○十一月一日 (月) 晴 暖
午前、学校。文一、理一、キェルケゴオル。文三、佛国啓蒙哲学。
午後、学校、テニス。街え行く。
“悪霊”(Ⅱ、Ⅲ)着。
夜、明日の予習など。
発信 民科、今野武三.
○十一月二日 (火) 晴 暖
午前、学校。理一、キェルケゴオル。文二、ソクラテス。放送局員來る。校長と会う。神戸の件等。
午後四時、教育会館。縣官公青婦の座談会。七時終了。
吉田収え“同窓会名簿”発送。
○十一月三日 (水) 雨後曇 暖
午前、放送の原稿“地方文化の問題”を書く。
午後、外出。山形まつり。假装行列をみる。山新えよる。人出多し。
夜、原稿完了。7枚也。
発信 八木林二、母.
○十一月四日 (木) 曇後晴 暖
午前、雑用。
トルーマン当選。これわ面白い現象である。
午後、学校。三時―五時、教授会。
鬼頭英一著“人間”着。つまらない本である。
夜、明日の予習など。
発信 今野竹蔵.
受信 今野竹蔵.
○十一月五日 (金) 晴後曇 暖
午前、学校。文三、ライプニッツの単子論。
ひる休みに教授会。
午後、街え行く。学校えかえる。少しテニス。
○十一月六日 (土) 雨 冷
六時起床。放送局え行く。7時15分―30分、“都会と地方の文化”について放送。
午前、学校え行く。森繁雄氏來校。
午後二時五十分山形発、三時五十分赤湯着。今野氏迎えてくれる。丹泉ホテルえ行く。夜、座談会。
○十一月七日 (日) 晴 暖
午前七時半起床。九時丹泉ホテルを出る。赤湯小学校え行く。十時―十一時半、講演。十二時半まで座談会。
ホテルえかえって畫食。湯に入る。
午後四時九分赤湯発。福島せいさんと一緒になる。五時山形着。
夜、明日の予習など。
○十一月八日 (月) 晴後曇 冷
午前、学校。理一、文一、ニーチェの話。文三、ライプニッツ。
午後、ひるね。
夜、雑誌をよむ。
発信 東北大新聞.
受信 東北大新聞、林ふさ、吉田収.
○十一月九日 (火) 曇 寒
午前、学校。理一、ニーチェ。文二、ソクラテスと小ソクラテス学派。
午後、霞城館で“我等の生涯の最良の年”をみる。大作。
大変寒くなった。龍山に雪がふる。
文三も文二も去年より少しおくれている。
世界評論社も塙書房も申し合せたようにだまっている。
夜、“東北大学新聞”の原稿を書く。6枚也。
○十一月十日 (水) 曇 寒
午前、家にいて雑用。
午後、学校。社研中止。大映え行き橋倉さんに会う。山新えよる。
夜、鈴木守がくる。
“東北学生新聞”の原稿発送。
発信 醇郎.
受信 母、農文協.
○十一月十一日 (木) 晴 寒
午前、家にいる。
午後、学校。三時―六時、教授会。
夜、雑用忙し。手紙など書く。神戸え履歴書等を送る。世界評論社え前借を申し込む。
発信 山本英一、林勝郎、世界評論社、壮文社.
○十一月十二日 (金) 曇 寒
午前、学校。文三、啓蒙時代終り。高橋里美氏來校。
午後、学校。三時から社研。西田哲学の概觀。四時から人事委員会。五時終了。
夜、雑誌などよむ。
東京裁判判決下る。
発信 山本英一.
○十一月十三日 (土) 晴 暖
午前、雑誌をよむ。
午後、紅花劇場で“わが生涯のかがやける日”をみる。ハッタリ映畫。共同書籍えよる。久し振りで山形氏に会う。
午後六時、梅月。校長歡迎会。八時終了。
○十一月十四日 (日) 曇 冷
午前、雑用。
午後二時、民科懇親会。千歳宮前の高橋魚店。七人。五時終了。
夜、明日の予習等。
発信 民科、塙書房.
○十一月十五日 (月) 晴 寒
午前、学校。文一、理一、ニーチェの超人。文三、カントに入る。傳記。
ひる休みに人事委員会。その後も討議。家えかえったら三時半。畫食。
夜、明日の予習など。
受信 讀賣新聞社、眞下信一.
