○三月一日(月) 晴 寒
午前十時~十一時、婦人文化学院。イギリスの啓蒙思想。
山田氏から“思想と実践”の寄贈あり。
“ドイツ觀念論批判”二冊漸く着。十日を要した。
午後からずっと家にいる。原稿、つずき。
発信 橫井洋一、佐久間信、山田坂仁、田中?(全)一、毎日新聞社。
受信 毎日新聞社、横井洋一、田中?(全)一。
○三月二日(火) 曇後雪 寒
午前、読書。
午後、外出。大映で“オリオン星座”をみる。くだらない。山新えよる。
夜、読書。
発信 母。
受信 母、週刊教育新聞社。
○三月三日(水) 晴 寒
午前、原稿。生徒来る。
午後、外出。霞城館で“ジェーン・エア”をみる。余り面白くない。
岩手教組事件無罪。これわ良いことである。
今日で学校の授業終了。
夜、原稿。
受信 池谷千尋。
○三月四日(木) 晴 暖
午前、原稿。北隆館から書物が22冊来る。計24冊也。第三書房から原稿用紙二冊来
る。
午後、学校。二時半~四時、図書委員会。後、街え行く。紘一郎、幼稚園へ入って
いる。
夜、原稿。
発信 佐久間信、池谷千尋。
受信 大地書房。
○三月五日(金) 曇 寒
午前、原稿。社研の連中がくる。
午後、紘一郎、陽子をつれて街え行く。兩銀で印税2万円をうけとる。十一屋、ミツマス等えよる。
鈴懸書房から検印用紙を来る。
経濟もこれで一安心とゆう所である。
夜、検印終了。たしか3150ある。
発信 佐久間信、鈴懸書房。
受信 佐久間信、鈴懸書房。
“これからの哲学”も15日に出来る由。
○三月六日(土) 晴 暖
午前、雑用。原稿。検印用紙を鈴懸書房え発送。
午後、学校。二時半から教授会。五時終了。
“ドイツ觀念論批判”1冊着。これで25冊終了。
夜、原稿。
受信 白石義明。
○三月七日(日) 雪 寒
午前、原稿。“マルクスの辯証法”完了。53枚也。この原稿には随分長くかかり、又苦心もした。併し出来榮は必ずしもよくない。
午後二時~五時、民科。花岡さんの話。
夜、雑用。
発信 山崎正一、本堂繁松、第三書房。
○三月八日(月) 雪後曇 寒
午前、婦人文化学院。十時~十一時、啓蒙思想。十一時~十二時、座談会。
第三書房え原稿発送。
午後、雑誌などををよむ。
夜、花岡さんの所え行って風呂に入る。
甘粕氏の“現代哲学批判”を買う。これで北隆館の三書(山田、小松、甘粕)が揃った。
世界評論社から“西田哲学の根本性格”の催促をうける。この休み中に片ずけねばならない。
発信 須田宗興、世界評論社。
受信 岩波書房、高橋庄治、林勝郎。
○三月九日(火) 晴 寒
午前、学校。九時半、入学試験打合せ。十時から一二年の及落会議。
??(正午の当て字?)(晝食)に家えかえる。午後、教授会再開。五時終了。
夜、雑用。
発信 林勝郎、母。
○三月十日(水) 曇 寒
入学試験。午前九時~十二時、午後一時~三時。立番にはうんざりする。
全遞、今日わ24時間スト。
夜、村岡さんの所え行く。花岡さんと三人で大学案をねる。
○三月十一日(木) 晴 寒
入学試験。午前九時~十一時。
??(正午の当て字?)(晝食)に家えかえる。午後わ一時~三時。これで終了。全くうんざりする。
三時半から教授会。課長選挙。校長辞意表明。後で皆で対策を考える。七時半解散。
受信 佐久間信。
○三月十二日(金) 晴後雨 暖
午前、雑誌などよむ。延世等街え行く。
午後、街え行く。学校えかえる。三時から教授会。校長の件。
夜、西田哲学。
発信 日本評論社。
○三月十三日(土) 雨 暖
午前、原稿。“西田哲学”の原稿再開。
午後、高陽堂迄行く。学校え行く。三時から教授会。校長の辞意を承認する。ろう
えい問題。
夜、根來よし子氏来る。
発信 光の書房、民支社。
受信 民支社、母、武市健人。
○三月十四日(日) 晴 暖
昨夜(今朝)一時頃花岡さん来る。一緒に校長の所え行く。三時半家えかえる。
午後(前)十時起床。雑用。
午後二時、美松。民科。途中から去って学校え。三時から教授会。
夜、花岡さんと共に校長の所え行く。
発信 第三書房、外務省。
受信 第三書房、外務省、山崎正一、須田宗興。
○三月十五日(月) 晴 暖
午前十時~十一時、婦人文化学院。カント。これで終了。放送局員来る。座談会の件。
山崎氏より、“ドイツ觀念論”の寄贈あり。
午後、学校。三時から教授会。後、土屋氏に会う。
夜、市川道雄氏来る。泊る。
受信 藤枝高土(士)、青山書院、河合和男、林省吾、民科。
