○四月一日（木） 晴 暖
午前十時から教授会。人事の件。
午後、ひるね。
夜、佐々木高政氏来る。ルカッチの原稿を書く。
受信 社教．
発信 社教．
○四月二日（金） 晴 暖
午前十時、教授会。
午後、外出。兩銀、山新、共同書籍えよる。散髪する。
夜、原稿。この原稿わたしかにつまらない。断ればよかった。
受信 南雲芳子、アカハタ支局．
○四月三日（土） 曇後雨 暖
午前、原稿。東大え入った生徒三人来る。
午後一時半、ニッセイ。読書座談会。四時すぎ終了。
“ドイツ觀念論批判”10冊着。小包わ来たが、東京から郵便物が来ない。
ルカッチ著“歴史と階級意識”の紹介・批評を終る。21枚也。全く面白くない仕事であった。
発信 佐久間信、鈴木守、藤井松一．
受信 東北大学新聞社、鈴木守．
○四月四日（日） 曇小雨 暖
午前、雑用。鈴木平八郎がくる。岡崎恭一がくる。
“これからの哲学”20部着。スマートな出来上りである。
午後二時半、美松。民科。八束さんの話。
夜、原稿。再び“西田哲学”にかかる。“後期西田哲学”に入る。
発信 桜井恒次、喜多健三郎、鈴懸書房、交通協力会．
受信 横井洋一、須田宗興、芦田弘夫、民友社、岩波書店小賣部、交通協力会、醇郎．
○四月五日（月） 晴 暖
午前、原稿。
午後、学校。街え行く。
夜、芳恵書房来る。検印をする。
ルカッチの原稿発送。
“哲学評論”（3月）着。拙稿あり。
発信 村山俊太郎、醇郎、林尚彦．
受信 上田庄三郎、林尚彦、学藝社、伊藤一夫．
○四月六日（火） 晴 暑
午前、原稿。
午後、学校。くきたちを持って家えかえる。土屋君がくる。後、街え行く。
醇郎へ10,000円を送る。
検印紙発行。夜、原稿。能率上る。
発信 伊藤一夫．
○四月七日（水） 晴 暖
午前、塚本がくる。
午後一時から組合総会。三時終了。街え行く。産別えよる。
夜、原稿。
発信 鈴木守、世界評論社．
受信 鈴木守．
○四月八日（木） 晴 暑
午前、手紙など書く。
午後、外出。大映で“歌ふ狸御殿”をみる。十一屋で里見さんに会う。
夜、鈴木等来る。出隆氏入賞黨。
原稿。
発信 横井洋一、芦田弘夫．
受信 佐久間信、青山書院、社教、文連．
○四月九日（金） 晴 暑
午前、雑用。検印。
午後、外出。検印紙を送る。切符を買う。学校え行く。
塙書房から甘粕石介著“藝術学の諸問題”の寄贈あり。
夜、原稿。“内篇”終り。計242枚。“外篇”わ簡單にするつもり。
発信 上田庄三郎、読書文化新聞社、佐久間信（二）、桜井恒次、青山書院．
受信 読書文化新聞社、佐久間信、山形縣、庄子宗雄．
○四月十日（土） 雨 冷
午前十一時すぎ家を出る。午後零時十八分山形駅発。五時、酒田着。鈴木が迎えに出ている。熊本屋え行く。夕食。全遞会議会議室で講演会。六時半～八時半、話。九時すぎまで質問。熊本屋えかえる。
○四月十一日（日） 暖 冷
午前九時～十二時、熊本屋で座談会。
午後、本間美術館で北斎美術展をみる。佐藤三郎氏に会う。
夜、鈴木と一緒に佐藤三郎氏を訪う。
○四月十二日（月） 晴 冷
午前、鈴木等来る。十一時家を出る。国鉄の展覧会をみる。十二時二十分酒田発。五時四十分山形着。家えかえる。
夜、雑用。郵便が沢山来ている。
漸く炬燵をとる。
受信 塙書房、第一出版株式会社、讀賣新聞社、岩波書店、鈴木守、片山修三、
六和出版部、世界評論社、藤井松一．
○四月十三日（火） 晴 暖
午前、原稿。“文化主義の克服”を書き始める。
午後、外出。山新えよる。安田え10,000円預ける。
夜、原稿。“文化主義の克服”を一日で書いて了う。20枚也。
発信 神吉孝信．
受信 須田宗興、白馬書房．
○四月十四日（水） 晴 暖
午前、雑用。“文化主義の克服”発送
午後、一時から教授会。後、組合総会。
夜、“科学年鑑”の原稿を書き始める。
発信 第一出版株式会社、白石静男．
受信 横井洋一．
○四月十五日（木） 曇後雨 寒
午前、原稿。社研の連中がくる。
紘一郎、幼稚園え行く。入学式。延世がつれて行く。
午後、外出。文化劇場で“第二の人生”をみる。佳作。
花が咲いたのに却って寒くなった。又炬燵をかける。
“世界文化”（4月）着。拙稿あり。
夜、原稿。
受信 明友会、世界文化社．
○四月十六日（金） 曇 寒
午前三時までかかって“科学年鑑”の原稿を書いて了う。21枚也。
午前、“年鑑”の“文献”を書く。
