五月一日
天気寒さ強し風寒し 九時のくだりバスにてちのへ行き上諏訪バスにて上諏訪へ行く此のバスにはメーデー参加らしい人旗を持って沢山乗る 清水町にて下り三平氏宅へ寄りしも留守なり トブと卵を置いて来る 美濃屋にて染もの洗い張りものを□□□ 土産にやる昨年秋よりすてて置いて気の毒なりし羽織を頼み置く それよりいろいろ買い物をなし十二時半頃の汽車にて帰る二時頃帰宅遅い昼食をなし床に入りて休む買い物 茶器サラダ油ソースコショー紅茶皆矢ケ崎に無きもの 発三沢氏夏目氏
五月二日
味噌樽を出し中の味噌を形づけて水につける 米五升糠やへ持参 明日途届けるとの事帰りに塩四升分買ってくる 昨日の羽織を縫ふ絹糸を買って来る 東京行きの衣類を出してみる じゅばんのゑりをかけ袖をちぢめ羽織一枚仕立てれば足りる 羽織の表単衣の肩当て等洗ふ 序に肌着おこしほうたい等いろいろ洗濯をなす 明日は喜七氏来るにつきつぶし芋味噌汁を作る
五月三日
天気 ちりめん長しゅはんの袖をつめゑりを掛替へ様と始めし所へ三沢つき氏来訪 いろいろ話しお茶を入れ昼食ごま餅をつくり上げる 午後四時近きに帰らる餅と卵を上げる□じうを頂く 喜七氏に夕飯にこま餅を上げる丁度都合よし 麦三升上げるうどんを時々買う様聞きし故麦にて交換せよと上げしなり 夕方麹を配達しくる 明日はアマ酒を造り早く味噌を仕込み度し 来信百枝
五月四日
天気日中は暖かなれども朝夕寒く五月といふのにあきれる 甘酒を作りみそ樽を洗い倉を掃除して をす る長じゅばんのゑり袖をなほす羽織りを縫ふ下拵えをなす破損せし所多くつぎに時間がかかる羽織りのうらを張る単えの肩当ても
五月五日
くもり 朝より平林氏に手紙を書き出して来てから味噌を仕込む 九時に始めて十一時過ぎには終るバケツ樽臼キネ等など洗ひ昼食をなす 正勝氏方より出産祝いとして赤飯一重持ってくる 新屋のおばさま竹内氏へ行く□事に咳の薬を貰って貰う忙しい所有り難し 午後羽織りのつぎ当てをなし背を縫ひヘラ付け出来る様にする 夕方より雨しとしと降り心地よし 先日のいろいろの蒔き物に好都合なり 発平林氏 十日茅野に出ると云ふ
五月六日 くもり寒からず 羽織りのヘラ付けをなし身頃を縫ひ袖を縫ひ始めしも夕方になり止める 袖を仕上げ袖付けをなしゑりをつければ仕上がりなり 生地良ければどっしりとして立派なり 此れも母の片見なり 有りがたし 皮フ炎具合よろしからず神経を使えば具合悪き様思ハる これて東京行き困るの事無きやあんじらる 来信平林氏
五月七日
一日中小雨 昨日の羽織りの袖を作りつけゑりつけして仕上げる こてをかけたり押しをしたり午後五時頃迄かかる 中々立派になる 三沢かつへ氏夏目たづ氏
五月八日
買い物に行く午後雨になる 着物を出して揃える ヒスタミンを買ってきて飲む 二二三と飲んでみしが少しハ具合よき様なり 正勝氏妻村の木の背負い出しをしてくれる
五月九日
天気 家の中全部掃除をなす 午後お湯を使ひ髪洗いをなす 夕方ご飯をたきのり巻きを作り残りでトグを仕込む おその氏娘来たり米三升貸す 家の中とこもよこれて居り大いに美しくなり心地よし
五月十日
天気よし 今日は上京する日なり 朝三時に起き湯をわかしお茶を飲み昨日作りしすしを出し食し卵ミルクにて朝飯をすまし四時半出宅 茅野着五時半五時四十五分の上り一番にて平林さんの印の所へ乗り上京す □□空き居り工合よし 十時五十八分新宿着 迎への人々と黒崎氏方へ行く午後同窓会を開き夕方は疲れて早く休む
