○十二月一日 (日) 晴 寒
午前十時、共同書籍。カントの“永遠の平和”についての読書相談。午後四時半終了。
夜、花岡さんの所へ行く。教育委員会の件。
発信 串田孫一、東北大学新聞社.
○十二月二日 (月) 曇後雨 寒
今日から試験。立番二つ。余の理科三年人文の試験あり。
午後からずっと家にゐる。珍しく解放された。少しひるね。“矛盾と分身”完了。46枚也。今迄では一番の傑作である。
“柳田謙十郎氏の所説について”を書く。7枚也。
“矛盾と分身”は今迄で一番苦勞したものである。よみ直してみてもやはり秀れてゐると思ふ。
発信 見田石介.
受信 関成一、関崎恭一.
○十二月三日 (火) 曇後晴 暖
午前、文三、哲学の試験。米沢の佐藤氏來る。
十時半―十二時半、教育会館。教育委員会。
午後二時、青年師範。高専教員組合準備会。五時すぎ終了。
昨日書いた二つの原稿発送。
夜、雑用。原稿が一段落ついたので一休みの形。
受信 文明社.
○十二月四日 (水) 曇小雨 寒
午前、学校。十時から組合委員会。
午後零時半―一時半、婦人文化学院、中世の話。文聯、共同書籍による。
夜は又雑用。手紙など書く。
発信 桑木嚴翼、婦人文化学院、岡崎恭一、関成一、社教.
受信 桑木嚴翼、社教、文聯.
○十二月五日 (木) 晴 暖
午前、論理の試験。十時、教育会館。教員組合協議会。教育会館で畫食。
午後一時、師範。高専校教員組合準備会。五時終了。
○十二月六日 (金) みぞれ 寒
午前、学校。臨時總会用意など。
午後一時から一大で臨時總会。明後日の大会の件等。三時半終了。
“学生評論”の原稿料が來る。
夜、福永がくる。
発信 学生評論編輯部.
受信 学生評論編輯部、甘粕石介.
○十二月七日 (土) 小雨 寒
昨夜雪がふる。初雪である。
午前、学校。安田銀行へよる。十一時、教育会館へ行く。教育委員会。午後二時終了。文聯、旭座へよる。
午後六時、勤勞署へ行く。今日から勞働組合講座を開く。開講に当って挨拶をする。
受信 布川角左衛門.
○十二月八日 (日) 曇 寒
午前九時から山形縣高専校教職員組合結成大会。午前中は結成大会。組合長、小松、副組合長、日野、雨宮。
午後、第一回大会。二時半終了。二時半―四時半、中央委員会。
高専校教官は封建的也。国教におとる。
夜、社研の連中がくる。忙しいことである。
発信 母.
○十二月九日 (月) 雪 寒
一年、社会主義の話。文二、寒いので止めにする。
午後二時半―四時、教授会。じゃがいも五貫匁家へ持ってかえる。
夜、原清治がくる。
発信 キネマ旬報発行所、世界評論社.
受信 自由懇話会.
○十二月十日 (火) 雪 寒
午前、学校。十時―十一時、婦人文化学院。縣廰へ行く。教育課長怪我をした由。文聯で畫食。
午後一時―三時半、縣連合会の打合せ。中教は脱落。闘爭本部へよって声明書を手交する。共同書籍へよる。
急の大雪で汽車大遅延。
漸くにして答案調査に着手。
○十二月十一日 (水) 曇 寒
午前、東絛外一人來る。後、答案をみる。
午後、学校。級長会に出る。後、雑用。街へ行く。公同書籍へよる。
今日は久し振りで少し息をついた形である。
文二(論理)の答案調査終了。
受信 母.
○十二月十二日 (木) 晴 寒
午前、学校。十時、師範へ行く。東北協議会準備会。
午後一時、雨宮氏とともに商業へ行く。会場変更のため女子商業へ行く。中教へ申し入れを行ふ。
二時半、学校へかへる。教授会。後、組合の委員会。五時すぎ終了。
12月分俸給が出る。
入浴。
夜、雑用。忙しいことである。
中等教員は恐るべき封建的である。
発信 母、青山書院.
受信 青山書院、細谷良夫.
○十二月十三日 (金) 雪 寒
午前九時、学校。十時から東北大学高専連絡会を開く。十二時半終了。
今明日余の授業は休みとする。学校は明日で終り。明年は一月十三日から開始。
母へ300円也を送る。
答案調査。文三が終り、理三にうつる。
発信 あかつき印刷創立事務所、自由懇話会.
○十二月十四日 (土) 雪 寒
午前、学校。雑用で忙し。柿崎氏來る。
陽子、学校で靴をぬすまれる。
午後からずっと家にゐる。答案をみる。
夜、佳山外二人がくる。
受信 桑木嚴翼、見田石介.