午後、陽子、子供二人、“手をつなぐ子等”をみに行く。留守番をする。
夕方、一時間程散歩。
夜、“文献”つずき。完了。案外厄介な仕事であった。
受信 東京大学新聞．
発信 松本文二、言語文化研究所、平和編集部．
○四月十七日（土） 晴 冷
午前、学校。
“科学年鑑”の原稿発送。
午後、外出。もろもろの買物をする。公園まで行く。七分咲き。
夜、雑用。手紙を書く。“讀賣新聞”の原稿“実存哲学を斬る”を書く。4枚也。
発信 母、㐂多健三郎、高橋庄司、世界文化社、言語文化研究所、須田宗興．
受信 母、田中全一．
○四月十八日（日） 晴 暖
午前、雑用。延世と子供等千歳公園え花見に行く。
午後二時～五時、美松。民科。“世界”二月号の座談会。
“讀賣新聞”の原稿発送。
夜、世界評論社の原稿つずき。“田辺哲学”を一気に書いて了う。17枚也。
発信 醇郎、布川角左衛門．
受信 母．
○四月十九日（月） 晴 暖
午前、学校。二高から返事が来ない。スローモーションである。
午後、ひるね。原稿。
夜、原稿。“三木哲学”を書いて了う。18枚也。世界評論社から電話で原稿の催促が来る。後わいよいよ“戸坂潤”だけとなる。
発信 林勝郎．
受信 産別．
○四月二十日（火） 曇 暖
午前、原稿。
午後一時半、学校。大学昇格委員会。四時終了。山新えゆく。林勝郎氏え電報を打つ。
夜、入浴。原稿。“戸坂潤”7枚で終りとする。これで“まえがき”と“参考文献”を除いて全部終了。計284枚也。
原稿を始めからよみ始める。
受信 吉田収．
○四月二十一日（水） 雨 暖
午前、原稿をよむ。終了。荷造りをする。
午後、“西田の根本性格”発送。学校え行く。追給金が出る。街え行く。切符を買う。
夜、“まえがき”と“参考文献”を書く。これで全部終了。
発信 中村吉治、武市健人、東北大学新聞社、林勝郎、鳥海正男．
受信 大熊信行、鳥海正男、週刊教育新聞社．
○四月二十二日（木） 雨後晴 暖
午前、仙台行用意。
午後一時半家を出る。三時五分山形発。五時五十分仙台着。中村さんの所えいく。諏
訪の件について相談する。
発信 延世．
” 辯証法と実存哲学“が出来ている。
○四月二十三日（金） 雨 寒
午前、芳恵書房え行く。
午後、大学新聞社え行く。武市氏と会う。経濟の研究室え行く。桑原氏と会う。ヴィヨンによる。
○四月二十四日（土） 曇 寒
午前、家にいる。
午後、外出。戸越で“七つの月のマドンナ”をみる。余り面白くない。
○四月二十五日（日） 晴 寒
午前、吉田来る。吉田と芳衛書房氏と三人で東洋館え行く。晝食の御馳走になる。
一旦中村氏の所えかえり、更めて出発。午後四時三十分仙台発、七時二十分山形着。家えかえる。
延世、本二冊を佐藤友三郎に与える。とんでもない軽率のことである。どうも物事の價値判断がつかなくて困る。やっぱし頭が足りない。
発信 東京大学新聞社．
受信 東京大学新聞社、佐久間信、藤井松一、林勝郎（電報）．
○四月二十六日（月） 晴 暖
午前、九時から入学式。
午後、ひるね。毛利氏母子来る。外出。七日町書房で吉田収、芳恵書房氏に会う。山
新えよる。四時、細谷牛肉店え行く。余の出版記念会。小松、小林、花岡、後藤、土
屋、結城、青島、高島の八人。
発信 文化人発行所、中村吉治、
受信 醇郎、川又友三郎、鈴懸書房、社教、菅藤尚、守隨憲治。
今の所仕事わ一段落とゆう所である。少し疲れたから、これからしばらく休養する。
○四月二十七日（火） 曇小雨 暖
午前、学校。今日から授業。理一（3,4）,文二、話。
午後、旭座で“美女と野獣”をみる。変な映畫である。
夜、入浴。雑用。
受信 村山俊太郎．
発信 母．
○四月二十八日（水） 晴 寒
午前、雑用。
午後一時、学校。大学昇格委員会。後、街え行く。霞城館で“脱出”をみる。余り面白くない。
芳恵書房の書物20冊着。
夜、雑誌をよむ。
発信 村山俊太郎。芳恵書房．
受信 鈴木平八郎．
○四月二十九日（木） 晴 暖
午前、雑用。
午後、花岡さん一家が来て餅をつく。街を一巡する。
夜、明日の用意など。
発信 鈴木平八郎、佐久間信．
受信 石垣俊蔵．
○四月三十日（金） 晴 暑
午前、学校。文三、哲学。勝川氏学校え来る。
“交通”（4月号）着。拙稿あり。
午後、学校。深町氏、花岡氏、大野氏とともに縣廰え行く。大学昇格問題。
夜、土曜会の生徒来る。“文化人”の原稿“主体性について”を書き始める。
受信 松本文二．