千九百五十三年一月一日 木曜

昨日の暖かきに引き替え朝起きて驚く

吹雪と厳しき 寒さ掃除片づけ等其他一

年間の始末をきちんとなせし昨日の天気

有り難かりし

ゆっくりお茶を頂き雑煮を作り食べ

どしんと来た新聞に目を通し前年

よりくりこしの金にも目を通す

年賀状十五来た 自分も少し書き始める

こぶ巻きを作り煮る 四日の客呼び

の用意なりこれ終わらぬ内は忙し

お昼はお汁粉 夕飯はすきやき

 

来信賀状十五通

 

一月二日 金曜

晴天寒さつよし 朝六畳にて何とも

なかったご飯がお勝手に出ししに

凍る 早く朝飯をすまし年賀状

書きにかかる 正午少し前までに二十五

枚仕上げる 直ちに村のポストに出しに行く

午後二時頃より宮原へ嫁さん招きに行

く タバコ屋にて酒真澄五合砂糖三百匁

など買い来る 三時少し近きよりいもじや

へ同じく嫁呼びに行きしに誰も居らず

松井氏に頼み来る 非常に寒く苦し

嫁呼びも之れが最後と思ふ年賀状

も大方出してほっとしたり

 

発信二十五通

 

一月三日 土曜

晴天日中は大に暖かなり

明日は嫁呼びにつき忙し 末広人参

キントンなど作りサラダを作り中へいれる

ものを切り明日ユテル事にする

家の中の掃除をなし上座敷にこだつ

を作る 今朝仙台よりカキ着く

明日使ふに都合よし

家の中全部掃除をなし表六畳

二間だけ残る

 

来信水野克彦氏

 

一月四日 日曜

晴天日中暖かなり 表の間の掃除をなし

倉より茶碗皿などを出す 早く新屋の

おばさま来てくれる 助かる 煮物など頼

み置き矢ヶ崎へ買い物に行く 鯉サシミ

手ぬぐい菓子豆腐等々十一時頃帰り いもじや

より二人来て居る 急ぎ汁粉を作り上げる

食へている処へ宮原より二人来る 昼食後

少し時間置きて酒を出す 豆腐とカキで

吸物 鯉の煮付け さしみ サラダ 昆布巻

キントン 末広人参 黒豆 オシタシ 等々

夕飯はトロロ 宮原の二人といもじやの嫁さん

は夕飯を食べずに帰る

 

来信中村家 陽子 伊藤よしえ氏

 

一月五日 月曜

晴天なり 午後より雪降る

昨日の片づけ等し十一時頃より新やへ

招かれて行く 米一升足袋一足持参す

昼雑煮餅 シータケ ウサギ  ネキ等々

酒 吸物  トーフウサギ シータケ

サシミ 煮魚 コブマキ 頭付三ッモリ

(ミカン ヤウカン スシ)夕飯はトロロ

ゆっくり頂いて帰る

 

来信

三沢かつへ氏

 

一月六日 火曜

朝起きて見しに雪五六寸つもり居り

直ちに屋敷の雪かきをなし組の

雪かきにでる 帰りてゆっくり朝食

午前雪あれし故いもじやへ呼ばれて

有りしも止めやうかと思ひしが正午

頃より晴れ暖かなりし故いもじや

へ行く 米一升菓子一ヶ朝鮮漬け一重

アラガミの息子夫婦と女児二人来て居る

伊那町の茂登治氏一家十二時のバスにて

帰りし後にて残念なりし

ゾーニ トブロク 夕飯はトロロを頂

いて帰る

来信

竹村義人氏

 

一月七日 水曜

くもり寒さつよし 零下十四、五度か

インク ペナハスタ等も凍りて用をなさす

客用の器具等倉へ入れ等す

敷布のつき等し三時頃風呂を

わかし夕飯後久しぶりに入浴す

非常に心地よし 咳も余分に出ず

安心せり

 

来信

中谷政一氏 岡井政枝氏

発信

竹村義人氏 岡井政枝氏 中村吉治氏

 

一月八日

あれ天気なりしも正午頃よりよく

なりし故昼食後矢ヶ崎へ行き日記

ベナパスタを買ひ帰りにオニバ麹やへ寄る 夕飯を頂いて帰る 竹村義人氏のハガキを見せ今の状態を話す 糀や

へ八十円のお茶一本持参す 糀を頂いて帰る

発 摂郎に封書

来信

砂崎れん氏

 

一月九日 金曜

天気よく温度ひくし

客よびのナベカマ器物等を中

身を形づけて川に持ち出して洗ふ

家の中を掃除し雑巾をかけ

美しくする

夕方より風呂を沸かし入る

午前中かかり新しい日記帳に

書き込み人名簿及び金銭出入も

書きこむ

 

