○八月一日 (月)    晴 暑
  午前、雑用。
  午後、学校。研究室の件未定。民科え行く。古林さんに会う。
  夕方、研究室え入っても良いとの通知あり。明日入る予定。
  夜、読書。
  発信 創生社、中央書籍株式会社
  受信 和田浩

○八月二日 (火)    晴 暑
  午前、雑用。
  午後、民科え行く。学校え行く。研究室に入る。二階でNo,6なり。すばらしく景色がいい。学生一人なので、本をあけるのわ明日にする。
  夜、読書。
発信 遠藤書店、母
受信 梅本克己

○八月三日 (水)    晴 暑
  午前、雑用。
  午後、学校。学生二人先に来ている。書物を棚に入れる。尚6箱を残す。

○八月四日 (木)    晴 暑
  朝畫兼食の後、学校え行く。原稿を書き始める。
  午後五時、民科。哲学部会。
  夜、読書。
  醇郎も何とも云って来ない。金のないのわつまらないことである。特に都会において。
  発信 川岸達児
  受信 吉田収、民科事務局、理論編集部

○八月五日 (金)    晴 暑
  午前、延世、子供二人芦屋の海岸え行く。留守番をする。
  午後、学校。原稿を少し書く。学校から醇郎の所え行く。六時すぎ着。湯に入る。後から醇郎かえってくる。千円也かえして貰う。
  受信 渡部一郎、醇郎

○八月六日 (土)    晴 暑
午前、雑用。ひる頃から学校え行く。
午後、原稿。かえりに徳田氏の所えよる。
この日頃金詰りである。今迄にない程度のものである。俸給わ9日の由。
夜、雑誌などよむ。
発信 日本評論社、理論編集部

○八月七日 (日)    晴 暑
午前、雑用。
午後、ロマン座で“汽車は東へ行く”をみる。
夜、読書等。
発信 野島義一、神戸振替貯金課
受信 神戸振替貯金課、鈴木平八郎、母、金井康悦、八木清

○八月八日 (月)    晴 暑
  朝、古賀氏来る。
  十二時大阪え着く。阪大え行く。伏見さんに会う。醇郎と共に笹岡美代吉氏の所え行く。6時去る。
  “哲学評論”8月号着。
  今日わ立秋。暑さももう峠を越したということである。
  野田から小路まで国鉄でい一時間要す。

○八月九日 (火)    晴 暑
  午前十時、学校。Juniorの会議。
  午後、会議続行。後、研究室え行く。原稿を書く。
  “科学年鑑(第3集)”着。
  夜、読書等。
  発信 母、思索社、道家忠道、岩波書店
  受信 母

○八月十日 (水)    晴 暑
  朝、神戸高校の生徒来る。
  ひる頃、学校え行く。原稿続き。“道徳の階級性について”32枚で一応完了とする。三の宮え行く。鞄の修繕をする。130円也。
  久し振りで紀伊半島がみえる。今日わ涼しい風が吹く。
  夜、読書等。
  発信 教育新報社
  受信 母

○八月十一日 (木)    晴 暑
  午前、雑用。原稿発送。
  午後、ひるね。銭湯え行く。
  夕食後、子供をつれて靑木の海岸え行く。
  夜、雑誌等をよむ。
  発信 山内十三

○八月十二日 (金)    晴 暑
  午前、雑用。
  午後、子供二人をつれて学校え行く。研究室の書物を全部片附ける。かえりに散髪する。
  この間から金の問題で頭を悩ましている。吉田内閣がつぶれて、人民政府が出来なければどうにもならない。
  夜、“反デューリング論”をよみ始める。
  発信 白石静男

○八月十三日 (土)    晴 暑
  午前、郵便局まで行く。
  午後、教育会館え行く。平和擁護大会発起人会。
  名刺印刷出来。130円也。
  朝夕涼しくなった。ハエも蚊も少くなった。
  金缺わ面白くないものである。
  夜、読書。
  発信 神戸振替貯金課、民支社、母
  受信 神戸振替貯金課

○八月十四日 (日)    晴 暑
  午前、読書。
午後、ひるね。
午後六時、魚﨑役場。群党会議。
受信 柳原吉次

○八月十五日 (月)    晴 暑
  朝、山内来る。本を売る件の打合せ。これでどうやらスワえ行ける。
  午後、ひるね等。
  四時半、市役所正廰え行く。六時から平和擁護大会。千人以上来る。“コーカサスの花嫁”等。十時すぎ終了。
  発信 古賀哲夫、土屋保夫、新関嶽雄
  受信 佐藤精也

○八月十六日 (火)    曇 暑
  午前、雑用。
  午後、ひるね。読書等。裕二郎と銭湯え行く。
  夕食後、陽子、裕二郎をつれて盆踊りをみに行く。
  夜、読書等。盆踊りの歌がやかましい。
  発信 母、民科大阪支部、鈴木善治、世界評論社、新やまがた社
  受信 母

