十一月一日

くもり 九時頃より雨降る さかん氏夫婦池上氏母娘来て始めた処雨にて何ともやり様なく十時頃止めお茶を飲んで帰らる さつま芋漬物カボチャ後形つけ昼食後床に入り四時頃まで休む

 

十一月二日

一日曇り寒くなる 秋には工合悪しき故雇人来てくれない仙台へゆっくり手紙書く河西てう氏に御子息のお帰りのお喜びのはかきを書き出しに行き一美氏方へ寄り竹村より頼まれし事を云ひお茶を頂き帰りて昼食少しこたつに眠る 三沢氏に手紙を書き始めしが仕上らず 前掛けを作る 夕方オニバの人着物取りに来る一美氏妻手袋を修繕してくれる美しくなる 発中村吉治百枝氏河西てう氏

 

十一月三日

朝くもり後晴天となる さかん氏夫妻池上氏の三人来り稲こきをなす天気よき故さかん氏に頼みネコ八枚出してもみを干してくれる昼食後さかん氏夫妻来客為帰る全部こき終りわらも入用丈工作しはしか等焼いてくれる 之れてすっかり終り大安心せり 文化の日なれども忙しくそんな気分もなし

 

十一月四日

晴天 昨日の疲れも有り雑用をなす六帖間を徹底的な形つけ掃除をなす昼食おそくなりすまして中央病院へ歩いて行く矢ケ崎で電球二つ求める 病院は注射丈帰りに竹村氏方へ寄り美喜治氏私の痰の培養の結果を聞きしが未□□一美氏より頼まれし事を伝へる三沢つき氏にはがきを書き出す 発三沢つき氏

 

十一月五日

晴天 池上氏豆取り小豆こなしに来る 庭のささぎを取り小豆をねこに干し大河原へ豆取りに行って来る 少しよりなし 午後山の上へ行く日じく少し小豆をたたき夕方私と田のアゼ豆取りに行く オニバの人礼に来る 堀はいしゃの母寄って庭で少し話して帰る

 

十一月六日

朝起きし処組へ配るものまハすもの口で云ふものの三つ来る 朝飯前にまハる 午前はよく休む昼後小路こなしの終りをなし形つける 此日夕方上の組ほつさら仕末俊行氏前の田にてやり居ると知らせられしが此組一人故や馬手松雄氏庭でたたいてくれる事にする 来信仲谷あき氏

 

十一月七日

晴天 朝早く松雄氏夫婦来てほつさらを干してくれる昼食後病院へ行き竹村氏方へ寄り四時四十分のバスにて帰る帰りて御飯をわかさぎを煮て夕飯をなす 松雄氏夫婦ホツサラをよくこなしくれて有る 発仲谷あき江氏

 

十一月八日

晴天 病院へ行きし翌日は疲れ有り朝飯後休みねこをひろげて干すいろいろのささげの始末を少しなす 百枝何もかもすてて関西へ行けとしきりに云って来た 成るべく早く行く事にし度いが一通り形つけての上ならでは出来ず十一月の内にはむづかしそうなり 来信百枝 河西氏

 

十一月九日

晴天 毎日朝食の後いやに疲労せし感じなり 休み後洗濯をなし午後オニバへ買物及麹やへワラを頼みに寄る 中へ入らず オニバの床屋へ寄りゆっくり話して□□品物にせず其まま□置いて来る

 

十一月十日

曇り寒さつよく雪を思ハせる こだつにさヽけをこき大根をこぎ庭の形つけを少しなす 未だ豆有ればねこも形つかず困る此日一美氏方へ行くつもりなりしが余り寒き故外出を見合わせこたつに居る

 

十一月十一日

朝起きしに一面銀世界にてどしどし降って居る事に驚く 冬中茲に居れば雪かきと云ふ一仕事あり早く関西へ行かうと思ふ 午前醇郎に手紙を書く まハしもの四枚板に張ってまハす 午後松雄氏柿取りに来てくれる 自分の平常の帯を作ろうとつもり等す 茶白縞の入りし母よりの帯もほどく破れし故

 

十一月十二日

晴天寒さつよし 午前中休み醇郎へ出す手紙を出しに行く午後仲谷さんに頼まれし事にりう沢さん方へ行きゆっくり話したり頼んだりして夕方帰る田村俊幸氏方より白菜を買ひ□って持って来てくれる

 

十一月十三日

くもり寒さつよし 昨日の朝よりは幾分暖かなり 仲谷氏より女中出来よしはがき有り返事を書く 午後りう沢氏方へ行きしも留守帰りに一美氏方へ寄り手袋のお礼をなしお茶を頂きりう沢氏に伝言を頼み帰る 家の庭の下敷を形つけ豆小豆もひろひ美しくする 来信仲谷あき江氏 発仲谷氏

 

十一月十四日

晴天日当たりよく割合暖かなり 朝鮮漬の白菜を塩漬になし午後洗濯をなし昼食を急ぎオニバより一時半のバスにて病院へ行く院長居りしが外の医者診察し薬等心もとなし帰りに竹村氏方へ寄り暖まりお茶を頂き帰る五時前のバスにて帰途はとても寒くなり咳余分に出る 来信平林氏

 

十一月十五日

晴天咳多く苦し 新やの松雄氏豆打ちをしてくれる終りに小豆もあおってくれ下敷迄形づけてくれて大ひま□きなり 平林氏にはかきを書き有れとも余り風寒く咳も多く出しに行かれず

 

