゑりかけをなす
朝ハカキを書き出しに行く
来信 夏目志づ氏 証子 発信 証子 摂郎

九月二十八日 日曜
晴れ 午後三時頃より雨となる
来客の為めにいろく考へて家の形つけを始める
九時半頃より下諏方のフリキや来り選挙について話し
中に入りてお茶を飲みて十一時過き帰る 左派社會党
応援の為めに歩いて居るらし労組の方の人気ハ大
したものヽ様なり 当選を祈る切なり
午後二時過ぎ助雄氏方へ赤んほのお祝ひに行く
夜はぞーきんを一つ作る

九月二十九日 月曜
天気よし 餘りセキが出るので竹内医師に行く
熱三六、二なりき よく診察し大した事ハないとの事
薬を貰ひ帰途歯いしやに寄るつもりなりしも疲れ
し故帰る昼飯後床をのべて休む一回づヽ薬を飲みし
か大によろし夕方事務所へ買物に行く
田の水見に行く
発信 夏目さん

九月三十日 火曜
天気よし朝ハかなり冷える
松雄氏米カマス三つ持つて行つてくれる新やの叔母
氏と二人にてもみすりの手伝ひをなし精白を頼
み置き帰る勝手の棚の掃除形づけ等をなす
昼後田へ鯉子を取りに行きしが水多くとれず
帰りていもしや清一氏一氏方へ原氏を頼みに行く
夕方帰りに一美氏方へ寄り夕飯の御馳走になり
オニハの糀やへ行く頼み九時過き帰る
来信 平林ます氏