五月十一日
天気よし東京はさすが暖かなり 太田光子氏も来られ写真をうつす 中谷あき江氏につれられ林さんへ行く 此晩いろいろの話をし休む 尚彦氏の息可愛し
五月十二日
天気よし 午後四時頃中谷氏迎へに来られ中谷方へ行く 中谷氏より林さんへ何か心配して下さった様にて恐縮なり
五月十三日
曇り 中谷氏に送られて歌舞伎座に同行すべく河西氏に行きしに出掛けし後にて仕方なく中谷氏カフキ迄送ってくれる 中谷氏は身体の具合よろしからぬい様なり 其の中を気の毒なり 歌舞伎は中々よし大入り満員なり 少し遠くて聞こえぬ所が有り惜しかりしカンジン帳中々よし 此夜河西氏中谷氏迄送りくれ夕飯を頂いて帰れてよかったと思ふ
五月十四日
九時少し過ぎ出宅 新宿へ行く だんだん皆集まり私と平林氏折原氏(馬場氏)三沢氏娘さんの五人出宅 送りくれし人黒崎氏河西氏中谷氏汽車はすきすきにてよく話している間にちのに着く 平林氏娘さん二人ムコさん送りくれる ちのにて三沢氏二人私と三人なり 少し待って米沢行きバスにて五時頃帰宅 新やへ行きお茶夕飯を頂き帰ってコタツ無くも寒からず休む おその氏娘菓子金三百円持って来てある 来信醇郎
五月十五日
天気よし 朝少し寒い様なりし故コタツに火を入れる 苗間に行って見るよく芽が出て安心せり 衣類を少し干して倉に入れるキハツ無くゑりを拭かねばならぬもの丈残す少し洗濯をなす 夕方床に入りて休む 留守中の新聞週間朝日等出して見る ハガキを少し書く 疲れ居り 書く元気も無し 礼状をあちこち出さぬうちは何の仕事も手につかず敬老会の写真持って来てくれる
五月十六日
天気よし 封書黒崎氏中谷氏 ハカキ夏目氏河西氏福光氏林氏摂郎醇郎に書き出しに行く 事務所より栗を背負って来る 一美氏方より器物を借りてトーフを買ってくる一美氏方より草餅を貰ひ来る 午後門の草取りをなす春の□□の為に
五月十七日
天気よし 池の周りのワラを形づけ庭全部の草取りをなす美しくなる 午後床に入りて休み それより家の中の掃除上便所の掃除 エンカワのぞうきんかけなどをなし表庭のイガ 枯葉等をはきて美しくする
五月十八日
天気よし 夕方より小雨夕立 大掃除見回りの日なり 家全部明けて置く 旅行中の衣類足袋手拭い等洗ふ 序に冬肌着等と少し張物もなす 十一時過ぎし頃喜七氏来たり田ノアゼヌリの下こしらえをなす 売りに来し人よりホッケ二本買ふ
来信河西氏 林氏
五月十九日
天気よし 喜七氏アゼヌリに来る 四時に起き五時にはご飯の火を引く 六時にタンボへ出て行く九時半お茶を持って行く お昼には新やより草餅を貰い上げる 三時にはこま塩のおにぎり うどと油揚げを煮る わかめのすみそも作る 新聞の整理をなし喜七氏二〆匁持って帰って貰ふ 後一貫匁は自分で持参するつもり 昨日の洗濯物の整理をなし倉に入れる 午後床に入りて休む バスケット風呂しきを作り包み倉へ入れる
五月二十日
今日は澪子の生れし日なり 喜七氏来たりアゼヌリの残りと後はキツコハシをなす 昨夜レスタミンを飲みしに朝より眠くて苦し 前掛けを一つ仕上げ十時のお茶にさつま芋とコレー と煮て持って行く 昼食後六畳の畳を出して干して貰う 畳の下に散布する消毒薬等を買いに鬼場へ行く パンを買い来たり三時のお茶に出す 岡谷の商人よりお茶二本味出し魚を買ふ 山羊乳鶴作氏方よりビールビン一本 来信林さん雑誌 仲谷氏馬場氏
