十月一日

一日中小雨降ったり止んだり シャガ芋餅米等倉に形つげる 醇郎摂郎に手紙ハカキを書き持って出しに行き其の時勝蔵氏の受取りを区長林□氏に渡す 青豆取りに行き田を見て来る実に悪し風呂を汲み込む ノタ餅を作る エンガハお勝手の板の間と掃除しそうきんをかける五日に大掃除故障子張りとやり度いが洗って乾かず止める

 

十月二日

天気よさそうなりし故倉の樽等乾かし米の始末をせんとすふとんも干す正午頃雨降り来り仕方なしに皆よせる 午前にちょっと休み午後時間長く休む明日病院へ行く日故衣類を出したり用意をなす 午前に腹帯を仕上げる洗った袷をつぎのりつけの出来る様にする

 

十月三日

朝より支度して病院へ行く バスにのり後れし故用足しをなしつつ行く 十一時頃着く患者多し注射と薬を貰ひ来る帰途買物をなし竹村方へ寄り痰三回目を頼む検査料  上げる オニバ迄バスに乗り下駄を取りフスマを買ひ来る米沢学校の運動会に招かれたりしも行かれず

 

十月四日

天気よし 五日大掃除故朝より草取り掃除等をなす 勝手の障子を洗ひしも乾かず張れず此朝より非常に寒くなりコダツをかける 来信小松綾子

 

十月五日

晴天 大掃除に適当のよき日なり 座敷を皆開け放し掃除をなす 十時頃見まわりの人来る札をくれる それより鶏の巣の掃除をなし雑用をなし疲れる 流本の障子を張る 凶作見まわりに来るよし 木の立て札を作りて立てに行く 伊藤一美氏方へ竹村氏方家の事で頼みに行く 事務で便箋フートー等買ふ

 

十月六日

天気よし 袷ののりつけ セルのエリふき しゆばん四枚おこし等洗ふ 一休みして昼食をすまして病院へ行く診察せず注射のみ 竹村氏方へ寄り家の借り人の事等頼む 四時四十分茅野発のバスにてオニバ迄乗り魚リンゴ等買ひ帰宅す

 

十月七日

くもり時々日もさす 昨日の洗ったものを又一度日に当てたたんで形つける 袷は掛ゑりをかけたたみつけ着られるようにする 単衣物一枚洗濯す 庭のささげの枯れたのを取る 来信醇郎よりレントゲン写真

 

十月八日

天気よし 植木屋来り生垣を刈る 袷じゅばんの手入袖付け等して仕上げる

 

十月九日

朝雨降らさりし故喜七氏来りしも朝飯を食する頃より雨降りノキ場にて木割り等す 裏の栗の木を切って形つける  喜七氏十時に帰る植木屋は来らずそれより午前も午後もよく休む 百枝醇郎に手紙を書かうとせしが何やら疲れ居り書かず村長に戸籍謄本を頼む夕飯後小雨の聞こゆ 来信百枝醇郎

 

十月十日

天気よし 午前中雑用をなし少し床に入りて休み午後より病院へ行く バスには早くきし故歩く 竹村氏方へシソノ実を持参す 血沈写真を取る痰の検査何も無かりし由

 

十月十一日

天気 喜七氏 植木や来る カチクモロコシを取る 山の上ノ小豆を取る

 

十月十二日

午後くもり今日も降りそうなり 山の上の畑へ麦を蒔く三時過ぎ大河原へ小豆を取りに行く 山の上の小豆を全部取る 矢ケ崎の局へ行き受取り戸籍謄本其の他書類を出す帰りに買物をして帰る

 

十月十三日

天気よし 喜七氏□木の始末をすると云って来る薪沢山出来たり村の分山の相談をする 明日伍長は朝より他の人は早昼で出る事にきめる

 

十月十四日

喜七氏伍長代理として出て貰ふ出る前に庭のささげの手を出し取る 夕方帰りて御社宮司の麦を蒔くところをさくる 朝サカン氏方へ行き麦種一升売って貰ふ 百円置いて来る それから病院へ行く注射とパス薬をくれる帰りにもバスに乗れず歩いて帰り疲れる 床に入りてよく休む

 

十月十五日

天気よし 今日は雇人来ず気易し 朝より醇郎に手紙を書き出しに行って半日終る午後秋の日ざし暖かく美し 御社宮司に麦を蒔く先に肥料をやり土をかけて蒔く それよりさつま芋を掘り二度に運ぶ 御社宮司へさかん氏より手に入れし種麦一升蒔く

 

十月十六日

痰に少し色つく 昨日少し労働せし故かと思ふ床に入りてよく休む

 

十月十七日

天気よし 朝より支度して病院へ行く大変の患者なり 痰の話を院長にせしにそれを持ってくればよかったと云はれた 検査するのでせう 気がつかなかった帰りにはバス無く歩いて帰る午後二時過ぎ念仏講に行く おひでさんわざわざ迎えに来しよし行かなくてはすまないと思ひ行く 三人許行かざりしのみなりき