一月十日 土曜

天気よく暖かなり 夕方よりくもる

風呂を掃除し湯をあけ自分の

敷き布団の洗って置きしのを張る

夕方くもり乾かずこたつにいれる

もんぺ二足つき当て仕上げる

 

発信原茂氏

 

一月十一日 日曜

天気気候に暖かになる  自分のふとんのつぎを始め今日

仕上げようと思いしに十一時頃五味

金平氏来訪 お茶を入れを雑煮

を作り尚餅を上げる 仏前に□

供えらる いろいろと話して帰る それから

少しふとんをなし重詰のもの全部

に火を通し重はこより出す

 

来訪 五味金平氏

来信 和郎澪子

 

一月十二日 月曜

一日中小雨温度は十度も高し

今日は扶助料を頂きに行く日なりし

も天気悪くときどき日がさす事

もありしも雨は止まず 午後は少し大降

りとなり遂に行かず

足袋のつぎ足袋カバー作り等し

てこだつにのみ居る

マスク作りもなす

 

一月十三日火曜

天気よく少し寒くなり風あり

朝の間布団のつぎをなし十時半

頃より出宅矢ヶ崎の局に行く

扶助料を頂く 五千円貯金す 帰りに

豊平の農協に寄りフスマを買ふ

つもりなりしも少しもなきよし明日は

できるといふ その氏来り家庭

のいざこざを話す 茶を入れアワ餅

を十五切れ上げる クダケ入り米九升貸す

 

過石一俵配達しくれる590円

欄外メモ 百十四日 醤油

 

一月十四日 水曜

天気なれども風強く寒し

午前中足袋カバーを仕上げふとんを

縫ふ

午後埴原田農協へ行き醤油一升

麦と交換す 一美氏方よりバケツを

借りて豆腐一丁買ってくる それより

オニバ豊平農協へ行きフスマ有る

丈五百匁40円コヌカ一〆貫□五十円にて

買ってくる 雛の飼少し之れにて安心なり

小正月の年取りと言うけれどそんな

感じもなし カキのフライを作り

豆腐汁にてご飯を頂き十分おいしく

食べる

 

十五日 木曜

朝寒い間新聞と今日きた週間朝日を見る それより自分の敷きふとんを縫い上げ十一時頃より明日の為めの煮物等なす オメー玉を作る キントンを作る 小豆の煮上がったのでつぶしコブマキ煮豆の煮直しなどなす それより掃除ソーキン掛けをなす醇郎に手紙を書く 主として摂郎の事を心配して此冬私は行かない事等々 カキ豆腐汁おいしカキフライもよし 来信摂郎はがき

 

一月十六日

晴天寒けれども穏やかなよい日なり 朝墓参りに行き一美氏にバケツ返しに行き醇郎に手紙を出す

午後マスクを作り回覧を持って新屋へ行きお茶を頂いて帰る 五時過ぎカキフライを揚げて居る処へ竹村美喜治氏上の娘と二人にて寄る 急ぎいろいろ出しお茶酒を上げる てんぷらコブマキ黒豆キントン菓子などを包んで上げる それからゆっくり夕飯を食しマスクの残りを作りなどして休む 折角作りし御馳走を上げてよかったと思ふ 受け 婦人公論8 9 10 11 林さんより 発信醇郎

 

一月十七日

天気よくおだやかで日中暖かなり 寺の老婆死去につき見舞いに新屋のおはと行く五十円持参す 敷き布団の綿をはがして干す 午前中下駄のハナヲを作る 午後綿づくりエンガワにてなす あつき位なり 夕方終わる ほっとしたり

 

一月十八日

天気よく日中は暖かなり 今日こそいろいろの洗濯をなさんとつもりし まず新聞に目を通しおりし処へ亀蔵氏婆さんお寺の葬式につき念仏講でハ一人五十円づつ持参すると知らせに来る 中へ寄ってお茶を上げる いろいろ有って都合よし 十一時頃帰る 早昼食をすまし洗濯をなす(綿)の入りし切りダメ二枚も洗う 久しぶりの洗濯気持ちよし 醇郎より上等の肩掛けお年玉のよし 咳薬トレスタミンも入っているネオレスタミンなり 少し変わっているでせう 早速飲んで見る 風邪にもゼンソクにもよいかと思ふ 有りがたし 上等の肩掛けにてもったいない様なり 来信醇郎証子よりハカキ 小包平林ます 二氏

一月十九日

温度は低くけれども天気よく風もなし 寺の婆さんの葬式につき念仏講で持って行く香典の方法につき皆と相談する為に村の上まで行く 十六人八百円一つに包み上げる事にする 午後零時半頃行く 葬式終わり法事の時に念仏をなし御馳走になり帰る

 