○八月十七日 (水)    曇 冷
  午前、雑用。
  午後、学校。
  夜、読書。
  発信 八木林二、九大新聞部
  受信 九大新聞部

○八月十八日 (木)    雨 冷
  午前、雑用。
  午後、学校。山内来る。“寺田全集”16冊、“鴎外全集(翻訳篇)”13冊、“芥川全集”10冊を売る。9,100円也。
  学校から民科え行く。哲学部会。
  夜、読書等。
  発信 遠藤書房
  受信 民友社

○八月十九日 (金)    曇 暑
  午前、雑用。古賀哲夫氏来る。
  午後、元町え行く。諏訪えの土産等を買う。
  夜、神戸高校新聞の原稿“現代の精神的状況”を書く。6枚也。
  発信 岩波書店、今井林太郎
  受信 岩波書店
  東京え雑誌3冊送る。

○八月二十日 (土)    晴後雨 涼
  午前、雑用。
  午後、読書。裕二郎をつれて円湯え行く。
  一日中家にいると子供がうるさい。
  夜、九州大学新聞の原稿“哲学はいかに学ぶべきか”を書く。6枚也。
  発信 堀尾勉
  受信 堀尾勉

○八月二十一日 (日)    晴 暑
  午前、雑用。延世、少し具合が悪いのでスワ行延期。
  天候回復。少し秋らしい。
午後、外出。買物など。住吉まで行く。
九州大学新聞、神戸高校新聞の原稿発送。
“資本論入門(5)”及び“実存哲学批判”5冊到着。
夜、読書。
発信 岸田良彌、塙書房
受信 岸田良彌

○八月二十二日 (月)    快晴 暑
  午前、雑用。
  午後、切符を買い、電報を打ち、学校え行く。
  午後九時、陽子、紘一郎と共に家を出る。9時32分本山発。大阪で汽車にのる。23時大阪発。
  発信 大東出版社

○八月二十三日 (火)    晴 暑
名古屋でのりかえ。5時13分名古屋発。十一時塩尻乗かえ。
  午後、十二時四十九分茅野着。母が迎えてくれる。バスで家え。
  午食後、ひるね。子供らと散歩。
  夜、読書等。
  発信 民友社、醇郎

○八月二十四日 (水)    晴後雨 涼
  ひる頃おきる。
  午後、雑用。
  夕方、隣家を廻る。
  “反デューリング論”読了。

○八月二十五日 (木)    晴夕立 暑
  子供二人をつれて上諏訪え行く。駅まで歩く。駅から上諏訪までバス。丁度正午になる。片倉館で湯に入る。二階で畫食。湖水でボートをこぐ。街を歩いて買物など。四時十八分上諏訪行発の汽車に入る。茅野から鬼場までバスでかえる。
  母も頭が古くてどうにもならない。
  夜、雷雨、停電。
  発信 花岡謹一郎

○八月二十六日 (金)    晴 涼
  おそく起床。
  午後、ひるね等。ぼんやりすごす。諏訪え来てから疲れが出たようである。休養する。
  夕方、子供をつれて矢ヶ崎まで行く。
  夜、読書。虫の音がしきりである。
  発信 須田宗興、林省吾

○八月二十七日 (土)    晴夕立 涼
  午前、雑用。
  午後、子供をつれて茅野まで行く。祐二郎のお土産を買う。
  夜、読書。毎日“反デューリング論”をよむ。二回目。
  発信 のぶよ
  受信 岸田良彌

○八月二十八日 (日)    曇小雨 冷
  午前、雑用。
  午後、ひるね。夕方、長田益郎氏の所え行く。
  スワえ来てから却ってだるい。
  明後日かえる予定。
  夜、読書。

○八月二十九日 (月)    曇後雨 冷
  午前、雑用。
  午後、皆でお寺え行く。“そとば”を立てる。
  入浴。
  “反デューリング論”二回目読了。中々難解である。

○八月三十日 (火)    晴 暑
  午前、出発の用意。
  午後二時のバスで茅野駅え。四時七分茅野駅発。塩尻と名古屋でのりかえる。

○八月三十一日 (水)     曇 暑
  午前五時十六分大阪着。電車で本山え。明るくなりかけた頃家え着く。
  一日中休養。銭湯え行く。
  子供をつれて歩くのわ全くシンが疲れる。
  たまっている新聞、雑誌をよむ。
  発信 岩波書店小売部、母
  受信 道家忠道、平和を守る会、キネマ旬報発行所、野島義一、長岡太刀雄、神戸経濟新聞社
  夕方、井上さんの所え行く。
  “哲学と人間”10冊着。