○七月一日 (火)    晴後雨 冷
午前、学校。文三偶因論。これで今学期わ終り。來学期わ“第四節、神秘的理性論”から。
午後、二時半から大学昇格委員会。学校において。四時、至誠堂。四時半―六時、看護婦達に話おする。
発信 文甲級会.
受信 赤沼貢.

○七月二日 (水)    晴 暑
午前、学校にいる。
午後零時半―一時半、社会思想史。ヘーゲルの生涯と著作。思想わ來学期。二時半から教授会。後、組合臨時總会。五時半終了。黒沼、田中のセンチメンタリズムわ困りものである。
入浴。

○七月三日 (木)    晴 暑
午前、学校。文二、ゼノン。來学期わエムペドクレスから。
午後、二時半山新え行く。三時半から岩淵辰雄氏の座談会。つまらないので途中から去る。共同書籍えよる。
学校の授業わ今週限り。來学期は九月一日から。余の授業わ今日限り。土曜(5日)わ休みにする。
ピースが二三日前から一時になくなった。
山高の封建性わ不愉快である。
蚊が出て來た。蚊取線香お使う。
受信 常木実.

○六月四日 (金)    晴後小雨 暑
午前、家にいる。
午後、旭座で“鶴八鶴次郎”おみる。中々面白い。
“社会科学”(第七号)着。拙稿掲載。去年の8月に書いたものである。
“哲学の学び方と考え方(二)”お書き始める。
高橋庄治著“人民の哲学”(上)読了。

○七月五日 (土)    曇小雨 暑
午前、家にいる。塩川がくる。封建頭。
午後、学校。テニスの練習お少しみる。街え行って散髪。
原稿、つずき。
発信 社会科学編輯部、民友社、常木実.
受信 民友社.

○七月六日 (日)    晴 暑
午前、写眞屋が來て、家中で写眞おとる。原稿、つずき。
午後一時半、市会議事所え行く。片山内閣激励民主団体協議会。五時、途中から去る。
“教育と社会”の原稿“哲学の学び方と考え方(二)”(三、四)完了。21枚。ヘーゲル迄。ヘーゲル以後及び辯証法的唯物論わ次号。
発信 須藤克三.
受信 母.

○七月七日 (月)    曇後雨 暑
午前十時―十一時、婦人文化学院。ピタゴラス。これで今学期わ終り。來学期わ“第二章、希臘哲学の改造”から。学校えかえる。
午後からずっと家にいる。ひるね、それから原稿。“ヒューマニズムについて”(“哲学評論”)お書く。一日で12枚書く。レコード也。
発信 健民編集部.
受信 松村一人.

○七月八日 (火)    晴 暑
午前十時、師範え行く。大学設立打合せ。午後一時半終了。学校えかえる。テニスの練習おみる。
夜、原稿少し。鈴木氏、大場氏來る。
“教育と社会”の原稿お送る。

○七月九日 (水)    晴 暑
午前、原稿。十一時、学校え行く。モギ国会の相談。
午後、学校。街で買物など。
武市氏より“ヘーゲル論理学の世界(上巻)”の寄贈あり。
“哲学評論”の原稿“ヒューマニズム論について”完了。22枚也。
入浴。
夜、大雷雨。
発信 山田坂仁.
受信 山田坂仁.

○七月十日 (木)    雨後曇 暑
午前、用意。十一時、学校え行く。概算旅費千円お受取る。
“哲学評論”の原稿お送る。
午後、又学校。雑用おすます。街え行って買物などする。須田え電報お打つ。
明日北海道え出発。用意おする。
発信 武市健人.

○七月十一日 (金)    晴 暑
午前六時、起床。七時家お出て、駅え。七時五十六分山形発。青森行。こんでいた汽車も段々すいてくる。午後七時五十分青森着。連絡船にのる。八時青森発。

○七月十二日 (土)    晴 暖
午前三時函館着。駅で待つ。街お少し歩く。午前九時九分函館発。この汽車わ随分こむ。北海道わ風物異る。午後七時札幌着。歩いてケイテキ寮え行って泊る。吉峰さん外蹴球部、庭球部合せて二十数名。

○七月十三日 (日)    晴 暑
午前、庭球部の練習おみる。
午後、ひるね。街え行く。
夕食、晩サン会。入浴。
今日から教官わ別室え泊る。

○七月十四日 (月)    晴 暑
午前十時から中央講堂で開会式。十一時から予科食堂で交歡会。
午後、街え鈴木等とともに行く。買物などする。
夜、先輩十名程來る。
低温科学え行き青木教授に会う。

○七月十五日 (火)    晴 暑
今迄で最もあつい。午前九時から中央コートで開会式。十時から山高對北大予科の試合。5對0で負け。午後三時終了。蹴球おみる。山高對北大予科わ1對0で山高の勝ち。寮えかえって夕食、入浴。
午後、鈴木と一緒に富沢隆の家え行く。泊る。

