十一月一日 土曜
よく晴れ寒くなれり 午前中かヽりて手紙一ハガキ
二書き出してくる 午後は倉に入りて布さかしをなし
こたつの上がけに適当の布を出し来てこだつ
の上掛けをつぐ窓のカーテンの布も探かす明日
張つて作るつもり 夜具のカバーをついで夜
九時迄かヽりてつき当てを終る明日ノリを
して夜具につけるつもり
来信 春日みき氏 夏目志づ子氏 発 摂郎 醇郎 百枝 森

十一月二日 日曜
朝非常に寒く大霜なりき柿が霜にやられし
かに心配になりしも高き木にて如何ともなし難し
小豆全部こなす 昨日の夜具カバーにノリ
つけをなすカーテン用布を洗ふ
一度たヽき日に当て其間にゴマこなし
もなす
夕方下の処の柿を少し取る
来信 河西えつ氏

十一月三日 月曜
晴天寒さつよし 大霜なり
黒豆こなし 昨日こほれた小豆をひろう
三時頃終り それより倉の後柿の木の下のさヽげ
の手を取り木の葉をかききれいにする
さヽけの手全部ナスの木も取り庭きれいに
なる

十一月四日 火曜
雲一つ無き晴天昨日ハ天気豫報でハ雨なりしも昨
夜もよく晴れ大霜なりき 白豆こなしわせ豆の
種を先に取り後七束位こなす一斗位有り
昼食後与平氏倉の後の柿を取つてくれる今晩ハ
雨らしく庭を掃除する
三晩大霜有りしも柿ハ案外しもげて居らず
レスタミン軟膏か終りそうでどこへか探かしに行
かねばならずと思ひ居りし処へ醇郎より来りうれし
咳の薬もほんとうに有り難し
来信 平林ます氏 醇郎より小包 咳薬 シロゲン レスタミン 軟膏 発信 河西えつ子氏

十一月五日 水曜
一日中 雨もろこしの取つて有つたのを結び豆小豆
をひろひ分け等醇郎と平林氏にハカキを書き
出しに行く午後休み後カーテンを作る小豆を
むき等す
来信 三沢かつへ 発 醇郎 平林氏

十一月六日 木曜
朝くもり午後晴れる 朝松雄氏柿を取つてくれる
こたづ掛ふとん表を縫ひ裏と合せ午後三時頃より
綿をつくり夕飯前にとぢて仕上げる 客夏ふとん
掛三枚カハーをつけしのを日に当てヽ倉に入れる
夕飯後カスリ単衣物をほどく
欄外メモ 政一郎氏方より乳四合

十一月七日 金曜
くもり後天気 染直しすべき羽織をほとき昨夜
ほどいた単衣物と縫合せる近々上諏方へ行く
事になるらしく其時染やへ寄つて頼む
為めなり 午後もろこしつるし ごまこなし
きれいにする 八月豆をこなす 柿も
座敷へ形つける やつと少し家の中ゑんかハ
か少し形づく ワカサギ売りに来し故買つて
煮しか中々おいし

十一月八日 土曜
朝くもり今日の天気もあんじられる様なりしも其内に晴天
となる 㐂七氏豆こなしに来てくれる 私ハ山の上の畑
へ豆取りに行つて来る青豆も少し有り全部こなし
終り夕方豆全部と小豆とをあをり終り
大安心せり 長芋を掘りとろヽを作る始めて
にておいしかりし 小豆一升許上げる希理により
来信 延世 河西えつ氏
欄外メモ ○㐂

十一月九日 日曜
天気よし 白さヽぎをむき 青大豆の中の白
豆をゑり出し庭のこほれた豆小豆をひろひ
ごまを始めいろく干しそれく袋へ入れて
形つける夕方より白さヽぎむき終りおそ
い夕飯を食へて休む

十一月十日 月曜
晴天 稲こき用かますを皆出し日に当て拂
ひ穴を修理する夕方迄かヽる
風呂をわかし髪洗ひをなす 身体の工合も
咳の工合もよかつたから思ひ切り髪迄洗ひ
しも別に障りなし
空いて居る カマス 十五 ブンコニフ 掃除す

十一月十一日 火曜
昨夜風呂の湯を利用して沢山の洗濯をなす夏からの単
衣物三枚肌着おこし二つ水物いろく綿入一枚裏表
こたつの下掛ほどいた布沢山夕方三時迄かヽる
大に形つきほつとしたり 倉の中も形づけ豆類
粟等皆倉へ入れる一日中働き通しなりき