○十一月十六日 (火) 雨 寒
午前、学校。理一、ニーチェの話。文二、デモクリスト。
午後、ひるね。
夜、眞下信一著“実存と現実”読了。
発信 眞下信一、讀賣新聞社、吉田収.
○十一月十七日 (水) 晴 暖
午前、学校から呼出しがくる。新制大学の人事委員会。評議員の件。
午後、学校。三時から社研。“善の研究”について。後、テニスを少し。演研の練習をみる。
夜、田中がくる。読書など。
受信 日本読書新聞社.
○十一月十八日 (木) 晴 暖
午前、家にいる。読書など。
午後、学校。三時から教授会。六時半終了。
夜、演研の生徒と一緒に第一高女の校長の所え行く。
弁論部の生徒二人來る。
受信 林勝郎.
○十一月十九日 (金) 雨 寒
午前、学校。文三、カントの著作。
十一時から人事委員会。
十二時、生徒とともに第一高女え行き、校長に会う。菊池の件。
午後三時―五時、組合總会。
日本学術会議の選擧用紙來る。
“日本読書新聞”の原稿を書く。
醇郎の本10冊着。
○十一月二十日 (土) 晴 暖
午前、学校。雑用。
午後、学校。一時半から学長推薦委員会。四時終了。
夜、子供二人をつれて、“林檎園日記”をみに行く。十時終了。
“日本読書新聞”の原稿発送。
受信 白揚社.
白揚社から印税來る。これがもう少し早くくればよかったのだが。
○十一月二十一日 (日) 晴 暖
午前、延世と子供二人映畫をみに行く。
午後三時、東北配電え行く。民科例会。今井君の中国の話。小春日和。
夜、雑用。北村登來る。
発信 民主団体協議会、杜文社、白揚社.
○十一月二十二日 (月) 晴 暖
午前、学校。文一、理一、ドストエフスキイ。文三“純粹理性批判”に入る。兩銀え行って金を受取る。
午後、学校。三時から全学協議会。五時終了。後、旭座え行って“蜂の巣の子供たち”をみる。佳作。家えかえって夕食。
発信 明友会.
受信 明友会、世界評論社、社会教育連合会.
○十一月二十三日 (火) 晴 暖
午前、家にいる。
午後、外出。高陽堂まで行く。大映、山新等えよる。
夜、福永がくる。
“実存哲学の克服”を書き始める。
発信 武市健人、関戸嘉光.
○十一月二十四日 (水) 曇後雨 冷
午前、吾妻がくる。後、原稿。
午後、学校。三時から教授会。学長の件等。
夜、原稿続き。
発信 社会教育連合会、服部紀、川村安太郎.
受信 社会教育連合会.
休みわ12月11日から1月10日までと決定。
○十一月二十五日 (木) 雨後曇 冷
午前、原稿続き。
午後、学校え行き、校長に会う。神戸の件。後、街え行く。テアトル山形で“逢びき”をみる。
夜、明日の予習など。
受信 塙書房.
○十一月二十六日 (金) 曇 寒
午前、学校。文三、先験的感性論。郵便局から富士銀行え行く。
午後、学校。一時半から学長委員会。四時終了。街え行ってジープを買う。
夜、“実存哲学の克服”完了。20枚也。
受信 林省吾、母、醇郎、山本英一.
○十一月二十七日 (土) 曇 寒
午前、学校え行く。雑用。
午後、学校。一時から中心教授会議。後、山新え行き土屋君に会う。
“教育と社会”の原稿発送。
夜、雑誌をよむ。
受信 武市健人.
○十一月二十八日 (日) 雪 寒
午前、雑用。
午後一時、学校。新制高校の討論会の審査員。五時終了。寒し。街え出て買物をする。
夜、明日の予習。吾妻がくる。福島行の件。
発信 山本英一.
○十一月二十九日 (月) 曇 寒
午前、学校。文一、実存哲学。文三、概念の分析論。
日本学術会議の投票をする。
午後、街え行く。買物など。
夜、明日の予習など。
発信 東北学生新聞、植田清次.
受信 東北学生新聞、吉田収、民協、羽仁五郎、キネマ旬報発行所.
○十一月三十日 (火) 雪 寒
午前、学校。文二、プラトンのidea論。
午後三時山形駅発。福島え行く予定の所、汽車中で五ヒ二エンキの電報を受取る。赤湯で引かえす。五時すぎ山形着。
夜、雑誌をよむ。