十一月十六日

朝よりくもり十時頃より雨になる 昨日豆の始末等終って助かったこほれ豆ひろひひろいし豆の分類等なす 明日は念仏講の当番故今日カボチャを煮て置く 来信醇郎 発平林氏

 

十一月十七日

朝は晴しも後小雨 念仏講へ持参する為にさつま芋にて天ぷらを作り昨日のカボチャと二重背負って行く一人欠員も無く出る 心臓が弱りしや体がへとへとになり何も出来ず 発百枝

 

十一月十八日

くもり寒し雪を思わせる様なり 昨日の疲れ少し有り休む醇郎摂郎二人に手紙はかきを書き午前中に出しに行く午後庭の小豆ひろいなどなす 漬葉も少しぬく

 

十一月十九日

朝天気よく暖かなり 午後寒くなる 午前に洗濯をなす 午後オニバへ買物 女中の事等の用を足しなかなか寒し 高田やにて白菜の値を聞き今は下がって二十五円位なれども一週間ほど前ならば三十五円位ならんと云ふ 五〆なれども一〆四十円として二百円上げて来る

 

十一月二十日

朝くもり午後晴れる 寒さつよし 午前布さがしじゅはんの袖を作る午後大根をぬきむろの中を美しくして大根を入れる 表庭の大根おそく蒔きしもかなり大きくなり煮て食べることにあく無しよろしそうなり

 

十一月二十一日

今朝はじめて流しの水かめの水凍り居り非常に寒し 天気よく風無く外は割合に暖かなり 寒き故こたつにのみしがみつき居り度い気持ちなれども今は院長の来る日なれば勇気を出して十一時ちょっと前に家を出て行く オニバにて適当のバス無く遂に病院迄歩く 院長にいろいろ云って診て貰ふ 帰りに竹村氏に庭迄寄り二時北山行きにてオニバ迄来り麹やに寄りワラノ事を頼み パンミルク等買ひ来り三時頃おそいお昼をすまし床に入りて休む 力のつく注射もなす

 

十一月二十二日

朝ハよく晴れ日もさし上天気と思いしが午後くもり寒くなり雨も降る 午前洗濯をなす いろいろの雑用をなし鶏の巣二つ掃除す昨日の注射の為にや朝より疲れず身体が今までのようなしっかりとして色々やりたくなる 池上氏カマス二つ糯一つモミスリニ持って行く シイナのかますも倉に入れたりささげをむいたり色々なす米撰機下の多き事に驚く

 

十一月二十三日

晴天 風も無く割合暖かなり 午前柿の皮をむきつるす 午後ごまこなしをなす 池上氏精米を持って来てくれる いろいろ出来る丈倉へ入れるなべ漬物棒も洗う 不要の器具等倉へ入れる 家の中お勝手掃除ソーキンかけ等す 午後五時迄働き通しなり

 

十一月二十四日

天気よく風も無く暖かなり 午前漬け菜小さい大根葉共白菜の若いのを洗ふ 川の水も余りつめたからず出来る 昼食をすまし寺へ念仏講に行く 寺にて一時咳が出て苦しかりし かぼちゃをふとん綿に包み等す 今年の新米を始めて頂いて見る ぼろぼろとねばり気少しも無く食べられず ひどい米なり

 

十一月二十五日

晴天暖かなり 漬け菜小大根白菜等を漬ける 午後新やのおばさま朝鮮漬の手伝ひにきてくれるよし 煮物等をして用意をなす 午後おそく来てくれる 夕方前に終りお茶を上げる 仕事大形つきにてほっとしたり 新米の飯にさつま芋を入れてかゆにせしに少しは食べられる 来信摂郎

 

十一月二十六日

くもり寒し 組の税金を帳簿に上げ一戸一戸の納税の紙をまとめ配る丈になす 昨日少し働き過ぎしにや疲れし様故何もせずにこたつに居る 九月分医療費の多きに驚く仕方なし 納税の紙を配る 忠□魂記念の手拭ひを配る

 

十一月二十七日

くもり 午前は少しは日もさししが午後は寒くなる 摂郎と抗酸苗研究所へ手紙を書き十二時前に出しに行く 午後は干葉を取り白菜も少し取る 色々の雑事をなし夕方事務所へ買物に行く障子紙切手ハガキ等 発摂郎

 

十一月二十八日

晴れ寒さつよし 朝いろいろ不燃物をやきそれから日がさし暖かくなりし故障子張りをなす 午前二本午後二本張るハすぐ出来るが掃除が時間かかる

明日喜七氏来る故買物等をなす 今日は病院へ行く日なれども薬もまだ有る故休む診察しても変りも無き故

 

十一月二十九日

晴天寒さつよし 喜七氏来るにつき五時に起き朝飯の用意をなす 六時半頃来る こだつてお茶朝飯を上げる 仕事にかかるのが七時半頃なり 長芋人参牛蒡を掘り倉の上のけやきの枝を下ろし倉のトユを掃除し雪よけものせてくれる 牛蒡少し残る 之れは都合で来年でもよろしと云ひし□なり 夕飯前に税金集めをなす 二三戸留守明日朝にする

 

十一月三十日

晴れ寒さつよし 今日は税金を持って行く日故早く朝飯にする 与平氏勝三氏俊幸氏持って来てくれて大助かり よく計算して九時頃持って行く 十時頃帰り昨日喜七氏掘りくれし長芋牛蒡人参を干し午後葉を切りたはねて台に入れる 之れで全部形つき安心せり 正午頃サカン氏池上氏に秋のお払いに行くサカン氏方  人半千五百円  池上氏   千円