一月二十日

天気よし 朝より醇郎へ手紙 東京林さんへハガキを書き十一時頃出て矢ヶ崎局へ行き手紙を出し年賀郵便の当たったのを出してもらって来る 家に帰って一時大急ぎでご飯を炊きカキの味噌煮を作り居る処へ竹村美喜治氏来たり急ぎ今一つ煮物などしてお茶トブを上げるゆっくり話して四時半前のバスにて帰るトブ一本を上げる それより後かたづけ休みなどし五時頃より夕飯を作り食す 発信醇郎 林さん

 

一月二十一日

晴天日中暖かなり朝食を食して居る前へ岡谷の物売りじいさん来る お茶一本買ひ卵二十個売る 一個一一五〇也 足袋のつぎをなす 昨夜ネオレスタミン三つ飲みし故やむやみに眠くものうく仕事をなす気力なし 午後キントン野菜サラダを作る

 

一月二十二日

晴天 朝は相当寒かりしも日中暖かなり 朝のお茶 大根の味噌汁 □漬 大根下ろし 黒豆 野菜 サラダ 朝鮮漬 野菜煮 卵ヤキ カキの味噌煮 キントン 午前中こだつに煮物 午後一時半頃よりオニバの買い物に行き序でに糀やへ寄り一昨日美喜治氏の話したことを伝へる 映画につれていくことは困難の様子なり 恥ずかしくてだめの様子なり 写真を借りる事を頼み直ちに帰る とみ子氏風邪の様子なり

 

一月二十三日

朝起きて見しに吹雪 少し白くなり居る 其内に止む ほうきではく位なり 美喜治氏にはがきを書く出しに行く 午前は大方読物 午後家の掃除 そーきん掛けなどす暖かなりしゆえ上っ張りのつぎをなす 南信の夕方来るのもよいものなり 発信美喜治氏

 

一月二十四日

此朝零下十一度六分 随分寒かりしが日当たりよく日中は暖かなり 上っ張りのつぎの残りをなしへら付けをなし縫ひ始めしも糸終り仕方なく中止 マスクを作りぼろの整理をなし五布ふとんをほどく 婦人公論八月号を読む 電柱の整地代として会社より二十円持参す

 

一月二十五日

天気昨日ほど寒くなし 醇郎の手紙を見て直ちに返事を書き出しに行き買い物をして帰る 摂郎と醇郎へ小包を出す必要あり 氷豆腐 かんぺう 干し柿 さげ豆など出す 薯の残りとくるみ三つに分けて入れる 和郎の処は後にしてとにかく二人の処へ明日出したいと思ふ 豚肉汁にて雑煮を作る 来信醇郎 発醇郎

 

一月二十六日

うすぐもり 雪でもふりそうなり 摂郎醇郎に手紙を書き二つ小包を作り昼食後背負って出しに行く これで大いに安心せり 帰りて平常の着物のえりをかけかえ等す

夕飯は豚肉のすきやきおいしかりし 正月御馳走で残り居る物は黒豆のみとなれり

 

一月二十七日

今日も雪の降りそうで寒い風吹けども雪も降らず一日中くもり 上っ張りを午前中に仕上げ午後は雛の巣の清掃其他雑事をなす いろいろと読みものをなす 来信窪田央澄氏 礼状

 

一月二十八日

朝晴天風もなく日中は暖かならんと洗濯を始める 身のまハりの小物五布ふとん等々 正午頃より風強く午後吹雪になる 寒さ強し 始めたもの仕方なく全部終る午後三時頃それより洗ったものの手入れ等なす 後は読書に終わる ブタのスキヤキ味よし 寝る前ネオレスタミン二つ飲みしに割合眠れる 皮膚炎が工合よい程にはならず 関西へ送った小包無事着いたかと心配になる

 

一月二十九日

昨夜少し雪降りほうきではく位温かい天気なれども風寒し 昨日洗った夜具のえりをかけカバーの痛みし処をなおす 午後七□□羽織の袖口を直し手織米沢の仕立直しの為にほどく 此様に美しく母が織ってくれしと思えば感謝の涙なり 昨日の洗濯物を今日一日かかりてやっと乾く 雪かきはこの冬一度出てしのみ此様な楽な冬も少なし 上諏訪駅の宿屋はスキー客無く不景気のようなり

 

一月三十日

天気なれども寒し 米沢織りの綿入れをほどき八掛袖ウラを洗う 上二間の掃除 上便所の掃除 二十六日に出した小包の礼状延世より来る 大変喜んでよこした 農協へ行き氷豆腐を作ってくれるかと尋ねる やらないよしなり 来信延世

 

一月三十一日

天気なれども非常に寒し 朝ゆっくり新聞をよみ後ふのりを煮て米沢織りの袖ウラ八掛を張る 美しくなる 午後豆一升持て生豆腐を頼み尚氷豆腐を無理に頼みしに承知してくれて安心せり

振売りに来るのは実に貧弱で大阪方面へは上げられず困りしが特別に承知してくれてほっとしたり 事務所へ行き卵を取ってくれるかと尋ねしに今日持って来よと云ひし故直ちに家に帰り八百匁持参す