十一月十二日 水曜
朝やけは有つたが天気よく晴れて居る
上諏方河西氏方へ集る日なので朝飯も早くすまし
河西氏へ米一升小豆一升平林氏に粟升持参す
茅野背負つて行くハスの都合悪しく仕方なし
茅野よりバス局前迄行くみのやへ寄り洗張り染直し
を頼み河西氏へ行く平林氏も居る写真を渡し代金七百円出し二し
三人にて負たん一人三百三十円つヽ受取る上生菓子キントンサラダ
持参の米で御飯サシミ豆腐シータケの汁夕方汁粉等頂く
生菓子を貰ひ六時頃出る茅野にて一時間以上待つ寒くてこりぐ
新やで家を見てくれ生菓子を上げる

十一月十三日 木曜
土日までハ正午より十度前後高し
くもり寒さつよくなる 今迄暖かなりし故特に寒い
と感しるがまた正午より高いよし
午前ハ前日の疲れにて何もなす気力もなし
はかきを書き出しに行く昨日たまりし新聞を
読み等す 午後ハ夜具のカハーエリつけ等す
タリヤの芋を松雄氏おはさま二人来て掘つて
芋の穴へ入れてくれる長しゆばんのつきを少しなす
朝六時四、二平年より二、六高 之れてもとても寒いと感じる
発信 河西えつ氏 平林ます氏 延世

十一月十四日 金曜
曇り 午前中長しゆばんのつき当てをなす
午後倉の中の形つげ 大根抜き等なす
此朝非常に寒く0下二度六で始めて薄氷有り
組合集会をなしエヒス講に出来たら上諏方へ行
く下相談をなす
此日稲コキをなす都合なりしも夜の小雨で
だめになる
十二日の夜ちの駅の寒さに少し風気味なり 夜三六、八少し高し
アスピリン一つ

十一月十五日 土曜
雨ハ止み居りしも前夜の雨でゆれてだめなり
朝三六、四少し高し 昼 三六、七 午後四時 三六、六気分よし
朝昼アスピリン半分づヽ 大阪の咳の薬つヽける大に快し
ピーテ會費来三月迄八十円中島勝三氏に渡す
大豆小豆の最後のひろひ分けをなし倉に入れる倉の
障子を張る
明日脱穀に来てくれるよし豆を煮たり柿をさわし
たりする夜熱三六、四分気分よし今日稲コキ出来なくて休めてよかつた

十一月十六日 日曜
前夜少し雨降り曇り居りしも明日ハモミスリにて新やを頼
めぬし天気豫報もよかりし故思ひ切り稲コキを始めるサカン氏
新やで二人㐂七氏妻の四人十時頃よりすつかり晴れて少し夕方
おそくなりしも稲コキ終る粒干をする事にして家のエン側に
置ける処置く此日ハ大成功なりシイナ種少し
カボチヤ豆煮オコワ大根人参シヤガチクワの汁サンマ煮
つけむしいか 午前に柿二づヽ午後サツマ芋柿菓子煮物
等にてお茶夕飯ハとろヽ汁サンマムシイカ豆カボチヤ
リンゴ等々
欄外メモ ○㐂○妻 サカン氏 マツヲ氏 チマキ氏

十一月十七日 月曜
前夜雨朝ハ止み居りしも前日稲をこき落してよかつた
と思ふ下駄のハナヲ 三足修繕等す
午前十一時頃より㐂七氏来りボツサラを干してたヽき
くれる午後一時半頃より念佛講に行く 帰りて㐂七氏
に夕飯を出し後休む
欄外メモ ○㐂半日

十一月十八日 火曜
晴天 朝の間ゾーキンオセンフキ等作り十時半頃より
モチのモミヲ干す 大根ノ葉ヲ切り始末す
エソ菊其他花の種ヲコナス
摂郎の訳書よろしそうなり
来信 東京岩波より摂郎の訳書来ル

十一月十九日 水曜
晴天 㐂七氏来りもみ干 わら形づけハセ拂棒の
仕末をしてくれる 布さがし等をなす夕方ウドン
交換に行き 魚 油揚等買つて来る
夕飯後笹岡氏方へ行き肥料の事を聞く
午前中摂郎へハカキを書き出しに行く
モミスリ今朝雄に頼む二十三日に来てくれる由好
都合なり
発信 摂郎
欄外メモ ○㐂

十一月二十日 木曜
うすくもり 此日 エヒス講とて諏方の店大さわぎなり
組で上諏方へ行く由なりしも私ハ止める夕方おそく
なりても困るしそんな事に興味もなし㐂七氏も行く由
来ずモミ干一人でやれと云ふ 十一時迄かヽりて五俵の
モミをひろげる午後だんく雲出て雨ても落ちてハ大変と
午後三時頃より入れ始める割合苦労なく出来る
明日ハ雨らしいので下敷迄上げきれいにする
モミスリ今朝雄氏の都合で二十六日と云つて来る