五月二十一日
天気よし 喜七氏来る朝大河原へ炭焼き薪作り置きしのを来るすると出て行く お茶前に炭と薪を背負って来る 田のキッコハシヲ終り庭の畑へ人参蒔き御社宮司の畑へサツマ芋を植える様に作る 外も一通りさくる 私は喜七氏の肥料をやった所へキウリ 中ツル モロコシなどを蒔く 来信摂郎 黒崎氏より小包 名入れの風呂しき 山羊乳
五月二十二日
今日は喜七氏来ぬにつき医者へ行く おその氏方へ牛蒡を少々上げる カボチャの種を持っていって油と替える 竹内氏方へ行き診察してもらい薬を貰ひそれより堀歯いしゃへ行く 沢山の人にて四時過ぎになるらしかりし故竹村氏方へ行き休みお茶を頂き四時半頃道を出て堀氏方へ行く なお二人ほど待って診察治療して貰ひ高田やにて買い物をなし家に帰ってうすぐらくなる
五月二十三日
こさめ 喜七氏来る筈なりしも来らず四氏に手紙を書き出しに行く 午後ささけでも蒔かんとせしに大降りになりし故少し休み後笹岡氏へ行き仲谷氏の写真を見せる いろいろ話午後六時頃帰る 発信黒崎三沢林馬場氏 来信黒崎夏目福光氏
五月二十四日
昨夜は非常なる大雨なりしも朝になってたんたん晴れて来る 午前そーきん作りいろいろの洗濯などをなし午後庭の畑の草取りさくり八房中づる小さい三ムネを蒔く八月大豆も蒔く
五月二十五日
晴天 喜七氏来る山の上の畑下の小さい二枚掘り返しをなし上の畑下の桑をこぎ掘り返しやぶを切る 御社宮司の畑へカチリもろこしを蒔いてくれる 倉の後も美しくする 私はぜんふきなど作り雑用が終る これから日アゼ豆を蒔く時なり種豆をひろひ等す
五月二十六日
晴天朝晩は少し寒けれど日中は真夏の如し 倉の後へナリッコササゲを柿の木の下へ黒ささげを蒔く 小豆青豆黒豆をひろう 倉の中の形つけをなし古い油エの多きに夕飯に油エの餅を作る 御飯よりは余分に食べられる 食べられないのは歯に原因有る様にも思ハる 来信三沢つぎ氏 発三沢氏
五月二十七日
晴天 アゼ豆植え 下の田全部中の田片側にてひろった豆終り後にする 畑に蒔く豆をひろう中々時間かかるものなり
五月二十八日
うすくもり 温度高くこたつも不用の様なり 豆小豆ひろいをして居る所え吹田から二つ小包来る 午前は種豆種小豆ひろい午後一休みしてからアセ豆植えに行く 全部終り帰り四時頃なりしか三沢つき氏来り話し夕飯を上げて城下迄送る アゼ豆下二枚及上の□る所丈春豆上の田外全部ワセ豆を蒔く 来小包二つ チンク油マスイの薬咳薬 発醇郎へ
五月二十九日
小雨日中は晴れしも夕方よりかなり降る 種豆種小豆ひろひ苗間の消毒用こやし樽 を田へ持ち行き洗ふ 午後ゆっくり休み夕方より鬼場へ買い物に行く
五月三十日
天気よし 苗間のしょうどく正午頃までかかる 疲れし故午後休み夕方より煮豆サラダ等作る
五月三十一日
天気よし 喜七氏豆蒔きに来てくれる 山の上の畑に上下私も行き豆まきにワラ掛けをなし昼に帰り午後雨降りしも大した事無く喜七氏大河原へ行きワラを皆負い行き薪を皆負って来る 夕方迄□□□仕事が出来る 夜は雨の音かなり聞こゆ 鶴作方へ山羊乳の代を払に行く 来月より一ビン十五円と云う 云はなければ心配をかけるからとの事なり 来信醇郎