○十二月十五日 (日) 曇 寒
午前、答案をみて了ふ。
午後一時、兩銀南市支店へ行く。松田仁松のグループに唯物弁証法の話をする。四時終了。公同書籍へよる。“哲学評論”(12月号)を貰ふ。拙稿あり。
“ふすま”の原稿“アカデミズムとジャーナリズム”を一気に書く。八枚也。忙しいことである。
発信 見田石介、教員適格審査委員会.
○十二月十六日 (月) 雪後曇 寒
午前、学校。点数表提出。
午後一時、婦人文化学院。高校生との座談会。高校生甚だ低調也。四時終了。文聯へよる。
午後六時―八時、勞働組合講座。唯物弁証法の話をする。
遠藤で“学生評論”(第二号)を求める。拙稿あり。
○十二月十七日 (火) 雪 寒
午前、学校。十時―十一時、婦人文化学院。デモクラシーの話。十一時、教育会館。教員適格審査。村山氏の問題発生。四時すぎ終了。
連合会準備会は急に変って午前中に終了。
民友社から“哲学評論”着。
○十二月十八日 (水) 雪 寒
午前、学校。九時、師範。縣教連の結成大会。十一時半終了。師範で畫食。
午後一時、ニッセイ。民科の打合せ。四時終了。共同書籍へよる。
夜、和郎が來る。
受信 母、須田宗興.
桑木先生十五日死去。
○十二月十九日 (木) 雪 寒
午前、学校。雑用。
午後一時―四時、縣教柿崎氏外二人を招いて座談会。
大地書房の原稿“個人主義”を書き始める。
発信 教育課長.
○十二月二十日 (金) 晴 寒
午前、家にゐて雑用。延世、外出。
午後、学校。組合の件等。散髪。文聯へよる。
“東北学生新聞”着。拙稿あり。
本日附で社教理事辞表を出す。
延世もだめな人間である。気力がない。
原稿つづき、Stirner。
発信 社教、桑木嚴翼.
○十二月二十一日 (土) 晴 寒
午前、学校。雑用。
午後二時から教授会。二時半から組合の忘年会。71名出席。六時、家へかへる。
原稿つづき、Kierkegaard。
受信 東北学生新聞.
○十二月二十二日 (日) 晴 寒
午前十時、教育会館。縣教連の常任委員会。午後二時終了。公共書籍へよる。石井氏に会う。
夜、朝日新聞の小池がくる。
原稿、つづき。
○十二月二十三日 (月) 雪 寒
午前八時半、教育会館。九時、柿崎、梛野、安藤氏とともに縣廰へ行く。要人皆不在。一人先にかへる。
午前十時、委員会。
午後一時、臨時總会。四時終了。
夜、原稿、ニーチェ。
発信 須田宗興、文聯.
受信 須田宗興、母、文聯、日野照彦.
○十二月二十四日 (火) 曇 寒
午前、学校。十時半から教員組合の要求について学校と談合。要求大体通る。
午後、傭人待遇についての委員会。之亦会計課長にかけ合う。
塩からとさつまあげ配給。
原稿、つづき。ニーチェ。
○十二月二十五日 (水) 雪 寒
今迄で一番寒い。本格的な粉雪がふる。
午前、原稿。
午後、同じく、つづき。ドストエフスキイ。
夕方、公共同籍へ行く。
夜、花岡さんの所へ行く。原稿、つづき。
受信 石井正.
○十二月二十六日 (木) 曇 寒
午前、学校。十時半、教育会館。適審。
午後一時、学校へかへる。高専組合中央委員会。四時、終了。後、越年資金の相談。16,000円をだすことにきまる。
五時半、千喜良課長宅へ行く。適審の慰勞会。七時解散。
家へかへって原稿つづき。
○十二月二十七日 (金) 雨 寒
午前、学校。十時、教育会館。適格審査。三月末迄存置ときまる。知事挨拶に來る。午後二時半終了。
学校へかへる。越年資金500円支給。
“近代思想講座”の原稿“個人主義”完成。50枚也。今迄で一番長い。
受信 大学編輯部、あかつき印刷所.
発信 大学編輯部.
○十二月二十八日 (土) 曇 寒
午前九時、学校。御用納め。
午後、文聯へよる。遠藤で四ヶ月分の本代を拂う。共同書籍へよる。社研の会。
午後五時半、川岸の所へ行く。
“個人主義”を大地書房へ送る。
“図書展望”(第二号)出來。
○十二月二十九日 (日) 曇 寒
午前、久し振りでうとうとすごす。
午後、立花がくる。学生は呑気である。
夕方、公共書籍へ行く。種々の打合せ。
発信 松村一人、山田持仁、世代編輯部.
受信 世界評論社、自由懇話会.
○十二月三十日 (月) 雪 寒
午前、もちつき等。
午後、外出。深町さん、教員組合、公共同籍へよる。
夜、“ふすま”編輯部員二人來る。“ふすま”第五号出來。
疲れが出た感じである。
受信 桑木誠子.
○十二月三十一日 (火) 小雨 暖
午前、家にいる。“実存哲学批判”を書き始める。
午後、霞城館で“南部の人”をみる。