十一月二十一日 金曜
一日中くもり 㐂七氏 長芋 牛房掘りに来る
両方終る 私ハ長しゆばんのつき当て等す
食事作りに時間かヽる ナニハブシの魚や来り生サンマ
を三十円買ふ一疋骨を抜いてくれてすと醤油で
食へる事を教江る やつて見しに中々味よし
河西氏よりハカキ有り 何かの名目をつけてお集りする
機會を作つてお楽しみ致ませうと言なり
如何に楽しんでも先ハ知れたものなり之ハ楽しみませう
来信 河西えつ氏
欄外メモ ○㐂

十一月二十二日 土曜
晴れ暖かのよい天気なり 昨夜レスタミン二つ飲みし
故か気分はつきりせず眠い様なり 綿入長しゆばんを縫ふ
昼後遂にこたつに眠り目さめて三時なり 夕飯前迄に
縫上げたヽみつける
義歯の工合悪しく 歯いしやへ行つて見たいとも思ふ
が行つてもなほるや否やと思へは出かける元気
もくじけ おつくうになる 其内に元気を出して行かな
くてハと思ふ

十一月二十三日 日曜
晴れたりくもつたり割合よい天気なり モミ干しも
出来しに惜しい気かする 供出 二十五日 二十八日
二十八日にハ是非出したいと思ふ
午前三本の手紙を書き出して来て十一時それより
長しゆはんの綿入れをなす 午後オニバに買物に行き
夕方勝三氏方へサンマ二百匁菓子少々 トブ一本持つ
て行つてやる 夕飯後長しゆはんをくけ上げる九時半
明日ハ㐂七氏モミ干しに来ると云ふ天気を祈る
発信 百枝手紙 河西さん 春日さん

十一月二十四日 月曜
朝㐂七氏来り朝飯を食へ居る時にバラくと雨降
る朝雨たろうと云つて御社宮寺の間伐をやりに行く
時々雨降るも大した事無く昼迄に六束上ボヤ
を取り持つて来る昼飯後ハ餘分に雨降り止めて帰る
シヤベルの柄を折りしを作る云つて木を持つて行く
半天のつき当てをなし袖丈ヘラ付けをして袖丈
縫ひ上げる つき布をさがし等時間をかヽる
夕飯後大降りになる
欄外メモ ○㐂半日

十一月二十五日 火曜
雨ハ止みしも一日くもり 朝飯を之れから食べ様とせし処へ
大工来る 㐂七氏も朝飯をすまして来る一日御社
宮寺の間伐 大工ハ諸方戸しまり六帖入口の
戸をなほし勝手の棚に硝子を入れたり穴を
ふさいたり塀を少しなほす夕方早く帰る
二百五十円渡す
欄外メモ ○㐂

十一月二十六日 水曜
前夜雨の音を聞きしも朝より晴れ実によき晴天なり
㐂七氏来る午後三時頃に今朝雄氏来る新やより
松雄氏おはさま手伝ひくる俵十作り早く
終るお茶を上げて今朝雄氏帰る松雄氏おはさま
に夕飯を上ける サンマ オシタシ 豆 ヒジキ
ナマス等おはさまゆつくり話して帰る
松雄氏に世界外一冊上げる
年賀ハガキ来る三十枚
欄外メモ ○㐂

十一月二十七日 木曜
晴天 昨日のモミカラ及下敷のムキカラ等を
やくモミカラ中々手間どられてやけぬ
人参掘り 白菜の朝鮮漬に出来そうな
よいのを取りきれいにする

十一月二十八日 金曜
朝より小雨夕方より大降りとなる
今日ハ供米の日故朝より其用意をなし居りし
に三十日に延びし由組合長より通知有り
半天のヘラ付をなしゑりをつけ始めし午後二時頃
塚原の升村良八氏妻来訪大急ぎこたつきの
部屋を形づけお茶を入れて話し五時帰らる
二男の人の嫁さん探しなり頼まれる
夕飯後婦人公論を読み早く休む雨の音よく聞こゆ

十一月二十九日 土曜
晴れ天気よし 半天を縫ひふくめ綿をしてたヽみ
つける 白菜を洗ふ 暖かにてつめたき事なし
午後 オニバに行き 塩 縫糸 浅田飴 龍角散
ヤウジ等買ひ来る 村の農協へ行き醤油
麦と交換 菓子 マツチを買つて来る夕方
昼洗つて置きしカメに朝鮮漬用の白菜
を漬ける夕飯後直一氏方へ行くつもりなりしも
づクぬけて止める 明日ハ供米天気よく都合よし

十一月三十日 日曜
晴天 此日供米なり 今朝雄氏牛車につけて
運んでくれる門迄出す時松雄氏も手伝ひ
くる三等にて少しも刺さず通る安心せり
帰りて十一時 午後ねきを掘り人参の葉を
取り白菜の残りを取り外の菜も大きい処を
少し取る 夕飯後伊藤直一氏方へ行く直一氏
に逢へてよかつたと思ふ 帰りて九時
日中ハ先方も自分も忙しき故夜とせしなり月夜にてよし