○七月十六日 (水)    晴後曇 暑
富沢の家お出て街え行く。三越、丸善等おみる。正午、大学えかえる。北大新聞お訪う。
午後一時、須田氏の所え行く。浦谷、中野、富永が集る。三時半、去る。蹴球おみる。2對0で山高が二高にまける。庭球にかえり、二高と予科の試合おみる。予科が勝つ。五時半から中央食堂で庭球部のコンパあり。

○七月十七日 (木)    晴 暑
午前、街え行く。買物など。
蹴球部わ今朝出発。
午後からずっと寮にいて休養。ひるね。

○七月十八日 (金)    晴 暑
午前、七時二分札幌発。午後四時五十分函館着。街お散歩する。余り良い所でない。からふと丸に乘る。午後八時二十五分函館発。

○七月十九日 (土)    晴 暑
午前二時二十五分青森着。駅で夜明けお待つ。青森の街お歩く。復興していない。午前九時青森発。午後八時五分山形着。漸く家にかえる。
郵便物沢山來ている。

○七月二十日 (日)    晴 暑
朝、鈴木氏來る。一緒に瀧山小学校え行く。青年部で話おする。午食後家えかえる。
午後、街え行く。共同書籍えよる。
夜、花岡さんお訪う。
発信 大東出版社.
受信 週刊教育新聞社.

○七月二十一日 (月)    晴 暑
午前、学校え行く。
午後、街え行く。産別えよる。山新えよって土屋氏に会う。
用事が山積していて何処から手おつけたらいいか分らない程である。
発信 仙台振替貯金課、高橋庄治(新聞)、兼子成一、村山俊太郎、佐藤良彦、須田宗興.
受信 兼子成一、須田宗興、小林宗重.

○七月二十二日 (火)    雨 暑
一日中家にいて、たまっていた新聞雑誌およんで暮す。
夕食後子供達おつれて一寸外出しただけ。
これで不在中の用事わ一応片ずいた形である。これから原稿にかヽる。
発信 小林宗重.
受信 世代編集部.

○七月二十三日 (水)    曇小雨 暑
午前、学校。閑散なり。
午後、街え行く。
“偶像説と封建性”お書き始める。
上の山学生会の学生來る。文化講座の件。
“ふすま”(第8号)出來。
発信 母.
受信 村山俊太郎(雑誌).

○七月二十四日 (木)    雨後曇 暑
午前、家にいて原稿。
午後、旭座で“素晴しき日曜日”おみる。佳作。四時半、ニッセイ。若き同窓会。六時すぎ終了。
甘粕氏8月4日山形に來る。
夜、原稿、つずき。
受信 甘粕石介、常木実.

○七月二十五日 (金)    晴 暑
発信 世代編集部、甘粕石介、村山俊太郎.
午前、“知と行”の原稿“偶像説と封建性”完了。20枚也。スワ局え行って発送。
午後、“哲学の学び方と考え方(三)”書き始める。
午後七時半、山新三階。文連主催の“素晴しき日曜日”の合評会。十時半終了。

○七月二十六日 (土)    曇 暑
午前、原稿。後、学校え行く。講座の件等。
午後、街え行く。共同書籍えよる。
夜、入浴。原稿。
受信 母.

○七月二十七日 (日)    晴 暑
午前、原稿。
午後、延世、“素晴しき日曜日”おみに行く。
夕方、街え行く。
夜、“哲学の学び方と考え方(三)”完了。20枚也。花岡さん、和田英夫氏來る。和田氏泊る。
発信 社会教育連合会、常木実.

○七月二十八日 (月)    雨後曇 冷
和田氏、朝去る。後、雑用。
朝ひるで正午山新え行く。十二時半―一時半、哲学の話。一時半―二時、質問。
二時半、駅え。三時の汽車で上の山え行く。材木榮屋で夕食。七時、女学校え。七時半―九時、弁証法の話。九時―九時半、質問。上の山学生会の文化講座。榮屋えかえる。
社会教育連合会え原稿お送る。
発信 母.

○七月二十九日 (火)    雨 冷
榮屋でのんびりすごす。湯に入ったり、武谷氏の本およんだり。
ひるに土屋君がくる。午後五時の汽車で一緒に山形えかえる。

○七月三十日 (水)    曇後晴 暑
午前、学校。
午後、街え行く。産別えよる。
虫が鳴いて早くも秋らしい息吹が感ぜられる。
ルネッサンスお調べる。
発信 山田坂仁、高橋富治.
受信 社会教育連合会、高橋富治.

○七月三十一日 (木)    曇 暑
午前、“ルネッサンス思想史”お書き始める。
午後、霞城館で“モロッコ”おみる。古いが良い作品である。
夜、鈴木、山口がくる。
受信 青年論壇社.