発信 婦人文化学院(二)。
○三月十六日(火) 晴 暖
午前、手紙など書く。
午後、山新え行く。学校え行く。三時から教授会。安齋氏の件ついに明らかになる。午後六時半放送局。矢萩てるを氏、加賀谷はなえ氏来る。放送座談会の打合せ。野島さんの所えよる。
発信 佐久間信、青山書院、山崎正一、藤枝高土(士)、林省吾、母。
○三月十七日(水) 晴 暖
午前、学校。
午後、学校。街え行く。学校えかえる。三時から教授会。
夜、吉田収がくる。芳衛書房の本が近日出る由。花岡さんと共に校長の所え行く。
“実存哲学批判”の編集をする。
発信 週刊教育新聞社、民科、塙書房。
受信 五味智英、週刊教育新聞社、世界文化社、世界評論社、話の泉社、塙書房。
○三月十八日(木) 曇 寒
午前七時、学校。教授会。安齋氏の件。
午後一時再開。入学試験の件等。五時終了。学校の分わこれで一段落。
塙書房え原稿を送る。
朝、吉田収来る。
小林東(京)治著“社会断層”の寄贈あり。
“西田哲学”の原稿再開。一週間つまらないことでつぶしてろうひ(了つた)。
発信 民支(友)社、三笠書房、五味智英、民科。
受信 民支(友)社、三笠書房、民科、学藝社。
○三月十九日(金) 晴 暖
午前、雑用。
正午、学校。学寮食堂で大畑さん送別会。後、街え行く。大映で“山猫令嬢”をみる。
夜、花岡さんの所え行って入浴。
受信 山崎正一。
○三月二十日(土) 雨 冷
午前十時、婦人文化学院。卒業式。
午後、学校え行く。
志村がくる。
夜、花岡さんが来る。大学の件。
受信 村山俊太郎。
○三月二十一日(日) 雨 冷
午前、十一時、文化学院。謝恩会。
午後二時、学校。教授会。
夜、原稿。
○三月二十二日(月) 晴 暖
午前九時、紘一郎をつれて大映え行く。“手をつなぐ子等”の??(試写)をみる。学校え行く。
内申書の件。
午後二時から教授会。
“理想”(3月号)着。拙稿あり。
夜、小川と安部がくる。
発信 母、電通。
受信 片山修三、河北新報社、電通、吉田収、研進社、人事興信所。
○三月二十三日(火) 曇小雨 寒
午前、雑用。“実存哲学批判”の”まえがき”を書く。大熊信行氏から”国家はどこへ行く”
の寄贈あり。
午後、外出。買物など。紅花劇場で“大曽(曾)根家の朝”をみる。佳作。
夜、“東北学生新聞”の原稿“カール・ヤスパース”を書く。5枚也。
今日東京で入学者決定方法発表。
発信 白石静男、東北学生新聞、河北新報社、山形放送局。
受信 林勝郎。
○三月二十四日(水) 曇小雨 寒
昨夜、おそくまで“西田哲学”の原稿を書く。
午前、雑用。
“カール・ヤスパース”発送。
午後、外出。山新出版社えよる。
“糾学園(科学圏)”(3月)着。拙稿掲載。
夜、原稿、つずき。
発信 片山修三。
○三月二十五日(木) 曇小雨 寒
午前、原稿。
午後、外出。山新えよる。
今日わ全遞わ24時間スト。
夜、原稿。
○三月二十六日(金) 曇 寒
午前、雑用。
午後、山新。学校。二時から教授会。
“ヒウマニズムと文化革命”着。
午後六時半、放送局。テスト。矢萩氏、加賀谷氏と三人で座談会。八時から15分。
発信 林勝郎。
○三月二十七日(土) 晴 暖
午前十時から組合総会。
午後、大畑さんの所え行く。
夜、花岡さんの所え行って入浴。
受信 大西昇、鈴木平八郎。
○三月二十八日(日) 晴 暖
午前、原稿。
午後二時、美松。松沢太治郎氏の話。五時終了。
夜、原稿。
○三月二十九日(月) 晴 暖
午前、雑用。
午後零時半から教授会。二時終了。駅え行く。
三時の汽車で大畑氏の立つのを送る。?(芝)蘭文化協会、至誠堂えよる。
夜、原稿。“第二部、中期西田哲学”終了。第一部119枚、第二部67枚、計186枚。第三部わ??(簡単)にしよう。
発信 マコト書房。
受信 マコト書房。
○三月三十日(火) 晴 暖
午前八時半から入学者決定会議。午前、文?(科)。
午後再開。理?(科)。七時終了。毛利合格。田中、黒沼のセンチメンタリズムわ困ったものである。
風呂が出来上がる。
発信 大西昇。
受信 大西昇、八木林二、市川道雄、佐久間信、吉田収。
○三月三十一日(水) 晴 暖
午前、ルカッチをよむ。
午後、学校。入学者発表。街え行く。大映で“花嫁選手”をみる。愚作。
夜、入浴。新しい風呂の最初の入浴である。ルカッチをよむ。大したことわない。
発信 大熊信行。
受信 大熊伸(信)行、母(二)。