 

十月十八日

天気よし 午後に休み一時間程ささげの手を取り十一時頃より野菜サラダを造る午後ゆっくり休み三時頃までそれからモロコシをつつって居りしに三沢つぎ氏来る ワカサギとまん十を頂く お茶を上げ白米粟を上げる五時半頃の下りで帰る

 

十月十九日

天気よし 農家組合の集会朝五時半より有る 動力機の事なり此朝□痰に少し色づく 昨日はそんなに労働はせざりしが来客等の為か 昨日ハささぎの手を少し取る 午前も午後もよく休む 新やへ麦種を返す 松雄氏に百円上げる ブロバリン 六つよく眠れる 発和郎 綾子

 

十月二十日

晴天 病院へ行くつもりなりしが此村両社参りにつきバスこむかと思ひ明日にする モロコシ一俵を作りつるす午前和郎の所へ手紙を書き出しに行くフロバリン六つ飲むよく眠れる 来信河西てる子氏

 

十月二十一日

晴天 昨夜ブロバリンを飲みし故眠く休む正午村のまハしものを持ちまハって見せる 午後オニバよりバスにて病院へ行き注射丈 三時のバスに間に合ひ帰る 帰って一休みする

 

十月二十二日

天気よく皆収穫を始め工合よし 四羽の鶏の巣を掃除する 骨が折れる 一羽弱って居る様なり 巣が汚れし為か午後四羽を外に出してやる 夕方喜七氏方へ行き秋収穫に頼み度きか都合を聞く

 

十月二十三日

朝くもり後天気よくなる 朝五時半頃喜七氏寄り四日位都合つかぬ故他の人を頼む様云ふ 午前に組の税金を帳簿に上げ午後休みもろこしを少しつるしごまも少し形つけ等す 夕方税金の紙を配る 笹岡氏方にてさかん氏に逢ひ夫婦と池上氏でやってくれる事になる

 

十月二十四日

天気よく暖かなり 午前少し休み後雑事をなし支度して午後一時家を出て病院へ行く 此朝摂郎より非常に喜ぶべき通知に早速手紙を書き茅野駅に出す イツモノ注射と力のつく注射をなす 身体だるく食欲無き事を云ひ薬に加減してくれる 帰りに竹村氏方へ寄りお茶を頂き五時前のバスにて帰る

 

十月二十五日

天気よし 午前まハしものを持ち行き帰りに田へ寄り小豆を取り来る午後休み洗濯等なし菜を洗って漬ける秋の用意なり

 

十月二十六日

朝曇り居り心配になりしが後晴れて安心せり カチクモロコシをむき稈をさがし工合よくつるすまだ少し残り有り明日より秋を始めるとサカン氏及妻君云ってきてくれる

十月二十七日

晴天 秋収穫をさかん氏妻君と二人でやってくれる ヒル前お茶菓子ひじき煮つけ昼食煮オコハ魚漬物午後お茶パン漬物夕飯魚煮豆切イカ漬物午後三時のお茶前にオニバへ買物に行き急ぎ帰りてお茶を上げるパン菓子魚ツクダニチクワ等など 来信仲居あき江氏

 

十月二十八日

昨夕の様子では天気よし此日と翌日今一日で終る筈なりしも朝雨 サカン氏田を形つけてくれる 午前よく休み十二時まで上座敷に休む昨日の疲れ有る様なり午後醇郎河西氏仲谷氏に手紙を書く 仲谷氏より小包 来信醇郎より手紙 マスイ薬

 

十月二十九日

天気よくなる 午前中に醇郎輝夫氏磯崎氏に手紙書正午頃よりオニバへ行き出す帰りに少し買物をなす 心に掛り居りし手紙出して安心せり鶏の巣の金あみ破れし処を直すモロコシの残り全部つる発醇郎中谷氏輝夫氏河西氏磯崎氏磯崎氏ハガキ 一戸抜けの廻送

 

十月三十日

天気よし さかん氏夫婦池上氏親子新やの松雄氏の五人来て刈ったりこいたりしてくれる 十時ふかし芋 カリント 漬物 昼食 粟入り五目飯 豆 ヒジキ 漬物等 三時 パン カボチャ 夕飯 魚 イカ カボチャ等など 夕飯後下の方丈税金を集める

 

十月三十一日

今日は終ると思い居りしに夜始け頃パラパラ音して驚く さかん氏池上氏形づけに来てくれる 上の方の税金を集め八時半頃出て事務所へ行く 間違ひなく直ちに形つく 午前中いろいろの雑用をなし午後オニバよりバスにて病院へ行く 帰りに竹村氏方へ寄り四時四十分のバスにて帰る 夕方魚の開きフトーを持って鶴作氏方へ行く キノコを貰って帰る 四百円置いて来る